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「 場 所 」





ひとりぼっちの胸ん中にしまっておくには

痛すぎる気持ちってものがあるんだって

ああ、これがそうなのかなって

生まれて初めて

誰かに抱かれて泣きたくなったんだ



痛い

痛いよ

いつもいつも

ホントに痛いんだってば



痛い

痛いよ

ジクジク痛いよ

ガンガン痛いよ



ねぇ

誰も痛くないの?

僕はこんなに痛いのに

ホントに痛いんだってば



ビクビク痛いよ

ドクドク痛いよ

いつもいつも

痛いよ

痛い

イタイ

射、タ、イ、

居・・・た・・・い。



生まれ落ちたその瞬間から

自分の場所を探し始めた

そしてそれだけがたったひとつ

僕が生きていることの確かさなんだ



だけど場所を見つけるたびに

鍵穴にピッタリと収まりながら

ジンジン、ジンジンと疼き続ける

今夜も瞼が引きつって閉じない



>この国はいつも灰色である

>白黒しか見えない奴らも馬鹿者だが

>灰色にただれたこの国の善良な人々は

>自分の分身である木偶人形を生け贄とし

>日々腐り続ける死骸の類だ

>全滅せよ・・・!

>今すぐに・・・!



違う・・・!



この世界の行方は可能性に溢れていて

誰の未来もまだ決まっていやしない

人生を諦めるの

早すぎるんじゃない?

この身の回りの社会にだって

思いやりや愛情はいっぱいあるはず

しっかり心を開いて感じていたい

そう口にすることが

そんなに怖いことなの?

臆病者たちから偽善者と呼ばれることが

そんなに恥ずかしいことなのかな?

怯えた目をしながら生きている

みんなオドオドと震えてる

子供に絶望的なシーンばかり見せつけて

それが生きている証だと拗ねている

元気を出そう

自信を持とうよって

胸を張って笑う勇気がない

心の傷が

心の傷を産み落とし

心の傷を育てているからなのか

今夜も答えが出ないままに

また明日が来てしまう

毎日繰り返してるこの物思いが

きっと何よりも間違っているんだ

僕だけが迷路から抜け出せず

ゴメン、息をし続けてる



>子供が子供を

>産んでは捨てる

>肥大化した子供が

>縮んだ糸くずを

>産み捨ててる

>

>子供、こども、コドモ!!

>大きな大きなコドモ!!

>小さな奴より臭い!!

>混ざってグチャグチャになってる!!

>コドモが子供をこねくり回してる!!



違う、違う・・・!!



声にならない叫びを唇の歪みに変えて

僕は君の顔の奥の方を見つめてる



あたしたち

どうなっちゃうのかな

わかんないんだよね

寒気がするくらい

あなたを愛してしまったよ



君が寝返りを打ちながら

僕とは別の痛みに耐えている



君には

受け皿がない

僕も

そうなんだ

ここだけなんだ



連打してよ、もっとけばけばしく

そうやって殴られていくんだから



何も答えなくていい

人混みの中で

震えて

世の中を見物しようか

実感もなく息をするだけ



世界が

切なすぎる



ゲームってさ

やっぱ

単純なのがいいよね



君が虚ろな目をするから

薬でもあげようかって言ったら

小さく笑って



なんにも欲しくない

どこにも行きたくない

今がいいんだよって



そう



なんにもいらないよね

どこにも行かせやしない

今のままがいいんだ



人がまだ原始だった頃

その瞳は海から生えたばかりだったから

夜空には宇宙の始まりが見えていたに違いない

いつの間に光しか感じなくなった両目

見ることを忘れた見たがり屋

ロマンティックな錯覚を思い浮かべながら

自分だけは本物を見つめていると信じて

世界中には

心から引き剥がして眺めなければ危ない

強烈で強引なものばかりが溢れて

優しげな温もりの正しさを証明するために

逆説的な背景として澄まし顔で居直っている

だけどこの一組の合わせ鏡の体系の中で

人の眼球は多様性を失っていくんだ

コドモにはなりたくない子供が

今も夜空に燦然と輝きわたる創成のドラマを

冴え冴えと紅蓮のワインに映し取りながら

茶番劇が疲れ果てるのを見据えているよ

さあ、

どうする・・・?



答えなんてわからない

手遅れなのかもしれない

ただ泣きながら

もだえ苦しみながら

とにかく君のそばにいる

とにかく僕はここにいる

場所は探すものだけど

それは見つけるものじゃなく

僕が決めるものなんだから


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