雑記帖 - 旅日記

No.6
2003秋~明日香再訪 その2「夜は暗いが当たり前」
絵:ご案内しますぞ
ご案内しますぞ

大和路に入ると、刈り取りの済んだ田んぼには、はさがけしているところがあちこちに見られるのに、まずびっくり。そして、持ち家率全国一を誇る筈の富山の家よりも、もっと本格的な和風建築で、「これぞにっぽんの家」という堂々とした木造・黒壁の家が建ち並び、あちこちに材木屋さんや銘木屋さんが多いのにも、これまたびっくり。

そろそろ日も傾きかけた大和路を、「とにかく奈良の原点は明日香にきまり」というぺこのお言葉に従い、明日香村目指してひた走り、着いたところは石舞台。まずは見学をと内部に潜り込んだところ、まってましたとばかりに「この石舞台は…」と観光協会のボランティアのじい様があらわれた。年の頃70才はとうに超えて益々元気とお見受けされ、自称「世話焼き大会世界チャンピョン」のぺこさんも真っ青の世話好きじい様。

「私達は、万葉集で有名な富山県は高岡市の大友家持さんのかっての赴任地に住んどるモンです」「ありゃまあ!そうですか」と、やたら話しがはずむ。「ところで、今晩のお宿はおきまりですか?まだ決まってない?んなら手配してみましょう!」と、トントン拍子にコトが運んで、あれよあれよという間に「朝食付き一泊4500円で、○○さんの民宿にお二人さんごあんな~い」と、あいなった。

100年程前に料亭として建てられたその家は、匠の技のさえる透かし彫りの欄間と絞り丸太の床柱が見事な床の間に、骨董屋さんの店先のように、兜・日本人形・布袋さん・銅の花入れ等々が、「よりどりみどり、お好きなものをご覧下さい」状態。「親しみかんじるなぁ~」。

縁側の作りがまるで我家とそっくりで、とても初めての宿とは思えず、すっかりくつろいだ心持ちを覚える。人好き世話好きな愛想のよいおばさんおじさんは、とてもきれい好き。洗面所もお風呂も手入れが行き届き、シーツもぱっりっと気持ちよく、思いがけなく快適な民宿。

「突然の宿泊なので、夕食は外で」と約束はしたものの、「お店は大概6時で閉まりますので急がれた方がいいですよ」とおばさんが言えば、おじさんも「レストランへ行かれるようでしたら送迎しますよ」とかわりばんこに心配してくれる。明日香の夜は、当たり前に当然のように真っ暗。つるべ落としの秋の夜は、夜空に星が瞬くばかりで、通りには人っ子一人なく、し~んと静まりかえった漆黒の闇。「日本中、なんでこないにどこもかしこも明るいのや」と日頃いぶかる身としては、暗い夜にも嬉しいびっくり。

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