『佐賀のがばいばあちゃん』   島田 洋七 より


ある夕ご飯の席のことだった。
「ばあちゃん、この2、3日ご飯ばっかりでおかずがないね」
俺がそう言うと、ばあちゃんはアハハハハハハハ・・・・・・と笑いながら、
「明日は、ご飯もないよ」
と答えた。
俺とばあちゃんは、顔を見合わせると、また大笑いした。

・・・・・・(中略)・・・・・・

お金がないから、不幸。
今は、みんなが、そんな気持ちに縛られ過ぎていると思う。
大人がそんな考えだから、子供も健やかに過ごせるはずもない。

・・・・・・(中略)・・・・・・

本当はお金なんかなくても、気持ち次第で明るく生きられる。
なぜ断言できるかと言うと、俺のばあちゃんがそういう人だったからだ。

・・・・・・(中略)・・・・・・

幸せは、お金が決めるものじゃない。
自分自身の、心のあり方で決めるんだ。





「少欲知足」という言葉があります。
この言葉は、欲少なく足ることを知る者だけが、本当の満足を得ることができると教えています。

私たち人間は、限りのない欲望の充足のために、地球を傷つけ、人を傷つけて生きています。
しかし、人間の欲望は、満足することがあるでしょうか。

仏教では、どんなに食べても満足できない姿を「餓鬼」と教えています。
持てば持つほどに執着の心は増します。
そして、あるものに満足できずに捨て、新たなものを欲しがることの繰り返しです。
そこに本当の満足はありません。

だから、仏教では、本当の満足は「少欲知足」と教えます。
足ることを知り、いただいてることへ感謝することこそ、本当の満足を与えるものなのです。
ないものを探して不平不満を言う生活から、私たちが与えられているものがいかに多くあるかを探す生活をすることが大切なのではないでしょうか。




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