雑記帖 - yo:ku:nel

No.71
らくだ

本日は、日本酒研修(功罪)の補習授業を受けた。「らくだ」は、上方落語の定番である。これまで、六代目松鶴のを、CDで聴いたことしかなかったが、生で桂雀三郎の「らくだ」をきいた。雀三郎は、亡き枝雀の弟子だけあって、まことに芸達者。「らくだ」をたっぷり堪能した。

話は、長屋の鼻つまみ者、「らくだ」がふぐに当たってぽっくり逝ったところから始まる。そこへ現れた兄貴分の「やたけたの熊五郎」、おりから通りかかった紙屑屋、高岡では「ほんごかい」をつかまえて、長屋中から、酒、肴、香典、棺桶を集めさせる、「さー一杯呑め」と無理矢理お酒を紙屑屋に飲ませる熊五郎、次第に本性を現し、熊五郎をあべこべに脅しつける紙屑屋さん。

雀三郎の、酒をのみ、次第に酔っぱらってゆくシーンが絶品。トもまれに、いやたまに、あるいはときどき、そしてしばしば、あーなっているのかと身につまされる。サラ金やJTではないけれど、借りすぎ、吸い過ぎ、呑み過ぎにご注意を。

本日は、猛烈に寒かったので、「三千盛朋燗」を燗で少々。日頃燗酒を滅多に飲まないペコさんも盃を重ねて、美味しいという。最後に盃を出して「冷やでもう一杯。」(お粗末)

(2005-11-21)

No.72
入魂の瞬間

それは、ショスタコーヴィチのヴァイオリンソナタ第二楽章だった。庄司紗矢香とピアノのイタマール・ゴランの貌が変わった。突然の激しい演奏に心臓を鷲掴みにされた。今夏の台風時の西表島から石垣島の船を思い出すような激しさ、いやあのときは上下だったけど、今回は360度の揺れ。トも、テニスと仕事で稀に何度か体験した世界。テニスで言えば、テニスボールがハンドボールほど大きく感じる(笑い)。

紗矢香さんは、前回高岡で、見たときより、50センチくらい身長が高くなっている様に見えるくらい大きく見える。楽章が終わると二人とも放心状態で、愛想笑いがない。先週の「みどり」さんに続いて阿修羅を見た聴いた。

さて、みどり&紗矢香に負けない入魂のお酒を飲みたいものだ。 あなたにとっての入魂の酒を教えてください。トは、最近では、「三千盛」朋醸の燗酒かなー。今年の「勝駒」純米も、あか抜けした味だった。明日福井美浜町の「早瀬浦」純米吟醸が届く。楽しみだ。

(2005-12-01)

No.73
正月

皆さん、あけましておめでとうございます。
昨晩は、勝興寺で、鐘をついて一年間の煩悩を払い、住職さんからありがたい御神酒(寺だからどういうんだろう)を貰い年を越しました。

明けて今日は晴れ。久しぶりの青空のお正月でした。まずは、お雑煮にお屠蘇で乾杯。お屠蘇は「扶桑鶴凌雲」でした。昨年から、愛飲している飲みやすいお酒。沖縄の大嶺先生の泡盛用のおちょこで一杯。うっめー。

晩は、「早瀬浦純米大吟醸」。日頃このクラスは滅多に飲めないけれどさすがに純米大吟醸はとろっとしておいしい酔う。香りが立ち、喉に逆らわない。これも昨年発見したお酒。 今年も美味しい酒にめぐりあいたいなー。

正月は、これに白赤のワインもいっていいかな。 白は、シャルドネ「レ・ドメーヌ・ポール・マス」きりっとして、華やか。 赤は、イタリアトスカーナ「AUREO]こくがあって、華やか。 どっちもグー。

どなたさまも、ことしも、よろひく おねはい もーしあえます。

(2006-01-01)

No.74
雪見に一杯

花見に一杯、月見に一杯は花札の世界。そして雪見に一杯もまたいい。庭には山のような雪、火鉢にかけたではなかったアラジンにかけた鉄瓶がチンチンと音を立てる、そこへ銅のちろりをするり。やがて、ふつふつと泡がたつ。肴は、鰯の糠漬け。塩具合が絶妙。 雪国の楽しみの一つ。雪すかしはだやいけど魚はうっまいし、酒は、、、、、でまーいいか。

さて、問題は盃。昨日、角偉三郎さんの盃をゲットした。直径約9センチ、厚手の木地。ちょっと立ち寄った富山のギャラリーNOWさんに新規入荷。一目で気に入り、こっ、これ下さい。盃を手にしただけで喉がごろごろとなるのが呑兵衛の悲しき性。見て良し、手にして良し、酒を入れて良し。宝物が一個増えた。

一方、最近沖縄読谷村のやちむんの里でゲットした一個400円也だけど厳選に厳選を重ねて選んだ数個の杯がお気に入り。杯の内側にも、きれいな模様があり、酒を入れると怪しく揺らめく。何と言っても、全部登り窯で焼かれた焼き物。

さて、本日のお酒は福岡の「庭の鶯」の純米吟醸うぐいすラベル。ここのは、達磨ラベルが有名。小さな蔵で丁寧な造り、好みかというとやや砂糖水のように感じるところが気になるときもあり、美味しく感じるときもあり、曖昧な印象であった。

(2006-01-18)

No.75
寒ブリ

沖縄のさむさん・のうさぎさんを感動させた富山の寒ブリ。氷見の寒ブリが名高いのは、北の海から南下中の鰤の大群が、鰤起こしと言ってる雷に驚いて富山湾に飛び込むと氷見の大敷網が、口を開けて待っている。この時期が鰤の産卵期で、脂がのっている。昔から、富山とりわけ氷見では、取れたての鰤を嫁の里から婚家へ届ける習わしがあった。届けると片身は返される。それで、両家が正月を過ごした。我が家の片身は、猫パーティに行っちゃった。

鰤は、飛騨や信州にも運ばれたが、それはあくまで塩鰤。刺身を口にすることが出来たのは、富山だけだった。それが、いまや、海を隔てた青い魚赤い魚のみーばい・ぐるくんの沖縄で、あんな暖かい海へ鰤が泳いでいったらどうなるかと想像しただけで確かに感動もんというのもうなずける。トのお勧めの食べ方は、大根おろしと本わさびと本醸造醤油をたっぷり付けて厚みの刺身をというもの。

サムさんの「M」でのお酒が、土佐の酢鯨、佐渡の北雪と言うのも驚き。さすが那覇1,2の高級寿司店。さて、本日のお酒は、醉鯨と同じ土佐の安芸郡田野町の「美丈夫」純米吟醸雄町50。これが冷やでぐー。とっても辛口で、やや重くて、最後にほのかな香りが。鰤に合いそう、今日は鰤は無いけれど。あーブリが食べたい、しかし居酒寿司のマスターは、昨日から石垣島へ翼を休めにいった。

(2006-01-24)

No.76
天神様

富山では、12月25日から1月25日まで、天神様を飾ります。天神様は、学問の神様菅原道真さんのこと。道真さんは、25日生まれの25日没と言うことで、25日が節目。道真さんを描いた掛け軸か木彫の天神様を床の間に飾って、お酒やお餅をお供えします。1月25日は尾頭付きの鯛を飾って、お開き。

この風習はどうも、全国区ではなくて、富山と福井だけらしい。今日のTVでは、福井はカレイの焼き物を供えるとのこと。福井県民は今日は、魚屋さんへカレイを買いに行く。富山では蟹を供える処もあるらしい。まー結局供えた人達が食べるので、自分が食べたいものを供えるのかなと言うと、この罰当たりめと言われそう。

男の子が生まれると、天神様が嫁さんの家から届く。掛け軸にしても木彫にしても、結構なお値段だ。それにお金をかけるのは、学問の神様にあやかって欲しいと言う意味か。我が家にも、2つの掛け軸を飾ったが、お開きは、ただしまうだけ。だから、学問が成就しないのかと思ってしまう。

昔、もう一個あった天神様は、顔が酒に酔ったように真っ赤だった。だからお酒だけ成就したのかも知れませんなー。

(2006-01-25)

No.77
モーツァルト

今日は、モーツァルトの誕生日。ウィーンの森川さんのカキコにもあったけど生誕250年というモーツァルトイアーの今年。涙が出てくるような旋律が、いくつもありますねー。トにとっては、協奏交響曲第2楽章であり、ピアノコンチェルト21番であり、交響曲39番であり、弦楽4重奏3番、4番であり、K563であり、ほかにもいくつも、、、、、、、。

彼の音楽を聴いていると、宇宙と交信できる人間がいるんだと思わざるをえない。最近話題のお金で何でも買えるとか、お金しか信用できないという人とは対極の世界だ。モーツァルトは、僅か30年あまりの人生で、250年たった今世界中の人を癒している。かたや当時権勢を誇り、モーツァルトをいじめたザルツブルグの大司教の事は誰も知らない。お酒でも、モーツァルトの音楽を聴かせて熟成させている酒もあるくらいである。

さて、本日は、モーツァルトにちなんで、早熟のお酒各種。 まず、沖縄から届いたオリオンビール「一番桜」麦芽100%。沖縄へ行くと青い海で泳いで呑むオリオン生が格別美味しい。「一番桜」も行ける。ペコさんは、これが缶ビールとは思えないとの感想。次に、同じく沖縄からの泡盛「さくら祭り」25度。これがまたすいすい飲みやすい。そして、もう一個はこれも本日出荷の日本酒の「しぼりたて純米三千盛」。絞りたてだけに発泡酒のようにシュパーと来る。今年は格別寒かったので、日本酒は期待できるかも。

グルダのピアノがころころ響いている、とは「さくら祭り」を大濱さんの杯で、もう一度、モーツァルトさんに乾杯。こうなれば、角偉三郎さんの杯でも、モーツァルトさんに乾杯せにゃーならぬ。ぐび、ぐびー。

(2006-01-27)

No.78
三千盛しぼりたて純米

この酒、いよいよ二本目に突入した。 角偉三郎盃に入れると、しぼりたてなので盃の中心に約一センチの泡の渦が出来て、さらにそれが底に影を落とす、ことを昨晩発見した。普通の酒なら、泡も小さいしあっという間に消える。処が、しぼりたては泡が大きく、消えるまで四,五分かかる。シャンパンの泡ほどでもないが、それに近い。シャンパンの泡は、いいグラスだといつまでも泡が底から立ち昇る。その秘密はいいグラスは、底に傷が付けてあるからとか。

谷崎潤一郎の「陰影礼讃」によると、漆器の美しさは、燭台のようなぼんやりとした薄明かりの中に置いてこそ、はじめて本当に発揮されるという。そこで、今日は、燭台に和蝋燭をともしてみた。和蝋燭がちいさかったので、暗い。しかし、角さんの盃の魅力は十分に伝わる。どちらかというとスモーキーな朱色が闇の中に怪しく浮かぶ。その中にしゅわーとした三千盛が揺らぐ。漆器と汁物の相性は、例えば椀盛りは陶器でと、とても考えられないことを想起すれば十分である。

再び谷崎。「私は、吸い物椀を手に持った時の、掌が受ける汁の重みの感覚と、生あたたかい温みとを何よりも好む。それは生まれたての赤ん坊のぷよぷよした肉体を支えたような感じである。」谷崎は漆器の魅力をさらに続けるが、お後は原文で。漆は、富山県小矢部市の縄文遺跡の桜町遺跡で発見されたほど、日本人との関わりは深い。

いやいや、今日は、三千盛しぼりたて純米だった。最近のお気に入りの一つ。案の定三千盛のホームページでも同社製品の人気No1だった。

(2006-02-06)

No.79
焼酎3種

廃刊の噂もあるYO:KU:NEL。本日は、蝋燭の最後のボッかも知れない。まずは、せり人さんの風邪お見舞い申し上げます。富山の冬は湿気が多いのでインフルエンザが東京のように猛威を振るわないことがありがたいところですが、ただの風邪は富山は寒いので、油断するとあっという間ですね。先日久しぶりに出かけた東京は乾燥しまくりであちこちにマスク。これが、インフルか、タダか、とりか、予防か判らず、一目散に逃げ帰ってきました。

本日は、焼酎3種。まずは、宮崎の芋焼酎「松露」。印象はとにかくマイルド。次の「久燿」もマイルドだが、もっとおとなしすぎるくらいマイルド。黄金千貫を常圧蒸留釜で2次発酵させるとか。次は、「久燿」。以前にも紹介したと思うけど、種子島で、甕仕込み一筋。6年間熟成させた原酒とその年の新酒をブレンドした。原料は白豊芋(白千貫)。こくがあって甘くてマイルド。これは、水やお湯で割らなくてもぐびぐびゆける。

最後は、黒糖焼酎「里の曙」。奄美大島町田酒造。原料は、黒砂糖。一口口に含むとこれには、ビックリ。和酒ではなくて、洋酒の範疇だ、うーんなんだろー。辺りを見まわすと埃をかむったギリシャのブランディ「メタクサ」の空き瓶が目に入る、そうだ、これに似ている。黒糖だけに甘くかんじるのだが、糖分はゼロとのこと。案の定、田崎真也によると、黒糖から「ラム」が作れるとのことなので、ラムの兄弟分か。暑いときにこのロックはうまそー。今夏は泡盛にすべきか、黒糖焼酎にすべきか嬉しい悩み。

昨日、イタリア帰りから、トスカーナのスーパーワイン「ソライア」2002が届いた。イタリアワインの代名詞のキャンティの名門アンティノリ家がカベルネソーヴィニオンを主体にして作った。約10年前にツェルマットでスキー後、汽車でフィレンツェに下った旅行を我が家と一緒にしたことから、イタリアに病み付きになり、その後、何度もイタリアへ。今度は娘さんの卒業旅行に同行したらしい。わーいつ開けようか、わくわく。

(2006-03-08)

No.80
ドラゴンズカップ2006

本日のお酒はぽこさんが探してくれたワンカップ「ドラゴンズカップ2006」。愛知県鶴見酒造製。かって愛知県が生んだ最大のアイドル「きんさんぎんさん」と言うラベルでも売り出したらしいが、普段酒は「神鶴」。凸助君のお嫁さんのお父さんで、ドラファンのAちゃんの誕生日祝いのために探した物のお裾分け。たかが、ワンカップ、されどこのワンカップ、なんと純米酒ではないか。さすがー 落合監督?あるいはフロントの英断。

ワンカップなら、まだ気温も低いし、燗酒やろ、でもその前に常温で一口、オー楚々とした味、ほのかな吟醸香もある、燗酒も喉に詰まらない。スキーウェアーきこんで、花見したせり人さんのポケットに2,3本ねじ込んであげたかった。でもせり人さんは寒くてもビールだったか。

球団酒と言えば、先輩格は「虎の涙」能登珠洲市産の麦焼酎。31度 12年熟成。さて、ここで問題です、31度の由来は? まーこれは簡単なので、懸賞品はなし。間違うのは野球音痴の○○さんぐらいかも。涙は虎弱かりし頃の命名、いまや「虎の笑」に変えてもいいじゃないかい。でも、東で何かが走っている、まー今のうち。

竜虎の勝利とペコさんの快癒を祈念してもう一本。 本日玄関の額を「バカバカバカ」から「いろはにほへと」に変えた。人生基本から。

(2006-04-17)