北部法律相談


 今年から、京都府北部の峰山町での弁護士会の法律相談を担当することになった。
 福井にいたときも、弁護士過疎地域の小浜や高浜や大飯町の法律相談を担当したことがあった。ところで、福井ではそれぞれの自治体の社会福祉協議会が開催する法律相談に弁護士会が弁護士を派遣するという形を取っていたが、京都では弁護士会自身が開催する形を取っている。法律相談事業のより進化型と言われている。

 京都市以外の土地勘が全くないため、峰山町がどのあたりにあるのか全く分からないまま担当したが、もうほとんど丹後半島の先端あたりだ。車で行くにしても、どうやって行けばよいのか見当もつかなかったが、事務所を出て3時間の道中だ。ちなみに距離的には130km程度(ちなみに、福井市から県境の高浜町までは150km程度だが、時間的には2時間半弱だから、峰山よりは時間的に近かったことになる)。9号線、178号線を乗り継いで、ようやく到着する。同じ京都府でありながら、京都市から府北部までを縦断する高速道路がなく、かえって逆に大阪からの方が舞鶴道路があって早く到着するというのは、何となく違和感がある。それとも、高速道路開設に伴う自然環境の破壊を避けるために、あえて縦貫高速道路の建設を遅らせたのだろうか。


 5月28日が1回目の担当日で、年に4回程度の担当だ。午後に相談を入れるのだが、私の相談初日は3件のみだった(いつもはもっと入るそうだ)。それでも、相談だけで終われば負担もないが、実際に事件の受任をしなければならないとなると、これまた大変だ。当日も、1件、自己破産を申し立てないといけない事案があった。お金がなくて自己破産を申し立てる人に、その後の打ち合わせの都度、京都市まで出てきてもらうということもできないため、なるべくその場で時間を長くとって必要な書面も作成してしまわないといけない。が、やはり1回で完成させるのは不可能で、再度、打ち合わせを行う必要が生じた。

 峰山まで行って打ち合わせをするとなると、完全に1日仕事だ。どっちみち1日仕事になるのなら、そのまま日本海まで足を伸ばすことにしよう。峰山から網野町の海岸までは20分程度だ。以前、網野町の琴引浜の保全のための条例づくりに関わったことがあったが、そのときは琴引浜を見ることもできなかったので、ちょうど良い機会だ。一層のこと、家族連れで休暇も楽しむことにする。
 琴引浜は、鳴き砂の浜と言われている。歩くとキュッキュッと砂が鳴くから、そのように呼ばれている。

 琴引浜の海岸を見た後、泊まった宿は、浜詰海岸の夕日ケ浦温泉。網野町の条例を作ったときは、この海岸の保全はあまり念頭になかったようだが、私には十分にきれいに見える。ゴミなんかも、福井の海岸と違って、ほとんど落ちていない。砂浜の奥には、琴引浜よりも多くの大きな旅館街がある。このような人里に近い海浜の保全も重要な課題だと思われるが、徹底的に保全すべき琴引浜とはまた別の保全の手法が考えられても良さそうだ。しかも、この当たりのゴミは、浜に来た人が落としていくと言うよりも、沖合からうち寄せられてくるものが大半のようだ。汚染者がいない海浜の美化清掃は、利用客に美化を訴えるだけではできないだけに、また別の取組が必要だろう。

そんなことを考えながら、日が傾きかけた砂浜を散歩する。


 宿の部屋から見下ろす日本海が懐かしい。部屋で食事をしながら、窓の外には、真正面に日本海に沈む夕陽が見れた。こんな光景も久しぶりだ。福井にいた頃は、毎週眺めていたのに。
 露天風呂から見上げる空も、梅雨入りしかけているのに、青く晴れている。風がすがすがしくって、まだ明るいうちに入るお風呂も最高だ。何だかんだばたばたして過ごす日々の疲れが少しは癒された感じだ。明日は、丹後半島を1周して、天橋立まで足を伸ばすことにしよう。(01/06/08記)

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