第18回定例会報告(99/10/9)

10月9日午後1時30分から、県民会館で定例会を行いました。8月に発足した勝山支部は、勝山ニューホテルをめぐって市議アンケートや監査請求など活発な動きを続けています。勝山に続いて、大野でも地域オンブズマン発足に向けての動きが出てきました。また、永平寺町でも、九頭竜川広域河川改修事業にからむ多額の不正なお金の動きを追及する取組が続けられています。これからの例会では、なるべくこういった会員の問題意識を発表して、皆で意見交換をする機会を設けていきたいと思います。

<カラ出張国庫精算金支出差止監査請求却下! 監査委員はカラ出張隠しに奔走 地方自治法を無視してでも住民の意見封殺!>

 何と、県監査委員は、8月24日に、オンブズマン会員を含む県民315名が提出したカラ出張国庫精算金支出差止監査請求に対して、10月8日、却下の通知をしてきました。  その理由は、要約すると、次の通りです。

1 国庫補助金、交付金及び委託費合計約4億円は8月31日までに、加算金等合計約1億4000万円は9月30日までに国に支払われたので差止の請求の利益は失われた。

2 国庫精算返還金の支出は国に返還しなければいけないのだから違法性はない。なお、加算金等は県職員幹部で組織する福井県旅費返還会が9月9日に県にその相当額を県に返還したらから損害はない。

3 カラ出張については個々の支出が特定されていないから不適法である。

 今回の監査結果の最大の問題は、判断の不当さもさることながら、その手続が明らかに地方自治法に違反していることです。法は、監査請求人に対して、意見陳述の機会を与えなければならないと規定しているのです。ところが、監査委員は、この機会をすら封殺したのです。そのために、私たちの監査請求が「不適法」であるとして「却下」してきたのです。地方自治法の定める行政手続をすら無視し、県民に意見陳述すらさせず、なりふりかまわずカラ出張隠しに奔走する監査委員!それは、監査委員事務局自体がカラ出張をしてきたことのやましさの反映です。こんな監査委員は全く不要です。いえ、有害です。このような福井県庁に地方分権が担えるのでしょうか。

実は、この動きには伏線がありました。監査請求は60日以内に監査をすることになっているため、通常、監査請求をしてから1ヶ月後に意見陳述の日が設けられます。ところが、10月1日になってもその連絡がなかったため、その日の幹事会の席上で、監査委員事務局に電話をすると、何と、意見陳述の機会は設けない方向で検討していると言うではありませんか。昨年のカラ出張監査請求でも意見陳をさせないでおいていきなり却下したのに、今回もまた同じことを繰り返すのか。電話を代わった事務局長が言うには、「まだ検討している途中です。法律に従って適正に行います。」地方自治法違反の手続無視の監査結果が彼らの言う「法律」「適正」なのです。福井には法律はありません。

私たちはこのような監査結果に対し強く抗議し、住民訴訟は勿論のこと、意見陳述の機会を与えなかったことに対する釈明の要求、さらにそれに誠実に対応しなかった場合には監査委員の罷免請求や損害賠償請求訴訟の提起を行っていきたいと思います。

 ところで、国庫に対する精算金の返還と並んで、各市町村に対しても、負担金の返還が行われているようです。カラ出張に対する監視の目を緩めないためにも、福井市、武生市、鯖江市、大野市に対して支出された県の負担金返還分につき、県と各市の双方から情報公開請求をして調査をしてみたいと思います。

<カラ出張備品管理簿非公開>

 私たちが8月に総務部長と面談したときには、総務部長は、「(カラ出張で購入した)パソコン等の備品の管理簿の公開については、ここでは公開するしないは言えないので、情報公開請求をしてもらえば対応する」と言いました。本来は消耗品や備品として購入するところをカラ出張をしたお金で購入したにすぎないから、「公務遂行上の経費に充てた」ものだという県のこれまでのカラ出張の答弁からすれば、これは備品台帳に相当するものですから公開するのは当然です。

 ところが、総務部は、9月3日に、またもや「請求に係る公文書は存在しないため」という理由で非公開をしてきました。

 これに対しては、すでにカラ出張裏帳簿非公開処分取消訴訟を提起していますが、それに加えて訴訟を提起したいと思います(当初、公文書公開審査会の構成も代わり、情報公開に積極的な答申を出すようになったから、異議申立をすることにしようと幹事会では相談していましたが、つい先日、情報公開審査会は、東京事務所の食糧費の相手方の氏名の非公開に対する異議申立につき、これを是認するような答申をしました。全国の高等裁判所で非公開処分を取り消しているにもかかわらずです。このことと、カラ出張に対する異常なまでの情報隠しの県の体質からすると、異議申立をしても、時間の無駄のようですから、いきなり訴訟を提起します)。

<勝山ニューホテル業務委託差止監査請求へ>

 勝山では、一時期閉鎖されていた勝山ニューホテルが、この10月から市営で再開をしました。何よりと思っておられる方も多いでしょう。

 しかし、このホテル、相互不動産から勝山市が平成10年12月に寄付を受けたものですが、建物には延滞県税91億円の抵当権と延滞市税30億円の抵当権が設定されている抵当建物です。当初の話では、パレスホテルが経営するから市の負担はゼロという触れ込みで寄付を受け入れたのですが、蓋を開けてみると、パレスホテルは営業を投げ出し、勝山市が営業も引き取ことになったのです。しかも、これからわずか1年半の営業で1億5000万円もの赤字が出る予定で、全額税金で負担するというのです。この1億5000万円というのも、今の試算にすぎず、勝山市は東急不動産に丸投げで営業しますから、さらに赤字幅が膨らむおそれがあります。

 すべてが来年の恐竜博対策です。しかし、市民の税金を湯水のごとく使って赤字垂れ流しのホテル経営をすることが本当に市民のためなのでしょうか。オンブズマン勝山では、これを阻止するために、市議に対して公開質問を行いましたが、それに引き続き、広く市民から請求人を募って、勝山市に対して、業務委託差止等の監査請求を提起する予定です。

<カラ出張国庫精算金税金からの支出を決めた議会の後の宴>

 7月5日、県議会総務教育常任委員会が開かれ、総務部長は「6月補正予算にカラ出張による国庫補助金の返還を一般財源から支出することになったことを報告しましたが、委員会では、一般財源からの支出の是非を問う声はなく、審議はわずか12分で終わりました。それどころか、委員の中には「予算上の縛りが強くて不適切な使用になるのも仕方がない。県民に理解してもらえるようカラ出張ではなく、目的外使用、流用という言葉を使った方がいい」(堂前)と述べて、カラ出張に理解を示していました。

それもそのはず、委員会終了後、議員と県幹部による宴会が「開花亭」で448,000円かけて行われ、全額公費で賄われているのですから。ちなみに、開花亭の請求書は県議会事務局にあり、情報公開の対象になっていません。これでは、カラ出張追及する議員がいなくても当たり前かもしれません。

<福井市長交際費調査>

 平成10年度の福井市長の交際費の情報公開を求めたところ、相手方氏名は非公開となった。理由は「個人情報」ということであった。賛助費854,000円、香料34万円、餞別2万円、御祝41万円、懇談会費199,913円、会費137,000円、合計1,960,913円が誰に支出されたか明らかにされなかった。

 交際費を支出項目ごとに整理すると、まず目に付くのが地方紙(一般紙誌ではない)の購読料と広告料。合計で2,536,178円(37・3%)である。次に、懇談会・懇親会・パーティー・祝賀会など会食を伴うものが合計で1,728,833円(25・5%)。どうかな?と思われるのがお中元とお歳暮の合計260,347円。市長という公職の立場でお中元やお歳暮というものが果たして必要なのだろうか。また、ロータリークラブの会費は私費で支出するのが本当ではないだろうか。

 今後、福井市長に対し、その使途や必要性につき、公開質問状を出し、その結果に基づいて申入をしていきたい。同時に、他の首長の交際費についても調査していきたい。

<今後の取組>

 例会の中で、皆さんの問題意識や取組状況を披露してもらいました。その中の大きな問題のひとつに、自治体会計に企業会計原則を導入することが指摘されました。現在、自治体の会計は、単年度で予算を建て、決算をするだけです。それでは、収支の状況も見えなければ、年度ごとの対比も見れません。

 また、永平寺町では、九頭竜川広域河川改修事業にからんで、同事業促進期成同盟会から永平寺町に750万円寄付されたのに、同町ではこれを歳入として計上することなく、勝手に橋竣工式の経費として250万円が支出されたりしています。永平寺町の会員の方から、これを追及していきたいとの報告と相談がなされました。

 オンブズマンは、皆が参加して、皆で相談して、皆が行動に移していく組織です。ひとりひとりがオンブズマンです。幹事に頼らずに(幹事も手一杯)、ひとりひとりが行動していきましょう。