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お財布をわすれました。

 私、また大きな失敗をしてしまいました。
今日は、進路先見学学習の日、卒業生もたくさん通っているあけぼの作業所へ行って、おつけものやお菓子を作っている様子を見たり、箱織りをしている様子を見学させてもらったあと、ラパークでお昼ご飯をとって、そして、1000円のお小遣いの残りで、ゲームをしたり、お買い物をしたりして楽しくすごし、そして、そのあと、金城納豆の工場を見学して帰ってくることになっていました。
 あけぼの作業所では、先輩がたくさん働いていて、「○○先生はまだいますか?」とか「めざましテレビ、いつも見ますか?」と私たちに話しかけてくださったり、漬け物コンテストで優秀賞を取られたというおつけものを見せて頂いたり、ビデオを見せて頂いて、説明を聞いたりしてすごしました。ジュースを出してくださったことがうれしくて、かなちゃんは何度もジュース、おいしいよと私に教えてくれました。
 そしてそのあと、みんなが楽しみにしていたラパークへ出かけました。1000円でみんながゲームができるくらいのお金を残すことができるのかしらと心配をしていたけれど、ラパークの食べ物は比較的安かったです。500円以下のメニューが並んでいました。
 3人とも何にしようかなと、考えていたときに、みいちゃんが、かばんの中を見ていました。そして、「私のお財布、鞄から探して」と言ったのです。
 そのときに、大変なことを思い出しました。本当に大変なこと!!
 前日にお財布を持ってきたくれたみいちゃん、「ぜったいになくさんといてや」というみいちゃんに「うん、ちゃんとしまっておくからね」と職員室の引き出しの奥に入れて、そのまま、みいちゃんに朝、渡すのをすっかりと忘れていたのでした。「ごめんね。1000円、私の使ってね」私の手作りのパッチワークのお財布と、1000円を渡しても、みいちゃんはうんとは言ってはくれませんでした。みいちゃんのお母さんが、用意してくださった可愛いお財布を使うのをずっと楽しみにしていたみいちゃんが、簡単にいいよと言えるはずがありません。ワァワァ泣いて、そして突然走り出したのです。
 いったいどこへ行くのでしょう。みいちゃんのお母さんが前に「お買い物へ出かけて、みいちゃんがいなくなっちゃって、1日探し回った」とおっしゃっておられたことを思い出しました。みいちゃんは職員売り場を走って、それから、いそいで追いかけたら、みいちゃんは下着売り場の影でずっと声を上げて泣いていました。「ごめんね」「本当にごめん。」「許してね」「みんな待っているから行こうね」どんなにどんなにお話しても、なかなか泣きやんで食事をしようと言ってくれませんでした。そのうちに中川先生や宮田先生も説得してくださって、私も、一時間、お財布を使えるようにとキティちゃんのお財布を買ってきました。食事を終えられた宮田先生が、「他の子ども達をちょっと見てきて」と言ってくださったので、「下で待っているね」と下に降りてすぐくらいに、宮田先生がみいちゃんをマクドナルドにつれてきてくれました。(女の人の下着売り場で泣いていると、困るなと宮田先生が言われたら、みいちゃんは立ち上がってくれたのですって)
みいちゃんは今、泣いていたことも忘れたように、「せんせいポテト一本あげるわ」と口に入れてくれたり、大きなお口をあけて、ハンバーガーを食べて、私をほっとさせてくれました。
 かなちゃんとゆかちゃんは中川先生と一足さきに、ゲームセンターにいました。私が行くと、二人とも、がちゃぽんで、ゆかちゃんはカエルのマスコットを、かなちゃんはドラえもんのマスコットを手に入れていたところでした。
 みいちゃんは寄宿舎のお友達とプリクラをとる約束をしたということだったので、かなちゃんとゆかちゃんと私で、プリクラをとりました。
 なかなかプリクラの機械から、プリントしたプリクラが出てこないので、集合時間に遅れそうになって、あせったりもしましたが、残りの時間をとても楽しくすごすことができました。かなちゃんは本当はお母さんのおみやげを買いたかったのです。でも、グループごとに行動することになっていて、このグループはゲームの人が多くて、それはかないませんでした。(お母さんごめんねと、かなちゃんはとても気にしていました。本当にやさしいのです)
 そのあと、金城納豆へ行きました。オートメーションの機械で、次々と納豆がパックされていく様子は、とってもおもしろくて、3人とも、のぞき込んで見ていました。そこで、納豆のおみやげをいただきました。ゆかちゃんはお母さんにあげるよと話してくれました。かなちゃんはお母さん納豆嫌いと思う・・でもおみやげにするとうれしそうです。みいちゃんも「おうちに持って帰るよ」とご機嫌でした。
 帰りのバスに乗ったのは、2時35分、学校に帰ってからでは、お金の計算ができないので、おうちの方へ報告するために、お財布をいったんあつめさせていただくことにしました。でも、みいちゃんはなかなかお財布を渡してくれませんでした。みいちゃんには、みいちゃんなりのどおりがあったのだと思います。学校へついてから、みいちゃんのお財布に入った1000円を職員室に取りに行って、それから、私が渡した1000円の残りのおつり入りのお財布をを取り替えてと頼んだのだけどそれも、納得してはくれませんでした。たぶん、みいちゃんにとっては、みいちゃんのお財布に入っている1000円は、お母さんが渡してくれた1000円だから、みいちゃんのもののように感じたのだと思うのです。そして、ラパークで私が買ったキティちゃんのお財布も、やっぱり、自分のだと思ったのだと思います。
 あげてもいいかなと迷ったのだけど、みいちゃんにはお母さんの買ってくださった可愛いお財布があるし、きっと他の二人だってほしいだろうなと思ったので、やっぱり渡すことはできませんでした。
 本当に、みいちゃんをずいぶん泣かせてしまったし、二人のことも、そのあいだ、中川先生にお願いすることになってしまって、待たせてしまったりもしたと、本当にすごく反省しました。
 スーパーでもひとり、あっちへ言ったりこっちへきたりしているあいだにちょっとのあいだだけど、みんなの場所がわからなくて迷子になりそうになっちゃうし、プリクラの印刷されるのを待っていたら、気がついたら、遅れそうになっちゃうし、本当に、なさけなくて、3人に「ごめんね」ばかり言っていたのでした。
 落ち込んでいる私に、かなちゃんは私があやまるたびに、「ごめんねえ」ってやさしい声で言ってくれるし、ゆかちゃんはにこにこ笑って、私の頭をぽんぽんたたいてくれるし、みいちゃんも、笑っていてくれるし、みんな本当にやさしいのです。
 私は3人がいとおしくて、学校にいるあいだ、3人を心ごと抱きしめたいっていつも思うけれど、本当は私が心ごと抱きしめてもらっているのだとそのたびに思います。



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