訴   状

第1 請求の趣旨

 1 被告は、原告に対し、蓮如上人500回御遠忌懇志金として金2,047,000円の債務のないことを確認する。

 2 被告は、原告に対し、経常費として金828,300円の債務のないことを確認する。

 3 訴訟費用は、被告らの負担とする。

との判決を求める。

第2 請求原因

 1 当事者

   原告は、真宗大谷派能登教区第7組に属する寺院である。

   被告真宗大谷派能登教務所は(以下、単に被告教務所という)、真宗大谷派能登教区の宗務執行機関である。

   被告真宗大谷派は(以下、単に被告本山という)、宗教法人であり、原告寺院のいわゆる本山にあたる。

 3 賦課金その他の支払請求

(1)被告教務所及び被告本山は、原告に対し、毎年、賦課金、教区費及び経常費等の支払を求め、2001年度の請求は、以下の通りである(甲1号証・依頼文)。

経常費(宗派御依頼額)
金2,397,000円
宗費賦課金
金128,500円
教区費
金72,400円

(2)また、被告教務所及び被告本山は、原告に対し、随時的に懇志金その他の御依頼金等の支払を求め、蓮如上人500回御遠忌懇志金の依頼額は、金4,568,400円であった(甲2号証・経常費及び蓮遠懇志金御依頼の勧募について)。

 4 賦課金その他の支払請求金の性格等

   原告に対して支払請求される金員のうち、賦課金(宗費賦課金及び共済賦課金)は、いわゆる義務金であり、それの滞納には、願事の取扱いを停止するという制裁がある。

   その他の支払請求は、全て義務を伴わない寄付依頼である(甲3号証・賦課金条例抄本)。

 5 原告の滞納と被告の請求

   原告は、義務である賦課金については完納してきたが、懇志金や経常費等については、その金額の絶対額が大きいこともあり、しばしば完納することができず、以下の通りの未納があり、被告らはそれを請求している(甲4号証・本山経常費の勧募について、甲5号証・上納依頼書)。

経常費
金828,300円
蓮如上人500回御遠忌懇志金
金2,047,000円

 6 よって、原告は被告らに対し、請求の趣旨記載の通りの確認を求める。

第3 事情等

 1 原告寺院に対する各種支払請求は、各寺院の門徒戸数そして賦課号数を基本的な基準として支払請求されているが、原告らのような寺院による各種支払は、全て各寺院の門徒各位にお願いして、資金を用意している。

   原告は、これまでの各種支払依頼につき、原告寺院の門徒の方々に懇請して納付に努めて、それでも不足する場合は個人資産を取り崩す等までしてきたが、前記の通りの状況である。

 2 このような事態となる原因は、原告寺院の実際の門徒戸数と賦課号数の基準となっている門徒戸数に大きな相違があるからである。

   即ち、原告の賦課号数の基準となっている門徒戸数は、昭和20数年頃の戦後直後の混乱期に、諸事情により、過剰申告された門徒戸数が、そのまま基準とされている。

   そして、もともとの過剰申告の上に、能登地区における過疎化更に各戸が核家族化し、特に独居老人世帯が顕著に増加するなどして、戸数そのものが減少している上に負担能力の低下も甚だしいものがある。

   その結果、原告寺院において、所属門徒の方々に各種依頼金をお願いするにも限度があり、上記の未納状態が必然的状況となっている。

 3 原告は、組長、被告教務所及び被告本山にたいしても、これまでに、幾度となく門徒戸数の見直しを求めてきたが、なんらの見直しもされることなく、今日に至っている。

   そればかりか、被告らは、本来は単なる寄付要請に過ぎない懇志金の未納にたいしても、諸願事の停止という制裁をもって臨むことを明言したりしている。

 4 そこで、原告は、本件の各支払請求等が、その未納に対し制裁のできない任意の要請であり、法律上の債務ではないことの確認を求めるとともに、未納その他の混乱の元となっている賦課号数を適正なものに改定されるべきことを求めて、被告教務所を相手方として、七尾簡易裁判所へ調停を申し立て、同裁判所平成13年(ノ)第24号事件として係属し、調停が試みられたが、結局、相手方は、教区では何も決められない等として、何らの合意も得られず、本年4月15日に不調となった。

   なお、この間に被告教務所は、原告の調停申立等も踏まえて、御依頼門徒戸数調査特別委員会を設置し、2002(平成14)年3月19日付で、御依頼と願事停止のあり方や門徒戸数と御依頼のあり方及び門徒戸数の調査等が答申され、被告本山に対しても一定の要望が出される方向が示されている。

以 上