八木重吉詩集(旺文社刊)より


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 題 名 

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1.

八木重吉

1997.01.23

2.マグダラのマリア

八木重吉

1997.02.05

3.天<天というもの>

八木重吉

1997.02.05

4.剣をもつ 者

八木重吉

1997.02.05

5.

八木重吉

1997.02.05

6.太陽

八木重吉

1997.02.05

7.聖書

八木重吉

1997.02.05





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八木重吉詩集(旺文社刊)より「願」



私は

基督の奇跡をみんな詩にうたいたい

マグダラのマリアが

貴い油を彼の足にぬったことをうたいたい

基督の一生を力一杯詩にうたいたい

そして

私の詩がいけないとけなされても

一人でも多く基督について考える人が出来たら

私のよろこびはどんなだろう

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八木重吉詩集(旺文社刊)より「剣を持つ 者」



つるぎを もつものが いる

とつぜん わたしは わたしのまわりに

そのものを するどく 感ずる



つるぎは しずかである

つるぎを もつ人は しずかである

すべては ほのおのごとく しずかである

やるか!?

なんどき 斬りこんでくるのかわからぬのだ

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八木重吉詩集(旺文社刊)より「天<天というもの>」



天というのは

あたまのうえの

みえる あれだ

神さまが

おいでなさるなら あすこだ

ほかにはいない

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八木重吉詩集(旺文社刊)より「マグダラのマリア」



マリアはひざまずいて

私ほど悪い女はないとおもった

キリストと呼ばれる人のまえへきたとき

死体のように身体をなげだした

すると不思議にも

まったく新しいよろこびがマリアをおののかせた

マリアはたちまた長い髪をほどき

尊い香料の瓶の口をくだいて髪をひたし

キリストの足を心を込めてぬぐうた

香料にはマリアの涙があたたかく混じった

マリアは自分の罪がみな輝いてくるのをうっとりと感じていた

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八木重吉詩集(旺文社刊)より「詩」



万葉の調律も必要でない

芭蕉の調律も必要でない

私自らに必要なものだけが尊い

私はどんな風にうたってもかまわない

ただ私の道は一つの外に無い

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八木重吉詩集(旺文社刊)より「太陽」



あなたは総べてのものへはいりこむ

炭にはいっていて赤くあつくなる

草にはいっていて白い花になる

恋人にはいっていて瞳のひかりとなる

あなたが神の重い使いであることは疑えない

あなたは人間の血のようなものである

地の中の水に似ている

不思議といえば不思議である

有難いといえば実に有難い

あなたより力づよいものがあるだろうか

あなたが亡ぶる日があろうか

そして別のあたらしい太陽がかがやく日があろうか

あると基督はおしえられた

ゆえにその日はあると信ぜられる

しかしその日まであなたは此の世の光りである

見える光りは見えぬ光りへ息吹を通わせている

あなたの高い気持ちにうたれた日はしあわせな日である

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八木重吉詩集(旺文社刊)より「聖書」



この聖書<よいほん>のことばを

うちがわからみいりたいものだ

ひとつひとつのことばを

わたしのからだの手や足や

鼻や耳やそして眼のようにかんじたいものだ

ことばのうちがわへはいりこみたい

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