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『シーバの女王(原題:Queen of Sheba)(1952年)』 92分


シーバの女王(1952年)』 92分
(原題:Queen of Sheba)を見る



 製作:ORO FILM PRODACION  監督:PIETRO FRANGISGI
 音楽:ニノ・ロータ
 原作:PIETRO FRANGISGI
    GIORGIO GRANZIOSI
 脚本:PAUL de SARRO
    PIETRO FRANGISGI
    GIORGIO GRANZIOSI
    NINO NOVARESR
 編集:RICHARD HEINZ
    BERNARD LUBER
 製作:MARIO FRANCISCI

 出演:レオノーラ・ルフォ(バルキス女王)
    ジーノ・チェルヴィ(レハブアム王子)
    ジーノ・ロウリーニ(ソロモン王)
    マリナ・ベルティ(ザミーラ王女)


【解説】
 シーバの女王は、音楽のタイトルになるなど有名ですが、実態は分かっていません。
 紀元前1000頃に生まれ、在位はBC970-940年だと言われていますが、諸説有ります。
 どこの国の女王だったかについても、イェーメン説とエチオピア説の2つが有力とされていますが定かではありません。

 旧約聖書の【歴代誌下9章】にシェバの女王の来訪の記述があります。
 【列王記上10;1-12】にソロモン王と会うくだりの節があります。
 【マタイ12:42】、【ルカ11:31】にも記録されています。

 エチオピア正教では、エチオピアの女王「シバの女王」がソロモン王の知恵と王都エルサレムの繁栄を 見て驚いたと伝え、エチオピア帝国が13世紀に編纂した歴史書によれば、ソロモンとシバの女王の息子メネリク1世(在位BC10th)がエチオピアを建国したと書かれています。

 キリストが亡くなってからわずか4年後に生まれた帝政ローマ期の政治家及び著述家ティトゥス・フラウィウス・ヨセフスの書によれば、シバの女王ビルキスは現:南イエーメンにあったシバ王国(王都:マリブ)の女王で、旧約聖書「列王記上第10章などに、紀元前950年頃の設定で、第3代イスラエル王のソロモン王(BC1011-)(在位BC970-BC931)に会いにパレスチナのエルサレムを訪れたとして紹介されています。
 そこではシバ王国の統治者・支配者(在位970-940:諸説有)とされています。

 エルサレム訪問後、17年間もシバ王国を統治したと伝えられています。
 それは、シバの女王がソロモン王が優れた賢者と聞き、その真実を確かめて、その知恵を授かるために、遠方の南アラビア(現:南イェーメン)からソロモン王のいるエルサレムを訪れるため、大量の黄金、宝石、乳香、白檀などをラクダのキャラバン隊と船で運んで、献上し、知恵を授かって国へ帰ったと、旧約聖書などに記されています。
 シバの女王が実在の人物かどうかは現在も考古学での研究が続けられいますが、未だに謎の女王として物語や映画などの主人公になっています。

 本作では、バルキスことシーバの女王が、ソロモン王とではなく。その王子との話になっています。
 全くのフィクションではありますが、「自分を犠牲にすることが出来るのが本当の愛」と子供をめぐる裁判で言ったソロモンの言葉を、異教徒ながらバルキスは実践して見せたことで、山をも崩す奇跡が起き、そこには神の働きと許しがあってこそと、ソロモンだけでなく、シーバの神官たちからも認められるハッピーエンドとなっています。  ダビデの物語に比べ、ソロモン王の映画化は少ないので、3000年前の雰雰囲気を映像で見るのは、聖書を読む上でとても参考になると思います。(By天国とんぼ)

 
【ストーリー】(ネタバレ)
 紀元前1000年、ソロモン王の統治時代、神秘と謎に包まれた国が砂漠の向こうに現れ,死と破壊をもたらそうとしていた。
 エルサレム、レハブアム王子が婚約者への土産ではなく、父親の土産としてガドの捕虜を連れて帰城すると、町中の女が集まって、ある裁判を注視していた。
 二人の女が赤ん坊をめぐり、互いに自分の子と主張している注目の裁判だった。

 ソロモンは互いに譲らない双方の主張を聞くと、「公平に赤ん坊を真二つに切って分け与える」という判決を出す。
 命じられた王子が剣を引き抜くと、「相手の子で構わないから殺さないでお願い」とすがる女の方を真の母親と認めて、赤ん坊を渡すソロモン。
 自分を犠牲にするその心こそ母親の愛の証しであると、真の母親を見極めたのだ。

 公開の裁判を終え、傍聴人がいなくなると二人の捕虜の取り調べにかかるソロモン。
 捕虜はシーバへの通行証を持っていた。
 最初はとぼけていたが、ソロモンの挑発に乗り、シーバの同盟国の議会に参加するためだと白状してしまう捕虜を牢獄に送るソロモン。
 人殺し以外は、決して殺さないのがソロモンの信条だった(どこぞの国のリーダーに見習ってほしいもの)。

 シーバに何が起こっているのだろうかと広間で話すソロモン達。
 「エジプトやアッシリアもシーバ側だろうが、何のための同盟か」という問いに対して、「戦争の為では」という答えに、「戦争はいかん」というソロモン。
 「敵は富と財しかないが、我々は英知に富み、必要なのはしたたかさで、戦争をしないように仕向けよう」と言うソロモンだった。

 牢獄で、「戦争を考えているのは老齢のシーバ王ではなく、娘のバルキス王女だ」と捕虜たちが語っているのを、影で盗み聞くソロモン達。
 「バルキス王女はエジプトでもアッシリアでもバビロンでも美女だと噂の的で、美貌のバト・シェバ(ソロモンの母親で、ウリアの妻だった女性)より美しいと評判だ」と語る捕虜たち。
 王子がシーバの目論見を探るために捕虜たちを装ってシーバに行きたいとソロモンに提案する。

 そのためには同盟を組むティルスのザミーラ王女との結婚を延期する必要があったが、自分の命令と告げ、王女を説得する。
 イカサルとともにシーバに向かう王子は、途中の川で水浴びをしている美女(バルキス王女)を目撃する。<br>  大蛇が近づいているのを見て助ける二人だが、気位の高い美女は素直ではなかった。
 一目ぼれする王子は満更でもなさそうな美女と、ある待ち合わせ場所で会おうと約束するがすっぽかされてしまう。

 城に着いた王子とイカサルは、兵士を訓練してる場で、バルキス王女に求婚している指揮官のカバールと出会う。
 気合が足りない兵を矢で射殺すカバールを諫める王子。
 揉めている所に王女が登場する。

 王女は3つの的(馬上から3つの的を当てる競技)を3人で競い決着をつけようとと提案し、結果、王子が勝ってしまい、決着がつく。
 間もなく王が死去し、太陽神シャマシュを信仰するシーバの神殿でバルキスは女王となる。
 女王はシャマシュ神と結婚するので、これからは男と触れあってはならない決まりと聞き王子は動揺する。

 同盟会議でエルサレムとすぐ戦うことに反対する王子。
 ソロモンはティルスと同盟しているので危険と理由を告げるがいうことを聞かない女王。
 二人きりになり、明日帰ると女王に告げると役目をまだ果たしていないと言う女王。

 仲睦まじいイカサルと王女付のアティの様子を見ながら、女王にあのような日は来ないと説得し、動揺する女王。
 二人きりになりたいというイカサルにアティはオアシスへとつながる秘密の抜け道を教える。
 気持ちは変わらぬと告げる女王に、インチキ神官と偶像崇拝を信じるのかという王子に、それが国の秩序を守るのだと答える女王。

 自分を欺くなという王子に動揺するが、アッシリアの密偵が捕まる騒動が起きると女王の顔になり、密偵を助けてと頼む王子に毅然と断るのだった。
 アティとイカサルは酒場で王子を会うが、カバールに見張られていた。
 王女も変装してやって来る。
 王子を誘うが断られた女に、「彼はいつも一人、愛する女に愛されていない可哀想な男さ」と聞かされ、王子の気持ちが本物と知る女王。

 酒場の騒動にまぎれて逃げた王子は女王の部屋に行くが、そこにカバールがエルサレムから逃げてきた本物のガドの使者を連れてやって来て、ウソがばれてしまう。
 捕まえようとする兵たちたちと戦いなら辛うじて逃げた王子とイカサルはアティと共に、教えられた抜け道から逃げることに成功する。
 城内では、王女を中心に同盟会議が開かれており、神官たちは戦争を進言し、捕虜から王子がティルスの王女ザミーラと婚約し、同盟を結んだと聞くと、女王はただちに戦争することを決意する。

 エルサレム城内で、ソロモン王と王子が、シーバの兵は鍛えられており強く、それを率いる指揮官(バルキス)はライオンより怖いと話していた。
 そもそも捕虜が逃げたのは王様が甘いからだと責める王子に、それが真実かどうかは後にならなければならないというソロモン、。  そもそも戦争を仕掛けてくるのは女王が愛を裏切られたと思っているからだとソロモンは語る。
 やがて見たこともない程のシ-バの大群がエルサレムに到着する。

 包囲網を敷くべきだと言う神官たちの意見を退け、直ちに大軍で城に攻撃するよう命令する女王。
 戦争している間に眠るソロモンを見て、深刻ではないと安心する側近たちは、明日シーバの使者が来るだろうと予想していたソロモンの話をする。
 その通り、使者のカバールが、王子との決闘で決着をつけようと申し込んできた。

 しかし、戦いの場に現れたのは顔を隠した女王だった。
 王子に負け落馬し顔が見えてしまった女王を場内に入れる王子だが、カバールの矢で負傷してしまう。
 ソロモンは、考えがあると、負傷した王子に倍の睡眠薬を与えるよう医師に指示し、あとはザミーラと女王がどう納得するかだという話をする。

 女王の部屋にザミーラ王女がやって来て、「王子がいつか自分を愛してくれると信じて2年待ったが、帰ってきた彼を見て、無駄だと悟った。彼はあなたを愛してるし、あなたも彼を(憎むと同時に)愛している」と告げる王女。
 そこにやってきたソロモンは女王に「あなたは客人で、自由だ」と告げる。
 女王はソロモンに、シーバの使者を場内に入れるよう要請する。

 場内にシーバの使者としてやってきたカバールは、合図のドラを鳴らせば使者が入って来ますと女王に告げる。
 そして、神官の言うことを無視して一緒に逃げようと言うカザール。
 話は終わりだとばかり合図のドラを鳴らすとシーバの使者の神官たちが入ってくる。

 女王は皆に「最初から話し合うべきだった」と話し始める。
 「王子を潜り込ませるより良い案だった。賢いソロモンすらも予想外のことが起こった。愛である。王子の愛は最初計略だと思ったが本物の愛だった。自分はどうするべきだろう。私は民の前に立って良いのか。答えよ」と神官に問い、答えがないと、「言わなくても答えは分かっている。沈黙の谷へ行き、生涯を過ごす」と言って、沈黙の谷へと向かう。
 眠っていた王子を起こし、「女王が沈黙の谷に向かい、カバールが追っているので追って」と告げるザミ−ラ王女に感謝する王子だった。

 沈黙の谷で待ち伏せ、女王の乗る馬を矢で射て、女王を落馬させるカバール。
 そこに王子がやって来てカバールと対決する。
 カザールが崖から転げ落ちたすきに、女王を馬に乗せて逃げるが、崖が崩れ落ちでカザールは死ぬ。

 広間で、神官たちにソロモンは「偶像を崇拝する者はいずれ山が語ると予知していた。偶像との婚姻は山が沈黙する間のみ有効である。我々がこうして集うときは、闇の終わりを意味する。ついに光が差した。永遠に続く栄光の光だ」と語っている。
 そこへ山から辛うじて助かった王子と女王が広間に入ってくる。
 神を愛し、自分の愛を捨てる覚悟を見せた女王に、「我らが女王」と改めて認めるシ-バの神官たちの前で、シャマシュ神の掟に逆らい、堂々と口づけをする二人だった。

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