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「田園」


草渡る日射しの波濤
遥かなる田園を打つ
涼風のストライプ
どこまでもどこまでも
君に向かって広がっていく
君を育んでくれたこの大地を
愛することもできずに
遠くの君を愛せるだろうか

4月に2人で腰を下ろした畦も
今は7月の水に濡らされて
光の中に横たわっている
あの頃はまだ
田園は眠りの中で
僕たちをつつむ柔らかな風が
去年の豊かな実りを懐かしむように
君の横顔に髪を揺らし
ワクワクする温もりの中で
何も知らないままに満ち足りていた

田園に
君の香りの
キララキラ

怒るだろうな
こんな田んぼの匂いじゃないって
怒った顔でもいいから
きっと元気に
戻っておいでよ
陽光があふれすぎて
くすんだ緑の群
午後の7時を過ぎて
ようやくときめく薄暮のささやき
君の大好きなこの大地を
愛し続けるよ
遠くの君を愛するために

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