十人のくろんぼの子供

a
十人よ、くろんぼの子供が十人よ。
おひるによばれてゆきました。
ひとりがのどくびつまらした。
そこで、九人になりました。

b
九人よ、くろんぼの子供が九人よ。
どの子もどの子もあさねぼうで、
ひとりがとうとうねすごした。
そこで、八人になりました。

c
八人よ、くろんぼの子供が八人よ。
いっしょにデボン*を旅してて、
ひとりがとちゅうでとどまった。
そこで、七人になりました。

d
七人よ、くろんぼの子供が七人よ。
木ぎれきりにとみないって、
ひとりがまふたつに腹きった。
そこで、六人になりました。

e
六人よ、くろんぼの子供が六人よ。
はちの巣いじって、かまってて、
ひとりがくまんばちにさァされた。
そこで、五人になりました。

f
五人よ、くろんぼの子供が五人よ。
けんかしてお訴訟をおォこした、
ひとりが裁判所へゆきました。
そこで、四人になりました。

g
四人よ、くろんぼの子供が四人よ。
みんなで海へとでかけたら、
赤いにしんにひとりがのォまれた。
そこで、三人になりました。

h
三人よ、くろんぼの子供が三人よ。
こんどは動物園へいったれば、
くまめがひとりをひん抱《だ》いた。
そこで、ふたりになりました。

i
ふゥたりよ、くろんぼの子供がふゥたりよ。
かんかん日だまりィすわりこみ、
ひとりがちぢれてやけしんだ。
そこで、ひとりになりました。

j
ひィとりよ、くろんぼの子供がひィとりよ。
いよいよ、たったひィとりよ、
その子がお嫁とりにでていった。
そこで、だァれもなくなった。