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『邪悪の王妃(1953)』75分 (原題:Sins of Jezebe) (原題:Sins of Jezebe)を見る 【スタッフ・キャスト】 監督:レジナルド・ル・ボーグ 製作:シグムンド・ニューフェルド 脚本:リチャード・ランドー 撮影:ギルバート・ウォレントン 音楽:バート・シェフター 出演:ポーレット・ゴダード(イゼベル) ジョージ・ネイダー(イエフ) ジョン・ホイト(エリア) エドュアルド・フランツ(アハブ王) 【解説】 新約聖書で、イエスが山上で変貌した際に、律法を代表するモーゼと共に現れた預言者を代表して現れた(マタイ17:3)エリアですが、そのエリアと、イスラエル王のアハブをたぶらかし、偶像崇拝のバアルの神の神殿を作り、律法を捨てさせようとする王妃となったシドン人の王の娘のイザベルとの戦いを描いたのが本作の『邪教の王妃』です。 旧約聖書の中でも最も邪悪な王妃として描かれ、名高いイゼベルの物語です。 イゼベルはバアルの女祭司長でした。 バアルはパレスチナやシリア地方で礼拝されていた男性神で、土地や家畜の生産力を支配する神でした。 神々の主神として農耕民の間で崇拝されていましたが、イスラエル民族がカナンに定着し、農耕生活に移行していくにつれ、勢いを増していきました。 紀元前9世紀ころイスラエル王国は、北のイスラエル王国(10部族)と南のユダ王国(2部族)に二分されていました。 物語は、アハブ(在位BC869-850年)が治める北イスラエル王国の都イズレエルを舞台にしています。 なお、ほとんど聖書の記述通りに話は展開しますが、イゼベルの死に関する本作の描写は、聖書に忠実ではありません。 聖書では、イエフの呼びかけに応じだ3人の宦官がイゼベルを窓から投げ捨てたことになっています。(列王第二9;30-37) また、エリヤがエリシャを後継者としたのは聖書の記述通りですが、イエフに油注ぎをしたのはエリアではなく、エリシャの使いの者ですし、その時アハブ王はすでに亡くなっており、子のアハズヤの時代のことでした。(列王第二9;01-13) 紀元前9世紀という時代や、北イスラエル王国を舞台にした映画は珍しく、一見の価値があると思います。(By天国とんぼ) 【ストーリー】(ネタバレ注意) 旧約聖書は、創世記1:1から始まる。 天と地の創造をしたのち、アダムとイブを創造した神は、二人に神の掟を告げるが、二人は蛇の誘惑に負け、神の掟には従わず、善悪の知識の実を食べてしまう。 善と悪の知識から言葉と行動が生まれ、言葉と行動で歴史が形成されてきた。 善と悪を統制するため、神はモーセに新しい戒律を与えた。 それが「十戒」である。 神の律法(戒律)の第1の掟は、「神以外を崇拝してはならない」であり、第2の掟は「偶像を作って崇拝してはならない」であったが、戒律に背き、主を滅ぼそうとする者がいた。 邪教の神バアルの神の信奉者たちもそうであった。 アハブが治める北のイスラエル王国(10部族)の都イズレエルは、再び悪の染まろうとしていた。 その背後に一人の女性がいた。 イゼベルその人であった。 北イスラエルの王であるアハブが、神の預言者エリアの進言に耳を傾けず、シドン人(首都がツロ)の王であり、祭司であったエトバアルの娘イゼベルを妻に迎えようしていた。 イゼベルは異教の神バアルの女祭司長でもあった。 アハブは戦車隊の隊長のイエフにイゼベルへの伝言を頼む。 イエスが気に入ったイゼベルはイエフの馬車に乗ってイズレエルに到着する。 イゼベルにあったアハブ王は忽ち、その魅力に骨抜きにされてしまう。 そして、エリアが案じた通り、意志薄弱なアハブはイザベルの魅力に負け、促されるままにバアルの神殿を建ててしまう。(列王第一16:30ー33) エリヤを通して与えられる神からの再三の警告にもアハブは従おうとしなかった。 やがてエリアの預言通りに、3年半に及ぶ干ばつで、飢えや渇きでイスラエルの民が苦しんでいた。 それにも関わらず、アハブは神に立ち返ろうとはしなかった。 イスラエルの民は、神殿を壊せと騒ぐが、軍隊を味方にするものが国を支配するのだと、イゼベルは意に介しなかった。 バアルの祭司450人がバアルに祈りを捧げても何の変化も起きなかった。 しかし、エリアが神に祈ったところ、忽ち祈りは聞き届けられ、"奇跡"が起きた。 バアルよりも神の方が力があり崇拝にするに値するお方だという決定的な証拠となる出来事となった。(列王第一18:18ー40) アハブはエリアに従っていればと後悔するが、イゼベルは怒りに震える。 イゼベルにそそのかされ、アハブはエリアをはじめとする神の預言者たちを一日に一人ずつ殺していく命令を出してしまう。 イエフは婚約者であるナポト大臣の娘デボラに非難され、預言者たちを逃がす。 イゼベルに反抗し、預言者たちを逃がしたとして主に忠実であったナボト大臣が偽りの罪で訴えられ、石打ちに処され、彼のブドウ畑を奪った。(列王第一21:5ー14) 自分が留守の間に、婚約者の父を殺されたイエフは、デボラを探しに、洞窟に向かう。 やがて、バアルを崇拝することを拒否して、都を離れた者たちが集まり、軍隊となっていき、イゼベル王国を急襲した。 戦う者は他にもいた。 エリアは、アハブに、アハブ家のすべての男子を滅ぼし、犬がナポトの血をなめたように、あなたの血も舐めるだろうし、イゼベルは犬に食われるという神からの預言を伝えた。(列王第一21:21-24) アハブはアラム(シリア)との戦いで傷を負い、戦車で宮殿に戻る途中、ナポトが息絶えた場所で息を引き取り、犬が彼の血をなめ、預言は実現した。(列王第一22:29-37) エリアに任務が残っていて、「イエフを私の名においてイスラエルの王にするように」という神の預言に従い、イエフに油注いだ。 任務を終えると、エリシャを後継者に指名し、去っていった。 宮殿に入ったイエフはイゼベルの誘惑を退けると、イゼベルはバルコニーに向かうと下からの矢が当たり息絶える。 部下に今も王の娘なので葬ってやれと命じると、部下は窓から下へ投げ捨て、死体めがけて民衆は石を投げ、遺体は馬車に魅かれ、無残なものとなった。 この後、イスラエル王国の王となりバアル崇拝を一掃したのが、イエフであった。(列王第二10:18-27) | |||||
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