4月定例会報告

4月10日(土)午後一時三〇分から、国際交流会館で新年度第一回目の定例会を開催しました。ちょうど、知事選・県議選の前日でもあり、参加者は若干少なかったものの、活発な議論を行いました。

<全国情報公開度ランキング 福井三五位! 前々年度、前年度順次低落傾向に歯止めかからず>

 九八年一一月一一日、全国一斉公開請求の結果、福井県は三五位(前年度二九位、前々年度一二位)と発表されました。採点の基準となったのは、懇談会(食糧費)の公開度、出張旅費の公開度及び知事交際費の公開度の三つです。それぞれ個別に見ますと、懇談会公開度は相手方氏名非公開により二八位、出張旅費公開度は復命書の添付資料や氏名が非公開のため三九位と大幅に順位下げ、知事交際費公開度は相手方氏名非公開により二二位となっています。

 福井県の公開度の絶対値は前年度と同一であるにも関わらず、順位が低落しているのは、他の都道府県では、情報公開の改善を求める市民の声を取り入れて少しずつ公開度が前進しているが、福井県では全く改善が行われていないことによります。私たちは市民として透明度の高い行政運営とこれに並行する公文書公開条例の改正を早期に実現するよう強く求めていく必要があります。

 そこで、定例会での議論の結果、四月一一日の知事・県議選の結果を踏まえ、オンブズマンからの当選祝いとして、このランキング結果に基づく公文書公開条例の改正の要望をするとともに、各当選者に条例改正についての意見を聞くことにしました。知事・県議の方にはきっと喜んでいただけることでしょう。

<地元市町村での会員の取組>

 第二回総会の場で新年度活動方針として確認したとおり、今年度は、地元市町村での取組を強化したいと思います。さっそく、二月四日には、大野市におけるふれあい会館の建設にかかる補助金交付に関して、大野市と福井県の監査委員に対して監査請求が提起され、また三月下旬には織田町における総額一〇数億円をかけた町立織田病院改修工事(平成九年夏)のうち屋根工事において設計図に基づかない手抜き工事が行われたことに関して織田町監査委員に対して監査請求が行われています。それぞれオンブズマンの会員が地元で起きた地元の問題について提起した個人請求です。いずれも棄却されたり、却下されたりしていますが、結果が問題ではありません。住民が監視し、問題があれば監査請求まで提起するという姿勢を持つことが大切だと思います。

 また、今立町では情報公開条例制定の作業に着手しましたが、幹事の筒井さんが町民公募委員として参加されることになりました。

 また、和泉村でも情報公開条例の制定に向けて動き出しつつあるようです。ところで、勝山市のゴミ焼却場が三月いっぱいで操業停止したことに伴い、勝山市のゴミ処理問題が大きくクローズアップされていますが、新しいゴミ焼却場が和泉村に建設されることが予定されているのに、その情報は和泉村でも入手できないといいます。その謎は、ゴミ焼却場を建設するのが勝山市・大野市・和泉村で作る広域事務組合であるため、和泉村でも分からないというのです。こういった事態にも対応できる情報公開条例の制定が望まれるところです。

<北信越市議会議員海外視察監査請求>

 三月一二日、福井市、鯖江市、勝山市で、平成一〇年に行われた北信越市議会議長会主催議員海外視察についての監査請求を一斉に提起しました。これも市町村での取組を強化する一環として行いました。議長会主催の海外視察は恒例的に毎年複数回実施されているようで、市議の特権と認識している議員もいるようで、一向に予算額が減少されません。

 私たちが取り上げた海外視察は、カナダ・アメリカ行政視察(七月一五日から二四日)、オーストラリア・ニュージーランド行政視察(一〇月六日から一五日)です。その他に、勝山市については、今井三右衛門市長によるヨーロッパ行政視察(九月二五日から一〇月一〇日)も取り上げています。

カナダ・アメリカ行政視察には総勢三三名の議員(福井市三名=伊東敏宏、山田俊臣、中村正秋、鯖江市二名=山本利春、橋本常夫、勝山市二名=廣田与三次郎、藤澤七郎兵衛)が参加して行われ、一人あたり五六万円以上もの公費が支出されました。カルガリー市議会訪問など一見行政視察らしいものも取り入れていますが、中心はカナデイアンロッキー観光です。

 オーストラリア・ニュージーランド行政視察には、一人あたり四二万円以上の公費が支出されました。福井市から二名(山崎謙二、若山樹義)参加していますが、詳細な報告書は入手できていませんので、その他の市議の参加については不明です。

 最後に、勝山市長の海外視察にいたっては、九月二五日から一〇月一〇日までの一五日間であり、その間市長が不在だった。しかも、旅行に要した費用は三五〇万円程度であったと言われています。

 これらの海外視察が、地方分権の時代を迎えようとしている中、真に地方議会議員の識見・力量を高めるために本当に必要なのでしょうか。四月九日(福井市)、一三日(勝山市)、一四日(鯖江市)と、幹事らで意見陳述をしてまいります。

 ちなみに、カナダ・アメリカ視察に参加した伊東福井市議は、今年度の北信越市議会議長会の会長を務められるそうで、同議長会総会で「地方分権が待ったなしで進む中、われわれ議員の責任は重大」と発言しておられますが、いったい、この行政視察の意義についてどのように答弁されるのでしょう?地方自治の拡大が地方議会議員の特権の拡大にならないように気をつける必要があります。

<県カラ出張調査資料情報公開請求を再度行う>

 三月一八日に、福岡地裁で、市民オンブズマン福岡が行ったカラ出張裏帳簿公開請求を認める判決が言い渡されました。これは、約六〇億円に上る福岡県のカラ出張の実態を示す裏帳簿、預貯金通帳や各課ごとの詳細な内部調査文書などにつき、オンブズマンが公開請求を行ったところ、県が「公文書ではないから公開できない」として非公開としたのを取り消したものです。福井県でも、同じ理由で非公開とされたものですが、福岡地裁の判断によれば公開される可能性があります。そこで、四月九日、再度、カラ出張の調査資料の公開請求を行いました。再度の非公開決定に対しては、訴訟を提起して行くことになろうと思います。改めて議論したいと思います。