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ホムンクルスW-0





コン、コン

愛してるよ

コン、コン

愛してるわ



あなたとわたしの

秘密の言葉

ガラスを叩く

あなたの温もり



あなたは時々

ノートに言葉を書いて

広げて見せてくれる

とっても素敵な言葉が綴られている



だけどわたしは

読めない振りをするの

そんな言葉より

コン、コンがいいから



あなたの優しさが

わたしの水に伝わり

波動は少し遅れて

わたしの全身を震わせる



あなたとコン、コンを

ガラス越しに交わし合う度に

あなたは何かの数字を

書き留めている



あなたにとってそれが

どういうものかわかってるけど

わたしにとってそれは

二人の交換日記



ある日あなたが

膝を抱えてうつむいていた

わたしはガラスを叩くの

コン、コン、コン



わたしが元気のない時に

あなたはいつもこうして

コン、コン、コンって

励ましてくれる



コン、コン、コン

コン、コン、コン

あなたはうつむいたまま

どうして気付いてくれないの



コン、コン

コン、コン、コン

コン、コン

コン、コン、コン



わたしにとって

この世界の中で

たったひとつの音が

響きわたる



やがてあなたは

ゆっくりと立ち上がって

少しだけ微笑んでわたしを覗き込む

そして数字を書き込むの



数字の最後に

大きなクエスチョンマーク

それからあなたは

もう一度微笑みをくれた



クエスチョンマークと

あなたの微笑み

クエスチョンマークと

あなたの微笑み



コン、コン

コン、コン、コン

コン、コン

コン、コン、コン




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