2002年12月
ジップは犬と遊ぶのが大好きだ。私と鬼ごっこはスピードがないし、パパとかけっこもドキドキしない。
いつか遊び相手をうちに迎えてやろう、と最初から漠然と思っていた。
そしてジップも一歳になったこの秋、本格的に実行しようかなという気になった。
ネットで検索し、犬種図鑑をひもとき、いろいろな人に話を聞いた。ペットショップもまめにのぞくようになった。
でも、これといってぴんとくるものがなかった。それよりも私にとっては、ジップが一番。
いままで愛情独り占めでのびのび育っているジップの性格をぶちこわしてしまうのではないだろうか、と。
本当のところ、11月の時点では、やっぱりやめよう、と結論を出していた・・・・。
ショッピングセンターのすみっこにあるペットショップにほんの気まぐれで行ったのが12月の頭。
顔は見えなかったが、後ろを向いてジップとおんなじぺったりフセをしていたウエスティーがいた。
4ヶ月、雄、半額になっていた。おおきくなっちゃってるね。でもかわいいね。ジップみたいだよ、あのフセ。
家に帰ってからも何か気になってしょうがない。パパといろんな話をした。
ジップにとっていいと思うのなら決めてきて良いよ。パパはそう言った。
次の日の夕方に1人でショップを訪れた。
ショップのおじさんはヤツを出して、私に抱かせてくれた。真っ黒いまんまるお目目。真っ黒い鼻。
うーん。どうしようかなあ。即決できなかった。そうだ。本人に聞いてみるか「うちの子になる?」
そう聞いてみた瞬間、ヤツは口をあけて笑った。これで、決まってしまった。
お店のおじさんには明日迎えにくる、と言っていったん帰宅。明日はパパとジップを連れて、迎えに行こう。
夜、パパとジップがちっちゃいころ使っていたゲージを取り出し買ってきたばかりの小さなハウスを
設置しながらも、実はまだこれでいいんだろうか、と複雑な思いがしていた。とっても長い夜だった。
パパも同じように思っていたらしい。ぐーぐー寝ているジップを二人でずーと眺めていた。
名前どうしようか。覚えやすいヤツ。ジップとコンビ組むんだもん。ロックがいいよ。
翌日。お迎えにみんなで出かけた。ジップとロックの初対面。ジップはしっぽブンブン振りながらぺろぺろ。
ロックもしっぽをふってぺろっとお返しをした。なんだかみんなで笑ってしまった。
色々悩んだことがさーっと消えていった。この時からロックはジップの弟になったのだ。
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