むかしも今も、
また未来においても変わらないことがある。
そこに空気と水、
それに土などという自然があって、
人間や他の動植物、
さらには微生物にいたるまでが、
それに依存しつつ生きているということである。
自然こそ不変の価値なのである。
なぜならば、
人間は空気を吸うことなく生きることができないし、
水分をとることがなければ、かわいて死んでしまう。
人間は、
自然によって生かされてきた。
人間は、
自分で生きているのではなく、
大きな存在によって生かされている。
【「十六の話」司馬遼太郎 より】