今月の一枚[1998]

>>>1998年発表アルバム

Janualy | Februaly | March | April | May | June |
July | August | September | October | Nobember | December |

Janualy

THE GOD THING/VANDEN PLAS (1997) GERMANY
プログレッシヴでメロディアス、ドラマティックなヘヴィメタルを創りだした本作はテクニカルでありながら、エモーショナルな部分を失わない情感豊かな作品になっています。なかでも1〜2の流れはまさに圧巻といえるもので、彼らの成長が見て取れます。 重厚なサウンドがシリアスな曲のテーマと絡み合って、複雑で劇的な世界を表現しています。
 

Februaly

TWILIIGHT IN OLYMPUS/SYMPHONY X (1998) USA
ドラマティックな様式美サウンドを創り出している本作は、プログレッシヴな曲展開が彼らの独自性となりつつある事を強く感じさせます。また、大作の緊張感を維持できるだけの作曲能力の向上が見られます。今後は楽曲がパターン化に陥らないことを強く願うのみです。
 
一縷の望みを込めて、やめておきました。 TRAMPLED UNDERFOOT(笑)。

March

BETTER THAN RAW/HELLOWEEN (1997) GERMANY
アジア・ヨーロッパ・南米で絶大な人気を誇る彼等は常にヘヴィメタルをリードする存在なのかもしれません。そんな彼等の余裕と自信を感じさせるこのアルバムでは、ヘヴィさを前面に出しながらも自分らしさを失わず、確立されたスタイルを継承していく強い意志が見出せます。
 

April

SOMETHING WILD/CHILDREN OF BODOM (1998) FINLAND
近年、躍進著しいメロディック・デスメタルの現時点での完成形を見た、様式美(!)メロディック・デスメタル・バンドのデヴューアルバムです。これがファーストというのは全く末恐ろしいバンドですが、メイン・ソングライターは18歳(!!)と若く、スラッシュ・メタルからデスメタルを通過した新世代の感性を感じさせます。 彼等にとっては、これがヘヴィメタルのあるべき姿なのかもしれません。また、これが新しいヘヴィメタルの姿なのかも・・・。

さて、楽曲的にはストラトヴァリウスに代表される様式美系サウンドのバックにデス・ヴォーカルが乗るスタイルですが、時折見せるブラスト・ビートがダークな面を強調しています。キーボードを効果的に使った起伏の激しいメロディは正統派バンドにも一歩も引けをとらず、攻撃性では圧倒的にこちらが上回っています。

一番のネックになるであろうヴォーカルはスラッシュ・メタルの深化したタイプの炸裂系(?)デス・ヴォーカルで、聴き手をはっきりと選別することになるでしょう。しかし、今後のヘヴィメタルを考えると、もはや避けては通れないものなのではないでしょうか・・・。
 

May

INVICTUS/VIRGIN STEELE (1998) USA
正統派ヘヴィメタルという言葉が文字どおり当てはまる、ヘヴィメタル・ファンの琴線に響くであろう会心の作品に仕上がっています。 ダーティな声から流麗なハイトーンまでを使いこなすヴォーカルは扇情力を増し、勇壮でドラマティックかつロマンティックな楽曲を盛り上げており、ヒロイズムあふれる世界観にふさわしいものとなっています

前2作から連なる物語の完結編として位置する本作は、人間の逆境に打ち勝つ強い意志を根底に流れるテーマとしたコンセプト・アルバムとしても聴ける構成になっています。単独の楽曲を取り出してもそれ自身完結したものとなっており、歌詞世界の受け取り方は聴き手それぞれに委ねられています。

その歌詞世界が表わすとおり、楽曲の与える力強いメッセージは聴き手に対して希望や勇気、闘志といった世界に立ち向かう意志を湧き起こらせます。

一部雑誌では低い評価をされていましたが、良質なヘヴィメタルを創り出す姿勢はもっと評価されて然るべきだと思います。
 

June

RETURN TO HEAVEN DENIED/LABYRINTH (1998) ITALY
イタリアン・メタルの知名度を引き上げた、特徴あるデヴューアルバムから一転、ヘヴィメタル・スタイルを忠実に守った曲創りをしてきました。 スピード感あふれるメロディアスなサウンドは初期ハロウィンから始まる流れを受け継ぐ、期待を裏切らない劇的な展開を聴かせてくれ、様々な色彩を見せるギターがスリリングに積み重ねられていき、キーボードの調べとともに聴き手を夢幻の世界へと引き込んでいきます。 新ヴォーカリストも表現力、感情豊かにハイトーン・ヴォイスを響かせており、まさにメロディック・スピード・メタルの秀作といえるでしょう。
CYBERCHRIST/VICIOUS RUMORS  (1998) USA
可愛さあまって憎さ百倍、誰か何とか言ってやってくれという感じの、もどかしさばかりが高まっていく非常に聴くのが辛いアルバムです。 駄目なら駄目でひとおもいにやってくれって感じです。 いや、全然駄目ならあきらめもつくってものですが、時たま見られるツインギターの閃きなどが往年の姿を彷彿とさせたりと精神衛生上良くない事この上ないです。

いったい、彼等はどうなってしまうのでしょうか!?

July

ONE HOUR BY THE CONCRETE LAKE/PAIN OF SALVATION (1998) SWEDEN
文字どおりのプログレッシヴなサウンドを創造する本作は、前作にも増してプログレスしているにも関わらず、エモーショナルな部分はより強調されており、ドラマティックな部分が強くアピールするようになっています。 ヘヴィメタルの枠に囚われない様々な音楽要素を詰め込んだ、そのサウンドは総てを内包する奥行きを備えており、彼等の才能に驚かされることでしょう。
 

August

MANIFESTATION OF FEAR/ELEGY (1997) NETHERLANDS
いつもの彼等の作風よりはシリアスでダークな空気が支配的な正統派ヘヴィメタルの真髄を聴かせるアルバムです。 その暗いプロダクションが本作の特徴でもあり、そのテーマを表現するために取られた手段であると思われます。 聴き手に真正面から対峙することを要求するヘヴィな仕上がりになっており、ヴォーカルの素晴らしいパフォーマンスには一聴の価値あり、です。
 

September

TYRANNY/SHADOW GALLERY (1998) USA
華麗な楽曲と重厚なコンセプトを併せ持つ一大絵巻ともいえるアルバムです。 分かりやすいメロディと幾重にも重ねられたコーラス、そしてテクニカルながらもエモーショナルなインストゥルメンタルパートが壮大な物語世界を劇的に、優雅に表現しており、聴き手を夢幻の世界へと導く事でしょう。 複雑な場面展開を用いた楽曲群は、その歌詞世界を理解することによって、さらに深みを増しアートを感じさせるものになります。 ドラマティックなロックオペラを愛する人には必携の一枚と言えるでしょう。

…と、ここまでは良いのですが、先日彼等よりサンプル音源は完全なものは使わないように、というメールが来ました。これも彼等のアーティスト的な気質を表わすものかもしれません。ということで、もしかすると近日中にジャケット写真が無くなる可能性もありますが、その点はご了承下さい。


クレームをつけられながら(苦笑)、なぜ彼等の応援をするのか?という声もあろうかと思われますが、この言葉をその答えに返させていただきたいと思います。

「それはそれ ! 

  これはこれ !!」

by「逆境ナイン」島本和彦著
 

October

ONCE IN A LIVETIME/DREAM THEATER (1998) USA
彼らったら凄いんです

いつもよりも熱くて…

あ、そんなに激しく

…ずっと飽きるまで

満足させてくれるんです

…あ、…また

駄目になっちゃいます…




【解説】

彼等の本質はライヴバンドであるとは、よく評論家筋で言われる事ではありますが、まさにそれを証明する恐るべきクオリティを持ったアルバムです。観客を感動の渦に巻き込む、その緊張感あふれるプレイは個々のアーティストの確かな実力に裏打ちされて圧倒的な迫力を持って迫ってきます。 そして、インプロヴァイゼーションによって産み出される各パートの壮絶ともいえる鍔迫り合いが聴き手に緊迫感をあたえ、プログレッシヴという言葉の意味を実感させてくれます。 スタジオ・アルバムよりもヘヴィかつアグレッシヴに演奏される楽曲は、新たな魅力を得ています。 トータル140分を越える、まさに鑑賞に耐えるライヴ・アルバムです。
 

Nobember

SYMPHONY OF ENCHANTED LANDS/RHAPSODY (1998) ITALY
自らの音楽を称して「ハリウッド・メタル」なる造語を産み出した、ドラマティック・シンフォニー・メタル。アルガロードにおいて繰り広げられる壮大な物語を紡ぎ出す、その映像的なサウンドはまるで映画のような臨場感を聴き手に与えます。 クラシック、オペラ、トラッドなどの様々な音楽的要素を織り交ぜながら、一大叙事詩を形作っていくその姿勢は、現在のシーンにおいても確固としたアティテュードを感じさせるに十分な信念に裏付けされたものです。

全体的に見ると衝撃的であった前作からの期待が大きかったためか、予定調和的な展開が期待通りでもあり、物足りなくも感じるといった感がありますが、楽曲の水準はそのドラマティック・ヘヴィメタルを表現するのに十分なものがあります。

次回作では更に驚かせてくれる事を期待しますが。
 

December

SOMETHING WICKED THIS WAY COMES/ICED EARTH (1998) USA
震えるぞハート!燃え尽きるほどヘヴィメタル!!