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『暴君ネロ(原題:THE SIGN OF CROSS)』1932年 118分 (原題:THE SIGN OF CROSS) 『暴君ネロ(1932)』118分 (原題:THE SIGN OF CROSS) 【スタッフ・キャスト】 製作国:アメリカ 監督:セシル・B・デミル 脚本:ウォルデマー・ヤング、シドニー・バックマン 原作戯曲:ウィルスン・バーレット 撮影:カール・ストラッス 出演者:フレドリック・マーチ(Marcus_Superbus) エリッサ・ランディ(Mercia) クローデット・コルベール(Poppaea) チャールズ・ロートン(Nero) アイアン・キース(Tigellinus) ヴィヴィアン・トビン(Dacia) ハリー・ベレスフォード(Faviu) フェルディナンド・ゴットシャルク(Glabrio) アーサー・ホール(Tittus) ジョイゼル・ジョイナー(Ancaria) トミー・コンロン(Stephanus) ナット・ペンドルトン(Strabo) クラレンス・バートン(Servillius) ウィリアム・V・モング(Licinius) Harold Healy(Tibul) リチャード・アレクサンダー(Viturius) Robert Manning(Philodemus) ジョー・ボノーモ(The_Mute_Giant) 【解説】 デミル監督の”聖書三部作”「十誡」(1923)、「キング・オブ・キングス」(1927)に続く第三弾。 原作戯曲「十字架の徴」(1895)は同年の小説「クォ・ヴァディス」の非公式の改作とされ主人公はネロではありません。 主演はフレデリック・マーチで、助演には『情婦』の名優チャールズ・ロートンがネロを、後に『或る夜の出来事』(1934)でヒロインを演じるクローデット・コルベールがネロの愛人役で出ています。 邦題は『暴君ネロ』ですが、主人公は『クォ・ヴァディス』同様にマーカス将軍です。 本作の原題は、「十字架の徴(THE SIGN OF CROSS)」ですし、内容的にも、原題そのままの方がよかったと思います。 邦題と内容が違い、タイトル詐欺と言われることが宗教映画あるあると言っていいと思います。 映画宣伝部から宗教映画は当たらないとよほど思われていたのか、宗教っぽい題名は避け、有名な人物名や出来事と絡めたり、女王≠ニかプリンセス≠ニいった言葉を使って、大衆の興味を引こうという意図が当時はかなりありましたし、今でも時々あります。 ラストシーンの闘技場でのキリスト教徒の迫害シーンではライオン、象、ワニ、ゴリラといった動物が出て来て人間に襲い掛かるシーンは、CGではないので余計にショッキングですし、どのように撮影したのかメイキングが見たいと思いました。 当時は映画における演出上の縛りがないに等しい状況で、きわどいシーンがあったり、過激な言葉が出て来て、1934年にヘイズコードが導入され、表現がかなり自主規制されていく歴史を知っている人間としては、映画の歴史の過渡的状況を見ることが出来て、本作を興味深く拝見しました。 ネロはキリスト教の信徒というだけで多数処刑した最初の皇帝でしたし、火葬で肉体を損なうと天国へ行けないと考えるキリスト教徒を火刑に処した上、ネロの治世にキリスト教の聖人パウロが殉教した伝説があるため、暴君ネロとして、反キリストの代名詞となりました。 しかし、ロ―マでのキリスト教徒の迫害は彼だけではなく、313年にコンスタンティヌス帝のミラノ勅令でキリスト教が公認されるまで続きました。 ちなみにローマ大火はネロ自ら火を放ったというのは俗説で、ローマ大火が起こった際にネロはアンツィオの別邸にいたようです。 またパウロがローマの大火の際に十字架にかけられたというのも俗説で、パウロの殉教について語られた最古の資料は、2世紀末頃書かれた『パウロ行伝』(新約聖書外典の一つで非公認文書)になりますが、それにはネロ帝がパウロの斬首を決定したと書かれています。 パウロはローマ市民権保持者でしたので、奴隷や重犯罪者などに行う磔刑ではなく、裁判を経て斬首で処刑されたと考えられています。 ただ死亡時期は資料によっては60年から68年と様々で確定していません。 ただローマ教皇庁では、64年から68年の間にオスティア街道沿いで斬首されたという説を採用しているとのことです。(By天国とんぼ) 【ストーリー】(ネタバレ注意) 西暦紀元60年代のローマは、母殺しの大罪をさえ犯し悪逆無道の皇帝として知られるネロの治世であった。 ネロは詩人気取りの自称=u大芸術家」で、キリスト教信者を蛇蝎の如く憎んでいた。 64年ローマの街は大火に焼かれた。 世上それはネロの命令によって焼かれたのだと噂されたが、事実ネロは燃ゆるローマを眺めて堅琴を弾じて詩を吟じていた。 ネロはローマを焼いたのはキリスト教徒であると言って、彼らを殺害する口実とした。 かくてタイタス、フェヴィアス等有力なキリスト教徒はことごとく捕えられた。 美しい乙女マーシアは熱心な信者だったので、彼らを助け出そうと試みた。 ローマの将軍で、ローマの子女に崇拝されている美丈夫マーカスは、彼女の美に打たれ、その心を得んものと一旦捕らえた信者たちの縛を解いてやる。 それを知ったネロの寵姫ポッペアは、彼女自身マーカスにご執心だったので嫉妬の炎に胸をやき、マーシアにマーカスが会いに行った隙を狙って、教徒の一人を拉致して拷問にかけ、教徒等の集会所を白状させた。 マーカスはことの次第を耳にして、急ぎ戦車を駆って赴く途中、来合わせたポッペアのかごと正面衝突してしまった。 ポッペアは怒って、マーカスはキリスト教徒の味方をするのかと詰問した。 そこでマーカスは自らの部下の進言もあったので、心ならずも信徒等を全部捕らえたが、心を完全にマーシアに奪われたと知ったポッペアは、狂へる夜叉の如くなってネロ皇帝にざん言した。 その夜マーカスは酒宴を催し、マーシアに近づいて愛を打明け、愛のため、彼女の生命のため、ネロの怒りを解くため、信仰を棄ててくれと頼んだ。 マーシアの心を聞く間もなく、彼女はネロの命によって土牢に閉じ込められた。 マーカスはなおも土牢に彼女を訪ねて、信仰を棄てて自分の妻になってくれと懇願した。 マーシアもマーカスのことを愛さないではなかった。 神の愛に生くるか、神を棄てて異教徒と結婚するか、彼女も悩んだ。 その翌日はキリスト教徒等が、闘技場に於いて、飢えたる獅子の餌食となる日であった。 しかし、マーカスも彼女の信仰の強さを知り、初めて信仰の尊さを知った。 マーシアを愛するには異教徒たる自分には資格がないことを悟り、肉体を失っても霊魂の救われることに満足するキリスト教徒の偉大な信仰の力に感動して、彼自らも先ず神に身を捧ぐべきであると知った。 マーカスはマーシアの手をとって、犠牲となるべく祭壇に向かって力強く歩み進んだ。 | |||||
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