第13回定例会報告(99/5/8)

五月八日(土)午後一時三〇分から、国際交流会館で新年度二回目の定例会を開催しました。

『県カラ出張調査資料非開示処分取消訴訟提起へ』

 福岡地裁の裏帳簿開示判決を受けて、四月九日、再度、県カラ出張調査資料について情報公開請求を行いました。ところが、やっぱり、四月二三日、再度、「公文書存在せず」を理由に「公開の可否を決定できない」旨の通知が届きました。福岡地裁の判決を契機に、県でも対応に変化があるかと期待していましたが、全くの期待はずれでした。何でも都合の悪いものは隠そうとする県の体質は、県外で何が変わろうと、また知事が情報公開に前向きの発言をしても、何も変わらないようです。お堀の中は鎖国状態のようです。

 私たちは、情報公開条例の改正を求めています。そのポイントの一つが、公文書の「決裁・供覧条項」です。都合の悪い文書は、決裁・供覧という形式を踏まなければ、出さなくてもいいというのが今の条例ですが、その端的な例が今回のカラ出張調査資料です。情報公開条例の改正を求めるためにも、カラ出張一七億円返還住民訴訟をバックアップするためにも、六月初めには「公文書存在せず」を理由とする非開示処分の取消を求める行政訴訟を提起することにしました。会として取り組む訴訟の三つ目です。訴訟技術的に難しい問題もありますが、広く県民の皆さんの世論を喚起しつつ、県議会をも味方につけながら、会員の総力を挙げて、県の情報隠し体質の改善を求めていきましょう。

『北信越市議会議員海外行政視察監査請求結果』

1,市民オンブズマン福井の会員が3月12日に福井市、鯖江市及び勝山市の市議会議員等の海外行政視察につき住民監査請求をした監査結果が、鯖江市については4月28日に、福井市については5月10日に、勝山市については5月11日にそれぞれ出されました。結論はいずれも適法な公金支出であるとして監査請求を棄却するものでしたが、その理由は微妙に異なっておりました。

 私達が監査請求したのは、北信越市議会議長会主催で平成10年7月15日から24日までの10日間の日程で実施されたカナダ・アメリカ視察(一人あたり負担金56万円)に対するものが3市共通のものです。その他、福井市については別の議員のオーストラリア・ニュージーランド行政視察(一人あたり負担金約42万円)、勝山市については今井市長の平成10年9月25日から10月10日までの15日間のヨーロッパ視察(旅費3,407,800円)が含まれています。私達の監査請求の目的は、今年が統一地方選であることに鑑み、これまで多額の公費をかけて、市議会議員があたかも議員特権であるかのごとく海外行政視察に繰り返し行っている実状に照らし、そもそも海外行政視察に行く必要性があったのか、視察が市政の具体的な課題とどの程度関連しているのか、視察の私的部分についてまでも公費負担となっているのではないかを問い直すことでした。

2,このうち、鯖江市の監査結果については、海外行政視察が公益性のあるものであるとしても私的個人的な部分があることは否定できず、その私的個人的な部分まで公費負担とすることは違法であるとの基本的な考え方に立って、議員一人あたりの公費負担分56万円のうち20%相当の112,000円を旅行中の個人的私的部分の個人負担として市に納入させているから適法であるとするものです。それに対し、福井市及び勝山市ではそのような認識はなく、視察全部が公益性のあるものととらえ、全額公費負担となっていることが分かりました(なお、福井市では、参加者全員が飲食代分として一人2万円を支払っているからよいとするものですが、これは56万円の公費負担分以外であり、鯖江市とは全くスタンスが異なります)。鯖江市の監査結果は、基本的に私達の考え方を是認しているものです。

 ところが、特に勝山市長のヨーロッパ視察については、340万円もかけて、ドイツロマンチック街道や山岳リゾート地やアルプスを訪ねても、環境問題や史跡白山平泉寺旧境内の保存や恐竜エキスポふくい2000のPRという抽象的な理由で視察の全部について公益性を認めるものであり、その監査のあり方には、市民として良識を疑うところです。

 また、監査結果の最後に付言として、鯖江市では「海外視察の目的の明確化を図り、予めその目的達成に必要な資料を収集し、視察箇所や視察方法を明確にし、視察の結果を市の行政にどのように活かすかについて、事前の検討を十分になすべき。視察後には報告会の開催、実値活用に向けての研究討議を行い、各種の機会を通じて視察の成果を住民に周知し施策に反映させること」を市議会議長及び市長に対し要望しており、これは私たちの基本的な考え方を是認するもので、極めて良識のあるものです。それに対し、福井市では「議長会主催の海外行政視察は一般的であるから、参加議員は視察先施設及び市の行政課題との関連性について事前に十分調査検討すること」を市議会に要望し、勝山市においては「一層慎重かつ厳正な予算執行に努めるよう」一般的な意見を市長及び議長に述べたに留まりました。

 

3,私達は、地元でのオンブズマン活動の取り組みを強化する一環として、本件監査請求を行いました。3市、とりわけ勝山市の監査結果は決して満足のいくものではありませんが、住民訴訟を提起するかどうかは幹事会等で検討したいと思っています。

しかしながら、3市だけをとってみても、議会や公費支出に対する監査委員のスタンスの違いがよく分かりました。これから地方分権の時代を迎えるにあたり、地方議会のミニマムスタンダードをどう確保するかが私たち住民に問われていると思います。今後とも議会が真に住民のための、国際的視野に立った機関となるように、引き続き議会や行政に対する監視活動を続けていきましょう。

『新幹事誕生 波多野さん』

鯖江市在住の会員で、鯖江市議海外行政視察監査請求の請求人となり、かつ鯖江市情報公開請求第一号の波多野さんに新たに幹事となっていただくことに定例会で承認しました。よろしくお願いします。波多野さんには、情報化の時代に不可欠のオンブズマンホームページの充実に頑張っていただきたいと思います。