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丸山ワクチン
医療相談において、丸山ワクチンに関するお問い合わせがいくつかあるため、入手方法などについて、ご説明します。
丸山ワクチンとは
丸山ワクチンの治療を受けるためには
使用方法
ワクチンの分量と費用
認可されている丸山ワクチン
副作用
私の意見
丸山ワクチンとは
人型結核菌青山B株の熱水抽出物を精製したもので、当初、皮膚結核やハンセン氏病の治療薬として、日本医科大学教授であった丸山千里氏が開発しました。昭和39年頃より癌の治療薬としての研究がおこなわれました。昭和51年には抗癌剤として、製造認可を厚生省に申請しましたが、臨床試験の結果などより癌に対する効果は認められないとして製造認可は出されていません。しかし、既に使用していた患者などからの要望により有償治験薬としての製造が認められました。治験薬とは、厚生省の承認を得るための臨床試験に用いられる薬剤のことで、有償とはこれが有料ということです。薬剤の作用としては「非特異的免疫療法剤」となります。すなわち、いわゆる抗癌剤のように癌に直接作用して癌を殺すのではなく、免疫力を高めて患者の持つ免疫の力で癌細胞を排除しようとする薬剤です。厚生省の認可を受けている免疫療法剤としては「ピシバニール」や「クレスチン」などがあります。
丸山ワクチンの治療を受けるためには
窓口である「日本医科大学附属病院ワクチン療法研究施設」(東京都文京区千駄木1-1-5 電話03-3822-2131 内線365)で以下の手続きが必要です。


1.初回は必ず来院すること(本人または家族か代理人)
2.丸山ワクチンによる治験を引き受けるという担当医の治験承諾書の提出
3.丸山ワクチン治験登録書(紹介状)の提出
4.受付は月、火、木の午前9時から11時です。


二回目以降はワクチンを郵送することも可能です。そのつど、主治医の臨床成績経過書を提出しなければなりません。
使用方法
丸山ワクチンにはA、Bの2種類があり、通常はワクチンを使い始めて3年間は隔日または週3回注射します。3年以降は週2回、5年以降は週1回にすることもあります。
ワクチンの分量と費用
1回に渡されるワクチンは40日分(20アンプル)で費用は9000円+消費税です。郵送の場合は郵送料全国一律1000円です。
認可されている丸山ワクチン
抗癌剤としての認可は受けていませんが、放射線療法による白血球減少抑制剤としては認可を受けています。ゼリア新薬の「アンサー20注」がこれにあたります。
副作用
発疹、蕁麻疹、発熱などのアレルギー症状。悪心、嘔吐。肝機能障害。注射部位の疼痛、硬結、水疱、発赤、腫脹
私の意見
まず第1に、抗癌剤としての認可を受けていないということを認識して下さい。現在、病院で使用している抗癌剤は、基本的にすべて厚生省の認可を受けています。すなわち、厚生省が定めた基礎試験、臨床試験をおこなって、癌に対して効果があると認められ、副作用も許容範囲であると確かめられた薬剤であります。丸山ワクチンは、これに含まれていません。ですから、普通の薬剤のように病院ですぐに投与するというわけにはいかないのです。使用にあたっては、患者さん本人かご家族の希望があることが原則と考えます。臨床の現場にいる医師として、治療に責任を持つ以上、効果が確かめられていない薬剤を勧めることはできないと考えます。私も過去に何人かの患者さんに丸山ワクチンを希望され、使用いたしました。その際には必ず、他の一般的な(効果があるとされている)治療法を併用していただくようにお願いしました。認可を受けている抗癌剤に問題がないわけではありません。副作用の問題や効果についても、決して満足できるものではありません。しかし、臨床医はさまざまな治療法の中から、その患者さんにとって最良の、最善の治療法はどれなのか、常に真剣に選択をして治療法を決定しています。その選択を否定して、効果の不確かな治療に飛びつくのは、患者さんにとって決して正しい選択ではないと思います。私自身は、今後も患者さんが丸山ワクチンの使用を希望されれば、投与をおこなうつもりですが、上記のことを十分理解していただくことを前提とします