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聖書 を学びたい人のための映画
■F『映画で見る旧約聖書の世界』■
『十戒(原題:The Ten Commandments)』 1956年製作 220分 

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【スタッフ・キャスト】
 監督:セシル・B・デミル
 製作:セシル・B・デミル
 脚本:イーニアス・マッケンジー、ジェシー・L・ラスキー・Jr.、
  ジャック・ガリス、フレドリック・M・フランク
 撮影:ロイヤル・グリッグス
 編集:アン・ボーチェンズ  音楽:エルマー・バーンスタイン

 出演者:チャールトン・ヘストン(モーゼ)
     ユル・ブリンナー(ラメス)
     アン・バクスター(ネフレテリ)
     エドワード・G・ロビンソン(デーサン)
     イボンヌ・デ・カーロ(チッポラ)
     デブラ・パジェット(リリア)
     ジョン・デレク(ヨシュア)
     セドリック・ハードウィック(セティ)
     ニナ・フォック(ビシア)
     マーサ・スコット(ヨケベデ)
     ジュディス・アンダーソン(メムネット)
     ビンセント・プライス(バッカ)
     ジョン・キャラダイン(アロン)
     オリーヴ・デアリング(ミリアム)


【解説】
 旧約聖書の「出エジプト記」を壮大なスケールで映画化したスペクタクル史劇。
 ハリウッド創成期の巨匠セシル・B・デミル監督が、1923年に手がけた「十誡」を自らリメイクしたものです。
 1957年・第29回アカデミー賞で特殊効果賞を受賞した作品であり、『ベン・ハー』と並ぶ映画史上に残る歴史大作ということが出来ます。

 ユダヤの民がエジプト人に虐げられるシーンの数々は、実際にあれだけの人を集めたとしたら、その熱量が半端なく凄いとしか言いようがありません。
 クリスチャンとしてだけでなく、人として、教養の一部として、欧米文化の根幹をなすキリスト教の基礎の基礎であり、ユダヤ教やイスラム教の経典でもある旧約聖書の根幹をなしている十戒とモーゼを知る上では最も参考になる作品と言うことが出来ます。
 イエス・キリストが出て来ない分、感動できる場面は少ないかもしれませんが、映画の歴史を語る上で避けることのできない作品であることは確かで、セットを実際に建てたり、実際動員した人数の多さなどで、CGに出せない本物の迫力を感じることが出来る作品です。

 古き良き時代の映画であり、娯楽に全集中した現代では少なくなった芸術というものを感じて下さい。(By天国とんぼ)
 

【ストーリー】(ネタバレ注意)
 ヘブライ人がエジプトの奴隷とされていた時代、一人のヘブライ人の男の子が生まれる。
 エジプトの王ファラオは救世主の誕生を恐れたため、ヘブライ人の男の幼児をすべて殺すように命令する。
 難を逃れるため、その子は籠に入れられ、ナイル川に流され、沐浴していたエジプトの王女ベシア(英語版)
に拾われる。
 ベシアはその子をモーセと名付け、自分の子として育てる。

 モーセは武運に優れ、知恵もある立派な青年に育ち、王からもその優秀さを認められつつあった。
 だが王子のラメセスに出生の秘密を知られ砂漠に追放される。
 放浪の末に彼はシナイ山の麓に辿り付き、そこで羊飼い達に救われた。
 彼は族長のジェスロから仲間として認められ、7人姉妹の長女・セファラを妻として新たな生活を始める。
 そんなある日、ヨシュアが訪ねてきてエジプトに戻り民に自由を与えてほしいと語る。
 そしてモーセは山の頂に不思議な光を見た。
 山を登っていくと彼は光の中から神の声を聴く。
 モーセは、汝はヘブライ人をエジプトより導き出すよう神からの啓示を受けた。

 モーセはエジプトに戻り、王となっていたラメセスと王妃ネフレテリの前に現れてヘブライ人を解放するように求めるが、認めようとはしない。
 モーセは神からの十の災いがエジプトを襲うと警告し、その言葉通り国土は次々に災禍に襲われるも、ラメセスは頑として首を縦に振らなかった。
 しかし最後の災い――門に子羊の血を塗らない家の長男は全て死ぬ――がエジプト全土に広がり、ラメセスの息子までもが死の淵に立たされる。
 遂にヘブライ人は出て行くがよいとラメセスは言った。

 翌朝、ヨシュアに導かれて大勢のヘブライ人達がモーセの前に集まり、共にエジプトを旅立つ。
 しかしラメセスの息子が死に、愛する我が子を失ったラメセスは、エジプト軍を引き連れて攻撃に出て、紅海の手前までヘブライ人達を追い詰める。
 しかしモーセが神に祈ると、神は火の柱でラメセスの軍の進攻を妨げ、その後紅海を二つに割り、エジプトを出たヘブライ人たちをその海の中にできた廻廊を歩かせて対岸まで逃れさせた。
 暫くして火の柱が消え、道が開けたエジプト軍がヘブライ人を追って、紅海の中にできた廻廊を進むと、モーセは再び神に祈りを捧げ、今度は廻廊が海に戻り、あっと言う間にそこは海の中となってラメセスの軍は彼だけを残して波間に消えていった。
 ラメセスはネフレテリのもとへ戻り、彼の神こそ真実の神だと語る。

 その後、モーセは四十日間シナイ山に籠り、やがて光が岩に人間が犯してはならない十の戒めを刻んでいって、そしてその十戒を神から授かった。
 一方その間にヘブライ人達は神に対する信仰を忘れ、金の子牛に対する偶像崇拝を始めて享楽に耽っていた。
 山を下りてその有り様を見たモーセは神の怒りを知れと、その十戒を刻んだ石板を金の子牛像に投げ入れると大地が割れて火が燃え盛り、罪深き人々はその割れた大地の間に落ちていった。

 神はかくして怒り、ヘブライ人に罰を与え、彼らを四十年に渡って荒野をさまよわせた。
 やがてヨルダン河のほとりのネボの山麓に辿り着いた。
 ここでモーセはヨシュアを後継者として杖と衣を与え、妻セファラに別れを告げてヨルダン河と約束の地カナンを目指す彼らを後にして、神の前に行くべくただ一人ネボの山を登っていった。
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