My Cembalo
English Bentside Spinet

 My Cembalo(スピネット)の紹介です。

 スピネットとは16世紀末〜18世紀にかけ西ヨーロッパで流行した家庭用鍵盤楽器。特にイギリスでは18世紀にかけ大いに流行した。
 このタイプはEnglish Bentside Spinetと呼ばれるもので、木目を生かした外装、特徴的な脚の作り、比較的大型化したサイズは18世紀頃イギリスで流行したものである。

 普通のチェンバロとの違いは、楽器を斜めにしたような形で、弦が斜め張られていることが特徴的である。通常は1段鍵盤で8フィート弦1組のみを備え、発音機構、音色もチェンバロに極めて近い。

 この楽器は比較的低音も豊かに響く、全体に渋い音、ヒストリカルな雰囲気はイギリスものに似合うと思うが、フランスものを弾いても違和感はなくオールマイティな楽器と言える。
 強いてあげれば、響板の大きさの違いからかスピネット特有に全体的にキャラクターが高音にシフト、チェンバロは遠くで鳴っている印象であるのに対し、音が直接奏者に届くのでよりデリケートに感じられる。
 付け加えるなら、鍵盤の奥行きがチェンバロより更に短く、ピアノに戻るとその大きさに唖然(笑)とする。

楽器プロフィール
製作 製作:三創楽器製作所(浜松市)、(販売:ギタルラ・東京古典楽器センター) シリアルNo.0072
モデル 18世紀タイプ イングリッシュ・ベントサイド・スピネット 作者不詳(推定トーマス・ヒッチコック)、1708年イギリスで製作された楽器をモデルとする。
サイズ/重量 最大長 175cm / 鍵盤部幅 82.5cm / 高さ 83cm / 22Kg
音域/配列 GG〜d3(56鍵) / 8'×1、トランスポーズ機能なし 特別仕様(標準仕様はAA♭なし、トランスポーズ機能付き)
躯体 側・底板:アガチス / 響板:スプルース 外装アンティーク仕上げ
鍵盤部 ナチュラルキー:黒檀 / シャープキー:メープル
発音部 ジャック:メープル / タング:プラスチック / プレクトラム:デルリン ジャックは重み兼用アジャスター・スクリュー付き
最低音(GG,AA♭):銅 / 低音(AA〜C):真鍮 / 中高音(C#〜d3):スチール弦
鍵盤サイズ オクターブ幅:15.7cm(ピアノは16.5cm) / 奥行き:10.5cm(ピアノは15cm) 幅はチェンバロと変わらないが奥行きは幾分短い

音色が聴けます
VERMEER VAN DELFT, Jan Lady Standing at a Virginal (一部)
c. 1670 National Gallery, London ♪ The old Spagnoletta
Giles Farnaby(1563-1640) 
途中ミスタッチもありますが、実力の範囲内ということで(汗)

スピネット1
スピネット2
 イギリスタイプにはAA♭を欠くものが多いが、フルスケールに仕様変更、これでフランスものを弾く場合も心配ない。
かわりにトランスポーズ機能(A:415Hz⇔440Hz)を削除した。
 チェンバロの蓋は聴衆に向かい遠くで鳴っている印象があるのに対し、響きは直接奏者に向かい下手さ加減も直接的です><;
その分、余計タッチに気を遣うのでいいことかも。
スピネット3
メンテナンス用品
 わずかに木象嵌を施したシンプルな作りは、単調さ感じさせない。
 丁寧な仕事がしてあります、一般に外国製は遠目に華やかであっても近くで見ると粗雑だったりしますが、やはり日本生まれですね。
ナチュラルキーには一応(笑)アーケード(半円形の装飾)も施してあります。
 調律、整音は日常的に欠かせない。
写っているのは...
・予備のジャック、ダンパー・フェルト、プレクトラム(爪)
・ヴォイシング・ナイフ(医療用スカルペル)、ヴォイシング・ブロック(木片)
・T型調律ハンマー、チューニングピン・ポンチ、チューナー(古典音律対応)、音叉(415Hz)
・テンション・ゲージ(鍵盤のテンションを測定)、先細ペンチ、ニッパ等

 後日談です。

 購入は2007年12月、製作されたI氏は隣県S町出身、帰省を兼ねての納入ということで車の中ではお母さんが待っておられました。
基本的にメンテナンスは自分でやるつもりですが、いざというときは心強く親近感がわきます。
結構お話好きとお見受け、帰り際にもしきりに技術者不足を嘆いておられましたが、この世界も一人前に育てるのが大変なようです。

My Clavichord
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