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『プリンセス・オブ・ペルシャ〜エステル勇戦記〜(2006)』 (原題:One Night with the King) 123分 (原題:One Night with the King) 123分 を見る 【スタッフ・キャスト】 監督:マイケル・O・サイベル 脚本:ステファン・ブリン 撮影:スティーブン・バーンスタイン 音楽:J・A・C・レッドフォード 出演者:ティファニー・デュポン ルーク・ゴス ジョン・ノーブル ジョン・リス=デイビス オマー・シャリフ ピーター・オトゥール 【解説】 聖書の中で女性の名が書名として用いられているのは『ルツ記』と『エステル記』のみで、その『エステル記』を題材にした映画です。 「諸書」の一つとして分類されており、ペルシャ王の后となったユダヤ人女性エステルの知恵と活躍を描くこの書は、彼女の信仰と勇気によって、ユダヤ人が救われたことを記録している作品です。 ユダヤでは、ハマンの悪企みからユダヤ人が救われてことを記念して、アダルの月の14-15日にブリムの祭りをするようになったという起源を明らかにする物語であり、割と忠実に描かれた映画です。 ペルシャの史料に存在の証拠が認められていないため、エステルは架空の人物であって、史実ではないという説もありますが、明確に否定される理由もないので、歴史的信憑性を疑う理由もなく、二千数百年もの間、それも女性の人権など全く認めなかった時代に語り継がれてきた事実こそが、有り得ない奇跡のような出来事であり、この歴史的な事実こそが語り継がれるべき何らかの事実があったことを物語っています。 この事件は、『エズラ記』での6章と7章の問に当る時代に相当すると考えられています。 宗教的に見ると、この物語はまた、神の「摂理の御手」を教えていると考えられます。 例えば、エステルが王妃になったこと(2:17)。 王の暗殺計画をモルデカイが聞き、エステルに伝え、それが王の年代記に記録として残されていたこと(2:21-23)。 エステルが王に願うのを1晩延ばしたこと(5:8)。 そして王が記録をしる、モルデカイに栄誉を与えようと考えたこと(6:3-8)など。 その中のどれか1つでも欠けていたならば、ユダヤ人虐殺計画は防げなかったと思われます。 こうした「神の救いの業」を、エステル記ほど鮮やかに描き出す書物も少ないという評価もあります。 エステルが、「たとえ(王に呼ばれないのに王のところ行くものは死刑という)法令に背いても、私は王のところへ参ります。このために死ななければならないのでしたら、死ぬ覚悟でおります」(4:16)と決意しますが、まさにゲッセマネの園でのイエス様の祈りと重なります。 こうしたエステルの「信仰」があって初めて、「神の御業」が実現したとも考えられます。 アブラハムがイサクをいけにえに捧げようとしたときもそうですが、時には、自分や家族の死を覚悟してでも神の召命に応えなければならない時があることをクリスチャンとして、覚悟しておくことが求めらえています。 ただ本作では描かれていませんが、その後ハマンの子10人が柱にかけられるなど復讐譚があり、現代の感覚では到底受けいれられる話ではありません。 日本でエステルの話をはじめ旧約の物語があまり知られていないのは、現代の感覚とあまりに違っている部分が多いせいかもしれません。 本作ではその点を考慮した作りになっており、賢明な判断だと思います。(By天国とんぼ) 【ストーリー】(ネタバレ注意) 紀元前586年、エルサレムはバビロンに滅ぼされユダヤ人の多くはバビロンに強制的に移住させられました(所謂「バビロンの捕囚」)。 その後、キュロス(クロス)王は紀元前539年に勅令を出し、ユダヤ人が故郷に帰ることを促しましたが、居心地がよく、自分たちの宗教を守る自由も与えられていたために、帰る人間は少なかったようです。 その後紀元前486〜465年名で統治したアハシュエロス(クセルクス)の時代、王は全国各州の美しい乙女を1人残らずスサの後宮に集めさせます。 スサは紀元前500年頃から大きなユダヤ人コミュニティーのある都市で、そこにベニヤミン族のモルデカイとハダサ(エステル)がいました。 エステルは両親がいないため、いとこにあたるモルデカイが義父となっていました。 エステルも目を付けられ、王宮によばれ、王が最も信頼を寄せていた後宮の宦官・ヘガイに認められ、王にも気に入られ、王妃となります。 王は「エステルの祝宴」を開きますが、2人の宦官が王を毒殺しようと共謀しているのをモルデカイが聞き、エステルに知らせ、王を救い、そのことが王の年代記に記載されます。 王は、ハマンを大臣にして重用していましたが、ハマンはユダ人を憎むアマレク人の王アガクの末裔であり、大臣である自分に対し跪いて敬礼するように言ってもしないモルデカイにに腹を立て、自分たちの祖先の敵であるユダヤ人全員の殺害を画策します。 ハマンは王に「ユダヤ人」への中傷を述べ、王の名による勅書を作成させ、くじで決めたユダヤ歴のアダルの月(太陽暦の2ー3月)の13日にユダヤ人を一斉に殺害する準備を進ませていきます。 これを聞いたモルデカイは、エステルを説得し、王と謁見したエステルはハマン同席の酒宴を確約させますが、勝手に謁見することは違法行為であり、死刑を覚悟しての行為でした。 ハマンは宴会の話を聞き、モルデカイをつるす柱を建てます。 王はモルデカイが王の暗殺を防いだ記録を読み恩義を感じていました。 そこでエステルは、自分がユダヤ人であることを王に告げ、将軍からハマンが恩人であるモルデカイをつるす柱を建てていると聞き、激怒します。 ハマンは、モルデカイ殺害用に建てたその柱で処刑され、ハマンの財産はエステルとモルデカイのものになりました。 モルデカイは宰相になり、勅令に押す指輪の印も任され、ユダヤ人の虐殺は食い止められたのでした。 | |||||
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