外科や癌のFAQ
御相談のある方はこちら
代替医療などのコラム
癌の診断、治療、生存率など
自己紹介や趣味について
診 察 室
外科で扱う病気のことや、外科一般、癌に関する疑問を取り上げました。
96年11月から開始した医療相談のコーナーで、多く見られた質問に対する当方の回答も公開することとしました。質問者や質問内容は公開いたしませんので内容が分かり難いものもあるかもしれませんが、御了承下さい。
外科ってなにするところ?
外科の中にも種類があるの?
手術する病気ってどんな病気?
外科で治療する癌は?
乳腺症について
便をしたら血が出ました
検診で胃炎、胃ポリープと言われましたが
黄疸について
のどに違和感があるのですが・・
手術後に腸閉塞に・・
癌ってどんな病気?
癌は治る?
「癌は治療するな」という先生もいるけど?
胃癌手術後の問題
腫瘍マーカーってなに?
消化器癌の手術後の注意点は?
肝臓癌について
AHCC、舞茸エキス、アガリクス茸は癌に効く?
胃のスキルス癌について
癌告知
家族が癌と言われたら
早期癌と進行癌
外科ってなにするところ?
様々な病気を、手術という手段を用いて治療する事を基本とする科目です。しかし、現在では手術を必要としない病気でも今までの慣習で、外科で治療をおこなったり、また現時点では手術を必要としなくても、将来必要となる可能性のある病気は外科で治療したりします。
1
外科の中にも種類があるの?
胸部外科、心臓血管外科、呼吸器外科、消化器外科、内分泌外科、小児外科、老人外科など、最近は扱う病気や臓器によって専門を細かく分けるようになっていますが、これらは外科の範疇です。
1
手術する病気ってどんな病気?
上でも述べたように、胸部外科、心臓血管外科、呼吸器外科、消化器外科、内分泌外科、小児外科、老人外科などで扱う病気は異なりますが、薬などの手術以外の治療では良くならない病気が対象となります。例えば、癌などの腫瘍、先天的な奇形、炎症、動脈硬化などです。
1
外科で治療する癌は?
甲状腺癌、乳癌、食道癌、肺癌、胃癌、膵癌、胆道癌、肝癌、大腸癌、直腸癌などです。
1
乳腺症について
乳腺症では乳腺が線維化を起こす結果、多くの場合乳腺のしこりとして 気づきます。また、生理の前などに乳房の痛みを訴えることも多いようです。 エコーをおこなえば、ほとんどの場合癌との鑑別は可能ですが、 鑑別が不可能な場合、細胞の検査が必要になります。 あなたの受診した病院では、いきなり生検といわれたようですが、 最近では、まず吸引針生検(FNAまたはABC)といって注射の針を刺して細胞をとる(細胞診) 検査を行うのが一般的です。この検査でもかなりの確率で診断が可能です。 生検とちがって針を刺すだけですから、傷は残りませんし、時間も数分で終わります。 わたしはかなり以前からこの方法で診断をしています。それでも、どうしても診断が 困難な場合は、生検を行います。 乳腺症がすぐに癌につながることは ありませんし、癌になりやすい訳でもありません。乳腺症の場合のしこりは 癌のしこりと鑑別がむづかしいことがありますので、乳腺症の患者さんに 新たに癌が出来た場合にしこりに気づきにくいことはあります。 そこで、乳腺症の患者さんは定期的にエコーなどの検査をおこなって 癌のしこりが出来ていないかチェックする必要があるのです。 乳腺症自体は治療の必要はありませんが、痛みが強い場合などに ホルモン療法のお薬を飲んでいただくことはあります。 日常生活では特に注意すべきことはありませんが、前述のように 定期的(年に1回)にエコーの検査をお薦めします。
1
便をしたら血が出ましたが・・・
お話では鮮血のようですし、排便時しかも便秘をされていたようですので 硬便による裂肛(切れ痔)の可能性が確かに高いと思います。 また、軽度の内痔核からの出血という場合もあります。 一度に大量の出血があり、これが直腸内に貯留して固まったものと思われます。 今のところ、一度だけのようですので、肛門周囲の一時的な機械的刺激による 出血でしょう。 しかし、血便をきたす病気は数多くあり、痔だと思っていたら実は 治療が必要な病気だったということは、希ではありません。 私のところへも他院で痔の診断をうけて治療していたが 良くならないといって受診される方の1割程度は他の病気を 見逃されていた方です。 ポリープや炎症性腸疾患が直腸の下部に発生した場合、痔核と同様の 鮮血の血便をみます。早期に治療をすれば手術など必要ない病気でも 放置したために手術が必要になる場合もあります。
1
検診で胃炎、胃ポリープと言われましたが
ポリープとは形態を指す言葉ですので「胃ポリープ」とは 胃の中にできた、いぼ状のものをいいます。ポリープのなかには腫瘍性のもの、 非腫瘍性のものがあり、腫瘍の中にも良性と悪性があります。 したがって、ポリープすなわち悪性ではありませんので、切除の必要がない場合 経過観察してもよいことになります。

胃炎と胃潰瘍は基本的に異なる病態です。胃の粘膜が部分的あるいは全体に 炎症に陥っている、俗に言えば「胃が荒れている」状態です。 胃潰瘍は部分的に胃を保護している粘膜が欠損し、胃酸によって胃の壁が溶けかかって しまった状態です。 ですから、胃炎はほとんどの人にみられますので、特に治療を必要としないことが 多いのですが、胃潰瘍はあきらかに治療を必要とする病気です。 ご質問はおそらく検診の結果に書かれた診断からのものと思います。 1次は胃透視(バリウムを飲むレントゲン検査)でおこない、 2次は胃カメラだったと思います。 胃透視はバリウムを飲むことで胃の内側の形をレントゲンに写るようにして その形から病気を診断しようとする検査ですが、胃カメラは直接胃のなかを内視鏡で 覗く検査です。したがって、胃透視では形が異常なら病気を疑うことになります。 貴方の場合、胃に少しくぼんだところがあったのでしょう。そうすると潰瘍との 区別がつかないことになります。胃カメラの検査では潰瘍がなかったのでしょう。 しかし、胃透視ではわからなっかたポリープが別の箇所にみつかったのだと思います。 このようなことは、決して珍しいことではありません。

胃透視はあくまで間接的に胃をみているだけなので、直接胃を見る内視鏡に くらべれば診断は不確かになります。ですから最近では1次検査に内視鏡を 行うことも増えてきました。最終診断は内視鏡のものを採用して下さい。 ポリープの良性、悪性はカメラの時にポリープの一部を採取して顕微鏡の 検査をおこない診断します。

1
黄疸について
普通、胆汁は肝臓で作られ、胆管という管を通って十二指腸へと流れていきます。胆嚢は胆管の途中にくっついている袋状ののもで、食事を食べると胆嚢は収縮し 中に溜まっていた胆汁が十二指腸へと出ていきます。この胆汁が何らかの原因で 十二指腸へ流れなくなると、胆汁は行き場がなくなり肝臓から血液の中へ出ていくようになります。その結果、胆汁が全身に充満し胆汁の色である、黄色になります。これを黄疸(閉塞性)といいます。閉塞性黄疸の一番の原因は胆石症、胆嚢炎ですが、胆嚢癌も原因となることがあります。胆嚢癌は胆嚢にできますので、本来直接黄疸を引き起こすことはありませんが、 癌が胆管へと進行すると、胆管の閉塞や狭窄をおこすため、黄疸となります。 黄疸はそれだけで、既に体にとって害のある状態ですので、黄疸が高度の場合には まず、黄疸を軽減するための処置をします。経皮経肝胆管ドレナージ(PTCD)や 内視鏡的逆行性胆管ドレナージ(ERBD)と呼ばれていますが、胆管の閉塞部より 肝臓よりの胆管に細い管を挿入して肝臓の中に溜まっている胆汁を体外へ出して 血液への胆汁の流出を減らすというものです。これは手術というものではなく、比較的簡単な処置です。黄疸が軽減したら、原因となっている病気の治療に移ります。 閉塞性黄疸をきたした胆嚢癌の治療としては、まず、手術による腫瘍の摘出、 それが困難な場合は、薬物療法、放射線療法があります。 手術の場合には、胆嚢と胆管を切除するだけのものから、胆嚢、胆管、肝臓の一部、 十二指腸、膵臓の一部まで切除するものまでありますが、これは病気の状態によって 異なります。
1
のどに違和感があるのですが・・
喉の違和感についてのご質問ですが、 考えられることがいくつかあります。 ひとつは食道や咽頭の炎症です。食道炎とか咽頭炎といわれているものです。 刺激の強い食べ物を食べたり、飲んだりした後 普段から胸焼けなどが強い人にみられます。つぎは食道の腫瘍ですが、これは年齢からして可能性は低いでしょう。もう一つは、年輩の女性などによくみられる心因性のもです。 心配事やストレス等のためにこのような症状を訴えるものです。 いずれにしても、まず内視鏡検査(胃カメラ)で食道や咽頭に異常が ないかどうか、確認しなければなりませんので 消化器科や内科でご相談なさるのが良いと思います。
1
手術後に腸閉塞に・・
腸閉塞の原因は、ほとんどが術後の癒着ですので、 お腹の手術をされた方には、常に腸閉塞の可能性があります。 決してめずらしい病気ではありませんが、治療に難渋することもあります。鼻から挿入している管はイレウスチューブまたはロングチューブと いわれているもので、腸閉塞の治療には不可欠です。普通長さは2〜3mです。 腸閉塞になると、腸の中に腸液や腸内細菌がたまってきます。 とくに、細菌が腸のなかで増え続けると、いずれ血液のなかへ 入ってきて、敗血症(菌血症)となりますので、管をいれて菌を体外へ 出してやらなければなりません。 また、腸液がたまると腸が膨張して腸の身動きがとれなくなったり 腸管の壁がはれて(浮腫)、癒着のために細くなった腸が ますます、細くなったり、通りが良くならないといったことが おこりますので、やはり、腸液を体外へ出してやらなければなりません。したがって、まず、管を挿入して治療するのが第一ですが、 これで良くなる方は7割程度だと思います。3割の方はこれでは 良くならないので、手術をして癒着をとったり、細くなった腸を 切除することが必要となります。あまりに手術を先送りにしすぎると 前述の敗血症になったり、腎不全になったりして手遅れという事もあります。 外科医としては、手術のタイミングが難しい病気です。 手術に耐えられないようなら、話は別ですが、 手術自体は、そう難しいものではありませんし、手術をすれば 腸閉塞はほぼ100%改善されます。
1
癌ってどんな病気?
癌とは、上皮由来の悪性腫瘍です。上皮とは粘膜や皮膚など体のいたるところにある組織です。悪性腫瘍とは放っておくとどんどん大きくなったり、転移したりして最後には人体を死に追いやる腫瘍(できもの)のことをいいます。したがって、良性の癌などというものは、ありません。癌はすべて悪性です。癌の始まりは一個の細胞です。この細胞が1cm程度の早期癌になるまで約10年かかるといわれています。1cmの早期癌が進行癌になるまでに、2〜3年間かかります。進行癌になってしまうと、1〜2年で死に至ります。
1
癌は治る?
癌の診断は、多くの場合細胞のレベルで行います。つまり、癌の組織を一部取って、顕微鏡で癌の細胞かどうか調べます。ですから、大きさが1mmのものでも、10cmを越えるものでも、細胞が癌なら癌と診断されます。癌を火事にたとえてみましょう。あなたの家の中で、マッチに火をつけたとします。マッチの火なら息を吹きかけるだけで消えてしまい、何事もありません。しかし、マッチの火を放っておいて柱にまで燃え移ったら消すのは簡単ではありません。消火器を使ったり、消防車を呼んだりしなければなりません。癌も同じことです。早期のものなら、簡単な治療で治すことが出来ますが、進んだものでは、より大きな手術やほかの治療(薬物治療、放射線治療など)と組み合わせて治療しなければなりません。
1
「癌は治療するな」という先生もいるけど?
最近、医師としての使命や責任を無視して、愉快犯としか思えない発言をする医師がいるようです。同じ医師として残念です。世の中のほとんどの医師は、患者さんを病気から救うため、日夜努力しています。癌を治療しなければ人体は死に至ります。死にたくなければ、治療が必要です。ただし、治療の方法は癌の大きさ、種類によって様々です。一般には、小さい(早期の)癌は体に負担の少ない方法で治すことが出来ます。ですから、検診や人間ドックを行って早期の癌を見つけることは癌を治す近道です。マッチの火をみつけて消すのです。
1
胃癌手術後の問題
胃癌の手術後の低血糖で まず考えられるのは、晩期ダンピング症候群という状態です。 これは、胃を手術した場合の約10%前後にみられる状態で 胃を切除したため食物の腸への排出が早くなり、様々な 症状を呈するものです。本来、胃で消化された食物はゆっくりと 腸へと流れるようになっているのですが、胃を切除すると この調節が出来なくなり、濃度の高い食物が急激に腸へと 流れてしまうようになります。手術後の早い時期では このために、食後に腹痛や冷や汗、血圧の低下などの 症状が出ます。手術後2年もたっている場合は、 食後に急激に血糖の上昇があり、その結果体内からインスリン というホルモンが大量に分泌されるため、今度は急激に血糖が 下がり、低血糖の発作を引き起こします。そこで、対策ですが、ダンピング症候群に限らず、 胃の手術後の様々な不都合に対しては (これは、退院時に聞いていると思いますが・・・)

1)食事は1日に5〜6回、少量づつとる

2)1回の食事は30分から1時間かけて摂取する

3)乾燥した豆や昆布は控える

4)便秘にならないように、水分や乳製品を十分とる

5)軽い運動を毎日心がける

などに注意するとよいでしょう。

また、体重の減少に関しては、 胃を全部切除した場合、普通は手術前の体重より 10kgは一時的に減少します。その後、徐々に増加し 3〜4kgはもどりますが、それ以上は無理でしょう。 それ以上に、減り続けるようでしたら、 やはり、担当の先生に相談するか、詳しい話を お聞きした方が良いでしょう。さらに、ダンピング症候群が重症の場合は、 再手術によって、腸の吻合(つなぎ方)を変えることで 良くなることもあります。 低血糖の発作は、短時間に脳の障害を引き起こすことがあり、 放っておくと危険な状態ですから十分注意して 担当の先生と対策を相談することをお薦めします。

1
腫瘍マーカーってなに?
血液の検査で、癌を疑う場合には貧血や栄養状態の低下なども 参考になりますが、直接癌を示唆するものといえば、「腫瘍マーカー」と 呼ばれているものがあります。 これは、正常の細胞からはほとんど分泌されないが、腫瘍(癌)の細胞からは 比較的多く分泌される物質で、血液中のこの物質が増加している場合、 癌の細胞が存在している可能性があるわけです。「腫瘍マーカー」は多くの種類があり、癌の種類によって増加するマーカーも 異なります。胃癌の場合、CEA、CA19-9、AFPと呼ばれるものが 代表的です。 しかし、腫瘍マーカーは癌があれば必ず増加するわけではなく、また 増加していても必ずしも癌がないこともあります。したがって、 これだけで癌を診断することはできません。あくまで、疑いがあると いう状態です。確かな診断にはカメラやCTスキャンなどが必要となります。
1
消化器癌の手術後の注意点は?
一般に手術後2〜3週間で退院するとして、入院期間は約1ヶ月に なると思います。その場合、体力の回復には1〜2ヶ月かかると 思って下さい。先週退院されたばかりとのことですので、 まだ、体力的には十分な回復とは言えません。 ですから、体の抵抗力も低下していますし、風邪をひいたり 熱が出たりもしますし、筋力も低下しますので、筋肉痛や 関節の痛みが出たりします。食事については説明をうけたと思いますが、なるべく消化の良いものを 選んで、便秘にならないように注意して下さい。 特に、乾いた豆類や乾いた海草類は腸閉塞の原因となりますので、 一度に大量に摂取しないようにしましょう。以上のようなことが一般的な注意点ですが、 ご家族の方の心構えをすこし申し上げると、 一番不安なのは患者さん本人であるという事です。 元気な時と比べて自分の体に変化があれば、 病気が悪化したのではないかと不安になります。 体力的な回復と精神的な回復を支えてあげるのが ご家族のしなければならないことです。
1
肝臓癌について
肝細胞癌に対しては、以前は手術による切除が第一選択でしたが、 TAE(肝動脈塞栓術)が普及してきてからは、この治療がメインとなりました。 肝硬変に合併した肝細胞癌に対しては、TAEは手術と同程度の効果があると 言われています。患者さんによっては、癌が完全に消えてしまう場合もありますが、 たとえ消えなくても、癌の発育をおさえることは、かなりの確率で 可能です。しかし、問題は肝硬変の治療です。一度肝硬変に陥った肝臓は もとにもどることはありません。つまり、進行することはあっても 良くなることはないということです。肝硬変が進行すると 食道静脈瘤をつくったり、肝不全になったりして、やはり生命にとって 危険な状態となります。肝細胞癌で発作的に倒れる可能性は低いと思いますが、 食道静脈瘤の破裂や肝不全による肝性脳症は 急に容体が悪くなる可能性があります。
1
AHCC、舞茸エキス、アガリクス茸は癌に効く?
お尋ねのAHCCについてですが、AHCCなるものは、 現在のところ、日本においては抗癌効果のある薬剤とは 認められておりません。舞茸エキスもアガリクス茸も同様です。薬剤がある病気に対して、効果があると厚生省が 認可するためには、基礎的実験から臨床治験におよぶ、 第1相から第4相までの試験をクリアし、確かに効果があると いう証拠がある場合に、薬剤として認められます。 漢方薬でも、病院で使用しているものは これらの認可を受けています。 現在、抗癌剤として病院で使用している薬剤は、原則として この試験をクリアし効果があると認められた薬剤です。したがって、AHCCも舞茸エキスもアガリクス茸も 抗癌剤としての効果は認められておらず、いわば、健康食品の 一種であります。これらの民間療法がすべて、眉唾ものとは 言いませんが、決して魔法の薬とは言えないと思います。 AHCC、舞茸エキス、アガリクス茸は、免疫賦活剤とのことですが、 抗癌剤として認可されている免疫賦活剤もすでにあります。 クレスチンやピシバニールなどがこれにあたります。 将来的にはわかりませんが、現在のところはAHCCや舞茸エキスやアガリクス茸よりも 効果がある薬剤がたくさんあるということです。 ただし、これらが癌に伴う種々の症状に効果があるかどうかはわかりません。副作用に関しても不明の状態でしょうが、 患者さんや家族の方の責任の下にこれらの薬剤を服用することは 許されると思います。私も患者さんから、このような薬剤を服用しても良いか、と 聞かれることがありますが、その場合、私は決して 服用を禁止したりは、しません。そのかわり、必ず病院から 出る薬も一緒に飲んで下さいと御願いしています。 医師としては、効果が立証されていない薬だけで 患者さんを治療することは、出来ませんので、 効果があると認められている薬を必ず飲んでもらうように しています。また、最近では、科学的にこれらの食品を研究し、効果を明らかにしようとする試みがみられます。 代替医療に関する研究が進めば、一般の方々にも情報を提供しようと思います。
1
胃のスキルス癌について
胃のスキルス癌についてご説明致します。 スキルスとは、本来胃癌の進展様式(広がるときの形態)の一種です。したがって 厳密には胃癌の進行具合とは関係ありませんので、早期癌であってもスキルス形式の 進展をするものもあります。ただし、世間一般でスキルス癌というとスキルス形態で 進行した進行癌のことを指します。これは、確かに予後が悪く、手術をしても再発率 は非常に高くなっています。再発の形式としては、リンパ節再発、腹膜再発が多く、 腹膜再発は癌性腹膜炎となり、治療の効果は非常に低く、癌の末期状態と考えて良い 状態です。</p>治療としては、放射線療法はほとんど効果なく、抗癌剤による化学療法が行われますが、全身投与(点滴など)のほか、腹腔内投与をおこなっても奏功率は10%程度で 治癒率はさらに低いです。生存率については、手術時の進行度によって異なります。すなわち、リンパ節への転移の度合い、肝転移の有無、腹膜播種の有無によって左右されますが、5年生存率は30%以下でしょう。
1
癌告知
生存率については、手術時の進行度によって異なります。すなわち、リンパ節への転移の度合い、肝転移の有無、腹膜播種の有無によって左右されますが、5年生存率は30%以下でしょう。癌以外 の病気では病名を告知することは、常識となっておりますが、癌だけなぜ特別かとい うと、治癒率が向上したとはいえ、未だに一般では癌と言えば不治の病で死に直結す るという認識が根強いためと思われます。癌であることを告知すれば、その瞬間から死と向き合って毎日の生活を送らねばなりません。その覚悟が患者さん本人はもとより、御家族、主治医にあるかどうかが 問題となります。癌と告げることは簡単ですが、その後患者さんをどのようにフォロ ーし、ケアしていくかという明確な指針がないため、臨床の場では告知が進んでいな いのです。私個人としては、現在は癌告知の過渡期と考えていますので、早期の癌や 治癒の可能性が高い癌の場合には、患者さんの性格を考慮した上で、告知しています 。しかし、治癒の見込みが低い場合には、特別な場合を除いて御家族の意向に添うよ うにしています。アメリカのよ うに宗教的意識が浸透している国では、告知後のケアを宗教的に処理することは可能 かもしれませんが、日本では、死と直面しながら残された寿命を前向きに生きること のできる人間がどれほどいるか疑問です。
1
家族が癌と言われたら
癌の患者さんの御家族は「とにかく自分に何か出来ることはないのか」、というご質 問をされます。お気持ちは十分わかります。その際に、是非おわかり頂きたいのは、 医学は極めて複雑で、かつ専門的な学問であるということです。医学的知識のあまり ない人が、治療に関して何かを行うのは不可能であります。最悪の場合は取り返しの つかないことにもなりかねません。例えば、私の愛車が突然エンジントラブルになっ たとして、自分でボンネットを開けて、プラグを抜いたり配線をいじったりすれば、 あとで廃車にしなければならなくなることもあるでしょう。車の部品も最近では複雑 になり、素人が手を出すことは極めて危険です。とにかく、車の修理工場で直しても らうのが一番です。人間の躰も同じです。治療自体に御家族がかかわるのは、時には 危険を伴います。漢方薬であっても、他の薬剤と併用したり、服用方法を間違えれば 、副作用を起こす可能性はあります。漢方薬は作用機序が不明確な部分が多いため、 我々医師は、むしろ一般薬より使用に神経を使います。事実、副作用のため発売中止 になった漢方薬もあります。御家族の方が患者さんにしてあげるべきことは、治療で はなく、精神的な支えとなって治療がスムースに行えるような状況を作って差し上げ ることだと思います。癌の患者さんの場合、(告知をされていればなおさらですが) 治療自体も精神的、肉体的に負担が多くなります。また、病気が進行してくれば、癌 特有の症状も出てきますので、闘病生活は大変つらいものとなります。自分が癌と知 れば、さらに死と直面して毎日の生活を送ることになります。これは、この上ない孤 独感と恐怖との闘いとなります。このような時に御家族の支えが非常に必要となるの です。毎日、顔をみせて、話を聞いて差し上げるだけでも患者さんは安心し、闘病の 意欲を持つことが出来るのです。特に病気のことを話す必要はあり ませんが、もし病気に対する不安や、症状について話されることがあれば、その旨を 看護婦か医師に伝えて下さい。患者さんのそのような情報があれば、よりきめ細かい ケアや治療が可能となるからです。患者さんの中には、そういった情報を医療サイド に訴えない方もいます。そうすると、対処が遅れがちになり、患者さんの苦痛を長引 かせてしまうことがあるのです。さらには、今後どんな状況になろうと、常に生きる 希望を失わせないようにすることが必要です。しかし、患者さんに頑張ることを強要 してはいけません。患者さんは告知をうけた時から既に十分頑張っているのです。そ れ以上に頑張ることを強要するのは、逆効果となります。普段と変わらぬ落ち着いた 気持ちで、しかし、しっかりと生きる希望を持って治療にあたれるような精神状態を 作ってあげることが肝心です。そのためには、患者さんを精神的に孤独にしないよう にして下さい。特別なことをしようとお思いになるより、まず家族 の一員であることの安心感を与えて差し上げることをお勧めします。主治医の先生とよく連絡を取り、治療や将来の見通しなどについて、 ご説明をうけて、患者さんと共に癌と闘って下さい。
1
早期癌と進行癌
消化管(食道、胃、大腸、直腸など)で、早期癌と進行癌について説明します。消化管は基本的にホースのような管状の臓器です。消化管(ホース)を縦に裂いて平たくひろげると、内側に粘膜、外側に外膜があります。内側から順に粘膜、粘膜下層、筋層、外膜下層、外膜となります。癌は粘膜から発生します。癌が大きくなると次第に外膜の方へ広がっていきます。癌が粘膜と粘膜下層にとどまっている場合に、これを早期癌と言います。筋層よりさらに外側に癌が広がっている場合、これを進行癌と言います。つまり、癌が消化管の厚みのどのあたりまで広がっているかを表す分類です。ですから、転移の有無とは無関係の分類です。早期癌でも転移があることもありますし、進行癌でも転移が無いこともあります。しかし、一般的には早期癌では転移の確率は低く、進行癌では高くなります。
1
当ホームページ内の画像、文章などの著作権は管理者が保有しています。無断での複製、引用、改案を禁じます。