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いろんなチャンス

昨日、ちょっとした事件がありました。(事件だなんて、そんなおおげさなことではないのですが)
 池田先生が、知り合いの方からおみやげにともらわれたお菓子が二ケースありました。もうずいぶん前にもってこられていて、一つは箱に入ったチョコレート。もうひとつはプラスチックのベルの形をした容器に入って、あめ玉のように、ひとつひとつくるまれたチョコレートでした。池田先生は子ども達に食べてもらったいいと、持ってきてくださったようで、箱にはいったものをみんなにわけてくださいました。そしてもうひとつは「また今度ね」と教室に置いておられたのです。その一つが見あたらなくなりました。そして、その一つは、私たちの1−3組に、なぜかおかれてあったのです。
 お昼休み、教室の隅にある、着替えのカーテンがひかれていました。私が教室に行くと、一人が「先生、二人がね」とロッカーの戸を開いてみせてくれたのです。そこには、ベルの中のチョコレートの紙包みがたくさん入れてありました。全部残りの二人で食べてしまったということをその一人がジェスチャーなどで教えてくれました。
 「どうして?」と尋ねるとたべちゃた一人が「池田先生に言うたもん」との答え。「もしそうでも、池田先生はみんなで分けようって思ったのじゃないかな?」「ふたりで食べてしまってもよかたのかな?」
 その場はそれで終わりました。
 池田先生にお尋ねすると「知らない間になくなってしまったんですよ。いえ、それはいいのだけど、ずいぶんたくさんの量だから、二人で食べてしまって、体はだいじょうぶでしょうかね」ととてもやさしく言ってくださいました。
 でも、私、だから、それでいいということにしないでおこうと思いました。せっかくのチャンスじゃないかなと思ったのです。二人のうちのどちらが、隣の教室からこの教室へ持ってきたのか、二人のうちのどっちが食べようと言って、どっちがそうしようと思ったか、そんなことを問題にするつもりはないのです。3人の大好きな子ども達に、「人のものは、けっして、ことわりなくもってきてはならないのだ。それは、やっぱり言葉は悪いけれど、泥棒なのだ」と伝えたいと思いました。
 何か起きたときに、誰が悪いとかじゃなく、こういうことはだめで、こういうことはすごくいいことだという私の気持ちを伝えたいと思っても、たとえば人の物を黙ってもってきて、自分のものにしちゃうのはダメということを伝える機会ってなかなかないと思うのです。だから、いいチャンスと思ってしっかりと伝えたいと思いました。
 今朝、朝の会が始まる前に、教室で、3人にその話をしました。少しつらい思いをさせるかなと思ったけれど、「人の物をとったら、泥棒なんだよ。泥棒さんは、おまわりさんのところに行かないといけない・・・そうすると、大好きなお母さんや、家族や、お友達ともいられなくなるんだよ」そういうと、一人の女の子の目から涙がぽろりとこぼれました。「ろうやに行きたくない」「だったら、もうそんなことはやめようね」
 涙を流している彼女が、私に抱きついてきてくれたことがとてもとてもうれしかったし、いとおしかったです。それから友達が悪いことをしていたら、自分は一緒になって、しないという勇気を持っていることの素晴らしさもお話することができました。せっかく、3人、一緒のクラスになれたのです。うれしく、楽しいクラスでいたい。仲良しでいたい・・・と思います。
 毎日一緒にいて、いろんな事がおきます。だからこそ、一緒にいろんなことを考えることができる、一緒にいろんなことを学んでいけるなあと思います。



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