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「タペストリー」

Poem by kobashiri



紅糸



暮れていく街の空に

ピュアが輝いていた



消えていく君の影に

また明日、と強がる



ホントのことが

見えなくなったら



僕を切り裂いてみて

暖かな血が溢れ出すから




蒼糸



あなた以外の人を

愛しています

たった一人を愛し抜く

それが愛だと思っていたのに



あなた以外の人を

愛しています

何一つの嘘もなく

あなたを嫌いになったわけでもなく



確かな理由のようなものが

どこかにあるなら

この苦しみは三人の心を

引き裂くこともなかったでしょうか



他の人にわかるはずもなく

恋はいつでも秘密なので

したり顔や同情は止めて欲しい

ホントの心はここにだけあるから



何を言っても言い訳

あなたへの愛が壊れたわけでもなく

だけどあなた以外の人を

愛しているのです




黄糸



今日はあの街角を

曲がる車がいつもより多い



僕は恋をしている



梨畑の香りが

酸っぱさを増した気がする



僕は恋をしている



日本海が

波を砕くほどに逆巻く



僕は恋をしている



花火が

季節を忘れてチリチリと鳴く



僕は恋をしている



ただ愛しいというだけの

たったそれだけの僕がいる



他には何もない



僕は恋をしている




橙糸



まるで

メリーゴーランドの二人

世界は静止画像になって

何の意味もなく流れてる

二人しかいない

そう、二人しかいない




紫糸



あなたは太陽のように

大きく

暖かく

あなたが輝くほどに

僕の影は濃さを増す



君は月のように

静かに

純朴に

君が欠けていくとき

僕の影は闇に安らぐ



許されぬ恋

許されないのだろうか

誰が許さずとも

一日は巡ることを止めぬ

そして僕は

一日を生きている

一人の愚かな男が

眠りを忘れて

太陽と月の雫を

奪おうとしている




緑糸



どうすることもできず

ただ愛しいだけ

友達か

恋人か

形や理由は

ホントの心から剥がれて



一番近い心を持ってる

いつもそばにいたい

ただ愛しいだけの

そんな人を抱きしめる

純粋なただの存在になって

体も心も全てをこのひとときに



どうして出会ってしまったのか

愛情よりも

心のそばにいる人に

厳しさと優しさと

嘘のない

ホントの心を持っている人に



二つの心

二つの愛

僕は二つじゃない

僕は二つじゃない

だけど選ぶしかない

この心を引きちぎって



他人から見れば

滑稽なおとぎ話

傷つけて

傷ついて

ため息と涙だけが

許されるような顔で



何も綺麗じゃない

ただホントの心だけになって

僕と君は

僕とあなたは

ホントの心だけを見つめて

歩いていくしかないのだろう



今はまだ見えない

明日の方に向かって




<白糸>



恋は綺麗な方がいい

誰からも祝福されるような

綺麗な恋をしていたい

ただ好きだよって

声が枯れるまで言い続けて

もういい加減にしてよっていうくらい

たくさんたくさんキスをして

会いたいと思ったときは

何の躊躇いもなく飛んでいって

一日が始まるまで

何時間でも電話して

体が溶けてしまうほど

温もりを抱きしめ合って

ハッキリとした明るい声で

君を愛してると言えるような

心全部で

君に向かっていけるような

そんな恋をしていたい



今のこの気持ち

これはそういう綺麗な恋じゃないけど

やりたいことを全部できるわけじゃないけど

だけど

ホントの心

心だけの心

悲しさだけがむき出しになってしまうけど

何一つ装うことのない

僕がそのまま

ここにいる

それだけが君に贈る

今の僕のありったけなんだよ




黒糸



愛しいあなた

今でも変わらず

僕の愛

あなたにとって

僕は悲しみですか

もしかしたら

憎しみですか

それでもやはり

僕の愛

あなたがいなければ

僕に過去はなく

あなたがいなければ

僕に今はなく

そしてあなたがいなければ

未来はどこか遠くにある

一途でなくなって

極まる愛もあるのだと

今更のように

愛は

雪の結晶と同じ

手のひらに乗せたら

みんな溶けて消えてしまう

そういう涙に酔い潰れないように

どうかあなたよ

最後まで僕を貫いて下さい

その黒い瞳の矢(ブラック・アイ・ボー)で




<タペストリー>



友情なのか

愛なのか

もっと深いような



懐かしさなのか

憧れなのか

もっと暖かいような



僕の心はタペストリー

いくつものホントの心糸が

渦と巻いたり

川と流れたり

炎と燃えたり

霧と閉ざしたり

鮮やかな夢

くすんだ思いやり

暗闇と同じ色の華十二単

様々に織りなすほどに

君のため息と

あなたの憤りを

僕は僕の罪に巻き付けて

激しい愛しさの責めに

身動きさえも痛み

新たな心糸を

ホントの中から生まれた新たな色を

たぐり寄せ織り込もうとしている



何かはまだ知らない

ただ全てが愛だとしか

君に溶けて良かった

あなたに包まれて良かった

全てのひとつひとつが

今の僕を形作り

この愛しさだけの生を

美しくしているから

君の深さと

あなたの暖かさを

冷たい石の上に寝そべって

生まれた時のように膝を抱えながら



僕は見つめていよう

残酷な子供みたいに

ただ見つめていよう






comment


「タペストリー」


“サンダー・リップス”ハルク・ホーガンの必殺技、

雷神の“三つ股の槍”アックス・ボンバー・・・。

自分は人を傷つけたりしない、そう信じながら、

プロレス技に興じていた子供の頃(汗)。

二股、二股、客観的に見れば、女の敵だな・・・。

遊びだったら、楽なのにね(オイオイ)。




Poem & comment by Kobashiri


EMAIL:kobashi@nsknet.or.jp
http://hideo.com/kobashi/



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