あなたに会うために…
『獣王操牙弾(ゼラス・ブリッド)!』
 嫌味も込めてその呪文を放ち、最後のレッサー・デーモンを倒したあたしは、虚空に向かって声をかける。
「今度はあたしを何のおとりに使う気なの?」
 しかし、何の反応もない。
「まさか、気付いてないとでも思ってるのかしら、ゼロス?」
 名前を呼ばれて、やっとそれは姿を見せる。
「いやあ、気付いてましたか。さすがはリナさん」
 そう言って拍手をする。
「んなもん、ほめられても嬉しくないわよっ。
 そ・れ・よ・り・も! あたしの質問に答えなさいっ!」
 ゼロスへと詰め寄っていく。
「あ、やっぱり気付きます? う〜ん。僕もまだまだですねぇ…もっと精進しないと」
「気付くわよ。何度同じことされてると思ってるの?
 精進する前にあたしを巻き込むのをやめてくんない?」
(もっとも、そしたらもうゼロスとは会えなくなるけど…)
「でも、リナさんってぴったりなんですよ?
 その判断力と図太い根性。そして性格の全てが、ね」
 それに…そうでもしないとあなたに会えませんからね…
 そんな言葉を飲み込む。
(そりゃ…人格も認められずに餌扱いされるよりはましだけど……でもこいつにしてみたらほめてるんだろーなー…)
 沈黙するあたしに気付いてか、
「それに、危険になったらちゃんと助けてあげてるじゃないですか」
と付け足す。
(だから…余計な期待しちゃうのよね…)
 そして、小さくため息を吐く。
 その様子を見て、ゼロスは、
「あ〜っ、信じてないんですねぇ〜?」
と言っていじけはじめる。
「どーせ、あんたに都合がいいからでしょ」
その言葉に、
「僕ではなく、僕の上司様に、です」
とつっこみを入れる。
「…やっぱりそうなんじゃない…」
 そう呟くあたしに、ゼロスは、しまった、というような顔をする。
「で、とりあえず内容はいつものように秘密ということで…
 僕の為に踊ってくれる気はありませんか?」
 話をそらそうとしているのはみえみえだけど…
「どうせもう後戻りできないんでしょ。いっくらでも踊ってあげるわよ!」
 ヤケな口調は精一杯の見栄。

 本当に利用しているものは、あなたといることのできる、この状況。


やー、終わった終わった。
とゆーわけで、ゼロスはリナに会うためにリナをおとりにし、リナはゼロスといるためにそれを受ける。そんなお話でした。
話にうまく収拾がつかなくなりましたけど……
ゼロス側の気持ち、ほとんど書けなかったわ……ゼロスの言葉は半分真実で半分は本音隠してるんで
さて、と…いろいろ溜まってるので、さくさくと次いってみましょうかぁ!