2003年  済州島(韓・中・日ジュニア交流競技会)


漁り火に水平線は帯となり済州(チェジュ)海峡に火星が迫る

済州島の屋根(窓からの風景)

 2003年、火星が6万年ぶりに地球に大接近をした。この夏、私は「韓・中・日ジュニア交流競技会」の団長として済州島(チェジュド)を訪れた。済州島は朝鮮半島の南の海上約140キロの沖合に浮かぶ、「漢拏(ハンラ)山」を中心にした火山島である。名古屋を飛び立ったチャーター便は、空港に向けて徐々に機首を傾けていった。

雲間より火山の島の現はるる切り立つ崖に波は砕けて

 済州島は韓国最大のリゾート地である。新婚旅行のメッカでもあり、 
高級ホテルが次々と建設されている。家々の屋根は赤、青、緑とカラフルで見ていても楽しくなる。しかし、済州島がこのように開発されたのは1960年代に入ってからだという。それまでは、韓国でも最も貧しい地区の一つであった。
 
出迎えのロビーにテニスの札を持つ姜さんは済州大学日語日文学科
 
  通訳の姜さんは笑顔のかわいい済州大学の女子学生だった。済州島はかつて、流罪人の島であった。政争に敗れた中央政府の高官で島に代々住みついた人も多く、そのような高学歴な家系が島の教育熱を盛んにしているそうだ。人口50万人の島に、国立大学が2校、私立大学が2校、その他専門学校がある。
 私達テニスチームは漢拏山の山麓を縫い、島の南部の「西帰浦(ソギボ)」のテニスコートまで毎日1時間かけてバスで通った。このテニスコートは、韓国には珍しいハードコート。センターコートには観覧席があり、合宿可能な宿泊施設も完備している。
 ところで、1週間の滞在で気づいたことがある。それは、済州島は「石の文化」であるということだ。島のあちこちに「トルハルバン」(石のおじいさん)という石人像が立っている。石垣に囲まれた墓が小山の頂上から傾斜地に向かって無数に並んでいる。家々や畑の周りにも黒い溶岩の石垣が延々と続いている。


祈りこめ積み上げられし魂宿る黒き石垣無限に続く


 漢拏山は連日深い霧に包まれ、その姿を現さなかった。この山に伝わる様々な神話や伝承を象徴するごとく、漢拏山はベールに包まれた山であった。
 最終日、朝日が昇る瞬間、漢拏山は雄大な裾野を従えてその姿を現した。済州島はこの山と海と共に生きていることを実感した。
   

神の棲む漢拏山に雲流れ樹海の島は日矢に差されぬ