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「 迷 妄 」





僕の周りには

何でこんなにいい人が多いんだろう

そう思いつつ見渡してみると

みんないい人になった



僕の生活は

何でこんなにさりげなく幸せなんだろう

そう思いつつさらされてみると

風も雨も幸せになった



みんなに共通した

客観的な事実なんて存在しない

古い時代の科学の作った迷信でしかない

僕が想うこと

それが僕にとっての「世界」だ

だから

いい人に出会いたいなら

幸せを感じたいなら

心から信じて想うことである

力強く純粋に想って、想って、想って

周りの世界が持っている可能性から

僕が心地よく感じられるものだけ

取り出すことである

あらゆる不幸や悲しみも

自分の想いが作り出している

だから

迷路から抜け出せなくて苦しいのなら

自分の中にある「想い方」を変えることである

不幸や悲しみにしかつながらない想いなど

正しくないばかりか、何の意味もない



世界中の一人一人が

それぞれの想いを抱いて動き回っている

僕の毎日と人々の軌道の交わり方は

いつでも僕の想いが決めている



だけど僕は

いつまでも迷路のような想い方に

グルグルと絡まってもがいて

そうやって毎日を暮らす



ああ、こころ!

いつも僕を支えるもの

そしてそこからほころび

引き裂かれてしまう



全てがこころの中にある

幸せも不幸もこころ以外からは生まれない

それなのに人はこころについてあまりにも無知であり

その上、壊滅的なほどに不誠実でさえあり続ける



このこころが僕なのか

それともこれが迷路ということなのか

こころよりも僕らしいものがあるのならば

誰にも知られぬよう、そっと耳打ちして下さい


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