ゲーマーズ愛ランド

VOL 16

今回は長編です。


● インカム至上主義の功罪

最近、昔勤めてたゲーセンの社員の人と会って、此の頃のゲーセン事情を話し合っ てるうちに(偉そうに、、、お前が背負って立つって訳でもないだろうに。)、こんな結論が出ました。 「今世紀中に終わってしまうんじゃないか?ゲーセンシーンって。」 と言うものです。


思うに、八十年代の終わりとともに、ほぼゲーセンは死んでたと思うんですよ。なんでかっていうと、 第一に、時間あたりのインカム収入を増やして効率よく儲けるために、難易度を大幅アップ させたこと。それを、「マニア対策」の名の下に行った(本来の目的である「時間あたりのインカム収 入アップ」ということは口に出さず)ために、初心者離れがおこり、市場規模縮小---- ってのが、かなり進行してきてたと思うからです。 もうその頃既にVIDEOゲームのインカム収入は頭打ちになってて、コインゲー ムが大きな収入源になってる店がかなり多かったと思うんですよ、とくに街なかで 。


他にも、 あるゲームに人気が出ると、儲けんがために、いっきに類似ゲームを頻発して大体 2-3年でそのジャンルを食い尽くしてしまうといった、業界体質もあると思います 。 事実、86年くらいに、横スクロールシューティングが流行ったけど、「グラ3」 、「アールタイプ2」が出たあたりから一気に人気が落ちていったじゃないですか 。 ちょっと遅れて縦シューも同じ事が起こったし、クイズゲームだって全く同じ軌跡 をたどっていったし、横スクロール格闘ものだってそうだったじゃないですか。 それで、もうかなり行き詰まってたと思うんですよ。

しかし、九十年代に入って思いもがけない「対戦格闘」神風が吹いて、持ち直すど ころか空前の活況が起こったんだけど、今ではそれも既に完全に行き詰まっている と思います。 理由は、まさに前述の2つでです。 しかも状況は以前より遥かに悪くなってるのじゃないでしょうか? メーカーが過剰に品物を売って儲けようとしたため、今のゲーセンってかなり設備 投資過剰になってるじゃないですか。格闘バブルでゲーセンが乱立したため、少しでも他の店より優位に立とうとして、 ゲームを早く入荷しようと多くの店は考え、そして実行してますよね? だけど、早く入荷しようと思ったら、筐体込のセット売りで買わないと売らないん ですよね、多くのメーカーは。 1つにつき下手すると百万以上するんですよね、そんでそんなのを何個も買う もんだから、もしそれが思ったような利益を上げないと、一気に経営が傾くと思う んですよ。


そんで、今の状況は、一番の稼ぎ頭の格闘ゲーム熱はどんどん冷めていってるんで すよね。 社員の人に聞くと、インカムは非道い所だと、4ー5年前の30%まで落ちてるっ ていうし、いいところでも、昔の6ー7割になってるといってました。(業界全体 がですよ。) 格闘ゲーム熱が冷めるのは当たり前なんです。 ジャンルの寿命がもう尽きてるんですから。 (本来ならそんな寿命なんていうふざけたものなんて無い筈なんだけど、業界の利益第一主義に基づく行動にかかると出来てしまうんですよね。) 利益第一主義は、完全に首を絞めてると思います。


メーカーは、基板、筐体を売らないと儲けが出ないから、オペレーターにどんどん買わせようとする。 定期的に新作を投入するために、見切り発車で発売したりする。 (そのため最近では、頻繁なバージョンアップが行われる。少なくとも、以前はここまでいってなかったと思います。) ちょっとだけ変えたシリーズものばかり出す。 (これは、新しく作ろうという発想が無くなる為、近頃目立つ開発力の低下につながってると思います。) 今迄にないようなもの、既に人気の無くなったジャンルのものは、オペレーターが 買ってくれない為、造ろうとしない。


今ゲーセンで出るゲームって、シューティングは縦スク(しかも、いわゆるボン バーものだけ)がたまにでるくらいで、横スクはきわめて稀(タイトーはまだいい ですよね、ダライアスの続編の企画が立てられるから。KONAMIは許さないら しいですもんね、グラディウスの続編を。)、アクションものは、ほぼ格闘ものオ ンリー(ダブドラや、ファイナルファイト系のは滅多に出ない。)、そんで、あと 思い出したように、クイズものや、落ちものパズルが出るくらいです。


あと、ちょっと意味合いは違うんだけど、独自基盤を作ろうっていう気概を持った メーカーがかなり少なくなってますよね。 PSや、SSの入った基板でゲーム作ってますから、、まあその方が、家庭用移植しやすくて、ひいては経済活動上有効なんだろうけど。 基板開発は失敗すると経営に直撃するし、腰が引けるのも仕方ありませんか、、、 オペレーターは、インカム収入をあげるために、時間あたりのプレイが増える事を 望む。 (昔から、オペレーターは、客が投げ出さない程度にすぐ終わるゲームが好き。) そのためメーカーは、時間あたりのプレイを増やすために、最近の格闘ゲームを、 無茶苦茶にしていると思います。 (全体的なスピードアップ、攻撃力増強に伴いいきなり死ぬようになる、最近では 非道い事にラウンド数まで少なくなってる。) 以上のような事を、うすうす感じてきたプレイヤーは最近多くなり、客足は減少し ているのに、メーカーは全然改めようとしてません。 これは恐ろしい事ですよ、気付いた時には終わってるという事が起こりかねないですから。


ここまで、悲観的に書いてきたけど、じつは希望も持ってます。 なんだかんだ言って、今迄でも、もう駄目か?と思った時、救世主が現れるって事 がよくありましたから。 とは言え、昔はまだメーカーに余力、実力があったからそういう事が起こり得たけど、現状ではかなり望み薄ですよね、、 やっぱりゲーム業界自体が大きくなりすぎたんでしょうかね、芸術性とかが通用せず、経済性のみが通用するように。

( My Web page URL: * http://www.ilc.or.jp/~kazz/index.htm)

★ 長編ということで今回は1本のみで1コーナーとさせていただきました。皆様の反響のメールをお待ちしています。

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