運行表に戻る 前の停車駅 次の停車駅


< BYOUSHI >





少年たちが笑いながら

ナイフやエアガンや握り拳で

僕を壊していく

そんな夢の中で僕は

揺らめく瞳を漂わせながら

幸福感を味わっている

脱力した頬に痙攣という力が漲り

ああ、時代への殉教という光



日射しや雲や風や

飛行機や鳥や虫や

まっさら空の構成要素たちが

果てしなく地平線に沈み込んでいる



劇中劇と

それを見透かしている観客

僕は劇場ごと叩き潰したいと

子供じみてのたうち回る



画面の向こう側の

荒れ果てた一生懸命さの主役たち

表情を無くした心を一筋の涙だけが引っ掻くんだ

冷ましたいのか暖めたいのか、わからないけど

向こう側もこっち側と何も変わりはしないと

気がついたら人間がいた

可哀想に

何もわからなくなってしまって



みんな時代に殉教してる

いや、僕の瞳が死んでいるのか

みんなゾンビみたいな顔して

虚空をつかみ取っている


運行表に戻る 前の停車駅 次の停車駅