雑記帖 - つれづれのことのは

No.291
「高岡の懐かしい味」おまけ 大根めし

京の駄ら仏さん:
ぺこさん、ようやく大根飯の全容がわかりました。親切な友達が作り方を丁寧に教えてくれました。 それは電子レンジのない時代の生活の知恵の賜物でした。まずは作り方を

  1.  鍋あるいは土鍋の底に割と厚くそぎ切りにした大根を2段ほどならべる。
  2.  その大根の真ん中に味噌を適量(大さじ1杯)のせる。
  3.  その上に冷やご飯をこんもり盛り上げる(ある程度の量があるほうがよい)。
  4.  弱火で(ほんとうに小さな火でよい)1時間ほどあたためる。
  5.  できたら全体をまぜる。

大根が少し焦げるくらいがいい。あせらずに!大根の水気によって冷やご飯がうまい具合に蒸される。ただ蒸し器で蒸すのとは違った、少し焦げて香ばしい大根と味噌の味がご飯に滋味を与えてくれ何杯でもおかわりをしてしまいます。

すっかり電子レンジがなかった時代のことを忘れていましたが、あの時代にもおいしく食べる為のやさしい心づかいがあったのですね。長年忘れていた味をゆっくり噛みしめて味わいました。一度お試ししてみてください。

(2007-03-08)

ぺこさん:
美味しかったよ~。電子レンジをずいぶん前に廃棄した我が家では、大中小と様々のななかまどさんの土鍋を毎食愛用の日々。そして弱火でゆっくりは、ぽこさんの得意技。お気に入り献立がひとつ増えました。掲示板がこんなに楽しく展開するなんて、あんがたいこっちゃ♪みなさんも、是非、お試し下さい。

(2007-03-08)

No.292
賞味期限

昔、家庭科の時間に「買い物にいったら賞味期限をよく確かめ、新しい物を買うのが賢い主婦のあり方ですわよ」と先生から教えられました。ばか真面目で素直な性格に加え、修身が着物を着ているような母親に育てられたおかげもあってか、そのことを信じて疑わなかった。子供の頃に受けた教育の影響というのは、こわい。

10年来愛読している「食べ物通信」の記事に、頭をどつかれたような衝撃をうけました。「飢餓に苦しむ国の人々は、食べ物を無駄にしないようにと、きまって古い物を先に買ってゆく」そうなのです。果たして知恵や心が豊かなのはどちらなのでしょう。

私の「えらい人」の基準は、例えば「くさや」のように鼻の曲りそうな発酵食品を考案し初めて口にしてみた人なのですが、その勇気を称えて金メダルを差し上げたいと日頃思っとります。嫌いな人にとってはとんでもない匂いを発する「おこもじ」なんぞも、ぽいっと捨てられ「廃棄処分」ということになりそう…。えらいこっちゃ。

なんでもかんでもにぺたぺた貼り付けられている「賞味期限」表示とやらも、ちとまゆつばもんでは?。私の大好きな「つけもん」も、現代の食品なんとか法の監視と規制のもとでは生まれ得ないし、絶えちゃうのではと危ぶまれてくるのです。やっぱり、「そやちことぉ~」と頭かしいでゆきまする。

(2007-03-10)

No.293
春の嵐

日曜日、島津室内全日本テニス大会決勝戦に京都へ駆けつけました。たまたま仕事で在京中だったうりこさんにも会場に駆けつけて貰った。トさんが後援会長になって応援している高岸知代さんは、笑顔がとびっきり可愛くてマナーが良く気持ちのいい選手。試合は「手も足も出ず」という表現が相応しく、残念な結果だったのですが、この経験を生かして次にチャレンジしたいという発想の転換と気持ちの切り替えに頭が下がりました。大好きな選手はグラフとフェデェラー。どちらもコート上でガッツポーズなどはめったにみせず、危うい審判の判定にも抗議や怒りを露わにすることなく、まるで自然体に見えるほどに巧みで美しく技が決まる。見ていると実に気持ちがいい。ほんまもんのプロなんだろうな。

試合後、もちろん「おたまちゃ~ん」と、一目散に待ち合わせの場所目指したのですが、期末決算大売り出しの大渋滞に巻き込まれ、一筋裏道に回ったところ、さらに戻れない路地ときている。田舎者の浅知恵は通用しないのだ。「裏道やったら、きっと早いがやない?」「いったいこの車、西にむかっとんがけ、東にむかっとっがけ?」「だから、はやくナビちゃんにたよられいうたやろ!」車内はケンケン諤々、春の嵐が吹き荒れた。

ようやくご対面となった「たまちゃん」は、なにも知らぬげに実に平和な寝顔でほっぺを赤くしてスヤスヤ。静かな面持ちなのでした。アフタヌーンティーでお腹を満たし、出かけた先はなんと帽子屋さん。若い人達が手仕事の品々を商う楽しい場所でした。こんな処に?と信じられないような小路の先に小さな古い長屋が並び、まるで落語の世界に飛び込んだ様。もうすっかり傾いでしまった床や低い天井、一部「こまい」の見えている古い壁等、家の息遣いが聞こえてくるようで存在そのもの自体が懐かしさの表情を持っている。自作の帽子を商う若い二人がとても愛おしくなってしまった。昔、ノルウェーのベルゲンで古い古い木造の倉庫群でアートな作品を商う若者に感動したのだが、日本にも古い物の良さを認識してくれる若者がいることがとっても嬉しい。手織りの紬で作られたハンチングがお気に入りとなり、トさんは鏡に映った自分に照れながらもなかなかに満足げ。

楽しく会食が終わり、一路高岡へと走り出したものの、帰り道がまた大変だった。高速に乗って米原を過ぎた辺り、「あれっ、なんで除雪車なんか走っとんがやろ?」と話していたら、もうほんとに突然のもの凄いブリザードに道は一寸先が見えず、さすがのうりこ先生といえども、50キロ規制なんてうそ、30キロしかだせないのだ!春の嵐は半端じゃない。家に帰り着いた頃には運転していた訳でもないのに肩も脚もばんばん眼はしょぼしょぼとなりはてておったとさ。うりこさん、ご苦労様でした。またまたお世話になりました。

(2007-03-15)

No.294
ノルウエーのベルゲン

若い頃、演劇少女だったぺこばぁは、イプセンの「人形の家」に衝撃を受け、イプセンの「ペール・ギュント」はグリーグに繋がり、グリーグといえばノルウェーに繋がっていました。今は昔1993年のある日のことです。生誕150周年のグリーグ・フェスティバルが富山の田舎にもやってくることが判り、いつものようにうりこさんにチケットを手配して貰い、いそいそとふたりで出かけました。

キタエンコさん指揮するベルゲンフィルハーモニー管弦楽団の「ペールギュント」や「フィンランディア」の美しさにうっとり。ふくよかで豊かな音の響きにすっかり上気したまま、記念のカタログを胸に抱きしめて会場を出た処、なんと、楽屋の出入り口でばったりキタエンコさんに出会ったのです。美しい奥様と連れだってすらりと長身で優しい笑顔のマエストロが、驚いたことに手を振りながらにっこり微笑んで下さったのです。

ミーハーな私は、ちっとも偉そうじゃなかったキタエンコさんにすっかり嬉しくなりました。早速ベルゲンを調べ、小さな町にノルウェーでもっとも古い歴史のある交響楽団が有ることや首都はオスロなのに、自分達のことを「ベルゲン人」というほどに独自の文化・芸術活動を誇る人々がいることを知りました。そして伏木と同じく港町であることにも旅情をかきたてられました。いつかきっと北欧へ行こう、ノルゥエーへ行くならベルゲンへ行こうと心に決め、もちろん、できることならベルゲンでグリーグさんやシベリュウスさんを聴きたいとも思ったのでした。

片言英語しかしゃべれないというのに、ふたりは怖い物知らずのでこぼこスカタンコンビときています。海外旅行には、一泊目は決めているが、後は行ったとこ勝負がしばしば。おかげで失敗話は数知れず。その上、ぺこは、自他共に認める我が儘者。要求が多くはっきりしている性格が、日常では数々の災いの元なのですが、と・ぺこの弥次喜多の旅では結構役に立っているのですよ。とさん曰く「アドミラルのぺこファンクラブ」が誕生したホテルはほんとに快適で素晴らしい景観でした。美しい町で、いつもの様にななぜか天候にも恵まれ過ごした日々は今でも何度もことある毎に思い出します。ゆっくり周囲を散策しているとピアノの音が聴こえてきたグリーグさんのホール、日本で言えば人間国宝としての待遇を受けていたグリーグさんのりっぱな記念館、それに比して静かなフィヨルドに面した質素だった作曲小屋、今も瞼に焼き付いています。

(2007-03-25)

No.295
地震発生!

ここの所、親戚の葬儀に始まって、義姉の入院、お見舞いの妹の帰省、そして突然の叔母さんの訃報と続き、さらに、大きな仕事が入ったり、解決済みの仕事を蒸し返す人がいたりで、これでもかの怒濤の日々でした。昨日、「留守はまかいとかれっ」と大きな口を叩きながら、駅のホームでトさんを送り出してから、トさんの代行で一日葬儀や法事をこなし、ほっとしたところでした。多忙の日々の連続だったというのに早朝に目覚め、今朝は読書を楽しんで、最高の楽しみもう一度の朝寝を楽しんでいるところへ「ぎしっ、ぎしっぎしっ」と古屋が家毎揺れ動きました。より揺れる2階で寝ていた私は、いやはやびっっくり!!!小心者なので、今でも心臓がばくばく。だいじょうぶだいじょうぶ、と自分に言い聞かせてますが。

我が家の被害はリーデルのワイングラスが1っこ。 日頃用心深いほうなので必ず棚の深い場所に置いていたのに、心持ち手前にあったものだけは、おっこちました。 沢山の書籍で溢れる家なのですが、みんな作りつけか本棚の上に留め具がついているので、大丈夫でした。事務所の被害は、三階の飾り棚の上の大きなスタンドがひっくり返って床に転がり、凸さんがぽこさんにプレゼントしてくれたお洒落な猫のオブジェも転倒、でも嬉しいことに無傷。食器棚の中ではワイングラスが倒れていましたが、心配していた扉が開かなかったおかげで割れませんでした。ほっ。と、思って窓の様子をを見にいった処で「あちゃっ~脚折れとる!」。窓際に飾っていた猫一匹だけが転倒・骨折していて可愛そうなことでした。あちこちに旅行すると必ず各国の猫の小さなオブジェを買ってくるので本棚の隅や食器棚には楽しい思い出多い猫達がいっぱいなのです。

あっ、そうそう、我が家の庭の灯籠の頭の部分が転がり落ちていることに気がつきました。5年ほど前に、専門の庭師の人達に入って貰って補修した筈だったのですが、びっくりです。飛び石の上だったら粉々だったでしょうが、築山側に落ちたのが幸いでした。震源に近い門前町はお年寄りが多いそうです。早く復旧工事が進むといいのですが…。

(2007-03-25)

No.296
とっさの時の

地震の1時間前のことです。読書しながら、なになに本日の格言は「いつまでもあると思うな親とカネ ないと思うな運と災難!」。まさか1時間後に肝をつぶすことになるとは思いもよらず、これは是非とも孫のたまちゃんに書き残したい諺のひとつだ等と枕元にメモを書き於いてうつらうつらしとったのです。さて、1時間後、がばっと布団をはねのけて飛び起き、「ぽこさぁ~ん」と、叫びなが階段をかけおりたのですが、その時、とっさに手にしたモノはなんだったでしょう。

ぺこの読書の友といえば、小さい頃一番好きだったのが干し貝柱。それも中華料理に使うような立派なあれです。最近はすっかり歯がすかすかになりはざかること甚だしいのと、あんまりにも高価でだんだん口にしなくなってきたのです。お次は、するめ。これは熨斗烏賊であろうが、塩烏賊であろうが、干烏賊であろうが剣先であろうがなんでもござれ。こっちは比較的お手頃価格なので、懐にも響かないと安心していたのですが、なんと今年は暖冬で氷見漁港の烏賊の漁獲がゼロという日が続いたそうで悲しくなります。お次は、「え~っ、おかきにおせん」。それも丹波の黒豆のたっぷり入った歯ごたえのあるやつが好き。ぼりぼりっがりがりっ、とにかく噛んばっているのが好きなんです。

さて、話が長くなりました。夢中になって読書しながら「北海道産 カミ噛み あたりめ」を口にしていたとご想像下さい。大慌てで起きあがり、無意識にむんずっと掴んで下に駆け下りたぺこの手には、しっかり「あたりめ」の筒が…。枕元には、銀座の伊東屋さんで見っけたお気に入りの携帯ラジオも携帯電話も並べて寝ていたというのに、いざというときには、この様だったがいね。とほほ。

(2007-03-26)

No.297
夜回り

トさんが生まれ育ったこの町に住んで、もうかれこれ30年。 町内に住んでいると、月替わりで回ってくるのが月当番。積立金を出し合って中古物件を購入した小さな公民館の掃除が年に2~3回。そして、二月に一度位の割合で回ってくるのが、夜回り。「火のよぉ~じん」と呼ばわる訳ではないのですが、つるつるになった持ち手がついた鐘を、チリィ~ンチリィ~ンと振りならしながら街灯の故障がないか点検して連絡帳に「異常なし」と書き込んでお隣へ回す約束になっています。

今日も「ありゃ、またや、ゆれとるっ」という余震があり、「そろそろ大丈夫かな」と準備しておいた水着の使用は明日に見送り。泳いでいる時や、着替え中に、大きな地震が来ると困るしなぁ。「なんだ、ばぁさんか」と埋め戻されるかも~と落語のような話も頭に浮かんだりして、脚が遠のいている。気がつけばちょうど1週間、プールにはご無沙汰。1週間もバタ足していないと、どうみてもお腹はふっくら、やや重い。「これは、まずいぞ」とお腹をなで回している処へちょうど夜回りの鐘が届いた。「わたしが!」と自ら当番を名乗り出て、夜回りに出発。

今夜は朧月夜。ここのお宅もあっちの家も昔は商店街だった家並みが、どこもかしこもしもた屋になってしまった。貸衣装屋さんで店番していたばぁちゃんのまるい顔や自転車で配達に忙しかったおじさんの顔、古い本が一杯並んでいた貸本屋さん、店先で器用に鼻緒をすげ替える音がとんとん聞こえていた下駄やさん、日替わりの標語を墨痕鮮やかに店先に書いていた薬屋さん、子供達に「あげるよ」とおまけを渡してくれた駄菓子屋さん、大好物の小豆アイスを委託販売していたなぁ~、とちょっとしんみりしながらチリンチリン。

遠い目になったりしてあれこれ思い出しながら歩いて半ばまで来たところで、お隣さんにばったり。「ぺこさん、最後の夜回りごくろうさん!」と挨拶されて、初めて知った。 若い人達は郊外へ移り住み、残されたのは老夫婦や一人住まいの人ばかり。夜回りする人を更に警護する人がいるかも…と心配されるような住民が多くなり、役員会で「夜回り」の取りやめが決まったそうな。こうしてまた、人の眼と気持ちの繋がりがうすらいでゆくのかなぁ~となんか寂しいような思いもしないではない。

(2007-03-29)

No.298
四半世紀

極寒仕込み「北陸」の限定手作り醤油の畑醸造さんへ行って来ました。なんと25年ぶり程の再訪だったのです。かれこれ、というかあっという間に四半世紀!!まだ、ぽこさん凸さんも小さかった頃、出来るだけ添加物のないものを食べたいもんだと生協の仲間と見学に出かけ、感動したでっかい木造の桶がそのまんま健在でした。

建物は、木をふんだんに使って改造されていましたが、ほんとに隅々まで綺麗に掃除と手入れが行き届いていたので改めて感心しました。工場の前に作られた直売所には、自家製の鰊の麹漬けやたまり漬けの漬け物、沖縄の海の塩、こだわりのお味噌に新鮮なとれたて野菜等どれも吟味された品々が並んでいて嬉しくなってしまた。例の如く「あれもこれもそれもください」とどっさり買い込んでしまいました。

年々、発酵してゆく醤油の香りがなんともいえず、小さいながら家族で揃ってお仕事される様子がほのぼのとして、お醤油の味を更に深くしてくれる気がしてきます♪

(2007-04-16)

No.299
スノードロップ

事務所に出る前に、整理中の書類を蔵の家に運びました。空き地にふと目をやると、あちこちにスノードロップの清楚な花が静かに咲いています。なんがいねさんが届けてくれた自生の三つ葉のあえものがしゃきしゃきと美味しい。好物のうどの味噌和えやきんぴらも春ならでは。寒さがもどって来たりしているが、春を感じる食卓は嬉しい♪

(2007-04-19)

No.300
生姜の力・塩の力

もっか、強力な風邪菌に冒されている三人なのですが、うんうんいいながらもやらねばならぬ仕事が山積み・・・。昨日は、ぽこさんが生姜たっぷりあんかけうどんを作ってくれ、更にナンバをたっぷりかけていただきました。汗をたっぷりかいたおかげで今朝は随分様子回復していて効果抜群。生姜の力は凄い!

ついでに塩の力にもお世話になっています。唾を飲み込むのも痛い程喉が腫れていたのが、ぬるま湯に塩を溶かして、「うがい励行!」とタスキをかけた衛生係の如くガラガラ、ガラガラに何度も励んだお陰で随分楽になってきました。「海の塩」の力も凄い!

勿論、淺田飴もみんなで嘗めている。こちらはニッキの力?それにしても、鼻水なんとかならんかいのう・・ジュルジュル、グシュグシュ。

(2007-05-10)