やまなし

そのとき、トブン。

 黒い丸い大きなものが、天井から落ちてずうっとしずんで、また上へ上っていきました。きらきらっと黄金のぶちが光りました。

「かわせみだ。」 子供らのかには、首をすくめて言いました。

 お父さんのかには、遠眼鏡のような両方の目をあらん限りのばして、よくよく見てから言いました。

「そうじゃない。あれはやまなしだ。流れていくぞ。 ついていってみよう。ああ、いいにおいだな。」

 なるほど、そこらの月明かりの水の中は、やまなしのいいにおいでいっぱいでした。

絵を工夫したところ

水しぶきを書いた。かにの子供達が上をむいていておどろいているような表情にした。

作者の思い

「トブン」と言う音は、重いような軽いような表現をだしているよう。