神と人の狭間で揺れ動く心
「リナさんのお姉さんですか?」
 とある3人連れが私を訪ねてきた。
 ここは『リアランサー』。私のバイト先である。
「そうよ」
 一言、簡潔に答える。
「大事な…言いにくい話があります。
 実は………」
 言葉に、なにか予感を覚えて、私は提案した。
「ここじゃあ、まずいわね…私の家へいきましょう」
と。

「ごめんね、スポット。悪いけど今日は相手をしている暇はないの」
 話しかける。
「………ディルギア……?! おまえ……………」
「…………ゼルガディス………………」
 顔見知りだったのだろうか。
 と、突如その男は笑い出した。それは盛大に。
「…ディルギア…っ…何やって……っ、くはははは……」
「ゼルガディス…てめぇ…」
 怒気をはらんだ声でスポットが言い返す。
 そして私は先に忠告をする。
「いさかいを起こしたらおしおきよ」
「すんません、あねさん」
 そのたった一言でスポットはおとなしくなる。
 その様子を見て、くすりと笑う男。
「なにがおかしいっ!」
 さっきも注意したというのにいきりたつスポット。
「いや…リナとオレ達に似ているな…と思って。
 悪気はなかったんだ。すまん」
 その男は素直に謝った。
 それに拍子抜けしたのか、スポットはもう何も言わなかった。
「いい加減いいかしら?
 重要な話があるんでしょう?」
 頃合いを見計らって問いかける。
「ああ、悪かった。ちょっと驚いて…」
 そして、3人を家の中に案内した。

「父さんも母さんも表で商売してるから…。
 安心していいわ。話してくれる?
 あ、その前にあなたたちは?」
 十分信頼できることは私の直感が告げている。こういうことに関しては私の直感は当たるのだ。
 しかし、相手がどういう人物かは知っておくにこしたことはない。
「あたしの名はアメリア=ウィル=テスラ=セイルーン。セイルーンの王女をしています。
 リナさんと一緒に旅をしていました」
 3人の中で唯一の女性、そしてさっきから主にしゃべっていた娘(こ)だ。
「ゼルガディス=グレイワーズ。同じくリナと一緒に旅をしていた」
 さっきスポットと何やら言っていた男だった。多分、合成生物(キメラ)なのだろう。
「ガウリイ=ガブリエフだ。
 一応、リナの保護者のつもりでいたんだが…」
 そういって言葉をにごす。
 守りきれなかったくやしさか。
 この場にリナがいないということは、間違いなく何かあったという事なのだろうから。
「私はルナ=インバース。あの妹(こ)の姉よ。
 知っているとは思うけど、一応、ね」
「話、ですが…とりあえず結果だけを簡潔に話します。
 説明は後でしますから…」
 アメリア、と名乗った女性が代表して話す。
「実は、リナさんが………………………………………赤眼の魔王(ルビーアイ)シャブラニグドゥの1/7として目覚めました」
「そう…」
「そうって…それだけか!? 妹なんだろう!?」
 ゼルガディスが声を荒げる。
「私は…知っていたから。リナの…あのこの中にシャブラニグドゥの欠片が眠っていることを」
「知ってた?! 巫女のあたしでさえ気付かなかったことを…?!」
「一体何者だ?!」
 驚くのも無理はないだろう。普通ならばわからないことだ。
 それにしても…
「あの妹(こ)は、私のことを何も言ってなかったの?」
「あいつ、姉さんのことおびえてたぞ。全然話そうともしなかった」
 ほとんどしゃべっていない、自称リナの保護者だと言ったガウリイが答える。
「そうね。あの妹(こ)にかなう、めったにいない人のうちの1人だし。
 おびえるのも無理はないわね。
 私が知っていたのは、私の中のチカラと記憶のおかげよ。
 最も相反するチカラ同士なんだから…」
 それを聞き、はっとしたように呟く3人。
『スィーフィード…ナイト…!!』
 そして3人は、ぽつりぽつりと事情を話し始めた。
 いろいろなことに巻き込まれたこと、それで起こった魔族との戦い。
 そして…妹が魔族を愛したこと、その魔族によりシャブラニグドゥが目覚めさせられたことなど、全て………

 3人が帰った後、私はしばし悩んでいた。
 あのままずっと私のもとで暮らさせるべきだったのか…
 世界を見てこいと言ったのは私自身だ。
 それによっていろんなことを知ってもらいたかった。
 あの妹(こ)の中にあるシャブラニグドゥの欠片が目覚めないために。
 そして何よりあの妹(こ)のために。
 私はそれが一番だと思っていた……
 けれど、それは違ったのだろうか。あの妹(こ)はシャブラニグドゥとして目覚めた。
 リナは魔族にたぶらかされるような妹(こ)ではない。きっと本気だったのだろう。
 『赤竜の騎士(スィーフィード・ナイト)』として生まれた自分には無理だから、その分幸せな結婚をして欲しかった。
 私に相談して欲しかったのに……
――けれど時は戻らない。
 全ては失われ、過去とも決別の時が来るだろう――

 そして数年後、1人の魔族が私を殺しに来た。
「ルビーアイ様の命令で」
 彼はそう言った。
 なぜか、直感でわかった。妹が愛した魔族だと。
「どちらの、かしら?」
 2人のシャブラニグドゥのうちのどちらからの命令なのか、そう言うことが聞きたかった。
「両方です。特に、おひとかたはあなたの恐ろしさをよく知っておられますし。
 もっとも、そのせいかこの計画に乗り気だったのはもうひとかたの方ですが」
 それは、目覚めたシャブラニグドゥの中に少しでもリナである意識が残っているということだろうか?
「いい加減おしゃべりはやめにしませんか?」
「そうね。殺し合う者同士が話してるなんて滑稽だわ」
 赤竜の剣を抜き、身構える。
――いつかこうして妹とも対峙することがあるのだろうか――
 勝負は一瞬だった。強さがある程度のレベルになると、一瞬で大きく変わる。
 私の剣は彼(か)の魔族をしっかりととらえていた。
 その時、彼は笑っていた。いや、彼は常に笑っていたが…。
 そうではなく、心から安堵したような、ほっとした笑み。
 裁かれるのを待っていたとでもいうのだろうか。
――この魔族も…妹を愛していたとでもいうのだろうか――
「…自分で志願したとはいえ…やはり僕には赤竜の騎士(スィーフィード・ナイト)の暗殺なんて荷が重すぎますね……」
 そして消滅する。
――この世で一番正しいのはいったい何なのか…
 それは永遠に解けない謎――


 …なんか題名と内容関係ないような…(^_^;)
 いや…もともと、仮の題名だったんですけどね… 結局このままにしちゃいました
 最初はゼロス様殺すつもりなんかなくて、混沌へと向かう道のまんま魔族にはしってほしかったんだけど…あるシーンを想定してたらこうなっていきました
 ちなみに、あるシーンってのはいつかリナとルナとも対峙するのだろうか ってところです っていうか、最初に浮かんだのがそれで、それが書きたかったのでこの話が出来た(笑)
 あ、ちなみに最後ゼロリナっぽくなったけど…いちおう、ゼロス様はずっと気付いてません リナが好きかどうかは
 なんか、もやもやした感情があってなんとなくやりきれない みたいな心境(のつもり) あ…なんかうまく言えない…
 まぁ、それがゼロリナだ と言われればゼロリナなのかもしれないけど… もともとゼロリナ派だからなぁ…俺… 勝手にキャラがそう暴走したかな?
 あと、赤竜の剣は、なんとなくスィーフィードナイトが持ってるような気がしたので…そうさせたのですが(笑)
 ちなみに、ここらへんの魔族サイドの話は混沌へと向かう道の2以降のどこかで出てくる予定です(あくまでも予定は未定ですが…)
 今は、それより相反する想いのために を書かなきゃ…
 …何ヶ月ほってあるんだろう…一ヶ月近く…?(爆)
 こっちのシリーズを待ってる人も……いないかな(笑)
 とにかく、自分なりのけじめですのできっちり書きます
 ちなみに相反する想いのために は混沌へと向かう道と違って、4月の織姫、4月の彦星の数年後の話です。
 性格は変わってないはずですが状況は変わっておりますので…(笑)
 とにかくなんとかして続きを書かなければ… 途中は見えてるのにそこまでが見えてなくて……ちょっと書き出し苦労してます(^_^;)
 まぁ、がんばってみま〜すっ!
 とりあえず、ここまで読んで下さりありがとうございましたっ!
 と、言っても、こっちのシリーズでもこれで終わりじゃないので、魔違えないで下さいね〜
 ではでは〜