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可愛い子いつくるの?

かなちゃんのおばあちゃんが亡くなられて、昨日とそして今日はかなちゃんがお休みでした。
 昨日の朝のこと、職員朝礼がおわった後、教室へ行くと、もうゆかちゃんのバスがついて、ゆかちゃんがちょうど教室についたところでした。
「ね、可愛い子は?」ゆかちゃんが私に聞きました。可愛い子とはかなちゃんのことです。ゆかちゃんはかなちゃんが可愛くて可愛くてならないのです。ふっくらした手を見ても、小さい可愛い足を見ても、お顔を見ても、仕草を見ても、笑顔を見ても、ゆかちゃんはかなちゃんが可愛くてならなくて、「可愛い、可愛い・・」と毎日何度も言っています。私にも、かなちゃんを指さして、「ほら可愛い、ほら可愛い」というのです。私もゆかちゃんの意見に同感です。かなちゃんのどこもかも、性格も、しぐさも、みんなみんな本当に可愛いです。
 「今日はね、かなちゃん、お休みなんだよ」
とたんに、ゆかちゃんは渋い顔をしました。
「えー!!どうして?」
「おばあちゃんが亡くなられたから。明日もお休みですって」
「可愛い子がこない・・可愛い子こないの?だめぇ・・」
それから、ゆかちゃんは、一日「つまんない」ばかり言っていました。「つまらないから、したくない・・・」
「どうしてつまらないの?」
「だって、暑いから。暑い!!」
本当に昨日は特別に暑い日でした。台風が近づいてきていて、気温も30度ちかくあったということで、座っているだけで、じっとりと汗をかくような日でした。でも、ゆかちゃんがつまらなかったのは暑いからだけではなかったのです。小さい声で、かならず付け足すことを忘れませんでした。「だって、可愛い子がいないから・・・」
 それでも、ゆかちゃんは最近になく、作業もがんばっていたし(最近はあまり作業がすすみませんでした)朝の会も、参加していたし、おそうじだってしたのです。でも「つまんない」と言っていました。
 みいちゃんも、やっぱりつまらなかっただろうけれど、みいちゃんは、ゆかちゃんと遊んで、寄宿舎のお友達がいて、それから、中学部から一緒だったお友達もいます。ゆかちゃんと遊んだ後、寄宿舎のお友達のところへ行きました。
 その日、昼休みからゆかちゃんはしきりに「手紙をかかなくちゃ」と言っていました。「いったい何のお手紙?」不思議に思って聞くけれど、ゆかちゃんは「どんなふうに書こうかな」「なんて書こうかな?」というばかりです。
 画用紙を渡して、「これ使ったら?」というと、ゆかちゃんはサインペンを使って、可愛い手紙を書いていました。それはかなちゃんへのお手紙でした。
「Dearかなちゃん はやく学校に来てね from ゆか」
ゆかちゃんはかなちゃんがいなくてやっぱりさびしくてたまらないのですね。
「ディアってなんだっけ・・」と宮田先生が聞きました。ゆかちゃんに聞きたかったのか?それとも本当に、「なんだったけかな?」って思われたのか・・
「親愛なるだよ」って宮村先生がおっしゃって、「ああ、そおか、知らなかったなあ」と宮田先生が、ゆかちゃんに優しいお顔で言いました。きっとゆかちゃんのかなちゃんへの思いが うれしかったのだろうと思います。
 私は宮田先生があらためて、ディアの意味を尋ねられたことで、思いました。「親愛なる」って言葉は今は、あんまり使わないから、簡単なことばで言ったら、やっぱり「大好きなかなちゃんへ」ってことかなあって思いました。
 みいちゃんが教室へ入ってきて、聞きました。「ね、あの人は?」
「あの人って?」私が言うと、一言一言くぎるように、「ほら、かなちゃんは?かなちゃんはいつくるが?(いつくるの?)」
 やっぱりみいちゃんもかなちゃんがいないのが、さびしくてならなかったのですね。そうだよねって思いました。だって3人はいつも本当に仲良しで、抱き合って、ほおをよせあって、一緒に手をつないで、毎日毎日すごしていますもの。本当にいつのまにこんなに3人、仲良しになったのでしょう。私たちみんな、お互いに、大好きで、一緒にいてうれしい、そんななかで毎日を送れてるんだなあとしみじみうれしくてなりません。



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