雑記帖 - つれづれのことのは

No.111
お彼岸

「暑さ寒さも彼岸まで」と昔の人が行ったとおり、 襖を閉めていないと寒さで目が醒めるようになってきました。この時期になると新の里芋が出回ってきます。新の物は日持ちがしないので、昨日届いたのをさっそく料理。擂り鉢でごろごろ泥を落とし、皮を剥き、塩もみしてぬめりを落とし、出汁でほっくり炊きあげてから、胡麻味噌和えにしました。今朝の出汁は、本枯れ鰹節をしゅっしゅっと本格的に削った一番出汁です。思わずにっこりの美味しい仕上がりです。

(2003-09-19)

No.112
リチャード三世

シェイクスピア作・坪内逍遥訳・レオン・ルービン演出による「リチャード三世」を観ました。リチャード三世を演じるのは江守徹さん。リチャードは毛沢東か、はたまたヒットラーかというような演出で、その上音楽はまさに中国的という趣向のかわった舞台で、いわゆる赤毛物ではないようなちょっと京劇的な舞台でした。シェイクスピアは「ベニスの商人」ではちと人種への偏見を感じますし、今回も身障者への偏見を感じないわけではないのですが、いつもドラマツルギーの面白さと展開のよさにうなってしまいます。そして、ほとんどでずっぱりの江守徹さんの芸達者に改めてうなってしまいました。

(2003-10-05)

No.113
ながら族

今年の夏はなんやかやと忙しく、毎年手入れする筈のカーテンも2階部分は見て見ぬ振り。右目が悪くなったことをもっけの幸いと「みんなきれいきれい」を決め込んでいました。目が悪くなったことをきっかけに、一応なんでも目を閉じてやってみると、どっこい、手触りの感覚がとても敏感になっていました。手でも汚れが判るということを発見したがやちゃ。

というわけで今朝は早起きして手入れしてます。今日は「晴れ」との天気予報に、昨夜から漬けおきして準備していたのですが、意外な曇り空。大急ぎで始末せねば。花豆炊きながら、三色焼きおにぎり作りながら、根菜炊きながら、音楽聞きながら、パソコンしながら、洗濯しながら、本日はながら族です。

(2003-11-08)

No.114
ご相伴

今週は、事務所に若者が修行で来所中。お弁当が増えた分、ちぃと気合いも入ってます。はって逃げてゆきそうな元気な本ずわい蟹が手に入ったので、早速、大鍋でぐらぐら茹で、スタッフ一同で「いただきま~す。」。甲良には、蟹味噌を入れてぐつぐつぐつぐつ。しばらくのあいだ、小さな事務所中が、かに・かに・かに。

季節にあわせて吹き寄せ(牛蒡・人参・銀杏・栗・椎茸・百合根・白胡麻)も作り、お造りはコチとシロエビ、吸い物はジュンサイとお豆腐、焼魚は鮭、水菓子はメロン、最後にぽこさん手作りの柚子かんとお茶でした。どれも残さず、その上ご飯も3杯おかわりで嬉しい食べっぷり。美味しいものをご相伴できてこちらも楽しい。若者っていいですねぇ~。

(2003-11-12)

No.115
どじょう

蒲焼きを店先で焼く同級生の家が近くにありました。汗がぽたぽたおちるのを首のタオルでぬぐい、ねじり鉢巻きで炭火をぱたぱた扇ぎながら次々焼き上げる母親のそばで、級友は串刺しを手伝っていました。お使いを頼まれ買いに言った時、「きゅ~きゅ~」というような叫び声を出しながら捌かれてくどじょうを見てしまったからいけません。鞍馬天狗の映画でさえも片目をつぶり、目元をおおいながらでないと見られないくらい気が小さく恐がりの私は、とても喉をとおらんようになってしもたがやちゃ。しょぼっ。

かような小心者ではありますが、ヒルには悪いことをしました。「せん~ぼがわのほとりりぃかく~♪」と校歌で歌っていたように、小学校が川の近くにあったため、入学すると休み時間が嬉しくて川原へ出かけて川遊び。梅雨の頃にはドブの所にヒルがいて足にまとわりつくのです。上級生が「干すとゴムになるぞぉ~」と、教えてくれたので、「ほんま?やってみんまいけっ!」と、とりついたヒルをはがすだけでなく捕獲隊にもなって10匹ばかりをつかまえ、丁寧に石で伸ばして干してみました。そこへ「キンコ~ン」と始業のチャイムがなり、干し上がるのを確かめず、びちょびちょになったスカートしぼりながら教室に戻ったのですが、あれが成功していればノーベル賞も夢ではなかった?

身体の弱いことでは天下一品。翌日は喉を腫らして鼻を垂らしお腹はぴぃぴぃ、母親手作りの卵の黄身で作った漢方薬を飲まされるというおぞ~ぃことになりましたです。あのときのヒルさんごめんなさい(ぺこり)。

(2003-11-18)

No.116
貫太郎さんがやって来た

「う~、さぶっ!」と、今朝は首をすくめながらストーブの薪に点火。いよいよ富山は蟹・鰤・鱈・かぶら寿司・鴨が本格的においしくなります。寒さと雪と寒流が美味しさを増してくれるので、気持ちは大歓迎。鰯のつみれも鰺のたたきも〆鯖もかぶら寿司もぐっと味がまします。そしてスキーシーズン到来で雪情報も気になり出すのです。

(2003-11-22)

No.117
地産地消のみぞれ鍋

秋の農作業体験ツアーに参加してきました。大根引き・りんご狩り・白菜収穫・大蕪収穫の体験にお持ち帰りが付き、昼食は農業センター「アグリピア」で地産地消のお弁当になめこ汁、あいまには農産物の買い物ができるというお楽しみまでついて、参加費は1500円ぽっきり。日頃「安い、もらう、ただ」が好きなぺこ・ウリ子さん・ゴママさんの仲良し3人組は、大喜びで、収穫物を持ち帰るための大きなつづらを準備して出掛けました。

1本はトさんの脚、1本はペこの脚、に劣らない程の見事な大根を引き、きゃっきゃっと大歓声!ぽこねこさんの顔程もあろうかというりんごは蜜でいっぱい。漬け物にすると一週間はもちそうなどっしり重い白菜は、計ってびっくり4キロを超えた大物。大きな大きな蕪は、なんとこれまた一貫目もあって、収穫した本人・ぺこどんが一番びっくり。

「ゆい農園」さんのように無農薬とはいかないのですが、白菜は農薬散布2回まで、リンゴはおとり作戦のリボンで薬剤散布を控えたという安全性を追求する篤農家の皆さんの愛情が籠もっています。蕪の畑も日が当たると蕪は赤くなるそうなので雑草がいっぱい。晴れ一時雨のち曇りを繰り返すというようなにぎやかしい空模様だったおかげで、途中畑の向こうに、見事な虹が橋を架けるという素晴らしい光景も眼にすることができました。

今夜は、さっそく収穫してきたものを料理しました。メインはみぞれ鍋(大根おろしたっぷり、鮭の竜田揚げ、福光のすすたけ、氷見の筍)。大根と豚の三枚肉の甘辛煮、柚子大根、イクラのみぞれ和え、蕪のいろとり、お造りは、赤鯛。鯛の兜煮、漬け物は白菜と沢庵。果物は、もちろんりんご、それに柿。見事な地産地消パーティーで賑やかな宵でした。

(2003-11-23)

No.118
ごみ・ゴミ・護美

今朝は早起き。セーター二枚にパンツも二枚、長靴に手袋・マフラー・ホッカイロで完全装備してゴミ当番へ。

古新聞がこのところまた高値とかで回収業者さんがすばやく回収に来られたり、とっても美味しいこだわりパンを焼いていたパン屋さんが「転業でリサイクルショップを始めました」と、不燃物置き場でご挨拶したり。
「100円ショップの鍋ね、1週間もせんがに(=しない内)穴あいたがいぜ」と、透かしてみせる借家住まいのおばあちゃん。
「1万円で買ったのに、修理費が1万円もするがやと」と、いいながら真新しい炊飯器をなんとも惜しそうに持ってくるおばさん。
「こんだけ飲んどりゃ、かんじんなもんはたまらわんなぁ…」とどっさりたまったお酒の空き瓶持ってくるおじさん。

集積場談議が元気にとびかい、にぎやかな朝でした。それにしても、ふ~っ、寒かった。湯たんぽも持参すべきだったかな。

(2003-11-27)

No.119
ごはんやよぉ~

濃いグレーのアンゴラ混でもっかもっかの五分袖タートルはリサイクル店でめっけたお気に入り。さらにその上に、手編みできなりの長年愛用のベストを着込み、箒とちりとり片手に薪ストーブの灰を始末し、乾いた雑布でガラスの煤をぬぐう。手縫いの雑巾を数枚手にとり、さあて、と台所仕事をはじめます。

まずは、昨夜の内に精米しておいたお米をしゃっしゃっしゃっ、銅鍋の水にひたす。銅のやかんががたがたがたっと音を立て、炊きあがった御飯の音がぷちぷちぷちっ。味噌汁の出汁の香りがふぅ~んとする頃、かよい猫のぶちさんが、きまってちいぃさな声でにゃぁ~ん。ちぶたぁ~い水で洗った白菜の糠漬けと、鯖の塩焼きに大根おろし、薪ストーブも程良く燃えたところで「ごはんやよ~ぉ」

(2003-12-06)

No.120
地のもん

昨日、氷見に出掛けたので、地元のおっかちゃん達の店その名も「おらっちゃの店」に立ち寄りました。それぞれ自慢の作物や加工品が生産者の名入りで提供されていて、地のもんだけが並んでます。おはぎあり、梅干しあり、大根のビール漬けあり、赤ずきの干したのあり、山の物で作ったハイカラなリースあり、竹細工ありで楽しい販売所。昨日はとってもさぶい上に海からの風もつよぉ~く、鼻水がおっこちそうでしたが、小さなお店に入ると、割烹着を着た逞しいおっかさん達が揃って明るく賑やかに迎えてくれ、暖かな雰囲気。「私の作った漬けもんおいしぃよ。塩分ひかえめやちゃ。買ってってっ!」と、セールストークも笑顔付き。

(2003-12-08)