永六輔『南無阿弥陀仏』 より抜粋@
〜 角川春樹事務所 ハルキ文庫 〜

X 弥章

・・・ 〔略〕 ・・・

今でこそ、
   伝統というか慣習の力で寺の存在が認められているようなものの、
                            この先ほんとうに心細い。

皇后の妹が本願寺に嫁入りして、
            この両家は親戚だが、ここでも神仏混淆。

本願寺では皇太子にあたる人を「新門」とよぶ。

僕は東本願寺新門と対談し、
      それが活字になったのを読んで驚いたことがある。

  こんにちは
新門様  こんにちは

・・・・対談でいってみれば僕がゲストの形なのに
          「新門様」とサマがつきっぱなしなのである。

それが本願寺の新聞だからといってもひどすぎる。

当人は「様」がついていなくても平気なのだろうに
         編集部というか側近がつけてしまうのだろう。

それにしても当人が気がついて
     こんな無礼な習慣はやめさせなければいけない。

天皇の記者会見だって天皇様とはなっていない。

本願寺がいかに思いあがっているかがよくわかるし、
     自分にサマをつける無神経さが、
         今日の仏教の頂点にあるのだから、  ・・・ 〔略〕 ・・・