第3回定例会

第3回定例会を、5月9日午後1時30分から、国際交流会館で行いました。好天のゴールデンウィーク最後の第2土曜日とあって、出席者は22名でした。でも、回を重ねるごとに議論する材料が増えてきており、オンブズマン活動の重要性が増してきていますので、是非次回は多数ご参加下さい。

1、オンブズマン活動について(湯川二朗)

 福井県情報公開室で公文書の公開を受けた際、会員のお一人が事務所内の屑箱をひっくり返したり、説明職員に対して悪態をつき、問題が生じました。案の定、その後、当会に対する福井県情報公開室の応対が杓子定規的になってきています。オンブズマンの一人一人の活動が良きに連れ悪しきに連れ、当会の活動全体に影響を及ぼしてきます。行政のあり方に問題・不正があることは事実ですが、それを是正するための行動にも、自ずと良識と節度が求められます。行政は市民オンブズマンを何とか弱体化させようと考えているのですから、社会的に支持の得られない活動は、行政後退の口実に利用されるだけです。

 

 また、オンブズマン活動が活発になるにつれ、市民オンブズマンは行政のあら探しをするだけだなどという陰口も出てきているようです。

 この事件を一つのきっかけにして、オンブズマンとしてのあり方を考えてみたいと思います。

オンブズマンの始まりは、中世ゲルマン民族の中で、紛争の被害者に代わって加害者から賠償金を取り立てるために中立の団体から任命された代理人でした。

 それが19世紀初頭のスウェーデンで、初めて制度としてオンブズマンが確立されました。スウェーデンのオンブズマンは、憲法上の国家機関として設置され、議会の代理人として行政・司法の監視人の役割を担うものとされました。

 現在におけるオンブズマンの機能は、行政監視・行政救済・苦情処理(園部)だと言われていますが、行政に対する市民の代理監視人であり、市民が政治・行政をコントロールする直接的手段(松下)だと考えることができます。

 このようなオンブズマンの役割を果たすものとして、制度的にオンブズマンを位置づけるという方法(制度オンブズマン)もあります。例えば、川崎市市民オンブズマン条例(3人)、東京都中野区福祉サービス苦情調整委員(福祉オンブズマン)(4人)がそれですし、行政相談制度も制度オンブズマンとして位置づけることができます。しかし、これはいわば「水戸黄門待望論」であり、今の日本では期待できません。

 

 そこで、登場するのが市民オンブズマンです。市民オンブズマンは、行政が肥大化し、議会制民主主義が形骸化した民主主義社会における市民参加の手段です。私たちは、情報公開を通じて自らが行政活動を監視し、さらには行政任せでなく、行政を敵視するのではなく、行政を手足として使い(行政放任→行政敵視→行政利用)、自分たちの街づくりをしていくことが目的だと思います。皆さんも、一度考えていただければと思います。


2、県議会宛公文書公開請求

 全国市民オンブズマン連絡会議では、議会情報の公開のために議会開示度ランキング調査を行うこととし、4月24日に全国一斉に議会情報(@平成9年実施の都道府県議員第49回軟式野球大会の実施にかかる参加者、支出、結果等、A平成9年実施の議員の海外視察の実施にかかる報告書、及び参加者、旅費支出、結果等、B平成8,9年の議員調査費の支出に関する文書・報告書)の公開請求と県議会議長宛の開示申し入れを行いました。当会でも、4月27日に実施しました。


3、県旅費調査のその後

前回ご報告したおり、3月17日に、県旅費調査委員会のとりまとめの根拠となった裏付け資料の公開を求めたところ、旅費調査委員会の所属した人事課には裏付け資料はないということで開示されませんでしたので、個別部局に請求することとして、4月27日に、農林水産部農林水産政策課、福井農村整備事務所、土木部監理課、福井土木事務所にターゲットを定めて、「旅費調査委員会の調査に際し各部局(次長等)とのヒアリングに提出した旅費調査のとりまとめ書類・裏付け文書・帳簿等一切」の開示を求めましたが、5月7日に「請求にかかる公文書は存在しない」との理由で公開の可否の決定ができない(要するに不開示)との通知がなされました。これは、おそらくこのような書類は「決裁または供覧の手続」を経ていないから、情報公開の対象となる公文書には該当しない(内部文書・メモの類)ということなのだろうと思います。

また、教育委員会に対しては、ちょっと切り口を変えて、「旅費調査の結果、旅費をパソコンやワープロ購入に流用した課、出先機関の購入状況を示す見積書、請求書、領収書、出納簿等や上記備品を搭載した備品台帳」の開示を求めましたが、同じく「請求にかかる公文書は存在しない」との理由で公開の可否の決定ができない(要するに不開示)との通知がなされました。

県旅費調査結果には、1円単位で不適切支出額が判明しているにもかかわらず、その集計根拠となった資料がどこにも公文書として存在していないというのは、県民の常識として到底納得のできるものではなく、カラ出張隠しとの批判を免れません。県民の検証手段のない旅費調査結果を信用しろと言われても無理であり、これでは、果たして本当に「不適正な支出」(要するに違法支出)が約4億3000万円にとどまるものかどうかが全く不明です。また、調査方法においても、旅費調査委員会の調査結果を監査委員が監査するという最低限の手続保障もなされていない(監査委員事務局自体がカラ出張しているのですから、監査能力はありませんが)のですから、何をかいわんやです。

後は、旅費支出にかかる旅費請求書、旅行命令簿、支出負担行為伺、復命書に直接当たるしかありませんが、年間40万件弱の旅費支出の全てに当たることは不可能です。

 したがって、とりあえずこの結果をマスコミに公表すること、資料のある監査委員事務局をターゲットにして、旅費支出の照合をすること、「不適正支出」額の返済状況を監視すること、そして旅費調査の経過を総括することに焦点を絞って行かざるを得ないと思いますが、何か名案があればお聞かせ下さい。


4、市町村旅費調査委員会設置の申し入れ

 県の旅費調査が一つの山場を越してきましたので、矛先を市町村に向け、県下全市町村に対し、5月1日に一斉に旅費調査委員会の設置について申し入れを行いました。5月9日現在、早速、南条町と清水町から「適正な予算執行がなされているので設置は考えていない」との回答が返ってきました。

 南条町については、「いち早く情報公開条例を制定した町であり、県政の透明化に尽力している町だから、問題はない」、「南条町の予算執行管理の工夫を聞いてきて、それを他市町村にぶつけてはどうか」との意見が出されました。

 ある程度回答が返ってきた時点を見て、担当者を決めて市町村への働きかけをしてみたいと思います。その時はご協力下さい。

 回答状況


5、東京事務所、福井空港建設調査事務所、広報課歳出決算調書の分析

@広報課については、「グラフ福井」関係の支出が6000万円もある。印刷費用ではなく、業者に編集から印刷まで一切を任せてそれを買い取るという方法にも問題があるし、その内容も一般には知られていないし、知事の広報誌という評価もある。そこで、「グラフ福井の発行、印刷、配送に関する一切の資料」ということで情報公開請求をしてみる。 

 委託料としてTV、ラジオ、新聞への広報費が1億9000万円もあるが、必要性に乏しい。また、カラ出張のおわび広告がこの広報費から支出されていたのでは話にならない。その明細一覧表を請求してみる。

A東京事務所については、コピー機2台他の使用料・賃借料として1900万円というのは多すぎるので、その公開を請求する。

B福井空港建設調査事務所については、県外への旅費の必要性はないと思われるのに、800万円は多すぎるから、旅費について情報公開請求する。

 食糧費については、従前から地元対策の宴会費に使用されているという噂があるので、公開請求する。


6、フェニックスパーク関連の情報公開

 入札予定価格の不開示は不当であるので、異議申立をする。

 特に日野川橋梁整備工事のP4橋脚整備工事は、談合の疑いが濃厚であるが、刑事告発は考えなくて良いか。