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「さくら」という名前の歌が、ずっとランキングの一番になっています。この歌を聴いて心をゆさぶられる方がたくさんおられるから、こんなに長い間一番になっているのでしょう。私もそうです。じんわりと、胸がいっぱいになるのです。どうしてかなと思ったら、歌の上手さや、詩のすばらしさももちろんのこと、歌っておられる森山さんが、きっと聞いている人に、誠実にむきあって、心をこめて、気持ちを伝えよう、伝えようよと歌っておられるからじゃないかと思いました。歌を聴きながら、私も、今年、3人の女の子たちと、森山さんのように、お互いに誠実に、気持ちを伝えあいたいと思いました。そんな思いを、この「さくら」でつづっていけたらと思います。

運動会が終わりました

 晴天の中、運動会が終わりました。小さい頃から運動が大の苦手だった私。運動会もやっぱりなかなか好きになれませんでした。とくに、「自分が他のみんなより飛び抜けて足が遅い」ということがこんなにはっきりと、自分だけでなく、応援しておられる学校中の人たちにわかってしまう徒競走が苦手でした。
 大人になって、養護学校に来る前に小学校に少し勤めたことがありました。運動会の前の日、終わりの会で、私は子ども達を前にこんな話をしました。
「かけっこで、一番の人はもちろん素敵だけれど、たとえ、ビリでも、最後まで一生懸命がんばって走っている人も、やっぱりおんなじくらい素敵だと私は思うの。明日、みんなの様子を私もみんなと一緒に走っているつもりになって、見ているよ」
 自分が小さいときに、いつもいつもとびぬけてのビリだったから、きっと思わずこんなことをお話したのだと思います。
 運動会の当日、連絡帳の中に、クラスのお子さんのお母さんからのびっくりした一言がありました。
「うちの子どもが、『お母さん、明日、徒競走頑張るよ』と言うのです。驚きました。うちの子は、走るのがにがてで、運動会も大嫌い。運動会といえば、行きたくない行きたくないと言っては私たちを困らせていたんです。本当におなかまで痛くなるようで、お休みしたこともありました。それなのに、今年はどうしたことか、『明日頑張るから、はやく寝なくちゃ』とまで言うのです。本当に驚きました。わけを聞いたら、先生が、『ビリでもがんばる子は、一番を走る子と同じくらいえらい」と話してくださったとか。ありがとうございます。子どもは大好きな先生にえらいと思ってほしかったのだと思います。以前、受け持っていただいた先生は体育の先生でしたので、『走るときはいつも一番になるつもりでがんばれ。遅い子は、人の3倍も4倍も努力して、一番になれ、一番でなければ、走ることも意味がない』という話をされていたようで、子どもは自信がなかったので、出られなかったのだと思います。そういう意味でもビリでもがんばる子はえらいと言って頂いて本当にうれしかったです」
 ああ、小さいときに、走るのが遅くてよかったなあ・・・ビリでよかったなあ・・って思いました。こんなこと思ったのは初めてです。いつもいつも、どうして、自分だけがこんなに遅いのだろう・・・カールルイスとまではいかなくても、せめて、一度でいいから、ビリから二番や3番になってみたかったなあと、そう思っていたのです。でも、そのときは心からビリでよかったなあと思いました。ビリじゃなかったら、そして、私も、その先生のように、もし、いつも一番を走っていたら、同じように「がんばればきっとできるからがんばれ!!」と言っていた気がするのです。人生に無駄がないというようなことをよく耳にしますが、本当にどんなこともいつかの自分のためにあるのかもしれないですね。
 ところで、今年の運動会、みんな本当に素敵でした。一番の人も二番の人も3番の人も、4番の人も、けんめいに走る姿に涙がじんわりわいてきそうなほどでした。
 そして、何より、3人のみんなが、心から運動会を楽しんでくれている、そのことが、とてもとてもうれしかったです。
 お母さん方からも、「みんな一緒に最後までできてよかった」「いつもなげやりだったのに、一生懸命走る姿を目にできてうれしかった」「すがすがしい運動会だった」という感想をいただいて、このことも、とてもうれしかったです。ありがとうございました。
 29日の体育交歓会。石川県の6つの養護学校が集まって、いろいろな競技をします。運動会と同じように、きっと生き生きとしたみんなの姿を見ることができるだろうととても楽しみにしています。


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