「今、いのちがあなたを生きている」

 
 「今、いのちがあなたを生きている」
これは、真宗大谷派の親鸞聖人750回御遠忌のテーマ
この言葉を見たとき、私は意味がわかりませんでした。
意味不明な言葉を述べることが仏教らしく振る舞うこととでも思っているのだろうか?
どうして、人々にわかりやすく呼びかけることができないんだろう?
そんな風に思いました。
引率として本山へ上山した際、ご門徒の方が、「ご遠忌のテーマは日本語になっていない。日本語として通じる言葉を用いるべき」と発言された。
それを聞いて、私は、そうだ、その通り、もっと言ってやれと思いました。
 
御遠忌記念企画「親鸞展」が、福井市立郷土歴史博物館で催され、出かけました。
昼頃着いて、近くのそば屋で昼食、展覧会を見学しました。
秋晴れの日、まっすぐ帰るのも・・・。
いつも海を見ているから、山のルートを。
勝山へ向かって走ると、福井県立恐竜博物館という案内看板が・・・。
私は興味があったのですが、同伴の女房は・・・と思いました。
ところがその女房が、恐竜博物館を見たいと・・・。
で、見学。
恐竜博物館といっても、しょぼいものだろうと期待をしていませんでした。
ところが、発掘された恐竜の骨格の化石、大きな復元の模型・・・内容の濃い展示に驚きました。
恐竜などの化石が数多く発掘されているとは知りませんでした。
帰りの時間も気になるので慌ただしい見学でしたが、見応えがありました。
それから少し、恐竜について調べさせてもらい、勉強させてもらいました。
 
 
 
生命の誕生と進化
137億年前 宇宙の誕生(ビッグバン)
46億年前 地球の誕生
38億年前 生命誕生 細菌(バクテリア)類
4億8000万年前 魚類(最初の脊椎動物)の出現
3億6000万年前 昆虫・両生類の出現
 
恐竜の誕生と繁栄 2億数千万年前
恐竜は爬虫類と同じ頃に誕生しますが、爬虫類と違い体温を一定に保つことが出来る恒温動物でした。
また現在の爬虫類は足が体の横に配置し、のっしのっしとしか歩けませんが、恐竜は足が骨盤の下にまっすぐ配列する構造を持っていました。
大型化する裸子植物と共に恐竜も大型化していきました。
大陸中を恐竜が我が物顔で闊歩しました。
海の中へも進出していき、空を飛ぶ恐竜も現れました。中生代はまさに恐竜の世紀でした。
 
ほ乳類の誕生 2億2000万年前
子供を産み、乳で育てる新しい繁殖方法を持った生物
恐竜に比べ小さな体しか持たない彼らは恐竜に隠れ細々と暮らしていました。
恐竜が活動していない夜間に動く、夜行性動物であったと言われています。
夜に適応する生活の中で、ほ乳類は優れた目を身につけていき、それと同時に、大脳を発達させていきました。
 
鳥類の誕生
鳥は「羽毛を持った恐竜」として誕生しました。
最初、羽毛は、飛ぶためではなく、保温のために備わってきたと考えられています。
次第に羽根が立派になり、坂道を駆け上がったり、木に登るときに役立つようになったものが、羽根の発達と共に、やがて「飛ぶ」という行動のためにも用いられるようになった、というのが鳥が翼を持つに至ったストーリーとして考えられています。
 
恐竜の絶滅
6500万年前、突然恐竜が絶滅します。
直接の引き金は、メキシコのユカタン半島への巨大な隕石の落下とされています。
それによって吹き上げられた粉塵が地球を覆い、気温の急激な低下を招いたようです。
哺乳類は寒さに耐え、生き延びましたが、恐竜は絶滅しました。
食料の激減に大型化した恐竜は耐えることが出来なかったと言われています。
 
人類の誕生
類人猿とヒトが分かれたのは約700~500万年前のことと言われています。
森の中では樹上生活が外敵から守ってくれました。
また食料も豊富にありました。
草原で生きる生活はまさにサバイバルです。
自分の力で外敵から身を守り食料を手に入れる必要がありました。
ヒトの祖先は知能を発達させ、道具を使用するという選択をしました。
火と道具の支配によって人類はパンドラの箱を開けたと言えます。
僕たちの直接の祖先はそのうちの20万年前に誕生した新人だそうです。
 
私たちが祖先というと、両親から始まって祖父母、曾祖父母・・・と考えます。
江戸時代の祖先は、平安時代の祖先は、縄文時代の祖先は・・・と、想像するのは人です。
しかし、人だけが祖先ではありません。
恐竜が陸上を支配していた時代、恐竜におびえながら暮らしていた小動物も私の祖先です。
さらにさかのぼれば、38億年前の地球上の最初の生物である細菌(バクテリア)も私の祖先です。
あなたは何歳ですか?っと問われれば、私は今年還暦で60歳になりますと答えます。
しかし、私として生きている生命は、はたして60歳でしょうか?
60年しか生きていない生命でしょうか?
地球上の生物の生命は、38億年前から生き続けてきた生命です。
私として生きている生命も38億歳、庭に咲く花の生命も38億歳です。
38億年前に細菌として地球上に誕生した生命が、様々な生物として生き続け、今、私として生きているのです。
生命の事実を知れば、私がいのちを生きているのではなく、いのちがわたしを生きていることが納得できます。
 
また、新しい種の誕生はアフリカで起こったそうです。
マンモスもアフリカで誕生し、アジアやシベリアにまで生息域を拡大していったそうです。
人類の誕生もアフリカとのこと。
アフリカで生まれた人が移住し、地球全域に生息するようになったのです。
つまり、地球上の全人類の祖先をたどれば、誰もがアフリカに行き着くのです。
エリザベス女王も、オバマ大統領も、天皇陛下も、祖先を訪ねれば皆アフリカ人なのです。
 
「一切の有情は、みなもって世々生々の父母兄弟なり。(すべての生きとし生けるものは、みな、生まれ変わりを くり返す中で、いつの世か、父母兄弟であったことでしょう。)」(歎異抄第5章)
地球上の生きとし生けるもの、植物を含めた全生物は、38億年前に誕生した細菌を祖先とし、様々な生物として進化をしながら今日の姿となりました。
その事実は、親鸞聖人の言葉を証明していると思います。


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