高尚なる者の遊戯
 それは、リナがみんなと一緒に里帰りした日の夜だった。
『…世界が…歪む…?!』
 その時それに気付いたのは…おそらく彼女、スィーフィード・ナイトであるルナ=インバース以外は、カタートの氷の中で眠っているシャブラニグドゥのみだっただろう。


『今回の指令は、シュバルツと実際に対決することになる。
 そこで今回の特別メンバーとして4人、追加する。バーマンやマンクスも単独行動をしないように、もう1人助手が増えた。
 今回は、気を抜くな! 詳しいことはまた後ほど連絡する』
 そこでペルシャからのテープは終わる。
「どういうことだ、バーマン」
「そのままよ、アヤ。
 紹介するわ。これが新しい助手の……」
「はぁ〜い。ゼラス=メタリオムよ。よろしくぅ〜
 そう言って4人に向かって投げキッスをする。
「こりゃまた…バーマンにもマンクスにも負けず劣らず、美女だねぇ」
 ひゅうっ、とヨージが口笛を吹く。
「どうだい? 今晩一緒に…」
「いきなり女の人をナンパなんて、何考えてるんですっ!」
 どこからか出てきた小柄な少女がヨージに指を突きつける。
「…さすがにお子さまは守備範囲外だが……」
 ぽりぽりと頭をかきながら、ヨージが苦笑する。
「あら、その子4人のメンバーのうちの1人よ。
 アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンっていうの」
 ゼラスが紹介する。
「アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン。14歳。
 基本が護身術の体術戦が得意ですっ。あとは精神戦闘っ。
 モットーは正義を愛する心っ!」
 目に炎を燃やしながら言う。
「14歳? そりゃまた…ホントにお子さまだな」
 驚いたようにケンが言う。
「まあまあ、どうせ僕だって16だし。
 それに年齢は関係ないと思うけどね。僕は随分と小さい頃からクリティカァにいたし」
 なだめるように言うオミ。
「あとの3人も紹介しておきたいんだけど、いいかしら?」
 あきれたように言うバーマン。
「話を進めてくれ」
 1人傍観していたアヤが言う。
「リナ=インバース、ガウリイ=ガブリエフ、ゼルガディス=グレイワーズ。
 これがあとの3人。
 とりあえず今は連絡待ちな状態だから仲良くやってちょうだい。
 花屋の仕事も、楽になるでしょう?」
 それは、1人の少女と2人の青年。
「あ、この4人はクリティカァ時代一緒にいたのよ。その辺、考慮してあげてね。
 じゃ、私達は行くわね」
 ゼラス=メタリオムはそう言い残し、バーマンと去っていく。
 そして残された8人のうち、最初に口をひらいたのは残された青年のうちの1人だった。
「俺はゼルガディス=グレイワーズ。ゼルでいい。
 武器はこれだ。無銘だがな。あとは精神戦闘と」
 そう言って、手に持っていたものを軽く持ち上げる。両刃の剣らしい。
「ガウリイ=ガブリエフ。剣術は家系上、な。
 武器は烈光という名の両剣だ。
 あ、考え事の時はオレのことは頭数に入れないでくれ」
 これを言えるだけ、まだましになったのだ。後で実際に身を持って体験するよりはよっぽどいい。
 そのことを、アメリア、ゼル、リナはよくわかっていた。
「あたしがリナ=インバースよ。乙女もはじらう16歳。
 得意なのが精神戦闘。それもとびっきりのね」
 そう言ってウインクする。
「もう一つ。後で知った時に誤解がないように言っておくけど、あたしは昔、シュバルツの候補生だったわ。
 今回これに参加するのはやつらとの関係を断ち切るため、よ」
 強い意志を宿した瞳。
 これには全員が驚きの色を隠せない。
 どうやら、共にクリティカァで過ごしたという3人も知らなかったようだ。
「へぇ、なかなか物事ははっきりさせるタイプか。
 今度、お互いに店が非番の時にでも、デートしない?」
「悪いけど、あたし、この仕事が終わったら一般市民に戻るから。
 だから…もう2度と関わる気はないわ」
 それも、また、固い決意。
『リナ(さん)?!』
 ハモる声。
 そんなことは聞いてない。そう思ったゼル、ガウリイ、アメリア。
 そしてまた…自分たちとも縁を切るのかという絶望感。
 アヤ、オミ、ケン、ヨージが思ったことは…
 そんなことが出来るのかということ。
 Weiβに、クリティカァになったメンバーには、何かしら過去が存在する。帰る場所がないものも大半だ。
 何も知らなかった頃に…戻れるのだろうか。もちろん、出来ないこともないのだろうが…
「…あたしは…あきらめがよくないの。もしも一般人に戻れたとしても…みんなと会ってたらきっといろんなこと思い出すと思う。
 出来れば…忘れたいのよ。ゼロからやり直したいの。だから…ごめんね…」
 こんな記憶、ない方がいい…それは誰もがよくわかること。
 本当に消し去ることは、出来ないけれど…罪を消すことは出来ないけれど…
 心の奥底に封じ込めてしまうことはできる。
「わかりました。頑張ってミッション成功させましょうね」
 そしてアメリアが笑った。
「じゃあ、まずは新しい花屋の当番表を決めよう」
 オミが手をさしのべる。
 新しい生活とミッションの始まりだった。

 日々はそれなりに平穏に進んでいた。
 皆、それなりに打ち解け始め…
 そして、ミッション。対決の時が来た。

「久しぶり、と言えばいいのかな。リナ=インバース」
 始めにクロフォードが口を開く。
「そうね。でも、こちらからの挨拶としては…」
「これで最後だ」
 リナの言葉をアヤが引き取る。
「4対8なんて、ちょっと卑怯じゃない?」
 那岐がうそぶく。
 本当は、かけらもそうは思っていないだろう。
「こっちも1人、増やさせてもらうぜ。
 リナ=インバース、そしつと1体1で対決してみな。
 オレ達はここで見物させてもらう。Weiβ、おまえらも手は出すなよ。
 おもしろい見物が見られるぜ」
 そう言ってにやにや笑うシュルディッヒ。
「なつかしい2人のご対面、だ」
 ファルファレロがそう言い、出てきたのは…
「………!
 ゼロス!
 …………そうね、考えられないことじゃなかったわ……」
 驚愕の表情を見せるリナ。
「Weiβの諸君に改めて紹介しよう。
 彼はゼロス。シュバルツ候補生だ」
 クロフォードが告げる。
「力を実際に試してみるにはいい機会のようだし、な」
 シュルディッヒが言う。裏に何かを含んだような言い方で。
「…ゼロス。出来ればあんたとは戦いたくないわ。
 でも…どいてはくれないんでしょう?
 あんた…そういうやつだったもんね」
 悲しそうにリナが言う。
「リナさん。僕には…僕のやるべき道があるんです。
 それを為し遂げるためには……」
 ゼロスもまた、つらそうに言う。
「やっぱり、こうするしか、ないのね…」
 そう言ってリナは戦いへと意識を集中させる。
 ――悪夢の王の一片よ
    天空(そら)のいましめ、解き放たれし
    凍れる黒き、虚無(うつろ)の刃よ
    我が力 我が身となりて
    共に滅びの道を歩まん
    神々の魂すらも打ち砕き――
 ゼロスが戦闘態勢をとる。
『神滅斬(ラグナ・ブレード)』
 そして…ゼロスは抵抗もせず、その闇の刃に貫かれる。
 それを見た瞬間、リナはその術を闇へと還し、ゼロスを抱き起こす。
「ゼロス…っ! ゼロス、ゼロス…!」
 その名を呼び続ける。
「…まだ…生きてますよ、リナさん…」
 弱々しく呟く。けれど、それは間違いなく致命傷だ。
「なんだ。意外とと変えないやつだな」
 そっけなく言う那岐。
「けっこうおもしろいもんが見られると思ったんだが、2人ともあんまりためらわなかったからたいしておもしろくもなかったな」
 つまらなそうに言うシュルディッヒ。
「とにかく、退却するぞ」
 そう言ったクロフォードに従って、シュルディッヒも那岐もファルファレロも駆けていく。
「何をやっている。追うぞ」
 ゼロスとリナのことなど知ったことはないという風に言うアヤ。
「ちょっと、いくら何でもあんまりです!」
 抗議の声を上げるアメリア。
「リナさんの気持ちも考えてあげてよ!」
 叫ぶオミ。
 アヤとて、大事な人を失くす痛みは知っているため、戸惑う。
「あいつらのことだ。どうせ脱出準備も万端だろうよ。
 それなら、あの2人のことを…」
 さらに言葉をかけるケン。
 そして、アヤは仕方なくあきらめたように、その場にとどまった。
「なんで?! なんで抵抗しなかったのよ!
 あんた、やるべきことがあるんでしょう!?」
 ゼロスに向かい、叫ぶリナ。
「僕、は…僕のしたかったことは……… シュバルツになって、地位を得て…
 あなたを…あなたの心を守ってあげたかった……
 でも…リナさんはそれを拒否して、自分でそれを掴み取ろうとした……
 だから、僕は………」
 こふっ、と血を吐くゼロス。
「もう…これ以上しゃべらなくてもいいよ…わかったから……」
 涙目になっているリナ。
「なんて顔…してるんですか…
 笑って下さい。リナさん…
 あなたは…笑っているのが一番素敵ですよ…?」
「そーそ。女の子ってのは泣いてる顔もキュートだけど、笑顔が一番なんだぜ。」
 ヨージも言う。
 そんな言葉に、歪んだ顔で笑いかける、リナ。
「それで…いいんです。
 リナさん…あなたはずっと…そのままで…………」
 それが…ゼロスの最後の言葉だった。
「ちょっと、ゼロスっ!
 目ぇ…開けなさいよ……
 いつもみたいに…『それは秘密です』って…言ってごらんなさいよ…っ!
 『うそぴょん』って……笑ってよぉ…っ! ねぇっ! ゼロスぅっ…!!」
 悲痛な、叫び。
「こんなの、いやぁぁっっ!!!」


 そして…気付くと、そこはゼフィーリアの…自分の部屋のベッドだった。
「……夢……?
 でも…あんなリアルな感覚……」
 まだ…残っている、ゼロスを斬った時の感触。
 そして…ゼロスが崩れ落ちた時の…心の痛み。
 気付いた感情は、ゼロスに死んでほしくないということ。
「リナ!」
 姉ちゃんが部屋へと駆け込んでくる。
「何、姉ちゃん?」
「なんとも……ない……?」
 不思議そうに呟く姉ちゃん。
「だから、どうかしたの?」
 さらに聞いてみる。
「世界が…この世界が歪んだ感じがしたの。
 一瞬で戻ったけど…でも…本当に一瞬だった…?」
 何か、思いを馳せている姉ちゃん。
 じゃあ、あれは…夢であり、夢でなかったということだろうか…
 でも、あれが半分現実だとしたら、ゼロスは…ゼロスの本心はどうなのだろうか。いつものゼロスか…それとも夢で見たゼロスなのか…
 あたしには……わからない……
「…そういえば…世界が歪む瞬間…あの方の力を感じたような気が……
 まさか…あの方のしわざ…? あの方…気まぐれだし…ありえないことは……」
 後半はすでに独白に近い。
 それを聞いて、あたしはキレた。
「…ふふふ…そう…あたし達で遊んだのね…?
 許せんっ!!」
『竜破斬(ドラグ・スレイブ)っ!!』
 こんなものは効かないとわかっていつつ、あたしは怒りのままに、竜破斬を上空に放った。
「リ〜〜ナ〜〜?」
 隣には怖い顔の姉ちゃん。
 ……しまった……!
「屋根の修理は、自分でしなさいね!」
 きつく言い渡されてしまう。
「…わ…わかりました……」
 そしてあたしは…こう言うしかなかったのだ。

まりべーずさんリクエストのWeiβでゼロリナ(笑)でした。
最後…シリアスからギャグへが、多少無理がありましたが…気にしないで下さい(爆)
え〜 そのまんま L様が遊びで世界を歪めてつなげちゃっただけです だからほとんど現実
はっきしいって……最初と最後だけで中身ないし…(死)
ガウリイとゼル…いなくてもよかったって感じですね… 出番ないに等しいです ハイ
…しょうがないじゃん…8人もいたら…絶対誰か動かない(^_^;)
あと、まぁたゼロス様殺してるしね…全く抵抗もしてくれなかった。ホントはねぇ…ゼロス様はシュバルツになりたい理由を明かさずに死ぬはずでしたが…どうもリナちゃんに想いを伝えたくてしょうがなかったらしいです。
ちなみに……ヨージ君がゼラス様ナンパして、それにアメリアが指を突きつけられるってのはホントに書いてて勝手に動きましたね(笑)
あ、あと……最後、L様の仕業ってわかるの…話の流れ的に書けなかったけど、みんな同じ夢を見た という根拠もあったりします
それとシュルディッヒの意味深な行動。確か、シュルディッヒの能力って読心でしたよね じゃなければそれに類するもの で、リナちゃんとゼロス様が心の中じゃ想い合ってるってのに気付いてて、あんなことけしかけたんです 意地悪ですねぇ…(笑)
最後のリナちゃんがゼロスの本当の気持ちまではわかんないって言ってるのも……俺的にはストーリーの中のがゼロス様の本心のつもりです 俺ってゼロリナ派だしね(笑)
さて、と…いいわけも終わったことだし…
では、さよ〜ならっ(笑)
ワケわかんないもの読んでくれて、ありがと〜ですっ!

  (裏)