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ホムンクルスX-2





JOYはまるで

絵本の挿し絵みたい

あのドアを出たり入ったり

その度に大きくなって

輝きと憂いを増していく



わたしの知らない遠い世界で

JOYは大人になっていく

その眼差しの光には

疑いと軽蔑が含まれていく

ドアの向こうは憎しみかもしれない



ガラスの向こうの

窓の向こう

凛然として輝き渡る

メガ・オリオン

雄大な星々の配列



愛するものの成長を

喜びとするには

わたしはまだ淋しすぎる

砂時計をこぼれ落ちていった

わたしの流れ星たち



置き去りにされた

わたしの心に

ぽっかりと暗黒が口を開いて

変質という名の重力波が

幼い憧れの上に流れ込んでくる



もう止めることはできない

残酷な運命の予感

あの人のレポートのタイトルは

「ホムンクルス・プログラム」

それが何なのかまだ知らないけれど



今はただこの淋しさを

憎しみや怒りに変えてしまわないように

両手を胸の上に重ねて祈るだけ

そして刻みつけておきたい

暖かい眼差しの記憶を




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