魔法珠 〜Magic・Soul〜 5
  5.
(殺気!?
 でも…まだつけられてるだけだ。
 そのうち襲ってくるだろうけど…)
「サラズィアさん」
 こっそりと声を掛けられる。
「多分15,6人ぐらいです。
 どこか広い場所に誘い出しましょう」
 仕方なくあたし達は進路を変更し、近くの広場に出る。
「なるほどな。気付いてた訳だ。そちらさんもなかなかやるねぇ。
 まあいい。バレてるならバレてるでさっとと殺っちまうからな。
 行くぞ!」
 どうやら傭兵の類のようだ。魔法師はいない。なら…。
「キアルス、あんたの闇魔法でぶっとばしてやれば?
 あたしは光魔法しか使えないし」
「いえ、私の闇魔法は強力すぎます。
 大丈夫ですよ。雇われてる人達なら少し強力な魔法を使えば逃げていってくれるでしょう。
 というわけで、サラズィアさんが使って下さい。
 私のは…下手をすれば本当に殺してしまうんです……」
(そう、私は闇精霊だから…。
 闇魔法の力は何十倍にも膨れ上がる。ふとしたことで…人間を殺めてしまうから……)
「ごめん。また余計なこと言ったみたいだな。
 んじゃ、強力なの一発いくからちゃんと身構えとけよ」
 もちろん喋っている間に敵が止まっているわけもないのだが、ここは十分に広く、会話はまだ聞こえてないだろう。
 おっと、そう考える間にまた時間が過ぎちまった。
――焔よ、光の命にて…
「待って下さい」
「キアルス?!」
「今のサラズィアさんはその身の内に焔の魔法珠を封じてあります。威力が強い魔法を普通の人間に使っては…」
「わかった。
 ! キアルス、後ろ!」
 キアルスはそちらを向くと ひょい とそれを避ける。
――雷よ、光の命にて、我が眼前の敵に神の裁きよ降り注げ――
 《雷閃雨》
 雷が降り注ぐ。側に落ちた雷は土に穴をあける。それでも電流は弱いものに抑えた。まず死ぬことはないだろう。
 見た目のハデさに騙されて傭兵達は蜘蛛の子を散らす様に逃げていった。
「でもなんであたしなんかが狙われて…」
「サラズィアさんは魔法珠のもう一つの伝説を知っていますか?」
(もう一つの伝説…?
 そんなものがあるのだろうか……)
「その様子だと知らないみたいですね。
 魔法珠………。それは冥龍ゼルフェの魔力を封じたもの。その魔力容量はとても大きい。その為、その魔力の一部の力を1つずつ封印したものが魔法珠といわれています。
 サラズィアさんだけが狙われているのなら…多分ゼルフェの差し金でしょう」
「でも…どうして……」
「自分の魔力を封じたうえに、人間がその魔力を手に入れれば、殺される可能性もあるわけですし。
 元は自分のものだったので感じ取ることは簡単ですよ」
(なるほど、ね)
「もう1つの線は、その波動は魔族なら『ゆらぎ』として微かに気付く者もいるので、ゼルフェではなくその部下がやったということですが…傭兵を使ったということは、人に頼まれたということですので、上級魔族でしょう。
 人の姿をとるのはなかなか難しい魔法なんですよ」
(じゃあ……)
「この先もあたしは狙われ続けるワケ〜〜?!」
(やーよ、そんなの。
 いくらあたしでも命は惜しいんだしさ)
「大丈夫ですよ。私は剣も使えますし、魔族相手ならいくらでも闇魔法を使います。
 サラズィアさんも魔族相手なら魔法珠を取り込んだ系統の魔法をつかっても大丈夫ですよ。ただし、人間相手には弱い魔法か、でなければ剣で蹴散らして下さい。
 人の死ぬところはなるべく見たくありませんし」
「ん、わかった。気をつけるようにする」
「それじゃあ先を急ぎましょう。追っ手が来ると面倒ですし」
「そうだな。これから気をつけないと」

 ついに狙われましたねー 主人公  ファンタジーの王道だ(笑)
 さて、狙っているのは誰でしょうね? 出てくるのはやっぱり終わりの方かなぁ…
 相手の正体やいかに?!
 と、いうわけで、6をどうぞ

魔法珠 〜Magic・Soul〜 6