雑記帖 - つれづれのことのは

No.71
ゆい自然農園

ひょんなことから、長野県の望月町にある山荘で、無農薬・有機栽培「ゆい自然農園」の安心で新鮮な野菜を食べる集いにおじゃましてきました。猫とお酒と山駈け走るのが大好きな由井啓盟さんと、その横で笑顔が素敵な喜代子さんの御夫婦は、とっても魅力的。農園の土は黒々としてふかふかの絨毯のようでした。自然を大切にする暮らしをできるだけ心掛けていこうと改めて思いました。世界中の人達が、よい食物を豊かに味わうことができれば、きっと争い事なんか起きないのに…。衣食足りて礼節を知るはず。

(2002-09-17)

No.72
乾物

干し貝柱が大好物で、小さい頃からのおやつでした。お行儀悪いのですが、干し貝柱や小さくなった削り節の「ころ」をかじりながら読書するのも大好きでした。削り節が小さくなってくると兄弟でお目当てにしているのですが、兄に先取りされたくやしい思い出も。昔は母が乾物屋さんへ買い物に出かけると言うと、干し貝柱が目当で荷物持ちになってついて行きました。

最近、冷凍冷蔵庫に一杯の食べ物を前にして、乾物類を多用した昔の人の知恵に改めて感動し、自戒の日々。干し貝柱は、献立を考えて、水に浸しておくととっても便利に使えます。旨味濃厚!麩と炊き合わせて卵とじが簡単で美味しい。

(2002-09-28)

No.73
山田洋次さん講演会

映画監督山田洋次さんの講演会に出かけました。真面目でシャイで誠実な人柄が滲み出る話しぶりに、満員の会場が静かに頷きながら聴き入りました。増え続ける不登校、養護学校や夜間中学の事等、「学ぶ」とは何なのかと問いかけながら、「学び」たい人々の目線に立った問題提起をする真摯な人でした。「監督の仕事は、すみずみまで見つめること」。例えば、小道具さんが、食事のシーンのために美味しそうな「芋のにっころがし」を手作りしてきてくれたら、監督もつまみ食いしてみる。そういう細やかな心配りが、いい現場を生み出し、ひいてはいい作品を生み出す。次作「たそがれ清兵衛」が楽しみです。

(2002-09-29)

No.74
月曜日は元気!

小さい頃から、月曜日は元気。日曜日の夜に「明日は、あれもやりたい、これもやりたい、よしっ、やるぞ~!」とバカにでっかい夢を描いてひとりで興奮するおかしなクセがあるのです。今朝も5時半に目覚め、「よし、月曜日だっ」と張り切ってとび起きると、まずトイレの掃除、家の前も綺麗に掃いて6枚のガラス戸をピカピカに磨き、ポコにゃんと一緒にベランダ菜園で茄子やピーマンを収穫し、ついでに穂紫蘇を篭いっぱいに刈り取りました。

新米をつやつやに炊きあげ、友人が届けてくれた柴茸とおからの味噌汁、なすとピーマンの紫蘇味噌炒め、納豆とブロッコリーの芽の和え物、香りよい糠漬け(キウリ・茄子・人参・大根・ミョウガ)、果物はメロン、そしてお弁当には牛蒡・きのこ・人参・豚肉・蒟蒻の含め煮と、トントン、ジャ~ジャ~、コトコト美味しい音をさせながらあれこれお料理。あとのねぼすけさんが起き出す頃には、美味しい匂いでいっぱい!

さて、それからもう一仕事です。青紫蘇の穂をこれでもかこれでもかと沢山しごきました。穂がはじけてしまわないうちに刈り取り、塩水でよく洗い陰干しした物を塩漬けして保存するのです。今日は身体を動かしているとうっすら汗をかいてしまう程の暑い日で、しっかり紫蘇も干せました。穂と同量の塩をまぶし、可愛い蓋物に行儀良く綺麗に納まりました。これで冬にも紫蘇の香りが味わえます。仕事もしたし、泳いだし、元気に感謝して、それでは、これにておやすみなさい。

(2002-09-30)

No.75
週末のご褒美

先月半ばに、武満徹さんゆかりの「ゆい自然農園」さんを訪ね、今月の初めには、入善コスモホールでダン・タイ・ソンさんのピアノによる武満さんを聴きました。関連をたどっていくと、必然的に武満さんが強く影響を受けたという現代音楽の騎手ジョン・ケージさんに輪が繋がり…、週末のご褒美はこれと決めてみました。

手に入れたのは「眠れぬ夜」。もっとも私は、「眠れぬ夜」にはとんと縁がなく、証人によると、寝床に入れば1・2・グーッで寝ているらしいのですが。なんといっても演奏者が、現代音楽を積極的に取り上げている大好きなクレーメルさんだったこと。禅の影響を受けた有名な「4分33秒」(ピアノを前に坐って、4分33秒間じっとしたままピアノは弾かない)という曲(?)に似ています。その間静かな闇の音に耳を澄ますのも秋の夜の愉しみ?うん、これは秋に聴くに相応しい。

(2002-10-17)

No.76
銅鍋でご飯を炊く

百貨店の積立が満期になり、おまけが付いてお買い物券が返ってきました。この券で、欲しいと思っていた物を買うのが習わし?です。今年は、前から目を付けていた銅の打出しの厚手の鍋を2個買いました。直径20センチと24センチの銅鍋で、大きい方を使って、今朝、さっそく御飯を炊いてみました。2合のお米を研いで、30分水に浸したのち、最初は弱めの中火で5分、それから蓋を開け、ひと混ぜして、2分程で表面に穴がみえてきたら、ふたたび蓋をし、今度は弱火で10分。火を止めて更に10分蒸らせば、ほっかほか、つやつやの炊きたて御飯のできあがり。最後に20秒ばかりちりちりと音がする位の強火にしてやったら、おこげも簡単にできるのよ。香ばしいおこげの香りが、たまらないっ!

(2002-10-23)

No.77
茄子の胡麻和え

じぃちゃんの大好物だったのですが、私も好物。殊に緻密な味になる秋茄子で作るのが一番。菜園にまだぶらぶらしている茄子を、採りたて、茹でたて、絞りたてを熱い内に胡麻和えして冷まして食べると、うま~い。甘みの残る程度に水気を絞る時には、均等にやさしく形を崩さない程度にまな板の上で押しつけてやるのがコツです。後は、ねり胡麻ペーストを出汁醤油で伸ばして、茄子が熱いうちに和えるだけ。実にいい味。ばぁちゃんが毎日のように使っていた擂り鉢が懐かしい。

(2002-11-01)

No.78
いきなり冬

今朝の富山はいきなり5℃、福井では観測史上始まって以来の早期の雪とか。寒さに首を縮めながらも「そろそろスキーシーズンだ!」のト・ぺこ。この寒さに向け、毎年シーズン始めに手入れしてもらって10年以上使い続けていた石油のクリーンヒーターが故障してくれました。ず~っとつきあってきた電気屋さんは帰らぬ人になりお店は閉店。とっても親切で気さくで音楽好きな人だったのです。今ごろ黄泉の国でオーディオ組み立ててるだろうな~。音響効果抜群だった先日の雷はもしかして…。起きると一番に火鉢の炭をくべてます。炭の香りで心落ち着き、なぜだか食欲まで湧いてきます。今朝は身体の温まるおでんを煮込みました。

(2002-11-06)

No.79
モーツアルトの手紙

昨夜は芸術の秋の愉しみで、ブーニンとオーケストラ・アンサンブル金沢による演奏会でした。指揮者がアルバンベルクの第1ヴァイオリニストのギュンター・ピヒラーさん。演目はショパンとそしてモーツアルト「ジュピター」。モーツアルトを聴くと、結婚30周年記念にトさんと2人してウィーン・プラハ・ザルツブルグを「モーツアルトの手紙」を読みながら旅した夏休みを思い出します。ベルトラムカでみた流れるような筆跡で書かれたモーツァルトの譜面が思い浮かんできます。

卑猥な冗談連発の「ベーズレ書簡」が有名なモーツアルトですが、膨大な数の手紙には家族への思いやりがこまめに書かれています。「ジュピター」は、雷がなり稲妻の光る石畳の道を馬車で疾走するモーツアルトを彷彿とさせます。全速力だったかのような35年のあまりにも短い生涯に思いを馳せ、馬齢を重ねるおばさんとしては、ちと胸にじ~んとくるものがありながら、「ぶりおこし」ではなかっただろうな~とも思ったりもして。実際、石畳に走る馬車にも乗ってみたのですが、とてもタイヘンだったのです。いやはや揺れるのってなんのって。

(2002-11-08)

No.80
そうかいの~

今日は父まさおさんの7回忌。「かくかくしかじか、あれこれ、こうなる」と理詰めの母きみさんに、「そうかいの~」と優しく合づち打っていた会話が思い浮かび、しあわせ呆け(まだら呆け)状態になっても「ばぁちゃんは寝たかいの」「ばぁちゃんは御飯たべたかいの」と先立ってしまった母を気遣いながら、大好きな「甘納豆!」を食べていた事等が懐かしい。

小さいのですが、吟味して買った仏壇のおりんの音が実に響きよく、その音色に耳を傾けていると、朗々としたお経と詩吟が重なり思い起こされます。今日は、兄弟夫婦揃って美味しく会食し、またの再会を約束してお別れ。両親が大好きだった北海道の昆布と私の好物秋鮭をどっさりお土産に貰い、久し振りの秋の陽に照らされて枯葉が舞う帰り道、葉落ち枝折れ樹が朽ちる如く、住み慣れた家で子供達に見守られ老衰で一生を終えた父と、黄泉の国でもお世話焼いてるだろう母が、しきりに思い出された秋の一日でした。

(2002-11-11)