ALBUM COLLECTION バックナンバー 2000

January Februaly March April May June July August September October Nobember December


  1. PRISON OF DESIRE/AFTER FOREVER
  2. CULT/APOCALYPTICA
  3. BURNING JAPAN LIVE 1999/ARCH ENEMY
  4. AYREON THE DREAM SEQUENCER/ARJEN ANTHONY LUCASSEN
  5. AYREON FLIGHT OF THE MIGRATOR/ARJEN ANTHONY LUCASSEN
  6. EMBRACE THE MYSTERY/ARMAGEDDON
  7. REVELATION/ARMORED SAINT
  8. MACHINE/ARTENSION
  9. B.A.C.K./ARTILLERY
  10. HEART OF STEEL/AT VANCE
  11. THE MASQUERADE BALL/AXEL RUDI PELL
  12. KING OF THE STEELY NATION/AZRAEL
  13. SILICON MESSIAH/BLAZE
  14. THE BEST OF BLUE OYSTER CULT/BLUE OYSTER CULT
  15. AMBIGUITY/BRAINSTORM
  16. IMPACT/BREAKING SILENCE
  17. FOLLOW THE REAPER/CHILDREN OF BODOM
  18. MIDIAN/CRADLE OF FILTH
  19. DEATHRACE KING/THE CROWN
  20. PITCH-BLACK BLUES/CRYHAVOC
  21. AND THEN YOU'LL BEG/CRYPTOPSY
  22. CYDONIA/CYDONIA
  23. HAVEN/DARK TRANQUILLITY
  24. DEMONS & WIZARDS
  25. ALL HELL BREAKES LOOSE/DESTRUCTION
  26. PHYSICIST/DEVIN TOWNSEND
  27. MAGICA/DIO
  28. HATE CAMPAIGN/DISMEMBER
  29. DOUBLE DEALER/DOUBLE DEALER
  30. THROUGH HER EYES/DREAM THEATER
  31. SUNRISE IN EDEN/EDENBRIDGE
  32. THE SAVAGE POETRY/EDGUY
  33. FORBIDDEN FRUIT/ELEGY
  34. THE BIRTH/THE EMBRACED
  35. TRACES O' RED/ENSLAVEMENT OF BEAUTY
  36. INTO THE SUNSET/ERIK NORLANDER
  37. CHAOTIC BEAUTY/ETERNAL TEARS OF SORROW
  38. TRAUMATICON/EXHUMATION
  39. UNDECEIVED/EXTOL
  40. BLAST FROM THE PAST/GAMMA RAY
  41. RESURRECTION/HALFORD
  42. RENAGADE/HAMMERFALL
  43. THE HAUNTED MADE ME DO IT/THE HAUNTED
  44. COMING FROM THE SKY/HEAVENLY
  45. MR. TORTURE/HELLOWEEN
  46. THE DARK RIDE/HELLOWEEN
  47. INTO THE ABYSS/HYPOCRISY
  48. CRUNCH/IMPELLITTERI
  49. CLAYMAN/IN FLAMES
  50. BRAVE NEW WORLD/IRON MAIDEN
  51. WONDERFUL MONUMENT/JURASSIC JADE
  52. THE FOURTH LEGACY/KAMELOT
  53. THE PROPHECIES/KENZINER
  54. HOUSE OF GOD/KING DIAMOND
  55. SONS OF THUNDER/LABYRINTH
  56. FOREVER AUTUMN/LAKE OF TEARS
  57. SECRETS OF ASTROLOGY/LANA LANE
  58. AFFAIR OF HONOUR/LIAR SYMPHONY
  59. TRINITY OVERTURE/MAJESTIC
  60. RING OF FIRE/MARK BOALS
  61. CAPITOL PUNISHMENT THE MEGADETH YEARS/MEGADETH
  62. STATE OF TRIUMPH/METALIUM
  63. S&M/METALLICA
  64. GATEWAYS OF ANNIHILATION/MORBID ANGEL
  65. THE ALBUM/MORGANA LEFAY
  66. DESERT LAND/NARNIA
  67. DEAD HEART, IN A DEAD WORLD/NEVERMORE
  68. NAILWORK/NIGHT IN GALES
  69. WISHMASTER/NIGHTWISH
  70. BLACK SEEDS OF VENGEANCE/NILE
  71. THE THIRD ANTICHRIST/NECROPHOBIC
  72. AFTERLIFE/NOCTURNAL RITES
  73. INSIDE/ORPHANAGE
  74. THE PERFECT ELEMENT PART 1/PAIN OF SALVATION
  75. REINVENTING THE STEEL/PANTERA
  76. CARPE DIEM/PRETTY MAIDS
  77. NUCLEAR FIRE/PRIMAL FEAR
  78. SUPERHEROES/RACER X
  79. HOLY THUNDERFORCE/RHAPSODY
  80. DAWN OF VICTORY/RHAPSODY
  81. EVERY NERVE ALIVE/RITUAL CARNAGE
  82. MOMENT OF GLORY/SCORPIONS BERLINER PHILHARMONIKER
  83. CRIMSON/SENTENCED
  84. OF ONE BLOOD/SHADOWS FALL
  85. THE EMPIRE OF FUTURE/SILENT FORCE
  86. TO HELL AND BACK/SINERGY
  87. THE END OF SANCTUARY/SINNER
  88. ECLIPTICA/SONATA ARCTICA
  89. SUCCESSOR/SONATA ARCTICA
  90. PRIMITIVE/SOULFLY
  91. A SCEPTIC'S UNIVERSE/SPIRAL ARCHITECT
  92. AD ASTRA/SPIRITUAL BEGGARS
  93. INFINITE/STRATOVARIUS
  94. THE STORYTELLER/THE STORYTELLER
  95. V/SYMPHONY X
  96. BABYLON/TEN
  97. SLAUGHTERHOUSE SUPREMACY/TERROR 2000
  98. DIGGIAL/THERION
  99. PERPETUAL DESOLATION/THE SINS OF THY BELOVED
  100. MENACE AND PRAYER/THRONE OF CHAOS
  101. UGLY SIDE/THUNDERHEAD
  102. ALL ETERNITY/TO/DIE/FOR
  103. STANDING ON THE SHOULDERS OF GIANTS/TRIBE OF GYPSIES
  104. LITANY/VADER
  105. VIOLENT/VOLCANO
  106. METALIZATION/X.Y.Z.→A
  107. TUNES OF STEEL/ZONATA
  108. HEAVYMETAL [COLLECTOR'S EDITION]
  109. THE KEEPERS OF JERICHO - A TRIBUTE TO HELLOWEEN/V.A.
  110. A TRIBUTE TO METALLICA - METALLICA ASSAULT/V.A.

January

AZRAEL | ENSLAVEMENT OF BEAUTY | IMPELLITTERI | KENZINER | SPIRAL ARCHITECT | THUNDERHEAD | TRIBE OF GYPSIES | VOLCANO | ZONATA

KING OF THE STEELY NATION/AZRAEL

キング・オブ・ザ・スティーリィ・ネイション/アズリエル

HIGHWAYS RECORDS SKCA-1004

[☆☆☆☆]

日本の様式系メロディアスハード&ヘヴィメタルバンド、アズリエルのセカンドアルバムです。今回は販売元がバンダイ・ミュージックエンタテインメントという事で店頭で購入するのが容易になっています。新たにキーボードが加入してメンバーが六人になったこのアルバムは、荘厳なイントロダクションから始まるそのサウンドはハイトーンヴォーカルとツインリードギターを擁するドラマティックなものです。あらゆる点でのレベルアップを感じさせる楽曲はキーパー時代のハロウィンを彷彿とさせる一連のジャーマンメタル的サウンドに連なるキャッチーなメロディを持ったものや劇的な展開を見せる正統派ナンバー、明快なメロディのハードロックナンバー、開放感あるバラードなどツボを押さえたメロディ重視のものがずらりと並んでいます。
サウンドプロダクションも改善されてより楽曲の魅力が伝わるようになっています。ジャケットは2000年らしく3Dなドラゴンの飛翔です。ヴォーカルがハイトーンシャウトで辛そうなのがちょっと気になったりしましたが、畳み掛けるメロディの渦に巻き込まれる感覚を味わえます。ノクターナル・ライツとかハンマーフォールに反応してしまう人は要チェックって感じでしょうか。

TRACES O' RED/ENSLAVEMENT OF BEAUTY

悪の聖隷/エンスレイヴメント・オヴ・ビューティー

MARQUEE INC., MICP-10167

[☆☆☆☆]

ノルウェー出身の二人組メロディックデスメタルバンドのデビューアルバムです。デスメタルと言ってもヴォーカルがディストーションなだけで後はシンフォニックな哀愁漂う雰囲気のメロディアスでドラマティックなヘヴィメタルです。ギターのフレーズが北欧民謡的だったり叙情的な旋律炸裂だったり、キーボードも荘厳なムードを作り出していて、そのサウンドはちっとも激しくないチルドレン・オヴ・ボドムみたいだったりします。激しくない分聴きやすくて取っ付き易くはなっていますが勿論インパクトは薄れており、メタリックなエッジも弱いのでこの手の音にしては薄めで淡白な白身魚って感じです、ヴォーカル以外は。でも嫌いではないです。

CRUNCH/IMPELLITTERI

クランチ/インペリテリ

VICTOR VICP-60948

[☆☆☆☆]

“世界最速”ギタリスト、クリス・インペリテリ率いるインペリテリの6thアルバムです。今回のアルバムではヘヴィネスにポイントが置かれておりアルバム全体の重量感、硬質感も増しており、ギターリフの鋭さも心地よく響いています。ヴォーカルも前作までのスタイルよりも攻撃的で荒々しく迫るパートが増えており、彼ららしいキャッチーなコーラスとのコントラストも鮮やかに現れています。
1.パワーメタリックでアグレッシブなナンバー。
2.ソリッドなリフとドラマティックなメロディのパワーメタルな曲。ちょっと最近のハロウィンっぽい。
3.オーセンティックなリフを聴かせるスピード感あるナンバー。
4.ミドルテンポで圧力を高めるメロディアスなナンバー。
5.これでもか!って言うとっても速いプレイを聴かせる激しいインストゥルメンタル。
6.タイトでヘヴィな中にもコーラスが彼ららしい曲。
7.ミドルテンポのヘヴィなパートから疾走するヴォーカルパートへ展開して行くスクラッチみたいな音を絡めた、でもサビは彼ららしい曲。
8.メロウでも少し明るい感じのパワーバラード。
9.ブギーっぽい雰囲気のやっぱり速弾きなインスト。
10.珍しいブルータルな出だしの曲。確かにアークエナミーみたいなリフではある。唄い方も変えてますが、サビとコーラスはすっかりインペリテリです。キーボードがふにゃふにゃ鳴ってます。

THE PROPHECIES/KENZINER

プロフェシーズ/ケンジナー

VICTOR VICP-60954

[☆☆☆☆]

フィンランド出身のヤーノ・キスケネン率いるケンジナーのセカンドアルバムです。ネオクラシカルなギターとキーボードによる様式美系のスタイルを維持しながら、疾走感あるスピーディーな曲から重い題材のヘヴィな曲、クラシックな小品からドラマティックなバラードまで色々なものを揃えており、新しく加入したキーボードとギターの掛け合いのパートも増えて緊張感ある場面も随所に見られて全体的には突進力が増したアルバムになっています。サウンドも骨格がしっかりして安定したプレイも聴かれ、ちょっとダーティなハイトーンヴォーカルも危なげない歌声で安心です。
高品質の様式美サウンドはスタイル的には目新しくはないですが、求める人には潤いを与える一枚になってます。

A SCEPTIC'S UNIVERSE/SPIRAL ARCHITECT

ア・スケプティックス・ユニヴァース/スパイラル・アーキテクト

MARQUEE INC., MICP-10166

[☆☆☆☆]

ノルウェー出身の一部で話題になっていたプログレッシブメタルバンドのデビューアルバムです。プログレメタルとは言っても、ここで聴かれるのはテクニック重視の変拍子、転調を細かく繰り返す、演奏力で圧倒するタイプの複雑なサウンドで、緊張感と意外性を持った混乱すれすれのフレーズをコントロールしているものです。目まぐるしく変化する楽曲の様相は簡単には把握しきれないものですが、ダイナミックに動き回る演奏はそれだけで強い個性を放ち、ハイトーンヴォーカルもそれを受け止める強いパフォーマンスを見せます。
かなり分かりにくい展開や、楽曲自体のカタルシスと高度な演奏技術が必ずしも噛み合っていないような気もしますが、とりあえず技術至上主義のサウンドは入魂の職人技を見ているようで対峙することを強いるような。

UGLY SIDE/THUNDERHEAD

アグリー・サイド/サンダーヘッド

NIPPON CROWN CRCL-4741

[☆☆☆☆]

ドイツ人アーティストにアメリカ人のヴォーカリストというメンバー構成で活動しながらも解散してしまったサンダーヘッドですが、ヴォーカルのテッド・ブレットが中心になってアメリカで再結成させた復活アルバムです。解散寸前での迷いの見られたサウンドからは一転して彼ららしい(と言うよりはテッド・ブレットらしい)ガッツあふれる楽曲が戻ってきています。以前と方向性は同じ突進するタフなハードロックなサウンドですがギターソロなどにメロディ指向が強まっていて、バラードなども今までよりも扇情力が高まったりしています。ドイツのバンドでありながらブリティッシュロックな薫りが漂うとか言われていた彼らですが、これからはアメリカ的なサウンドも取り入れてロックンロールするみたいです。それでもやっぱり湿ってますけど。

STANDING ON THE SHOULDERS OF GIANTS/TRIBE OF GYPSIES

スタンディング・オン・ザ・ショルダーズ・オブ・ジャイアンツ/トライブ・オブ・ジプシーズ

VICTOR VICP-60889

[☆☆☆☆]

ブルース・ディッキンソンとのアルバム製作や最近ではロブ・ハルフォードともアルバムを作っていると言う噂もある、すっかり有名になってしまったロイ・Z率いるトライブ・オブ・ジプシーズのサードアルバムです。ここで聴かれるサウンドはヘヴィな音像とは程遠いラテンロックと言った感じのもので序盤はムード重視のアダルトな雰囲気が漂っていますが、ギターとなるとロイ・Zのエモーショナルなプレイが聴かれたりします。で、5のラテンの血が騒ぎ出すカーニバルな曲からロックするナンバーが続いてアルバムは盛り上がっていきます。ヴォーカルも表現力豊かに歌い上げており、アルバム全体はハッピーです。

VIOLENT/VOLCANO

ヴァイオレント/ヴォルケイノ

AVEX INC. AVCB-66079

[☆☆☆☆☆]

ガーゴイルやアニメタルで知られるギタリスト、屍忌蛇(SHE-JA)が新たに結成したバンドのデビューアルバムです。バンドとは言っても他のメンバーはそれぞれ自分のバンドに属しており、AIONのNOV、YOUTHQUAKEのAKIRA、GARGOYLEのKATSUJIとなっておりプロジェクト的な色が現在の時点では強いです。そのサウンドは北欧メロディックデスメタル的な空気と、ソドムを代表する80年代スラッシュメタルの突進力を併せ持ち、マイナーキーが炸裂する哀愁あるメロディ満載の叙情性と攻撃性が加えられたものになっています。
スウェーデンのデスメタル系プロデューサー、フレドリック・ノルドストルムの手によるミックスダウンとグレイヴディガーを彷彿(もっと聴き易い)とさせるダーティでパワフルなヴォーカルの取り合わせはメロデス経由のパワーメタルという感じもあります。時折り見せる美しいピアノやギターの様式美フレーズがドラマティックに楽曲を彩り、ヘヴィでグルーブ感あるリフと対照的なダイナミズムを生み出しており、過去と現在のサウンドが上手く融合されています。
既存の楽曲を思い起こさせるところも少しありますが、そういう細かいことは吹き飛ばすパワーのあるアルバムになってます。

エイベックスのサイトで何曲か試聴できます。

TUNES OF STEEL/ZONATA

チューンズ・オブ・スティール/ゾナタ

VICTOR VICP-60952

[☆☆☆]

スウェーデン出身の若手メロディアスヘヴィメタルバンド、ゾナタのデビューアルバムです。いわゆるジャーマンメタル的なサウンドはガンマレイを70%くらいにスケールダウンしてストラトヴァリウスをまぶしたような、そんな感じのクラシカルなフレーズや牧歌的な要素を含んだドラマティックでスピーディーなスタイルです。ヴォーカルがかなり色々な意味でカイ・ハンセン(そこまで似なくても…)しているところが影響を素直に表現してしまう初期ハロウィン的な曲調と結びついてガンマレイらしさ(?)を出していますが、割とフックのある楽曲も本家のエキセントリックなところとか派手な大仰さとかはまだ及ばないなあと思われる次第です。
クラシック色の強いインストゥルメンタルもやったりして、この先どこに転がっていくのかは良くわかりません。





Februaly

ARMORED SAINT | DEMONS & WIZARDS | DISMEMBER | SENTENCED | STRATOVARIUS

REVELATION/ARMORED SAINT

レヴェレイション/アーマード・セイント

VICTOR VICP-60955

[☆☆☆☆]

華やかなLAメタル全盛時に鎧姿でアピールしたアーマード・セイントの再結成アルバムです。さすがに当時の雰囲気とは異なったヘヴィでタイトな骨太のメタルという感じの割とルーズな雰囲気に仕上がっておりアンスラックスに加入して90年代的なサウンドを吸収したジョン・ブッシュの影響も伺わせる圧力のあるものになっています。彼のヴォーカルも相変わらず力強く激しく、小気味いいエッジのサウンドと共に熱い衝動をかき立ててくれることは必至。ギターソロもツボを押さえた扇情的なメロディを奏でて昔よりも取っ付き易くなってるようです。またダークでグルーブ感ある曲やスパニッシュな曲もあったりして違う側面を見せたりもしてます。

DEMONS & WIZARDS

ディーモンズ・アンド・ウィザーズ

VICTOR VICP-60986

[☆☆☆☆]

アイスド・アース(以下IE)のジョン・シェイファーとブラインド・ガーディアン(以下BG)のハンズィ・キアシュが結成したプロジェクトのアルバムがようやく到着です。荘厳さが漂うイントロからまるでIEな鋭いスラッシーなギターリフが切れこんでくるところへハンズィのあのヴォーカルがコーラスを伴って乗るに至っては暗黒BGの始まりと言った感じですが、サウンド的にはジャーマン風味のキャッチーさが削ぎ落とされて暗さが加わったことでファンタジックな歌詞世界ながらシリアスな雰囲気が全編を覆っています。
また、BGのリリカルな部分とIEのセンチメンタルな部分が交じり合って、より強力に叙情性を産み出しています。更に楽曲的にはIEのドラマティックでダイナミックな展開とBGの大仰さが結びついた上にハンズィのヴォーカルは逞しく時に繊細に歌い上げられており、壮大な物語世界を浮遊しています。基本的に両バンドの指向するサウンドには共通点が少なくないですし。
最近のBGでは聴かれない鋭いギターサウンドがあるので初期BG的とも言えなくも無いですが、 どちらかと言えばIE寄りなアルバムになってますのでIEのヴォーカルで全部やっても多分違和感は無いでしょう。ギターソロも本編のバンドよりもちょっぴり長めです。

クリームのカバーはちょっと(苦笑)。

HATE CAMPAIGN/DISMEMBER

ヘイト・キャンペーン/ディスメンバー

MARQUEE INC., MICP-10170

[☆☆☆☆]

スウェーデン出身のデスメタルバンドの5枚目のアルバムです。メロディックデスメタル的なアプローチを初期の頃から持ち続けていたバンドですが前作からのメロディアスな要素を更に強めた破壊的なサウンドをやってます。叙情的な湿ったメロディは嵐のような暴力的なリフの中でも違和感無く溶け込んでいます。スラッシュの流れを汲むブルータルな要素もまったく衰えることなく緩急を付けた曲構成とリズムチェンジによる展開の妙が激しく耳に響きます。ちょっと疲れるけど。

CRIMSON/SENTENCED

クリムゾン/センテンスト

VICTOR VICP-60968

[☆☆☆☆]

もうデスメタルだった過去の影も形も無くなってしまってるセンテンストですが、新たな方向性である叙情メタルの追求も佳境を迎えつつあるようです。前作にも増してヴォーカルの表現力が上がって悲哀に満ちたメロディを感情豊かに表現しており、溢れ出す情動の渦が総てを巻き込んでいく感覚に陥ります。
暗い空の下、寒風吹きすさぶ北欧の大地に慟哭の叫びが響いています。

INFINITE/STRATOVARIUS

インフィニット/ストラトヴァリウス

VICTOR VICP-60963

[☆☆☆]

すっかりスマートになってしまったヘヴィメタル界の飯野賢治ことティモ・トルキ率いるストラトヴァリウスの8枚目のアルバムです。
既に確立されたサウンドを貫き通す姿勢はこのアルバムでも変わらずネオクラシカルなヘヴィメタルをやってますが、今作は今までよりも落ち着いた腰の据わった楽曲を作ってます。遂にと言うかやっとというかオーケストラなどを導入して大掛かりな音作りをしていますが、楽曲の魅力という点ではそれほど効果は上がっていないような。むしろキャッチーなメロディを持ったコンパクトな曲の方が出来は良いようです。
リズム隊のタイトでパワフルな部分や華麗なキーボード、テクニカルなギターソロなどはいつも通りの安定したプレイを聴かせていますが、曲の展開からすると結構無理矢理な感のあるキーボードとギターのソロバトルとかは多少狙いすぎかもしれません。ヴォーカルメロディもいつも通りあまり良くないので、確かに高品質なアルバムではありますが手堅くまとまりすぎていて一週間くらいで飽きる気配濃厚です。





March

ARTENSION | DIO | RITUAL CARNAGE | SONATA ARCTICA | SPIRITUAL BEGGARS | VADER

MACHINE/ARTENSION

マシーン/アーテンション

ROADRUNNER RECORDS RRCY-11116

[☆☆☆☆]

ヴォーカルのジョン・ウェストがロイヤル・ハントに加入してしまって今後の活動が危ぶまれるアーテンションの4枚目のアルバムです。今作もヴィタリ・クープリのキーボードは華麗に舞っておりギターとの掛け合いも絶妙でテクニカルなプレイを全編に渡って聴かせています。相変わらずピアノもクラシカルに美しく奏でられています。何と言ってもプロのピアニストがいるバンドもそうはいないので。ギターサウンドが今までよりは心持ちヘヴィになった印象はありますが、緻密に構成された複雑な楽曲はドラマティックでスリリングな展開を繰り広げており、ジョン・ウェストのパフォーマンスもいつも通り良好ですが、色々手を変え品を変えて繰り出されるインストパートに比べるとやっぱり唄メロはあんまり面白くありません。

MAGICA/DIO

マジカ/ディオ

POLYDOR POCP-7465

[☆☆☆]

ロニー・ジェイムス・ディオ率いるディオがファンタジックなストーリーを引っさげて活動開始です。今回のアルバムはエイリアンが氷の下から掘り出した「マジカの書」によって導かれる魔術的世界の歴史を辿るコンセプトを持っており、ここ最近のヘヴィネス志向の強かった作風よりも初期の頃のドラマティックでメロディアスなサウンドに近づいてきています。イントロから始まりアウトロで終わるストーリーに沿った楽曲はミドルテンポの曲が中心でミステリアスな雰囲気を出しています。が、全く衰えを感じさせない情感豊かなヴォーカルはいつも通りとてつもなく素晴らしいですが、曲自体は期待感を持たせる各曲のイントロとは裏腹に今一歩盛り上がりに欠けるものになっていて、ヴォーカルの魅力を総て引き出すには至っていません。路線変更で新たな希望を与えてはくれましたが楽曲の練りはいまだ足りないようです。
さらに歌詞カードに書かれている“ひらがな”はかなり謎です。

EVERY NERVE ALIVE/RITUAL CARNAGE

エヴリ・ナーヴ・アライヴ/リチュアル・カーネイジ

PONY CANYON PCCY-01444

[☆☆☆☆]

フロリダ出身のダミアンが中心となって日本を活動拠点にしているバンドのセカンドアルバムです。その存亡が危ぶまれて久しい純粋なスラッシュメタルサウンドをやってます。ディストーションすれすれの吐き捨てヴォーカルと切れ味鋭く重いリフが激しく叩きつけられており、ヒステリックに鳴らされるギターソロが疾走感ある曲に乗って攻撃的に迫ってきます。時折表れる滑らかなメロディを持ったギターフレーズもアクセントを付けるのに役立っており、徹頭徹尾疾走する会心の一枚という感じになってます。かなり似たような雰囲気の曲が並んだりしてますがスラッシュメタルなのでまあいいんじゃないでしょうか。
メタリカのカバーもやったりしてます。

ECLIPTICA/SONATA ARCTICA

エクリプティカ/ソナタ・アークティカ

MARQUEE INC., MMICP-10173

[☆☆☆☆]

フィンランド出身のバンドの1999年発表のデビューアルバムです。一言で言うと北欧ネオクラシカル系様式美メロディックメタル(キラキラ)なわけですが、先達のバンドよりはスピードナンバーにおいて疾走感が3割増しという感じで若さにまかせた勢いをヒシヒシと感じさせます。キーボードの割合の多い透明感ある美しいメロディを随所に聴かせており、民俗的なフレーズも効果的に用いて哀愁あるドラマティックな楽曲を盛り上げています。スリリングなキーボードとギターのバトルなどもやったりして新人離れしたアルバムになってます。
それでも基本的には既存のスタイルの踏襲を行なっているわけでオリジナリティという点では余り見るべきところもないです。またヴォーカルも高音域が不安定で発音も不明瞭っぽいとか、先行するバンドのサウンドの影響を強く感じさせるところとかもありますが、まあ今後に期待って感じです。

AD ASTRA/SPIRITUAL BEGGARS

アド・アストラ/スピリチュアル・ベガーズ

VICTOR VICP-61008

[☆☆☆☆]

アーク・エネミーのマイケル・アモットが在籍することで知られるヘヴィロックバンドの4枚目のアルバムです。このアルバムからゲストだったデスオルガンのキーボーディストが正式に参加しています。オルガンとギターの絡み具合も心地よく、70年代のプリミティブなロック的な触感を持った楽曲が現在のサウンドで再構築されていってるようです。キャッチーなメロディとフックのあるフレーズが連発で休む暇も無い濃密で官能的な音空間が形成されてます。今度のアルバムはギターソロがよりマイルドになったような気もしますし、ドラムも少しメタル的なビート感を付加されて古さと新しさが同居するピュアロックなフィーリングあふれる鮮やかなものに仕上がってます。

LITANY/VADER

リタニー/ヴェイダー

MARQUEE INC., MMICP-10174

[☆☆☆☆]

ドラッグ問題を抱えていたドラマーがクリーンになって復帰しての4thアルバムです。壮絶なマシンガンビートと攻撃力満点のサウンドは今作でも全く衰えることなく、より激しく破壊衝動を満たしていきます。その暴虐性とは相反するかのような哲学的な謎めいた歌詞も更に詩的になっており、切れ味鋭く重いリフにのって暗黒世界を描き出していきます。割と聴き易い部類に入るヴォーカルと爆走するサウンドはフラストレーションの解消に最適…かも。





April

AXEL RUDI PELL | CRYHAVOC | DREAM THEATER | KAMELOT | LAKE OF TEARS | LANA LANE | NIGHT IN GALES | NECROPHOBIC | PANTERA | SINNER | TERROR 2000

THE MASQUERADE BALL/AXEL RUDI PELL

マスカレード・ボール/アクセル・ルディ・ペル

VICTOR VICP-61023

[☆☆☆]

ドイツのギタリスト、アクセル・ルディ・ペルの8枚目のアルバムです。ヴォーカルは前作同様、元HARDLINEのジョニー・ジョエリが唄っており今回はドラムスを現RAGEのマイク・テラーナが受け持っています。あまり評判の芳しくない色々な意味でスリリングな速弾きのギタープレイが減っており、まずは一安心?今作ではミドルテンポの聴かせるナンバーが増えており、そのヴォーカルスタイルとパフォーマンスは往年のロニー・ジェイムズ・ディオ在籍時のレインボーを彷彿とさせる力強いものになっています。アコースティック的な静かなギタープレイも多く使われてます。新味とか意外性とかはありませんが、様式美的な起伏あるメロディを駆使してドラマティックな楽曲を作ってますので落ち着いてまったりと聴くことが出来ます。

PITCH-BLACK BLUES/CRYHAVOC

ピッチ・ブラック・ブルース/クライハヴォック

MARQUEE INC., MICP-10179

[☆☆☆☆+☆(ボーナストラック)]

エロティックなジャケットで一部の層に圧倒的に支持されたデビューアルバムを経てセカンドアルバムは遂に日本でもデビューすることになりました。ダーティでディストーションの効いたヴォーカルが叙情的で哀愁あるメロディを激情的に唄い上げるダークでメランコリックなヘヴィメタルという方向性は今回も変わり無く、フックのあるリフが畳みかけるように盛り上げるドラマティックな楽曲で炸裂しています。オーセンティックなヘヴィメタル的な手法のタメや展開を随所に聴かせており、このスタイルのヴォーカルに馴染みが無い人でも聴きやすくなってます。
さらに!日本盤は1stアルバムの楽曲がそっくりボーナストラックとして収録されているので、すっかりお買い得。でもエロエロな写真は少ししか見られません。

THROUGH HER EYES/DREAM THEATER

スルー・ハー・アイズ/ドリーム・シアター

EAST WEST JAPAN AMCY-7145

[MINI]

ドリーム・シアターの来日記念盤です。最新アルバムからの別バージョンはさほど意味がありませんが、最新のライヴテイクと組曲の5は来日直前の期待を否が応にも高めてくれます。

THE FOURTH LEGACY/KAMELOT

フォース・レガシー/キャメロット

VICTOR VICP-61030

[☆☆☆☆☆]

フロリダ出身のキャメロットの4作目のアルバムです。プロデューサーにヘヴンズゲイトのサシャ・ピートを迎えて製作されています。前作では新たに加入したロイ・S・カーンの魅力を充分に活かすことが出来ませんでしたが、今作は曲作りに最初から加わったことで、より魅力的な楽曲を作りだしています。ロイの情感豊かなパフォーマンスはアルバム全編に新しい息吹を与えており威厳と風格を持った楽曲の説得力を増しています。期待を高めるイントロダクションからパワフルでドラマティックなタイトルトラック、中近東なメロディを配した4〜5、バラードナンバーの7、10、さらにコンセプションを彷彿とさせるプログレッシヴなナンバーまで緊張感を失うことなくメロディアスなヘヴィメタルを作り出しています。
このバンドのラインナップに求められているものを総て網羅した彼らの現時点での最高の作品であることは疑う余地もありません。

FOREVER AUTUMN/LAKE OF TEARS

フォーエヴァー・オータム/レイク・オブ・ティアーズ

NIPPON CROWN CRCL-4749

[☆☆☆☆]

スウェーデン出身のゴシックメタルバンドの1999年発表の4枚目のアルバムです。哀愁あるメロディをふんだんに盛り込んで叙情的でセンチメンタルなサウンドが全編に流れており、生楽器の調べも美しくアルバムを彩っています。北欧の深い森を連想させる厳かで静かな楽曲がメランコリックに聴くものの心に染みます。ディスメンバーのマグナス・サーグレンがギターソロを弾いていますが、このアルバムでは情感あふれる泣きのプレイを聴かせています。

SECRETS OF ASTROLOGY/LANA LANE

シークレッツ・オヴ・アストロロジー/ラナ・レーン

MARQUEE INC., MICP-10176

[☆☆☆☆]

シンフォニックロックの歌姫ラナ・レーンの五枚目のアルバムです。今回はソロキャリアで名を馳せるアルイエン・アンソニー・ルカッセンやVELOCITYのデヴィッド・ヴィクター、そしてデスメタルバンドGOREFESTのドラマー、エド・ワービーらが参加して新生ラナ・レーンをアピールしています。コンセプトアルバムである今作はアルバム全体を幻想的な世界観で覆っていますが、特に顕著なのがキング・クリムゾンを彷彿とさせる70年代プログレッシヴロックの要素で、一曲目のインストゥルメンタルナンバーでのスキャットや二曲目は明らかにその影響が感じられます。
また、サウンドは今までの柔らかな感覚を削ぎ落としたかのようなソリッドものとなっておりヘヴィに刻むギターリフに象徴される文字通り“硬い”ハードなものになっています。とはいえ彼ららしい豊潤なメロディは健在で、生楽器を随所に配した壮大で華麗な世界が広がっています。
そして、あんまり面白みのないスクリーンセーバー(for WIN)もオマケに収録されてます。

NAILWORK/NIGHT IN GALES

ネイルワーク/ナイト・イン・ゲイルズ

MARQUEE INC., MICP-10178

[☆☆☆]

ドイツ出身のメロディックデスメタルバンドのサードアルバムです。ヒステリックなわめき声とマイルドに唄う声を使い分けて叙情的なメロディを持った曲をやってます。メリハリの利いた起伏のある構成でダイナミックな展開を見せますが、ソツなくまとまり過ぎたせいか今一つ印象に残りにくいアルバムになってます。今となってはこのスタイルとしてはそれほど突出出来ないところが難でしょうか。全体的にデス声じゃないパートの方が良い感じに聞こえます。

THE THIRD ANTICHRIST/NECROPHOBIC

ザ・サード・アンチクライスト/ネクロフォビック

NIPPON CROWN CRCL-4748

[☆☆☆☆]

スウェーデン出身のブラックメタルバンドの1999年発表のサードアルバムです。フックのあるリフが疾走感を持ってダイナミックに展開する楽曲が特徴です。叙情的なメロディもふんだんに盛りこまれており、慟哭と破壊力を持ったディストーションヴォーカルも邪悪と怪奇が充満する歌詞を忠実に表現しています。押し引きを心得た山場の持っていき方はドラマティックに楽曲を盛り上げており暗黒の音楽らしい妖しい魅力を放っています。

REINVENTING THE STEEL/PANTERA

激鉄/パンテラ

EASTWEST JAPAN AMCY-7131

[☆☆☆☆]

炎に飛びこむパンツ一丁のハダカ男がジャケットのパンテラの新作です。今作では「俗悪」アルバムに近い感触のドライブ感を持つアグレッシブなサウンドになっており、ある意味キャッチーなサビも戻っているような。ヒステリックに切り込まれるギターソロや破壊力充分のリフやこれまでと変わらぬタイトなリズム隊が、こちらもいつもどおりの咆哮と叫びを聴かせるヴォーカルを伴って突き進んでいきます。さすがに円熟味を増してきたのか馬力にまかせた無理矢理なところは少なくなりましたが、相変わらずの存在感を見せ付けています。それでブラック・サバスっぽいダークな曲は今回も収録されてます。

THE END OF SANCTUARY/SINNER

エンド・オブ・サンクチュアリィ/シナー

VICTOR VICP-60993

[☆☆☆☆]

プライマル・フィアとの掛け持ちで大忙しのマット・シナー率いるシナーの二年ぶりの新作です。メンバーに元サンダーヘッドのヘニー・ウォルターと現ハロウィンのウリ・カッシュを迎えて製作されました。哀愁あるメロディをふんだんに散りばめたシナー節は今回も全開でオーセンティックなスタイルのサウンドを安心して聴かせてます。シリアスでヘヴィな印象の強かった前作よりもメロディ重視の楽曲はコンパクトなものが増えており、キーボードがアクセントになってメタリックな中にもリリカルな風味を加えています。U.D.O.のために準備されていたという4は確かにそれっぽい漢コーラスがあったりします。何はともあれ原点回帰を思わせる彼らの持ち味を充分に出したアルバムになってます。

SLAUGHTERHOUSE SUPREMACY/TERROR 2000

スローターハウス・スプレマシー/テラー・トゥーサウザンズ

SOUNDHOLIC TKCF-77029

[☆☆☆☆]

ソイルワークダーケインのスウェーデン組バンドのメンバーが集まったプロジェクトのファーストアルバムです。ディストーションヴォーカルにメロディックなフレーズで知られる両バンドですが、ここで聴かれるサウンドはメロディを抑え攻撃性と暴虐性を追求したメタル魂炸裂の暴れん坊スラッシュメタルです。デスメタルの洗礼を受けたサウンドとディストーションがかったヴォーカルはさておき、爆走するエッジの効いたリフまたリフの奔流とダイナミックな展開が聴き手を圧倒しボーナストラックを除いたアルバム収録曲には息付く暇さえありません。初期ジャーマンスラッシュ的な勢いに任せて多少の齟齬や無理矢理な曲展開を吹き飛ばす迫力あるサウンドはまさに機関銃で蜂の巣。





May

AT VANCE | BLUE OYSTER CULT | ERIK NORLANDER | EXHUMATION | IRON MAIDEN | THERION | HEAVYMETAL [COLLECTOR'S EDITION]

HEART OF STEEL/AT VANCE

ハート・オヴ・スティール/アット・ヴァンス

VICTOR VICP-61046

[☆☆☆☆]

ドイツ出身のバンドのセカンドアルバムです。前作同様のネオクラシカル、クラシカル風味のフレーズ、展開をふんだんに盛り込んだドラマティックでメロディアスな楽曲を作ってます。デビュー作よりもプロダクションが向上しているせいか音質は抜けがよくなってクリアでタイトに聞こえます。抑えが効いて落ち着いたハイトーンヴォーカルが叙情的なメロディを歌い上げており相変わらず情感豊かです。今作からツインギターになったせいかは分かりませんが、疾走感ある楽曲の割合が増えており滑らかなギターソロと共に緊張感を最後まで持続させています。
手堅い作りで予想を裏切るようなことはありませんが、期待を裏切ることはない高品質のアルバムになってます。

THE BEST OF BLUE OYSTER CULT/BLUE OYSTER CULT

ベスト・オブ・ブルー・オイスター・カルト/ブルー・オイスター・カルト

SME RECORDS SRCS-9499

[BEST]

ニューヨークの冷めた狂気、ブルー・オイスター・カルトのベストアルバムです。今までにも何度かベストアルバムは発表されていますが、バンドに許可を得ないものだったり二枚組の割には選曲に難ありと色々あったものの今回のアルバムは彼らの代表曲を網羅した、入門用としては最適のものになっています。さらにデジタル・リマスターされた楽曲は今まで聞いていたのは何だったのか?と新たな視点を提供するものになっていて、彼らの幅広い魅力を十二分に発揮しています。メタリカがカバーしたアストロノミー、セバスチャン・暴れん坊・バックがカバーしたゴジラなどなど、ロックスピリットに満ちたハードロックナンバーから哀愁帯びたメロディアスナンバーまでブルー・オイスター・カルトの歴史を詰め込んだ密度の高い一枚になっています。
そしてソニー英断のNICE PRICE 1700円!(税抜き)、さらにBurrn!誌編集長の解説付き!!(どうでもいい)、3Dソフトでモデリングされた骸骨死神がちょっと情けないかもしれないベストアルバム、持ってけドロボー!(お金を払いましょう)。
この勢いを駆って、すっかり廃盤な旧譜の再版希望(特にイマジノス)。

INTO THE SUNSET/ERIK NORLANDER

イントゥ・ザ・サンセット/エリク・ノーランダー

MARQUEE INC., MICP-10183

[☆☆☆☆☆]

ラナ・レーンですっかりおなじみのそのご主人、エリク・ノーランダーの第二弾ソロアルバムです。今作ではギターにエイリオンのアルイエン・アンソニー・ルカッセンが参加してプレイしており、最近のラナ・レーンさらにエイリオン的なファンタジックでシンフォニックな音世界を作っています。キーボードサウンドが全編に渡って縦横無尽に鳴り渡り、メタリックなギターサウンドと絡み合って劇的に楽曲を導いています。またゲストヴォーカリストとしてディープパープル等に参加していたグレン・ヒューズ、彼の唄う3曲目はまるでディープパープルのような空気を産み出しています、そしてラナ・レーン、カヤックのエドワード・リーカースらが各々の持ち味を発揮して曲の骨格を強化しています。
ハモンドオルガンやムーグをふんだんに盛り込んだダイナミックでゴージャスなサウンドはラナ・レーンとは一味違うプログレッシブな感触を与えてくれます。まさに派手で複雑な超大作。

TRAUMATICON/EXHUMATION

トラウマティコン/エグズメーション

MARQUEE INC., MICP-10184

[☆☆☆☆]

ギリシャ出身のバンドの1999年に発表されたサードアルバムです。いわゆるイン・フレイムスタイプのメロディックデスメタルをやってます。叙情的なフレーズを随所に盛り込んでドラマティックな楽曲を紡ぎ出しています。メロディを積み重ねる形のエッジが強調され気味なリフを持ったミドルテンポの楽曲が中心で、咆哮野獣系ヴォーカルはメロディをなぞってますが幅が狭いので扇情力は少し弱めで暴虐性の方が印象的です。緩急を付けた展開や静かなパートも聴かれて、嗚呼ますますイン・フレイムス。

BRAVE NEW WORLD/IRON MAIDEN

ブレイヴ・ニュー・ワールド/アイアン・メイデン

TOSHIBA EMI TOCP-65418

[☆☆☆☆]

ブルース・ディッキンソンとエイドリアン・スミスがバンドに戻って6人編成で挑む20世紀最後のアイアン・メイデンのアルバムです。ライブ感を重視した今作では「NO PRAYER FOR THE DYING」アルバム的な生々しい息吹と勢いが感じられるサウンドを作っていますが、ソロアルバムでの重厚なサウンドを作ったブルースとエイドリアンの影響とかトリプルギターをあまり感じさせないいつも通りのタメのある、あまりヘヴィでないメタリックなメイデンサウンドになってます。そして、ついボリュームを上げがちです。
ライブ的とは言ってもコンパクトになったかと思えば、そうでもなくて パワースレイヴとアフレイド・トゥ・シュート・ストレンジャーズとウェイスティング・ラブとか色々かき混ぜているうちにアレキサンダー・ザ・グレイトみたいになりかけている複雑な2とか、ソロパートでトリプルギターらしいフレーズを聴かせる3(これも結構長い)とか、オーケストレーションを導入して、まるでワルツみたいなフレーズを聴かせる叙情的でドラマティックな4(これもやっぱり長い)、一遍の物語のような緩急を付けた起伏ある展開を見せる、多分このアルバムを象徴するであろう6(一番長い文字通り渾身の大作)とか、かなり長さを感じさせる新機軸を盛り込んだ8、さらにフックのあるリフでスペーシーな世界観を現出させる9などなど、大作と言うか長尺の曲が多くなっており、そのズシリと重い感触は多少の疲労感を聴き手に与えなくも無いです。
それはともかく、ブルースの歌声も全盛期を抱負とさせる張りと艶が戻っており、その表現力及び鋭さを増したように思えるギタープレイと共に彼らならではの緻密な曲構成も随所に聴かれるプログレッシブな要素の強いアイアン・メイデンなアルバムにはなっています。
エイドリアンの作曲した曲が妙に少ないのが気になったりはしますが。

DIGGIAL/THERION

デジアル/セリオン

TOY'S FACTORY TFCK-87208

[☆☆☆☆]

シンフォニックメタルという代名詞がすっかり板についたセリオンのニューアルバムはやっぱり男女ヴォーカル&混声コーラスとオーケストレーションを駆使したオペラティックなアルバムになってます。とは言え重厚な生楽器パートばかりではなく曲の要所ではメタリックなリフがエッジを持って斬れ込んできたり主導したりして更なるメタルとクラシックの融合が進んだ上に、中近東な妖しいミステリアスなメロディと荘厳な空気に乗せてドラマティックな展開を見せたりしてます。今回は地味と言うか渋いというか落ち着いたナンバーばっかりなので印象が今一つ薄いと言えば薄いかもしれません。ブラインド・ガーディアンのハンズィ・キアシュもゲストで参加したりして野太いヴォーカルを聴かせてますが、やはりこの辺りで映像を伴った派手なメディア展開をしてもらいたいものですが、きっと予算は無いでしょう。ああ、この辺がトップクラスのメタリカとの違いですか。
さらにボーナストラックはライブ音源ですが、ちょっと前のデスっぽいナンバーと現在のナンバーの間で観客はどんな反応をしているのか非常に気になったり。

HEAVYMETAL [COLLECTOR'S EDITION]

ヘヴィメタル[コレクターズ・エディション]

SONY PICTURES ENTERTAINMENT INC., SDD-10158

[DVD]

今や伝説となって日本の多くのアーティストにも影響を与えたフランスのコミック雑誌「ヘヴィメタル」の1981年に公開されたアニメーション・ムービーのDVDバージョンです。公開当時はボカシが入ったアニメとして話題になったみたいですが、今となってはコンビニで売ってる雑誌の方が過激な描写なのはさておき。カルト・ムービーとしても有名な本編はオムニバス形式の作品で違ったタッチの物語が詰め込まれていて、技術不足をカバーするアイディアと熱意にあふれる実験的で意外性に満ちた、さらにエロティシズムたっぷりな映像が繰り広げられています。どちらかと言うとヘア描写よりもエロティックな描写の方が問題になりそうな気もしますが、最近のテレビドラマも結構大変な事になってるので、どうってことはないでしょうか。
肝心の画質の方は一部の情報によると海外盤よりは落ちるみたいですが、ビデオに比べれば明らかに鮮明な映像が収録されています。そして当時のヘヴィメタル/ハードロック・アーティストが楽曲を提供したりしてますが、その顔ぶれは
  • RADER RIDER / RIGGS
  • VETERAN OF THE PSYCHIC WARS / BLUE OYSTER CULT
  • TRUE COMPANION / DONALD FAGEN
  • HEARTBEAT / RIGGS
  • BLUE LAMP / STEVIE NICKS
  • OPEN ARMS / JOURNY
  • REACH OUT / CHEAP TRICK
  • TAKIN' A RIDE (ON HEAVY METAL) / DON FELDER
  • QUEEN BEE / GRAND FUNK RAILROAD
  • CRAZY? (A SUITABLE CASE FOR TREATMENT) / NAZARATH
  • ALL OF YOU / DON FELDER
  • HEAVY METAL / SAMMY HAGAR
  • PREFABRICATED / TRUST
  • THE MOB RULES / BLACK SABBATH
  • THROUGH BEING COOL / DEVO
  • WORKIN' IN THE COAL MINE / DEVO
です。とりあえず当時としてもヘヴィメタル?ってな感じのアーティストが多いのは置いといて、分かる範囲のバンドを言えばブルー・オイスター・カルトの楽曲は「FIRE OF UNKNOWN ORIGIN」、ブラック・サバスの曲はロニー時代の「MOB RULES」に収録されてます。サミー・ヘイガーがHEAVY METALなる曲を唄っていたのには少し意外。で、近頃製作されたヘヴィメタル2のサントラに収録されているアーティストと見比べると、時代の流れを感じたり感じなかったり、まあ色々。
さらにDVDの特典として、日本語吹き替え音声、もったいないお化けが出そうなカットされた凄い未公開シーン、メイキングやプリプロダクションの映像、そしてヘヴィメタル誌のカバー・ギャラリーと盛沢山。特にカバー・ギャラリーは思わずヘヴィメタル誌を取り寄せたくなる華麗なアート満載です。





June

AFTER FOREVER | BLAZE | THE CROWN | DOUBLE DEALER | EDGUY | GAMMA RAY | KING DIAMOND | MAJESTIC | METALLICA | SHADOWS FALL | SILENT FORCE

PRISON OF DESIRE/AFTER FOREVER

プリズン・オヴ・デザイアー/アフター・フォーエヴァー

MARQUEE INC., MICP-10189

[☆☆☆☆]

オランダ出身の男女ヴォーカルを擁する六人組のバンドのデビューアルバムです。ゴシック風味たっぷりの暗く美しいサウンドをシンフォニックなアレンジを絡めて作ってます。華麗なソプラノの女性ヴォーカルとディストーションの効いた野獣のような男性ヴォーカル、ゴシック的な幽玄さを持ったパートと伝統的なメタル然としたソリッドなリフのパートの対比によって神秘的で耽美な世界とダイナミックで激しい暗黒世界を表現しています。優雅に漂うゴシック的な部分と疾走感あるヘヴィメタルな部分のコントラストが強さが特徴的で、情感豊かなダイナミックでドラマティックな楽曲が並んでいます。

SILICON MESSIAH/BLAZE

シリコン・メサイア/ブレイズ

VICTOR VICP-61036

[☆☆☆☆]

アイアンメイデンの元ヴォーカル、ブレイズ・ベイリーが新たに結成したニューバンドのファーストアルバムです。このアルバムではアイアンメイデン時のかなりの力量と表現力を要求されるものとは違って自身でも作曲を手がけただけに無理の無い唄いどころを押さえ、力の入った歌唱を聴かせています。すごく上手いとは言いませんが。
楽曲の方はミドルテンポのメタリックなリフを中心にした、ちょっと今風のオーセンティックなヘヴィメタルと言った感じで、暗く哀愁帯びたメロディを絡めてタイトに迫っています。ハロウィンみたいなリフからアイアンメイデン的展開を見せる正統派ナンバーの4、熱いファストナンバーの6などフックのある曲や、5、7などダークでソリッドな曲を並べていたりします。
全体的にシリアスな雰囲気で凄く真面目なヘヴィメタルです。

DEATHRACE KING/THE CROWN

デスレース・キング/ザ・クラウン

VICTOR VICP-61081

[☆☆☆☆]

スウェーデン出身のデスメタルバンドの4枚目のアルバムです。同名のバンドがアメリカにいたため、CROWN OF THORNS から THE CROWN に前作から改名しています。
フレドリック・ノードストロムのプロデュースで製作されたこのアルバムは暴虐性と攻撃性を全面に出した激しく騒々しい音像が聴かれます。スラッシーなリフで暴走ロック的なダイナミズムに満ちたサウンドは吐き捨て型のダーティなヴォーカルで更に加速されて疾走する楽曲を産み出しています。時折聴かせる印象的なギターフレーズが単純に突っ走るだけではない巧みさを感じさせたりもします。ソドムやモーターヘッドといったバンドを彷彿とさせるストレートでパワフルな楽曲が並んでおり、高品質の初期衝動型ヘヴィメタルで気持ち良く頭が振れる会心の作です。

DOUBLE DEALER/DOUBLE DEALER

ダブル・ディーラー

VAP VPCC-81329

[☆☆☆☆]

コンチェルト・ムーンのギタリスト島紀史とサーベル・タイガーのヴォーカリスト下山武徳によるプロジェクトのファーストアルバムです。
粘質系のパワフルなヴォーカルと普遍的メタルなギターリフと様式系ギターソロでドラマティックなパワーメタルをやってます。レインボーのSPOTLIGHT KIDをコアでメタリックにしたような1とか、とても粘っこいヴォーカルを聴かせるモッタリしてる2とか、日本のロック史には残らないと思うけどドラマティックな3とか、あんまり速くも無い疾走ナンバーの5とか、いろいろバラエティのある曲が並んでいます。
迫真のプレイはともかく曲自体はあまりスリリングでは無いというかマッタリしすぎて丸いというか、アプローチが真っ当すぎて意外性が無いというか、型の遵守への拘泥が強く感じられる文字通り“様式”なアルバムになっているような。多分10年前くらいだったら感動に涙した可能性もあるでしょうか(某編集長が言わんとするところのスレたクサレメタラーだからな!)。

どうでもいいですが、このチリチリいってるノイズは何とかならないんでしょうか。

THE SAVAGE POETRY/EDGUY

サヴェッジ・ポエトリィ/エドガイ

VICTOR VICP-61090

[☆☆☆☆]

ドイツ出身のバンドの1995年に自主製作盤でのみリリースされた幻のデビューアルバムを再レコーディング、リメイクしたバージョンで収録したファーストアルバムでニューアルバムな一枚です。タイトルはオリジナルが「SAVAGE POETRY」でこの最新版には“THE”がついてます。
楽曲の方はなるほど、デビューアルバムでこれだけの曲が揃っていればメジャーデビューさせたくなるのも分かるクオリティで、オーセンティックなメロディックメタル、いわゆるジャーマンメタル的な要素を背景にした先人の影響を感じさせるものになっています。最近の彼らのアルバムよりは多くの要素が上手く消化されていて彼ら独自の魅力が引き出されているように感じられます。
オリジナルバージョンとは演奏力、プロデュース、アレンジの総てにおいて格段の進歩を見せ付けており、特にヴォーカリストの成長ぶりが著しく(まるで別人)、彼らの進歩を実感させられる作品に仕上がっています。

BLAST FROM THE PAST/GAMMA RAY

ブラスト・フロム・ザ・パスト/ガンマ・レイ

VICTOR VICP-61042

[BEST]

決意と自信に満ちた英断か、はたまた過去の栄光をかなぐり捨てる愚行か、現在のラインナップでラルフ・シーパース在籍時の楽曲をレコーディングしなおした超豪華二枚組ベストアルバムです。ファンの投票で選ばれた楽曲は代表曲といえるものが揃っていて彼らの歴史を辿るには充分なものになってます。
現在の段階でもかなりそのパフォーマンスに関しては色々と取り沙汰されているカイ・ハンセンのヴォーカルが過去の楽曲に乗るだけに誰しも一抹の不安は拭い切れないのではないかと思われますが、LUST FOR LIFEはハイトーン力押しナンバーであることに加えてALIVE'95アルバムでも聴くことが出来ていたために、もしかすると他の曲も大丈夫なのではないかと少し期待を持たせてくれますが、続くHEAVEN CAN WAIT、HEADING FOR TOMORROWでかなり無理のあるヴォーカルを聴かせてます。さらにHEADING FOR TOMORROWのアレンジはかなり冗長なものとなってます。
とはいえ、これらの曲はカイ・ハンセン自身を一応想定した曲なので物足りなくはあっても聴けなくもないです。
が、続くセカンドアルバム「SIGH NO MORE」からの曲はかなり大変な事になってます。CHANGESではヴォーカルのパワー不足を補うためのコーラスワークがさらにヴォーカルの貧弱さをアピールしてますし、ボーナストラックのRICH & FAMOUSも唄えないなら入れない方が良かったかも、って出来です。ONE WITH THE WORLDはまあ普通。しかし、次のDREAM HEALERはオーケストレーションたっぷりのアレンジが楽曲からキレとオリジナルの異様な緊張感を取り去り、さらに表現力の無いヴォーカルによって曲が凡庸に成り下がってます、って言うか酷いです。
さらに続くサードアルバム「INSANITY AND GENIUS」からのファストナンバー、TRIBUTE TO THE PASTも全体的にかなり無理矢理だったりでまるでライブ音源みたいです。LAST BEFORE THE STORMでは歓声を入れるとか姑息なワザを使ってますけど。そしてHEAL MEでなんだ上手く出来るじゃないか、と思ったら元々カイ・ハンセンが半分唄ってた曲だ!!

総じて言えるのは、このDISC 1の楽曲は装飾過多で締まっていた曲を現在のバンドの指向で膨らませてみたものの、どうも上手くいっていないという感が強いです。さらにギターリフにもリズム隊にもどうもキレが無いような。結論としては

「まるで出来の悪いカバーみたいだ!!」

さらに 「帰ってきて、ラルフ・シーパース!!!」

って感じでしょうか、根本的に問題があるような気もしますが。DISC 2はカイ・ハンセンがヴォーカルを取ってからの曲なので特に書くことは…って何か変わってるのかッ?

第二部に続く。

BLAST FROM THE PAST/GAMMA RAY

ブラスト・フロム・ザ・パスト/ガンマ・レイ

VICTOR VICP-61043

[BEST]

第二部。
さて、DISC 2はリ・レコーディングされた曲は最初の三曲だけで、残りはリマスターというやつですが問題のその一、REBELION IN DREAMLANDは後半の畳みかけるパートが何だかICED EARTHっぽくなってたりして何故の変更か?と思わせたりしてます。終盤のギターソロ部分もちょっと変わってます(なんかラフ)。続くMAN ON THE MISSIONも何だか荒っぽい仕上がりで、バランスも悪くなっていてあんまり落ち着きません。ああ、でもFEARYTALEも収録した方が良かったのでは。LAND OF THE FREEはまー普通です。相変わらずマイケル・キスクのヴォーカルは目立ってますが。

と、色々書きましたが、それでもなお良い曲は良い曲の魅力を発してるわけで、まー買う人は何を言われても買うし、買わない人は何を見ても買わないので、どうってことはないでしょう。いや、それよりもこれだけ改造しても良い曲に聞こえるのを褒めるべきか…。

HOUSE OF GOD/KING DIAMOND

ハウス・オブ・ゴッド/キング・ダイアモンド

VICTOR VICP-61080

[☆☆☆☆]

ヘヴィメタル界のオカルト魔人(今決めた)、キング・ダイアモンドの9作目のソロアルバムです。相変わらずのオカルティズム満載のホラーストーリーなのは言うまでも無く、現在のブラックメタルの基礎とも言うべき起伏ある怪しいサウンドになってます。楽曲自体はいつも通りのオーセンティックでトラディショナルなツインリードを駆使するヘヴィメタルを軸に雰囲気を盛り上げる怪奇、宗教色の強いエフェクトやSEなどで、ヴォーカルは裏声ハイトーンと中音域を使い分けるいつものキング節が満載です。
ミドルテンポのメタル然としたリフに滑らかなギターソロを配した曲が中心のこのアルバムは、多少奇怪さが薄まって割と聴きやすく分かりやすいものになっていて、どことなくキングの別バンドのマーシフル・フェイトっぽい感じもありますが、どこを切ってもヘヴィメタルな安定した作品です。

TRINITY OVERTURE/MAJESTIC

トリニティー・オーヴァーチュア/マジェスティック

TOSHIBA EMI TOCP-65456

[☆☆☆☆]

テクニカル様式美なアルバムで鮮烈なデビューを飾ったスウェーデン出身のバンドのセカンドアルバムです。ギタリストを創設メンバーのピーター・エスピノーザから無名の新人マグナス・ノート、ドラマーに元アーク・エナミー、現ダーケインのピーター・ウィルドアー、さらにヴォーカリストにフェイス・タブーのアポロ・パパサナシオを迎えて製作されています。新しいヴォーカリストは唄いあげる表現力豊かなタイプのハイトーンを駆使するもので、楽曲の幅を広げるのに貢献しています。また新しいギタリストもテクニカルなプレイを見せ、変幻自在なキーボードに一歩も引けを取りません。
スリリングなインストゥルメンタルの1から、かなりシンフォニーXながら、でもインストは更に鋭く迫ってくるドラマティックな2、北欧叙情風味たっぷりのメロディアスな3、キーボードが泣きまくる5、クラシカルかつ劇的に疾走する6、テクニカルなイングヴェイみたいなナンバーの8、9など様式美ワールド炸裂状態です。
キーボード含むインストパートとヴォーカルパートに温度差が感じられるところもあって、曲のまとまりがあまり良くないと言うか少しキーボードが弾きすぎなのではないかと思われたりもしますが、それが彼らの持ち味の一つでありツボにはまると恐ろしく一撃必殺なだけに痛し痒し。

S&M/METALLICA

S&M/メタリカ

WARNER MUSIC JAPAN AMBY-8005-6

[DVD]

サンフランシスコ交響楽団との共演の模様を収めたメタリカの二枚組DVD-VIDEOです。収録曲は既発売のアルバムと変わりませんが、DVDの特典としてマルチアングルで収録された曲やドキュメンタリーがあったりします。またバンドとオーケストラの音を別々に聴けたりもしてマルチオーディオの機能も使ってます。
さすがに映像を伴ったオーケストラの迫力は凄まじいものがあって、バンドとの白熱したプレイが臨場感を持って聴かれます。ロックコンサートに参加するのは初めてであろうオーケストラのスタッフが冷静な演奏をこなす様は流石にプロフェッショナルと言った感があります。そして、この共演の立役者のマイケル・ケイマンは陽気で太っ腹な隣の叔父さんと言った風貌で楽しげなのが印象的です。
ドキュメンタリーの方ではバンドとオーケストラ団員の交流が見られたり、故クリフ・バートンに関する言及があったりしますが、何より開演前の会場入口に現れた「メタリカは悪魔だ!(意訳)」とか書いたプラカードを持ったバカヤロ様が他の観客に遠巻きにされていました。

OF ONE BLOOD/SHADOWS FALL

オブ・ワン・ブラッド/シャドウズ・フォール

VICTOR VICP-61082

[☆☆☆☆]

ニューヨーク出身のバンドのセカンドアルバムです。テスタメントやアンスラックスといった80年代スラッシュメタルと90年代を代表するハードコアなヘヴィネスが特徴のパンテラ、そしてデスメタル的なアグレッションをスラッシーなリフを刻むツインリードでまとめながら、スウェーデン系メロディックデスメタルな叙情的なフレーズを畳みこむ、様々な要素を詰め込んだヘヴィメタルをやってます。ヴォーカルはクリーン・ヴォイスとディストーションヴォイスを使い分けるタイプと他に二人が受け持っていて、場面に応じたものが選ばれています。
基本的にはスラッシーだったりヘヴィだったりするリフを中心に細かいリズムチェンジ、複雑な展開を見せながらテクニカルなツインリードのギターソロで締めるもので、そこにアコースティックなパートやブレイクなどを挿みながら攻撃的な曲にしています。
今後どう転ぶかは分かりませんが、かなりの期待を持たせるバンドです。

THE EMPIRE OF FUTURE/SILENT FORCE

エンパイア・オブ・フューチャー/サイレント・フォース

VICTOR VICP-61078

[☆☆☆☆]

ロイヤルハントの元ヴォーカル、DCクーパーが新たに結成したニューバンドのファーストアルバムです。ギタリストはシナーのアレックス・バイロットで全作曲に関わっています。
雰囲気を盛り上げるナレーションあり劇的なイントロダクションナンバーから、さらにDCの伸びやかなヴォーカルを中心にしたドラマティックでメロディアスな広がりを感じさせるファストナンバーへと続いていきます。その後もSF超大作のサントラですか?、と言うくらいの3からメタリックなリフから様式系展開を見せる5など、キーボードとメタリックなギターによってドラマティックにドラマティックを積み重ねた正統派ヘヴィメタル楽曲が何の迷いも無く追求されていきます。
楽曲の方向性が統一されているだけにDCのヴォーカルの表情もロイヤルハントやソロアルバムで見せたほどには多彩ではないですが、このアルバムにふさわしい硬質な正統派メタル系ハイトーンヴォーカルを力強く聴かせています(もちろんドラマティック)。けれども、ドラマティックな割には感触はフラットというかクールな印象が強く、昔のクイーンズライクを派手にして薄めたような冷たい感覚が残ったりします。やはりDCのヴォーカルがクリーンでクールだからでしょうか。

さてドラマティックと何回書いたでしょう。





July

ARJEN ANTHONY LUCASSEN | ARTILLERY | BRAINSTORM | CYDONIA | ETERNAL TEARS OF SORROW | EXTOL | IN FLAMES | NIGHTWISH | SINERGY | SYMPHONY X | TO/DIE/FOR

AYREON THE DREAM SEQUENCER/ARJEN ANTHONY LUCASSEN

エイリオン宇宙の漂流者パート1〜ドリーム・シークェンサー〜/アルイエン・アンソニー・ルカッセン

VICTOR VICP-61111

[☆☆☆☆]

オランダのアンソニー・ルカッセンのソロプロジェクト、エイリオンの二枚立アルバムの一枚目です。こんな感じの
  • Johan Edlund - TIAMAT
  • Floor Jansen - AFTER FOREVER
  • Lana Lane - LANA LANE
  • Edward Reekers - KAYAK
  • Mouse - THUESDAY CHILD
  • Jacqueline Govaert - KREZIP
  • Damien Wilson - THRESHOLD
  • Neal Morse - SPOCK'S BEARD
  • Mark McCrite - ROCKET SCIENTISTS
  • Rob Snijders - CELESTIAL SEASON
  • Erik Norlander - LANA LANE,ROCKET SCIENTISTS
  • Clive Noran - ARENA
豪華メンバーを揃えたメロディアスで優しい雰囲気のシンフォニックロックになっています。柔らかく神秘的に仕上げたサウンドはゆったりと滑らかに流れていきます。

AYREON FLIGHT OF THE MIGRATOR/ARJEN ANTHONY LUCASSEN

エイリオン宇宙の漂流者パート2〜漂流者の旅〜/アルイエン・アンソニー・ルカッセン

VICTOR VICP-61112

[☆☆☆☆]

そして二枚目です。
  • Russel Allen - SYMPHONY X
  • Bruce Dickinson - IRON MAIDEN
  • Damien Wilson - THRESHOLD
  • Fabio Lione - RHAPSODY
  • Ralf Scheepers - PRIMAL FEAR
  • Timo Kotipelto - STRATOVARIUS
  • Andy Deris - HELLOWEEN
  • Robert Soeterboek - MY BROTHER JAKE
  • Lana Lane - LANA LANE
  • Ian Parry - ELEGY
  • Rene Merkelbach - HELLOISE
  • Ed Wardy - GOREFEST
  • Michael Romeo - SYMPHONY X
  • Keiko Kumagai - ARS NOVA
  • Gary Wehrkamp - SHADOW GALLERY
ヴォーカリストのメンバーを見て分かる通り、実力派のヘヴィメタルシンガーを揃え、ハードな音像のプログレッシブなシンフォニックロックをやってます。それぞれの特徴を最大限に活かしたとは言い難いですが、各々の実力通りのパフォーマンスを聴かせています。コンセプトアルバムながら曲自体は独立しており、スリリングなプレイや劇的な展開が随所に聴かれます。

B.A.C.K./ARTILLERY

バック/アーティレリー

KING RECORD KICP-733

[☆☆☆☆]

デンマーク出身の伝説のスラッシュメタルバンド、アーティレリーの復活アルバムです。吐き捨てと妙なヒョロロローって感じの高音ヴォーカルが炸裂するソリッドでメタリックなリフを主軸にしてアラビアンなフレーズを絡めた80年代的なパワーメタルなサウンドをやってます。緩急をつけた曲展開とスラッシーでパンキッシュに突っ走る勢いは今時珍しい貴重な存在かもしれません。メロディアスなギターソロにダイナミックな展開に、いつのまにか頭を振ってました。

AMBIGUITY/BRAINSTORM

AMBIGUITY/BRAINSTORM

METAL BLADE 3984-14330-2 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 ドイツ出身のバンドの3枚目のアルバムです。ヴォーカリストに元アイヴァンホーSYMPHORCEのアンディ・B・フランクを迎えて製作されています。

 哀愁メロディを表現力豊かに唄いこなすパワーヴォーカルを手にしたアルバムは、これまでの制約の多かったメロディのアレンジの自由度が広がり、楽曲の多様性を生み出しています。重量感ある不穏なイントロから繰り出されるソリッドなギターリフに起伏の大きいヴォーカルが説得力を与えていく迫力たっぷりのミドルテンポの1では妖しげなツインリードも繰り出され楽曲を盛り上げます。ドライブ感の強いリフで突っ走るシンガロングなコーラスも勇ましいストロングスタイルの2、リリカルなイントロから叙情的なフレーズを積み重ねる3はエモーショナルなヴォーカルが朗々と感情を伝えていき、オーケストレーションも加わってシンフォニックに展開する劇的大作。パワーリフを繰り出す4はダーティな歌唱で邪悪さを演出しつつ起伏も激しく展開する力強い一曲。クランチーなリフで畳み掛ける5は何だか豪華なコーラスがアクセントになった突進力のある曲、オリエンタルなメロディが飛び出すインストゥルメンタルの6を経て、そのムードを受け継ぐ7はルーズな空気で引き摺りながらエスニックにヘヴィに迫力を増していきます。ピアノの調べに乗せて切々と歌い上げるヴォーカルが涙を誘うセンチメンタルなバラードの8、躍動的なリフが叩きつけられる9は叙情的なメロディが展開されるドラマ性の強いギターソロも印象的なドラマティックナンバー。なんだかボーナストラックだったらしい10はデスヴォイスが導入されたザクザクした曲でやっぱりドラマティックなギターソロでハイテンション。怪しげなイントロからヘヴィリフがアグレッシブに切れ込む11は暗いムードを保ったまま緊迫感を増していき、希望を持たせるメロディさらにプログレ風インストへ。アルバムを締めるのは、叙情メロディからハイテンションで疾走する高速ギターソロに熱気あふれるコーラスも加わったダイナミックな12。

 新たな戦力の加入で自分達の可能性を思う存分追求してみた感の強いアルバムは、ハロウィン系ジャーマンメタルからアメリカンパワーメタルまで渾然一体とした多彩な表情を見せていきます。重厚な雰囲気ながら華麗なギターワークが開放感も感じさせるドラマティックなサウンドは、バンドの勢いと希望に満ちた未来を予感させるもので、今後の飛躍が期待できる一皮剥けた一枚です。
同系統アルバム
MODUS VIVENDI/TAD MOROSE
DOMI<>NATION/MORIFADE
HIDDEN PLACE/DGM

CYDONIA/CYDONIA

シドニア

MARQUEE INC., MICP-10192

[☆☆☆☆]

イタリアのラビリンス人脈の一時期バンドにも加入していたヴォーカリストが新たに結成したバンドのデビューアルバムです。そのメンバーとプロデューサーのオラフ・トーセン(ラビリンス)から予想されるメロディックスピードメタルをやってます、もちろんツーバスがドカドカ叩かれてます。かなりの実力のハイトーンヴォーカルはパワフリャーなパフォーマンスで危なげなく朗々と唄い上げたり超高音シャウトをかましたりしてテンションが高いです。バックの演奏もメタリックでギザギザしたリフを畳みかけたり、高速テクニカル系ギターソロを詰め込んでラビリンス度35%にアングラ度30%、ハロウィン度30%、クローミング・ローズが5%くらいのサウンドをやっちゃってくれてます。
特に目新しいところは無いですが、安定した演奏と割と良好な音で夏の花火みたいにパッと盛り上がります。後がちょっと寂しいけど。

CHAOTIC BEAUTY/ETERNAL TEARS OF SORROW

ケイオティック・ビューティー/エターナル・ティアーズ・オブ・ソロウ

KING RECORD KICP-732

[☆☆☆☆]

フィンランド出身のバンドのサードアルバムです。いわゆる北欧メロディックデスメタルをやってます。ゴシック寄りのチルドレン・オブ・ボドムイン・フレイムスみたいな曲をやってる感じで、泣きのメロディや緩急を活かしたかなりメロメロなサウンドです。キーボードやピアノ、さらに女性ヴォーカル(キンバリー・ゴス)が参加したりして哀愁系のドラマティックな世界を作ってます。ブラックメタルっぽい爆走系のパートも見せたり、エッジ・オブ・サニティーアイアン・メイデンのカバーもやってたりして、かなり器用で持ち札が多そうなバンドです。

UNDECEIVED/EXTOL

アンディシーヴドゥ/エクストル

MARQUEE INC., MICP-10194

[☆☆☆☆]

スウェーデン出身のテクニカルデスメタルバンドのセカンドアルバムです。前作ではブルータルでアグレッシブなデスメタル寄りのサウンドを作っていましたが、今作ではストリングスやアコースティックなパートを増やし、さらに普通に唄うヴォーカルの比重も増えて、複雑怪奇さに磨きをかけたアルバムになってます。その感触はデスメタルの刺々しさを残したプログレッシブメタルという風で、激しい起伏とダイナミックな展開、さらに時折現れる叙情的なメロディが予想を許さない混沌とした音を作ってます。異様に個性的過ぎて取っ付きはあんまり良くないですけど。

CLAYMAN/IN FLAMES

クレイマン/イン・フレイムス

TOY'S FACTORY TFCK-87214

[☆☆☆☆☆]

スウェーデン出身のメロディックデスメタルバンドの旗手、イン・フレイムスの5枚目のアルバムです。これまでの哀愁ある叙情的なメロディを軸にディストーションヴォーカルとの対比で曲のダイナミクスを作っていく音は今作でも踏襲されており、メロディやドラマティックな展開を更に突き詰めたものになっています。
ヴォーカルはノーマルに唄うパートや囁くような表現が増え、叙情的で静かなパートをより情感豊かなものにしており、キャッチーなメロディや攻撃的なパートとの強いコントラストがアルバム全体の起伏の幅を広げて、より劇的で鮮やかなものにしています。また、彼等の作品中最もオーセンティックなヘヴィメタル的な仕上がりになっており高い扇情力を持ったメロディを産み出すハーモニーを奏でるギターも満載です。
既にオリジネイターとしての貫禄さえ感じさせる自信と余裕に満ちた力強い作品になっています。

WISHMASTER/NIGHTWISH

ウィッシュマスター/ナイトウィッシュ

TOY'S FACTORY TFCK-87216

[☆☆☆☆☆]

フィンランドの女性ヴォーカルを擁するフォーク・トラッド風味のメロディックメタルバンドのサードアルバムです。その特徴的なシンフォニックで透明感あるサウンドはオペラティックに唄い上げる美しいハイトーンヴォーカルを活かしたドラマティックな展開を見せます。前作から向上したプロダクションとより緻密で効果的になった楽曲の起伏が更なるファンタジックワールドを作り出していて、畳みかけるような場面転換の妙と劇的な仕掛けがアルバム全編に散りばめられています。ハードなエッジのリフも滑らかなフレーズも自然な仕上がりで、アルバムの雰囲気作りに役立っています。さらにメタリック野郎としては疾走感あふれるメタリックな8がお気に入り、11の大作もかなり熱いです。
前作からの流れを受け継ぎ、順調にグレードアップしたアルバムになってます。

TO HELL AND BACK/SINERGY

トゥ・ヘル・アンド・バック/シナジー

TOY'S FACTORY TFCK-87215

[☆☆☆☆]

帰ってきたスウェーデンのメタルゴッデス(色んな意味で)、キンバリー・ゴス率いるシナジーのセカンドアルバムです。前作の北欧メロデス人脈の豪華メンバーは一枚限りで今作はバンドとしての体裁を整えた、多分固定メンバーで作ってます。チルドレン・オブ・ボドムのアレキシ・ライホはもちろん在籍しています(やっぱり色んな意味で)。
今度のアルバムではサウンドがよりハードかつタイトになっており、80年代正統派ヘヴィメタルのような空気を強く感じさせるものになっています。全体的にはアクセプトとかキャッチーな部分はハロウィンみたいに聞こえたりします。もちろんアレキシ・ライホと来日時のメンバーだったローペ・ラトヴァラはテクニカルなギターを随所で弾きまくっており、前作以上の派手さになってます。そして、ヴォーカルのキンバリーの成長は最も著しく、力強さと優しさが同居する伸びやかな歌声を聞かせてます。6はメガデスとハロウィンを足して割ったような感じでちょっと可笑しいです。
メタリックな要素が強まりすぎて北欧的な透明感が減ったためか、ヴォーカル以外の独自性というか特徴的なところが薄れていますし、序盤のテンションの高さが最後まで維持できていないように思われますが、とりあえず正統派ヘヴィメタルらしい硬めのアルバムになってます。

V/SYMPHONY X

V(ファイヴ)−新・神話組曲/シンフォニー・エックス

TOSHIBA EMI TOCP-65480

[☆☆☆☆☆]

アメリカのネオクラシカルメタルバンド、シンフォニー・エックスの5枚目のアルバムです。今度の作品はコンセプトアルバムということで、アトランティス大陸の伝説を基にした善と悪の抗争を描き出しています。
ヴェルディの曲をモチーフにした壮大でドラマティックなプレリュードから彼等の特徴とも言うべきダークでヘヴィなリフを持ちオペラティックなコーラスで盛り上げる2に切れ目無く繋がっていきます。曲をインストゥルメンタルの小曲で繋いでいく手法を取ったこのアルバムでは、まるで映画のサウンドトラックにも似た視覚的かつ有機的な構造を持っており、神秘的で妖しげな魅力を持った独特のサウンドと結びついて壮大な物語を産み出しています。スリリングでテクニカルなプレイも健在で起伏の激しい緻密な展開を聞かせています。クラシックのモチーフを大胆に取り入れたり、オーケストラや合唱団などを使ってサウンドのスケール感をアップさせており、新たな領域に進もうとする意欲的な作品になってます。

ALL ETERNITY/TO/DIE/FOR

オール・エタニティ/トゥ/ダイ/フォー

PONY CANYON PCCY-01470

[☆☆☆☆]

フィンランド出身のバンドの1999年に発表されたデビューアルバムです。ゴシック系な耽美で憂鬱な世界を切々と唄い上げるヴォーカルとメランコリックなメロディで北欧的な美しいサウンドを作っています。情感に訴えるミドルテンポの曲やアップテンポで哀愁漂うメロディを紡ぎ出すものなど、とことん哀しくとことん悲しげなサウンドがアルバム全体を覆っており、鬱な時に聞くと思わず遠い所に逝ってしまいそうな危険な魅力を孕んでます。そして、キンバリー、アレキシのシナジーカップルがゲストで参加してます。





August

ARCH ENEMY | BREAKING SILENCE | HALFORD | HEAVENLY | LABYRINTH | NOCTURNAL RITES | SCORPIONS BERLINER PHILHARMONIKER | TEN | THE SINS OF THY BELOVED | THRONE OF CHAOS | WARMEN

BURNING JAPAN LIVE 1999/ARCH ENEMY

バーニング・ジャパン・ライブ1999/アーク・エネミー

TOY'S FACTORY TFCK-87217

[LIVE]

1999年の10月に行なわれた日本公演の模様を収めたライブアルバムです。どっかで聞いたようなアルバムタイトルはさておき、まるでアルバムとは別人みたいなウォーミングアップしまくったようなヴォーカルは一段と迫力を増したりして、アルバムテイクとは一味違った印象を受けたりしますが、アモット兄弟の滑らかなツインギターはライブでも冴え渡っており選曲が結構なんだったりしますが、暑いもとい熱いライブの様子がひしひしと伝わってきます。とりあえず青空デス(C/Koh@C.O.P.)のSILVERWINGとANGELCLAWが収録されているのでOKです。

IMPACT/BREAKING SILENCE

インパクト/ブレイキング・サイレンス

SOUNDHOLIC TKCU-77040

[☆☆☆]

ギリシャ出身のバンドのデビューアルバムです。ストリングスなどを駆使した壮大で期待感を高める一曲目のインストゥルメンタルとは裏腹に、ハイトーンヴォーカルにテクニカルなプレイ、そしてシリアスでメタリックな冷たいイメージの音像を作ってます。ヴォーカリスト、楽曲ともに中期クイーンズライクな印象が強いですが、楽曲の盛り上がりとかドラマチック性とかはエンターテイメント度が足りないんじゃないでしょうか。ヴォーカルもプレイも安定しており、落ち着いて聴けますが特に突出する点も見当たらないので次回作に期待って感じです。
とにかくアルバムタイトルの「インパクト」はあまり感じられませんでした。

RESURRECTION/HALFORD

レザレクション/ハルフォード

VICTOR VICP-61134

[☆☆☆☆]

ジューダス・プリーストを脱退した後、モダンな音像を求めて流離の旅(迷走?)を続けてきたロブ・ハルフォードが自身の原点と言えるヘヴィメタルな領域に戻ってきてのプロジェクトのファーストアルバムです。プロデュースにはブルース・ディッキンソンとのアルバムで実力を知らしめたロイ・Z、さらにドラマーにライオットのボビー・ジャーゾンベクを迎えて万全の体制で望んでいます。
その復活のサウンドは彼が辿ったジューダス・プリーストの流れとソロキャリアで養ったモダン感覚を合わせたもので、全編ヘヴィでメタリックな雰囲気に満ちています。楽曲はジューダス・プリーストの名盤「ペインキラー」と彼の脱退後のアルバム「ジャギュレイター」の間を繋ぐような感じのもので、そのままバンドに在籍していたらと思わせたりします。
とは言え楽曲自体のドラマツルギーは
ペインキラー ■■■■■■■■■■
レザレクション■■■■■■■
くらいで全体的には縮小再生産な感じが強いような。どちらかと言えば満天に存在を知らしめる気概に満ちた外向きサウンドと言うよりは、内省的に自己の存在を確認するような内側を向いたものに感じられる、粘質の海で泳ぐような動きづらい重苦しい音作りに聞こえます。とりあえず気負いの方が先に立った結構疲れるアルバムです。今までの彼のアルバムの中では納得できる出来ではありますが。
ちなみにゲストのブルース・ディッキンソンは伸び伸び唄ってます。

COMING FROM THE SKY/HEAVENLY

カミング・フロム・ザ・スカイ/ヘヴンリー

VICTOR VICP-61126

[☆☆☆]

フランス出身のバンドのデビューアルバムです。プロデュースにアイアン・セイヴィアーのピート・シールク、ゲストミュージシャンにカイ・ハンセン(ガンマ・レイ)、トーマス・ナック(元ガンマ・レイ)と言うだけで音の想像の付く人はかなり多いと思われますが、その通りのメロディックスピードメタルをやってます。オリジナリティをこれっぽっちも感じさせないサウンド(曲名とかもかなり)はマイケル・キスク(元ハロウィン)に憧れるハイトーンヴォーカルとキャッチーなメロディを持ったコテコテの起伏のあるドラマティックかつフレンドリーな楽曲で、とってもガンマ・レイ&ハロウィン。前述の二人がヴォーカルで参加したりなどした曲は、まるでガンマ・レイのアウトテイクみたいな雰囲気を持っており、このタイプのサウンド好きにはツボを押さえた作りがかなり効くと思われます。
それはともかく、曲としてはどれも同じような密度で音が詰め込まれているため、曲としてのメリハリは付いてますが、アルバムとしては個々の楽曲の印象があまり残らないものになってます。先達のバンド達への愛情がたっぷり詰め込まれたオマージュのようなアルバムですが、日本盤に解説を付けなかったのは賢明な判断でしょうか(笑)。

SONS OF THUNDER/LABYRINTH

サンズ・オブ・サンダー/ラビリンス

VICTOR VICP-61011

[☆☆☆☆]

イタリアンメタルの雄、ラビリンスのサードアルバムです。今作では17世紀のフランスとヴェネチアを股にかけた、一人の美女を中心としたルイ十四世を巻きこんだラブストーリーのコンセプトアルバムです。ドラマティックなイントロから鋭いリフが炸裂の疾走スピードメタルが展開されていきます。彼等の特徴である物悲しく余韻を残したメロディもパワフルなハイトーンヴォーカルによって描き出されていきます。きらびやかなキーボードサウンドと積み重ねられていく起伏のある鮮やかな展開が登場人物の感情を激しく!執拗に!表現しており、このメロドラマ的(ハーレクイン?)なストーリーには彼等のサウンドは適しているように思えます(リフは攻撃的だけど)。プログレッシブ的な凝ったフレーズを聴かせたり、ギターソロが華麗に舞ってみたりと色々手の込んだ音で様々な場面を組み立てています(疾走はいつでも忘れずに)。
個々に独立した楽曲のようで根底では何か繋がっているような繊細な作りを見せるアルバム全体でも一つの山場を形成している、そんな仕上がりになってます。

AFTERLIFE/NOCTURNAL RITES

アフターライフ/ノクターナル・ライツ

VICTOR VICP-61124

[☆☆☆☆]

スウェーデン出身のメロディアスメタルバンドの4枚目のアルバムです。今作ではヴォーカリストが交替しており、その音楽性の変化が注目されていましたが前作までの北欧風のメロディを中心とした楽曲は影を潜めヘヴィメタル然とした硬質なものになってます。新しいヴォーカリストはロブ・ロック(元インペリテリ)とマイク・ヴェセーラを足して割ったようなタイプでパワフルなハイトーンを聴かせています。骨太でタフなサウンドは前述のヴォーカリストが参加したインペリテリあたりに近いものになっていて、ヨーロピアンメタルをアメリカのバンドがやっているような印象を受けます。疾走感もありモダンな音像も聴かせますが、このタイプのバンドの中で頭一つ抜け出すには、かなり難しいのではないのでしょうか(特に日本では)。

そしてCDをトレイから取り出してみる、間違い無くノクターナル・ライツだ…。

MOMENT OF GLORY/SCORPIONS BERLINER PHILHARMONIKER

栄光の蠍団〜モーメント・オブ・グローリー/スコーピオンズ・アンド・ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

TOSHIBA EMI TOCP-65484

[☆☆☆☆☆]

ロックの世界親善大使、スコーピオンズがベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と共演したアルバムです。近年オーケストラとロックバンドの共演も増えてきましたが、それらの中でも群を抜く完成度と荘厳かつ品格ある壮大な広がりを見せるサウンドが繰り広げられており、感動的な曲は更に感動的に、ハードロックな曲はオーケストラさえもがロックするドラマティックなものです。オーケストラと完全に融合した新たな魅力を発散する名曲の数々が演奏される様は長い歴史を持ったバンドとクラシックの産み出した20世紀最後を飾るにふさわしいものになってます。死ぬ前に一度は聴いとくべし。

BABYLON/TEN

バビロン/テン

UNIVERSAL MUSIC PHCW-1082

[☆☆☆]

イギリス出身のメロディアスハードロックバンド、テンの5枚目のアルバムです。今回のアルバムは2999年のトータル・リコール的世界の中のラブストーリーと言うことで、ジャケットはブレードランナーみたいであんまり関係ありません。さらにそのコンセプトを前面に押し出さなかったせいかどうかはともかく、曲間をナレーションでつないではいますが、曲ごとの関連性は全く希薄でいつも通りの初めて聞いた気がしない湿ったメロディのナンバーが並んでます。「中途半端なコンセプトアルバムにしたくない」と言うバンドのコメント通りの全くコンセプトアルバムになってない仕上がりみたいです。
それはさておき、楽曲の方は叙情的でほのかにセンチメンタルな彼等らしいものですが、いつものアルバムにある「この一曲」という感じのものが見当たらなくて、さらにこのタイプのサウンドにはあまり精通していない耳で聞いても、かなり相似値の高そうなフレーズに気を取られたりしないでもないわけで、アルバム中もっともハードな9はもしかするとMSGなのでしょうか(よく知らない)。

PERPETUAL DESOLATION/THE SINS OF THY BELOVED

パーペチュアル・ディソルーション/ザ・シンズ・オヴ・ザイ・ビラヴドゥ

MARQUEE INC., MICP-10199

[☆☆☆☆]

ノルウェー出身のバンドのセカンドアルバムです。女性ソプラノとヴァイオリンを大胆に使い、ディストーションヴォーカルをメインにした叙情系ゴシックメタルをやってます。リリカルなキーボードのフレーズと清廉なソプラノでの神秘的なムードとヘヴィな破壊的フレーズの組み合わせでドラマを作っていく手法は今となっては特に目新しいものではありませんが、ヴァイオリンによるヨーロッパ風民俗的フレーズの挿入は曲のアクセントになっていて幻想的な世界を作りだしています。ヴァイオリンが全編でリードを取っても良いような気がしないでも無いですが、女性ヴォーカルが時々あえぐので、あんまり大きな音で聴かない方がいいかも。

MENACE AND PRAYER/THRONE OF CHAOS

メナス・アンド・プレイヤー/スローン・オヴ・ケイオス

MARQUEE INC., MICP-10198

[☆☆☆]

フィンランド出身のバンドのファーストアルバムです。いわゆる叙情メロディックデスメタルをやってますが、サウンドはイン・フレイムスチルドレン・オブ・ボドムを足して割ったような感じの混乱狂気系でキラキラキーボードとクサクサメロディ炸裂の疾走アルバムです、お終い。
あとはイカれたジャケットをメンバーが描いているところがポイントです。

UNKNOWN SOLDIER/WARMEN

アンノウン・ソルジャー/ウォーメン

TOY'S FACTORY TFCK-87228

[☆☆☆]

フィンランド出身のチルドレン・オブ・ボドムのキーボードプレイヤー、ヤンネ・ウィルマンのソロプロジェクトです。インストゥルメンタルを中心としたネオクラシカルでテクニカルなプレイを聴かせるサウンドをやってます。バンドの方とは違ってヴォーカルのある曲は3曲すべてキンバリー・ゴスが歌っており、さらにブラストビートなども無いため普通の様式美系ネオクラシカルインスト、ストラトヴァリウスのような感じ(ベースがゲスト参加してます)が強まってます。“THE EVIL THAT WARMEN DO”とかどこかで聞いたような曲名(中身は違う)を入れたりして普通のヘヴィメタルっぽいこともやってますが、終盤の多分ハイライトになる曲あたりでテンションがかなり下がってしまって、どちらかと言えば歌入りのメタル然とした曲の方が向いているのではなかろうか、と思われたりします。





September

DESTRUCTION | HELLOWEEN | METALIUM | MORBID ANGEL | MORGANA LEFAY | SONATA ARCTICA | SOULFLY

ALL HELL BREAKES LOOSE/DESTRUCTION

オール・ヘル・ブレイクス・ルース/デストラクション

KING RECORD KICP-736

[☆☆☆☆]

初期ジャーマンスラッシュメタルの雄、デストラクションに分裂から長い年月を経てシュミーアが復帰しました。その間の活動は追いかけていなかったので、これが何枚目のアルバムに当たるのかもよく分からなくなってますが、それはさておき。
ここにあるデストラクションはツインギターでもないし、よくメガデスと比較されたテクニカルな展開も減ったし、ヴォーカルスタイルも初期の頃とは違ってしまいましたが、ザクザクしたリフとアグレッションが炸裂するスリリングなスラッシュメタルであることは間違いありません。 よりタフになって帰ってきた重装備マッド・ブッチャーという雰囲気がありますが、突進型の爽快感あるサウンドになってます。

MR. TORTURE/HELLOWEEN

ミスター・トーチャー/ハロウィン

VICTOR VICP-61110

[SINGLE]

ハロウィンのニューアルバム「THE DARK RIDE」からの先行シングルです。収録曲はアルバムからモダンなリフと彼等らしいキャッチーなコーラス、さらにライブではフェイク必至のキツいハイトーンなサビを持った表題曲、メロディアスでアンディ・デリスの唸り節を聴かせるしっとりとした曲が2バージョン、そしてB!編集長が「なんでアルバムに入れない!」と激高する、初期ハロウィンな味わいのこれまたライブではヴォーカルが死にそうなテンションの高いシャウト(多分フェイクする、もしくはボロボロ)&ツインリードのギターソロを聴かせる疾走ナンバーのアルバム未収録曲の全四曲です。
とりあえずニューアルバムは前作の流れをあんまり受け継いでいないかもしれない。

STATE OF TRIUMPH/METALIUM

ステイト・オヴ・トライアンフ/メタリウム

MARQUEE INC., MICP-10203

[☆☆☆☆]

オーセンティックなヘヴィメタルに勇気と希望?を与えたデビューアルバムから約一年、メタリウムのセカンドアルバムです。今作ではサヴァタージのクリス・キャファリーとRAGEのマイク・テラーナの姿は既に無く、新たにナイトフォールのドラマーと彼等の欧州ツアーに参加したギタリストが加入しています。
ものものしいイントロから続くパワーメタルチューンは思わず笑ってしま…、じゃなくて喝采を上げたくなる野太い漢コーラスとひたすら金属的で硬質なサウンドに相変わらずテンションの高いハイトーンヴォーカルという前作の流れを汲むヘヴィメタルらしいヘヴィメタルをやっていて、新たにキーボードと大仰さ3割増のオーケストレーションが加わって、よりドラマティックなサウンドになってます。クリス・キャファリー脱退の影響か分かりませんが、リフやメロディの組み立てにハロウィン的な空気を感じさせることが多くなっており、ドイツ風メロディックスピードメタル化が進んでます。一連のジャーマンメタル勢よりは抑えが効いていて硬派になってますが。
さらに5ではヴィシャス・ルーマーズ、6ではグレイヴ・ディガーを思い出させるスピードチューンを聴かせたりと伝統的なヘヴィメタルを感じさせ、熱い、もとい厚いコーラスと共にRPG風のヒロイックファンタジーなストーリーを効果的に盛り上げています。歌詞を読んでいるとクラクラしてきますけど。
パワー全開で突き進む楽曲が多いだけに終盤ではちょっと息切れ気味な上にカバー曲はちょっと難ありですが、それはさておき。ライナーに収録された「メタリウム・コミック」(2ページ縮小版)できちんと描かれているメタリウム君(仮名:職業メタリアン)がジャケットでは寸足らずのヘタレなキャラになってしまうのは何故ですか(何故ですか)。何はともあれ、熱さならマノウォーにも引けを取らないヘヴィメタルは今日も元気です。

GATEWAYS OF ANNIHILATION/MORBID ANGEL

ゲイトウェイズ・トゥ・アナイアレイション/モービッド・エンジェル

VICTOR VICP-61152

[☆☆☆☆]

ギタリストのエリック・ルータンが復帰して製作された六枚目のアルバムです。いつも通りの地の底で魑魅魍魎が蠢き騒ぎ、世界に呪詛を振りまくような暗黒の音像が貫かれていますが、今作はギターソロあたりに流麗な響きを感じさせて地獄の咆哮とのコントラストが効いてます。初期の頃のような破天荒な展開とかはすっかり影を潜めてしまいましたが、奇怪で醜悪で邪悪な彼等のサウンドが高い密度で詰め込まれてます。

THE ALBUM/MORGANA LEFAY

ジ・アルバム/モルガナ・ルファイ

NIPPON CROWN CRCL-4762

[☆☆☆]

スウェーデン出身のヘヴィメタルバンドがLEFAYとバンド名を受け継いだ方の2つに分裂して、その看板を継承した方の限りなくニューバンドに近いメンバーのニューアルバムです。中身の方はバンド分裂のきっかけになったと思われる前作の路線を進めたもので、ファンタジックな要素は皆無となっており、モダンでゴリゴリした感覚のヘヴィなアルバムになってます。残ったメンバーがドラムだけなため、以前の彼等を思わせるところはほとんど無くて、そういうのが好きな人はLEFAYを聴くんでしょうが、最近のヘヴィネス系な重苦しい開放感の無い密度の高い音です。その代わり特徴や個性はどこかに置き忘れてきたみたいですが。

SUCCESSOR/SONATA ARCTICA

サクセサー/ソナタ・アークティカ

MARQUEE INC., MICP-10201

[MINI]

兵役のため活動休止になるフィンランド出身のソナタ・アークティカのミニアルバムです。新曲2曲にカバーやライブ音源が収録されています。新曲は彼等らしい陰りのあるメロディを活かした畳みかけるコーラスワークの印象的なスピード感あふれるナンバーでクラシカルなソロが詰め込まれてます。もう一曲はバラードで、リリカルで寂しげな雰囲気を醸し出す小品といった感じです。
さらにカバーはスコーピオンズの「STILL LOVING YOU」とハロウィンの「I WANT OUT」でして、有名過ぎてクラクラする二曲ですが、前者はパワーメタルになっちゃってます。それでも本家のオーケストラバージョンには適いませんが。そして後者はキーボードを強烈にアピールしてポップ感覚あふれる元曲がさらにポップかつ華やかに。もちろんヴォーカルはカイ・ハンセンやアンディ・デリスよりは全(以下略)。
注目のライブ音源は玉石混合。

PRIMITIVE/SOULFLY

プリミティヴ/ソウルフライ

ROADRUNNER RRCY-11129

[☆☆☆☆]

セパルトゥラのヴォーカリスト、マックス・カヴァレラのバンド、ソウルフライのセカンドアルバムです。民俗的なリズムとグルーブ感あるヘヴィロックを融合させた前作での方向性はそのままに、より整合性のある緩急を付けた衝動的なサウンドを作り出しています。激しく怒号をあげるヴォーカルと聴き手を打ちのめすように繰り出されるシンプルでパワフルなビートは、パーカッションを中心とした組み立ての曲の特徴を際立たせています。また、押すばかりではない聴き手の想像力を刺激する静のパートとのコントラストが楽曲を印象的なものにしています。
パワー一辺倒ではない多彩な表情を持った楽曲を揃えたこのアルバムは確かな成長を感じさせ、大地に根を張った力強いダイレクトなロックを産み出しています。





October

APOCALYPTICA | ELEGY | HAMMERFALL | HELLOWEEN | HYPOCRISY | LIAR SYMPHONY | PAIN OF SALVATION | RHAPSODY

CULT/APOCALYPTICA

カルト/アポカリプティカ

UNIVERSAL INTERNATIONAL UICM-1002

[☆☆☆☆]

フィンランド出身のチェロ四重奏でヘヴィメタルの楽曲をプレイするバンドのサードアルバムです。企画ものかと思われていた彼等も既に3枚目のアルバムで今回はオリジナル曲がほとんど、あとメタリカが二曲、さらにメタル界では有名な「山の魔王の宮殿にて」をやってます。
弦楽器の繰り出す妖しい調べが重く硬質なリフで楽曲を作っていく様は、一種異様であり他に類を見ない独自性を発揮してますが、ヘヴィメタルを構成する楽器は何一つ無いにも関わらず、聴き手に与える感覚は正にヘヴィメタル。クラシックなのに奇妙で荘厳ながら緊張感のある空気を産み出します。
他にも今回は多少楽器の種類を増やしてパーカッションとかコントラバスとかも導入して表現力の幅を更に広げてます。アートな薫りが匂ってきそうな、表情が豊かで起伏に富んでいるオールインストゥルメンタルなアルバムですが飽きることなく聴けて、大音量で流し続けてもそこはかとなくオシャレ(ソファとワインは必須)。
メタリカのFIGHT FIRE WITH FIREはちょっと雰囲気が違う気がするです。

FORBIDDEN FRUIT/ELEGY

フォービドン・フルート/エレジー

VICTOR VICP-61149

[☆☆☆☆]

オランダのヘヴィメタルバンドのバンド創設者であるヘンク・ヴァン・ダー・ラーズの脱退という衝撃を乗り越えての6枚目のアルバムです。後任にはヴォーカリストのイアン・パリーのソロアルバムでプレイしたパトリック・ロンダットがあたっています。
前作でのモノクロームでヘヴィ&ダークな路線は払拭されており、前任ギタリストの残した楽曲も手伝って、初期の雰囲気を思わせる華麗で派手なパワーメタルサウンドが展開されています。新たに加入したギタリストも随所に印象的でテクニカルなプレイを聴かせており、2曲目のFORCE MAJEUREでは「SUPREMACY」アルバムを彷彿とさせるトリッキーなフレーズを連ねています。
音的にはかなり弾けていますが、コントロールされたヴォーカルがメロディの繰状態を抑制して質の高いサウンドを作っており、起伏の多い展開とスピードナンバーが復活したこのアルバムはシリアスで重い題材の前作よりもかなり聴きやすく、彼等に期待されているものが充分に発揮されている会心の作になってます。
でもバンドが前進したのか後退したのかは良く分かりません。

RENAGADE/HAMMERFALL

レネゲイド/ハンマーフォール

VICTOR VICP-61183

[☆☆☆☆]

アクセプト風なミドルテンポの勇壮なナンバーで始まるこのサードアルバムは、やっぱり何の方針の変更もなく、メタリックなリフとちょっと優しげなメロディのハンマーフォールな路線を追求してるわけで、ギタリストの鎧の進化を見届けることは出来るか。

伝統的なメタリックな楽曲にソフトなヴォーカルという、ありそうで実は少ない(もうノクターナルライツも違うしな)、割と誰にでも聴き易い柔らかいサウンドは今回も充分に発揮されていて、その辺りが鎧なギタリストとのミスマッチを誘うのがこれからの彼等の真骨頂でしょうか。

THE DARK RIDE/HELLOWEEN

ダーク・ライド/ハロウィン

VICTOR VICP-61169

[☆☆☆]

1.神秘的で邪悪な雰囲気のイントロダクション
2.彼等の最大公約数的なイメージを体現するキャッチーなメロディに皆で唄えよコーラス、朗々と唄うヴォーカルが特徴的なカイ・ハンセン時代のハロウィン風派手で大仰なナンバー。
3.シングルカットされた今風ハロウィンなリフと伝統的なコーラスが混ざり合った一応新機軸が成功した曲。
4.モダンヘヴィネスに擦り寄ったミドルテンポのダークで起伏の無い曲。
5.ヘヴィなリフと奇怪なメロディの実験的な曲。
6.アンディ・デリスなパワーバラード。
7.アニメの主題歌と揶揄される彼等の面目躍如なキャッチーなイントロ、躍動感のあるリフ、派手なコーラス、ツインリードなギターのハロウィン万歳な曲。
8.ミステリアスでプログレッシヴな、どーにもストラトヴァリウスに聞こえるミドルテンポの曲。
9.おとなしめに始まって派手なコーラスに進んで、なぜかギターは弾きまくる、よく分からん曲。
10.最近風ヘヴィリフで開放感のあるキーボード、ネオクラっぽいギターソロなフレーズに進むファストナンバー。コーラスに騙されてるような気がする。
11.やっぱりアンディ・デリスなナンバー。
12.徐々にテンポを上げていくパートを軸に派手なインストゥルメンタルへ展開していく大作。
13.勢いはあるが基本的にはどうでもいい曲。

速い曲も今一つだが、ヘヴィ系の曲は総じて駄目だ。

INTO THE ABYSS/HYPOCRISY

イントゥー・ジ・アビス/ヒポクリシー

MARQUEE INC., MICP-10210

[☆☆☆☆]

スウェーデン出身のデスメタルバンドの7枚目のアルバムです。前作では色々なところに手を伸ばしたバラエティに富んだ作風になってましたが、今度のアルバムは一曲目から疾走してます、さらにギターソロはヒステリックに泣き叫びます。その後も突進系の楽曲がザクザクしたリフで激しく迫ってきます。さらにヘヴィな曲は怪しさ炸裂な奇怪なメロディでちょっと荘厳な雰囲気を出したりしてます。
スラッシュメタルの流れを汲んだ爽快なデスメタルに回帰って感じでしょうか。

AFFAIR OF HONOUR/LIAR SYMPHONY

アフェアー・オブ・オナー/ライアー・シンフォニー

SOUNDHOLIC TKCS-85004

[☆☆☆☆]

ブラジル出身バンドのデビューアルバムです。バンド名にシンフォニーを冠する通りのドラマティックで勇壮な雰囲気のメロディックスピードメタルをやってます。ちょっとふらつくものの聴かせる落ち着いたトーンのヴォーカルと叙情的でフックのあるメロディを次々と連ねていく様式美なギター、そして荘厳で劇的なキーボードが仕掛けの多い楽曲で効果的に作用しており、アルバム全編でそれは貫かれています。ヨーロッパ的な要素の強い華麗で疾走感のあるサウンドを聴かせる完成度の高いデビューアルバムになってます。

THE PERFECT ELEMENT PART 1/PAIN OF SALVATION

ザ・パーフェクト・エレメント・パート1/ペイン・オヴ・サルヴェイション

MARQUEE INC., MICP-10208

[☆☆☆☆]

スウェーデン出身のプログレッシブメタルバンドのサードアルバムです。近作もコンセプトアルバムになっていて、背徳と不幸と狂気の薫りがぷんぷんする環境を世界との関わりに変転させる怪しげな話みたいですが、登場人物も舞台設定などもオフィシャルサイトに行ったらますます分からなくなったので、その辺はインタビューとかを待つことにして、音の方は一曲目が轟音系のモダンな感じで始まって、おおっと思わせますがコーラス部分になると彼ららしい透明感あるメロディアスなものになっていて、そういう手法も取りこんだのだなあ、と思わせる二転三転する複雑なものになってます。その後は叙情的で扇情的、さらに多彩な表情を見せるヴォーカルを軸に、刻々と場面を変転させていくテクニカルなバックが緊張感のあるインプロヴァイゼーションや優しいフレーズを奏でたりと、幾重にも積み重ねられた音の流れが感情を豊かに表現していきます。
こんどのアルバムでは急転する曲展開も説得力を増して、神秘的で寂寥感の漂う予想の出来ない異形のサウンドが縦横無尽に繰り広げられており、彼等の特異性が一層際立ったものになっていますが、全体では整合性がとれている完成度の高いものになってます。
やはりタイトルから判断するにストーリーはまだ途半ばなのでしょうか。

HOLY THUNDERFORCE/RHAPSODY

ホーリー・サンダーフォース/ラプソディー

VICTOR VICP-61182

[SINGLE]

大仰さ炸裂のシンフォニックメタルを追及する彼等ですが、このニューアルバムからの先行シングルでも、その暴走ぶりは止まることを知らず、多分アルバムはもっと大変なことになってるのではなかろーか、と思わせるオペラの領域に既に足を踏み入れた表題作、及びファンタジーなムードたっぷりなアルバム収録曲の別バージョンなどの全三曲です。





Nobember

ARMAGEDDON | CRADLE OF FILTH | CRYPTOPSY | DARK TRANQUILLITY | THE HAUNTED | JURASSIC JADE | MARK BOALS | MEGADETH | ORPHANAGE | PRETTY MAIDS | RHAPSODY | X.Y.Z.→A | A TRIBUTE TO HELLOWEEN | A TRIBUTE TO METALLICA

EMBRACE THE MYSTERY/ARMAGEDDON

エンブレイス・ザ・ミステリー/アルマゲドン

TOY'S FACTORY TFCK-87234

[☆☆☆☆]

アーク・エナミーで兄弟そろって活躍する、その弟クリストファー・アモットの別バンドのセカンドアルバムです。前作では吐き捨てヴォーカルのデスラッシュといった攻撃的なサウンドを繰り出していましたが、今回はメンバーを大幅に入れ替え、クリーントーンのヴォーカルを擁するオーセンティックな正統派サウンドを作っています。
前述のバンドでの働きの通り、ギタープレイは切れ味鋭いフックのあるリフに込み入った展開を見せる楽曲にフラッシーなギターソロ、さらに叙情的なメロディが積めこまれたフレーズがアルバム全体に配されており、あらためて才能の豊かさに驚かされますが、新たに導入された唄い上げるメロディアスハードロック風のヴォーカルは安定したパフォーマンスながらもあまり魅力的とは言えない凡庸としたメロディラインのため、相対的にインストパートの力強さが際立つ結果になっています。メロディックデスメタルの手法からプログレッシブロック的な展開を取り入れたこのバックのサウンドを支えるには、このヴォーカルは多少パワー不足と言った感じです。
アルバムの収録曲中でも光っているインストゥルメンタルナンバーや疾走ナンバー(唄メロ少ない)を聴く限りでは、曲自体がヴォーカルを活かすようには作られていないように思われるので、もっとフックのあるメロディを作れるヴォーカリストを入れるか、オールインストのアルバムの方が才能を充分に発揮できるのではないでしょうか。さすがに上手く調和したバラードナンバーの出来は良いですが。

MIDIAN/CRADLE OF FILTH

ミディアン/クレイドル・オブ・フィルス

VICTOR VICP-61185

[☆☆☆☆☆]

イギリスの吸血鬼軍団クレイドル・オブ・フィルスの4枚目のアルバムは同じイギリスの作家であるクライヴ・バーカーの作品「NIGHTBREED」に登場する異形の存在“ミディアン”を描き出すものになっています。
エキセントリックな容姿で狂気のパフォーマンスを繰り出すヴォーカルと邪悪さを炸裂させるシンフォニックなアレンジのブラックメタルという音楽性は、これまでと同様貫き通されていますが、エキセントリックさが頂点に達して恐怖劇場を作り出した前作とは多少感触が異なり、普遍的なヘヴィメタルらしいアレンジやフレーズも聴かれるようになってヘヴィで骨太なサウンドになっています。前作がハマープロの70年代ホラー作品だとしたら近作はハリウッド的モダンホラーと言った感じでしょうか。
それはさておき。攻撃性と疾走感が強烈な2(クトゥルー・ドーンと読むべきだな…)から叙情的な感覚を保ちつつ激情を露にする曲や畳みかけるドラマティックな展開など、彼等独自の美意識に貫かれたダークでメランコリックなアンダーワールドが展開されていく様はさしずめ黒い童話を語る魔女のようです。華麗で凶悪なアートワークも美しい、暗黒世界の門を開く一枚です。

AND THEN YOU'LL BEG/CRYPTOPSY

アンド・ゼン・ユール・ベッグ/クリプトプシー

VICTOR VICP-61184

[☆☆☆☆]

カナダ出身のデスメタルバンドの4枚目のアルバムです。テクニカルということで定評のある彼等ですが、細かいリズムチェンジを繰り返しながら、攻撃的で嵐のようなサウンドを作り出すというスタイルはこのアルバムでも維持されていて、とにかくスピード重視の印象が強いです。テクニカルな面ではプログレッシブロック的な奇怪なフレーズを様々に用いながら、ギターソロでは叙情的なメロディを導入したりと混沌としながら整合性を持った狂気の流れを作り出しています。

HAVEN/DARK TRANQUILLITY

ヘイヴン/ダーク・トランキュリティ

TOY'S FACTORY TFCK-87235

[☆☆☆☆]

スウェーデンのメロディックデスメタルバンドの5枚目のアルバムです。前作ではヴォーカルの問題からゴシック風メランコリック路線に衣替えして、今後の活動が危ぶまれていましたが、いつのまにかディストーションヴォーカルも復活(ウソツキ!)して、彼等の独自の個性的なサウンドが戻ってきてます。
ミドルテンポの曲を中心に叙情感をタップリまぶした強烈な泣きのメロディを繰り出し、慟哭と激情の叫びを絡めるという手法でゴシック風の暗黒耽美空間を生み出しており、攻撃性などは更に減退してますが、静と動を使い分けるコントラストの強いドラマティックなサウンドに仕上ってます。
とりあえずミュージシャンの言うことはあまり信用しないようにしよう。

THE HAUNTED MADE ME DO IT/THE HAUNTED

メイド・ミー・ドゥ・イット/ザ・ホーンテッド

TOY'S FACTORY TFCK-87231

[☆☆☆☆☆]

スウェーデンの新世代スラッシュメタル、ザ・ホーンテッドのセカンドアルバムです。ヴォーカルとドラマーが交替してますが、音楽性に大きな変化は見られず激烈で爽快なヘヴィメタルを作っています。ほとんどデスメタルな凶悪ヴォーカルと狂暴に切れ込むヘヴィなリフにタイトなドラム、さらにメロディアスなギターソロが絡み合うスラッシーな曲や前身バンドであるアット・ザ・ゲイツを彷彿とさせるメロディアスなリフの硬質ながら叙情的な曲、メロウなメロディのサビを持つミドルテンポの曲、ひたすらに激烈な疾走曲など、嵐のようなサウンドが縦横無尽に展開されていきます。前作以上にメロディの幅を広げて、ツボを押さえたフレーズの入れ方や情動を刺激する巧みなリズムチェンジなどが満載の強力な衝動音楽です。

WONDERFUL MONUMENT/JURASSIC JADE

ワンダフル・モニュメント/ジュラシック・ジェイド

HOWLING BULL ENTERTAINMENT INC., HWCA-1043

[☆☆☆]

アンダーグラウンドのシーンで活動を続けてきたジュラシック・ジェイドの4枚目のフルレンスアルバムです。初期にはスラッシュメタル色の強いサウンドだったらしい彼等ですが、このアルバムではスラッシュ風の吐き捨て型の女性ヴォーカルはありますが、楽曲自体はヘヴィで攻撃的ながら複雑なリズム展開を見せるプログレッシブなものになっています。爆発的な破壊力を見せるパートと陰鬱に地の底を這いずるパートが曲に強いコントラストを与えていてアナーキーな歌詞と合わさって奇怪で衝動的な世界を作り出しています。

RING OF FIRE/MARK BOALS

リング・オヴ・ファイアー/マーク・ボ−ルズ

MARQUEE INC., MICP-10212

[☆☆☆☆]

少し前までイングヴェイ・マルムスティーンのアルバムで唄っていたマーク・ボールズのセカンドソロアルバムです。キーボードにアーテンションヴィタリ・クープリ、ギターに着々とソロキャリアを積むトニー・マカパイン、さらにドラマーにはそのトニー・マカパインとのプロジェクトでも共に活動するヴァージル・ドナティといったテクニカル系の凄腕プレイヤーを揃えてきました。
一曲目のイントロからヴィタリ・クープリ節なキーボードとテクニカルなギターが炸裂する様式美なファストナンバーで力強いハイトーンヴォーカルを聴かせて、さらにヴィタリ・クープリの書いた2はほとんどアーテンションだったりして、ギターとキーボードのスリリングなプレイを堪能できます。その後もドラマティックでダイナミックな曲が目白押しの確固とした核を持ったサウンドが紡ぎ出されていきます。ファンタジックな歌詞にのって展開されるパワーとエモーションあふれる歌唱が溢れかえってます。
なんだか、このプロジェクトはトニー・マカパインは脱けて残りのメンバーで新しいバンドになるようなのですが、アーテンションは事実上消滅なんでしょうか、やっぱり。いや、ヴィタリ・クープリが活動を続けてくれれば、それはそれで構わないんですけど。

CAPITOL PUNISHMENT THE MEGADETH YEARS/MEGADETH

キャピトル・パニッシュメント〜ザ・メガデス・イヤーズ〜/メガデス

TOSHIBA EMI TOCP-65474

[BEST]

キャピトル・レコードを離れることになったメガデスのベストアルバムです。異論反論がウンザリするほど出そうな選曲は新しい楽曲から古いものへと進むように配置されており、マーティー・フリードマン加入以降の楽曲がほとんどになっています(ファーストアルバムからは無し)。そして新作に収録予定だった新曲が2曲に隠しトラックなどもあったりします。注目の新曲の“KILL THE KING”はデイヴ・ムステインの唸り節が聴けるミドルテンポのザクザクしたヘヴィなリフのナンバー、“DREAD & THE FUGITIVE MIND”は「COUNTDOWN TO EXTINCTION」に収録されていそうな硬質リフに凝った展開、滑らかなメロディのギターソロが聴けるナンバーです。
さらに過去の曲はリマスターがされてますが最近の曲だと違いがサッパリ、でもちょっとヘヴィだろーか…変わってないかな…微妙なのでそれは人それぞれと言うことで。
とりあえず、メガデスの尖ってるところとメロウなところとキャッチーなところをそれなりに抽出した、メガデス初体験の人には割と無難なベストって感じでしょうか。それにしても、ずっと時代を下りながら聴いていくと、楽曲の方向性というか温度差が強く感じられたりして。

INSIDE/ORPHANAGE

インサイド/オーファネイジ

SOUNDHOLIC TKCS-85006

[☆☆☆☆]

オランダ出身の男女ヴォーカルを擁するデスメタルバンドのサードアルバムです。
うねるヘヴィリフにディストーションヴォーカルで狂暴性を発揮しつつクリーントーンの女性ヴォーカルがミステリアスな雰囲気を盛り上げるダイナミックなサウンドが展開されています。神秘的で叙情的なフレーズや、時折ヒステリックに唄う女性ヴォーカルも合いまって奇怪で荒涼とした世界が広がっていき、複雑な展開を見せる楽曲は異形の表情を露にしています。ヘヴィメタルのダークサイドな系譜を受け継ぐ異空間を生み出す異様なサウンドの一枚です。

CARPE DIEM/PRETTY MAIDS

カーペ・ディエム/プリティ・メイズ

EPIC RECORDS ESCA-8233

[☆☆☆☆]

デンマーク出身のベテランバンド、プリティ・メイズの9枚目のアルバムです。基本的なサウンドはいつものプリティ・メイズ節なメロディアスなものですが、スピードナンバーありバラードありの全体的にはポップやメロウな曲の印象が強く感じられる、ハードな曲もそんなにはエッジが立っていない穏やかな仕上がりになってるような気がします、尖がってはいないと言うか。特に凄いと思える曲も無いですが、これといって悪い曲もない彼等のアルバムとしては、至って普通な出来映えではなかろうか、と思います。
お前はプロレスファンか?と思わせる何かよくわからん解説がもれなく付いてきます。

DAWN OF VICTORY/RHAPSODY

ドーン・オブ・ヴィクトリー/ラプソディー

VICTOR VICP-61181

[☆☆☆☆☆]

イタリアが産んだシンフォニックヘヴィメタルバンドの三枚目のアルバムは、クラシカルでファンタジックでドラマティックという一つの手法を突き詰める、ある意味ヘヴィメタルの極北とも言える方法論を徹底的に用いた一点の迷いも無い強力なものになっていました。
壮大で豪勢なコーラスとオーケストレーションによって導かれるイントロダクションの1から始まる、疾走感を持ったメタリックなギターの攻撃的な曲、リリカルなヨーロッパ的な民謡音楽風メロディを組み合わせて幻想的な雰囲気を作り出す曲、それらを総て織り交ぜたクラシック的で大掛かりな仕掛けのドラマティックな大曲などによって個々の物語の場面を鮮やかに描き出しており、彼等独自のファンタジックワールドをアルバムの中に封じこめています。
さらに演劇的要素の強い力強く熱唱するヴォーカルとオペラ的とも言えるコーラスによって、一歩間違えれば作り物と思われる物語への説得力と没入感を高めて聴き手との世界観の共有状態を有無を言わせぬ力技で産み出します。
ダイナミズム、スケール感ともに大きく成長したこのアルバムはバンドの追い求める方向性への自信を深め、彼等自身の「勝利の夜明け」を告げるものになるでしょう…。

METALIZATION/X.Y.Z.→A

メタライゼーション/エックス・ワイ・ズィー・トゥ・エー

X.Y.Z.RECORDS XZCS-4

[☆☆☆☆]

微妙にバンド名を変更した、二井原実、橘高文彦、和佐田達彦、ファンキー末吉によるバンドのセカンドアルバムです。ファーストアルバムではメンバーの手の内の探り合いと言うか、曲もこなれていない部分もありましたが、このアルバムでは一曲目に叙情的なインストゥルメンタル、二曲目にネオクラシカルなイントロ&ギターソロのスピードナンバーを配するという様式美な展開を見せて驚かせてくれます。その後はヘヴィな曲やキャッチーな曲、バラードにアルバムタイトルを表すようなメタリックでハードな曲などバラエティに富んだものが並んでいますが橘高文彦のギタープレイはどの曲でも冴えを見せており、サウンドもよりタイトに仕上っていてバンドとしての方向性も定まった感の強いアルバムになってます。
ハードロックしている歌詞は日本語ですけど、特に違和感も無く聴けます。

THE KEEPERS OF JERICHO - A TRIBUTE TO HELLOWEEN

キーパーズ・オブ・ジェリコ―トリビュート・トゥ・ハロウィン―

VICTOR VICP-61153

[☆☆☆☆]

既に多くのバンドに影響を与えて久しいハロウィンへのトリビュートアルバムです。収録されている楽曲はカイ・ハンセン在籍時のもののみで構成されてます。
1. GUARDIANS / RHAPSODY
イタリアン・シンフォニックメタルの雄、ラプソディーはカイ・ハンセンがヴォーカルだった曲をやってますが、多分あなたが想像した通りの音が展開されていて(笑)、彼ららしいシンフォニックなアレンジが加わってオリジナルを凌駕する出来映えになってます、ヴォーカルが大きな差になっているだけに。ここはひとつファビオ・リオーネには是非ガンマ・レイに(以下略)。
2. I WANT OUT / SONATA ARCTICA
フィンランド出身のネオクラシカルメタルバンドです。既にミニアルバムで発表済みの曲ではありますが、スピード感を強調した仕上がりになってます。
3. A LITTLE TIME / HEAVENS GATE
ドイツのベテランヘヴィメタルバンド、ヘヴンズ・ゲイトがどういうわけか参加してます。渋い出だしで多少変わった印象を受けますが、ハイトーン部分になると元曲に忠実にやってますが、とりあえずハロウィントリビュートをやってる場合では無いだろうと思う人は沢山いるだろう。
4. RIDE THE SKY / METALIUM
ドイツの正統派メタルバンドです。ヘヴィな仕上がりになってますが、ヴォーカルはいっぱいいっぱいって感じです。更にアルバムを振り返るとここのヴォーカルってあんまり上手くないよなあと思い出されたりします。
5. I'M ALIVE / LUCA TURILLI
前出のラプソディーのギタリストのソロ名義の作品です。ちょっと軽めのヴォーカルなラプソディーなのですが、基本的には元曲通りにやってます。
6. JUDAS / MORIFADE
スウェーデン出身のバンドです。普通ですがジューダス!のコーラスがちょっと弱っちいです。
7. EAGLE FLY FREE / VISION DEVINE
今度はラプソディーのヴォーカルとラビリンスのギタリストのプロジェクトです。ヴォーカルは良好ですが、バックの音は薄いなあ、って感じです。
8. SAVAGE / BRAINSTORM
ドイツのパワーメタルバンドです。元曲はハロウィンとしてはスラッシーな曲でしたが、更に攻撃的な仕上がりになっていて、上手くハマってます。
9. FUTURE WORLD / LABYRINTH
イタリアのメロディックスピードメタルバンドです。ラビリンスには適したキャッチーな曲で普通な出来です。
10. SAVE US / CYDONIA
またまたイタリアのバンドです。ハイトーンヴォーカルも気合が入っていて何ですが、インストではちょっと遊び心を見せたアレンジをしてます。
11. VICTIM OF FATE / SQUEALER
こちらもドイツの結構息の長いバンドです。パワフルなメタルヴォーカルで元曲よりも攻撃的なものになってます。
12. HALLOWEEN / DARK MOOR
女性ヴォーカルを擁するスペインのバンドです。元曲よりもミステリアスな雰囲気が強調されており、シンフォニックなSEやコーラスを盛り込んで妖しげに仕上ってます。
13. HOW MANY TEARS / SECRET SPHERE
またまたまたイタリアのバンドです。ちょっとヴォーカルがキツイですが、まあまあ頑張ってます。

というわけで、カイ・ハンセンがヴォーカルだったころの曲は良好に、マイケル・キスク時代はそれなりになってますが、どの曲も元曲を尊重したものになっていて、トリビュートアルバムとしては安心して聴かれます。ハロウィンは良い曲を沢山残したなあと本家の最新アルバムを聴いていると思ったりしないでもないです。この辺りの楽曲の要素はほとんどカイ・ハンセンの方に行ってしまったのだなあ、とも。それにしてもアルバムを聴いていると、どのバンドの誰でもいいからガンマ・レイに(以下略)。

A TRIBUTE TO METALLICA - METALLICA ASSAULT

メタリカ・トリビュート

VIDEOARTS MUSIC VACM-1164

[☆☆☆]

L.A.あたりのアメリカの名の知れたミュージシャンによるメタリカのトリビュートアルバムです。とりあえず参加メンバーはそれなりに豪華です。
1.BATTERY
ドラムがデイヴ・ロンバートなんですが、ギターは何かモッタリしてキレが無いです。
2.SAD BUT TRUE
ジョーイ・ベラドナが唄ってますが、特に何てこともありません。
3.SANITARIUM
ヴォーカルがチャック・ビリーみたいだと思ったらアグリー・キッド・ジョーでした。それはともかく、メタリカが困ったときのジョン・マーシャルとアンスラックスのスコット・イアンも参加して演奏はバッチリ。
4.THE UNFORGIVEN
5.THE THING THAT SHOULD NOT BE
6.ENTER SANDMAN
7.WHIPLASH
割愛
8.NOTHING ELSE MATTERS
ジョン・オリヴァ、レミー・キルミスターと親父が二人も加わった、やっぱりジョン・オリヴァっていいよな、っていうバージョン。
9.SEEK AND DESTROY
チャック・ビリーはこっちでした。
10.FOR WHOM THE BELL TOLLS
ブルー・オイスター・カルトのエリック・ブルームが唄う、これってカバー返しってやつですか?な一曲。

バラけた面子だけに特に変わった趣向も無く、とりあえず演奏はしっかりしている無難なトリビュートアルバムでした。





December

CHILDREN OF BODOM | DEVIN TOWNSEND | EDENBRIDGE | THE EMBRACED | NARNIA | NEVERMORE | NILE | PRIMAL FEAR | RACER X | THE STORYTELLER

FOLLOW THE REAPER/CHILDREN OF BODOM

フォロー・ザ・リパー/チルドレン・オヴ・ボドム

TOY'S FACTORY TFCK-87236

[☆☆☆☆☆]

フィンランドの生んだ衝撃のネオクラシカルデスメタルバンド、チルドレン・オヴ・ボドムの3枚目のアルバムです。とりあえず基本的なところはあまり変わってませんが、これまでのアルバムよりも更にパワーメタル的な要素が増えてデスメタル部分が持ち合わせていた狂気めいた感覚はほとんど無くなってます。
ギターリフがスラッシーな刻み系が中心でブラストビートとかも控えめになっているためヴォーカルが無いと、いわゆるジャーマンメタルかアメリカンパワーメタルみたいです、リフが重ねられて突進するところとか。滑らかなギターソロと華やかなキーボードの絡み合いも以前と同様スリリングに繰り出されており、その点は流石に先駆者だけのことはある仕上がりも見せてます。
オーケストラヒット炸裂でキーボードが妙に華やかな1とか、ボドム湖の殺人鬼がちょっと戻ってきたいつもの劇的路線ながら安定感のある2、スローでメロウかつヘヴィな4、ラジオで聴いたときから思い出せなくて気になっていたリフや漢コーラスを含め全体的にランニング・ワイルドな5とかバカみたいにキーボードとギターのインストを聴かせる9など曲の完成度は上がってきてるみたいです。
デスメタルと様式美な展開が産み出す葛藤と言うか壊れた感じも減って曲自体はまとまって聴き易いことは確かですが、どうにもダイナミズムとか派手さもアルバムを重ねる毎に目減りしてきたような。印象深いヘンテコな合いの手も無いし(笑)、緊張するパートよりも弛緩するところが耳につきます。それでもフックのある叙情的なフレーズやキラキラしたキーボードサウンドをあふれるほど盛り込んでボドム湖を泳いで一周みたいなハジけたアルバムになってます。
で、相変わらず聞き取れっこないにも関わらず歌詞はほとんど付いてきません。そして多分、次のアルバムジャケットの色は紫でしょう。

PHYSICIST/DEVIN TOWNSEND

フィジシスト/デヴィン・タウンゼンド

SME RECORDS SRCS-2379

[☆☆☆☆]

カナダの奇才、デヴィン・タウンゼンドのソロ名義の二枚目のアルバムです。今までのどのアルバムもソロみたいなもんですが。
これまでに様々な方向性を見せてきた彼ですが、ここで聴かれる音はストラッピング・ヤング・ラッド的な轟音とパラノイア的に詰め込まれた音の重なりに透明感のあるメロディのヴォーカル、コーラスといったもので、最近のアルバム「INFINITY」や「OCEAN MACHINE」の傾向を踏襲した幻想的な雰囲気になってます。あいかわらずのテンションの高い前半の楽曲とスペーシーな後半の楽曲に、デヴィン印満載のサウンドが繰り出されて、やっぱりちょっと疲れます。

SUNRISE IN EDEN/EDENBRIDGE

サンライズ・イン・エデン/エデンブリッジ

KING RECORD KICP-760

[☆☆☆☆]

オーストリア出身のバンドのデビューアルバムです。女性ヴォーカルを中心に透明感あふれるサウンドを作り出すヘヴィメタルと言うよりはハードロックなバンドです。その天使のような歌声は高貴さと優雅さを持ってドラマティックで憂いに満ちた楽曲を鮮やかに表現していきます。リリカルなメロディや中近東なフレーズも交えつつ華麗に展開する荘厳なサウンドは、ある意味心洗われる清廉なもので言うなれば賛美歌に近いかも。とりあえずクリスマスにはピッタリなアルバムです。まったくヘヴィメタルという言葉が似合わないものなので、なんとなく、ここで紹介するのは間違っているような気がしてきました。

THE BIRTH/THE EMBRACED

ザ・バース/ジ・エンブレイスド

SOUNDHOLIC CO LTD. TKCS-85007

[☆☆☆]

ノルウェー出身のバンドのセカンドアルバムです。リリカルで叙情的なイントロのナンバーから導かれるアルバムのサウンドは破壊的なディストーションヴォーカルを擁するメロディアスなヘヴィメタルです。2曲目のあまりのメロディアスでプログレッシブな展開や五曲目の女性ソプラノのアコースティックなナンバーに驚かされますが、続く楽曲は耳を惹くリフと扇情性の強いツインリードのギターソロが乱舞する北欧系メロディックデスメタルになってます。曲の展開は割と複雑で手が込んでおり、フックのあるメロディを配置して起伏の激しい流れを産み出しています。どうもインストの雰囲気がヘヴィメタルと言うよりはフュージョンよりだったりしますが、とりあえずこれは新しいのかも、曲としてのまとまりには欠けるけれども。
しかし、三曲のみで書かざるを得ない解説は、このアルバムではかなり辛いかもしれない。

DESERT LAND/NARNIA

デザート・ランド/ナーニア

PONY CANYON PCCY-01486

[☆☆☆☆]

スウェーデンのネオクラシカルバンド、ナーニアの3枚目のアルバムです。様式美な展開を遵守する初めて聴いたような気がしないサウンドで何ですが、今回は音的には割とロックした勢いのある仕上がりになってます。いわゆるネオクラシカルなファストナンバーからドラマティックな曲、メロディ豊かなバラードなど色々取り揃えて飽きさせないよう工夫してます。高品質で安定したアルバムですけど、やっぱりどことなくお約束な感は否めなかったりしてます、オリジナリティも発揮されつつあるようですが。なぜか、ここのヴォーカルもスキンヘッドだったりしますが、情感ゆたかなパフォーマンスに導かれて優しい品のあるサウンドが展開されています。

DEAD HEART, IN A DEAD WORLD/NEVERMORE

デッド・ハート、イン・ア・デッド・ワールド

VICTOR VICP-61209 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

アメリカのパワーメタルバンド、ネヴァーモアの4枚目のアルバムです。一聴での印象は前作での暗く重い雰囲気は、やや後退してリズムやメロディにも躍動感を感じさせる勢いのあるサウンドが耳を惹きます。彼等の持ち味であるメタリックでヘヴィなリフを軸にした這いずるような重みのあるバックの演奏と奇妙なメロディのヴォーカルが合わさって、さらに独特な異空間を産み出しながら混沌とした強い感情を叩きつけてきます。ギターソロも叙情的なメロディが炸裂するキャッチー(彼等にしては)なものになっており、曲のダイナミズムがスムーズに伝わっています。
彼等のサウンドは、どう考えても取っ付きの悪い異形の楽曲ではありますが、このアルバムは今までのものよりは幾分か当たりは柔らかくなっているような感じはあります。情念を感じさせる強いヴォーカルのパフォーマンスが浮遊する、蒼い夜の世界を作り出す力強いサウンドが詰め込まれています。

2000年発表のこのアルバムは今まで彼等のプロデュースを手掛けてきたNeil Keronからマシーンヘッド、テスタメントブレイズ、最近ではアーク・エネミーなどを手掛けたAndy Sneapを迎えて製作されています。ギターのサウンドを強調し、今までとは異なった感触のサウンドを作り出しており、前作で極められた方法論からの脱却を図ろうかとしているようです。さらにギタリストが脱退して四人編成に戻ったこともタイトなサウンドの造形に影響を与えているかもしれません。
絶望的なムードを払拭した躍動感のあるサウンドに導かれた楽曲はソリッドな面が強く打ち出されており、叩きつけるリズム隊の強力さが際立つものですが、表面は固まっていても内奥では脈打つマグマのような物騒な空気を持った楽曲も残されており、情感豊かに切々と唄い上げるパワーバラード、特にビデオクリップ(映像自体は微妙な雰囲気だけど)にもなっている“BELIEVE IN NOTHING”は壮絶なほどのダイナミズムを備えた琴線に触れるもの(泣くがいい、声をあげて泣くがいい)で、彼等にはあまり見られなかったナンバーを含め、今までに培われたサウンドの集大成とも言えるバラエティに富んだアルバムになっています。官能的にのたうつギターソロは益々その生命力を感じさせるようになり、キャッチーなメロディ“も”唄うようになった唯一無二のヴォーカルと共に更にダイナミックになった楽曲を蠢かせています。
その総てを彼等の色彩に染め上げる混沌の様はサイモン&ガーファンクルの元曲を全く留めないヴァイオレントなカバーにも現れており、異形を体現するネヴァーモアの音世界はひとつの到達点を迎えたと言っても良いでしょう。
病んだ精神に呼応する感情の渦は、ひとまずは最大暴風域を抜けて目に入っているため、彼等の特徴である異形ぶりが幾分かは緩和されて広い層にアピールできる、ある意味分かりやすい作品であり、現時点での彼等の最高の作品になっています。

BLACK SEEDS OF VENGEANCE/NILE

ブラック・シーズ・オブ・ヴェンジェンス/ナイル

TOY'S FACTORY TFCK-87238

[☆☆☆]

古代エジプトの伝承や伝説などを題材にした血生臭い壮絶なサウンドを作り出す、でもアメリカのバンドのセカンドアルバムです。基本的なスタイルはモービッド・エンジェルの路線を継承する攻撃的なリフにマシンガンビート、さらに奇怪なギターソロにディストーションヴォイスの典型的なデスメタルですが、取り上げる題材のイメージを高めるためのオリエンタルでミステリアスな効果を盛り込んで、他のバンドとの差別化を図ろうとしてます。デスメタル部分は切れ味鋭くヘヴィメタルらしいダイナミックな展開や冴えのあるギターソロを見せたり、エジプトなところは怪しげで完成度の高いデスメタルになってますが、デスメタルの枠内で収まってるような気配が濃厚なので、もっと胡散臭い方が楽しいと思います。

NUCLEAR FIRE/PRIMAL FEAR

ニュークリア・ファイア/プライマル・フィア

VICTOR VICP-61230

[☆☆☆☆]

元タイラン・ペイス〜ガンマ・レイのラルフ・シーパースとマット・シナーによる、すっかりバンドとして定着したプライマル・フィアの3枚目のアルバムです。今回はトム・ナウマンが脱退して元サンダーヘッドのギタリスト、ヘニー・ウォルターが新たに加入しています。
ラルフ・シーパースの強力なハイトーン・ヴォーカルにシナー的な湿ったメロディ、それにジューダス・プリースト風のメタリックな音像のオーセンティックなヘヴィメタルというスタイルには変化はありませんが、今回は新たに加入したギタリストの影響か、ツインリードギターの絡みが特に印象的になって耳を惹くフレーズを連発しています。ソリッドなファストナンバー、メロディアスなミドルテンポの曲のどちらにもフックのあるものが揃っており、ロブ・ハルフォードもビックリの血管が切れそうなハイトーンで押しまくる3やガンマ・レイ風の展開を見せる勇壮なタイトルトラックの8、マノウォーっぽいタイトルのミドルテンポで雄々しいハイトーンを聴かせる12など燃え上がるメタル魂に満ちた楽曲が詰めこまれています。新しい要素はほとんど見当たりませんが、それでも伝統的なヘヴィメタルの魅力を最大限に発揮したアルバムを作れることを証明するかのような気概を感じさせます。
でも、なぜかラルフ・シーパースは頭を丸めていたりします。で、ボーナストラックにはゲイリー・ムーアのカバーもあります。

SUPERHEROES/RACER X

スーパーヒーローズ/レーサーX

UNIVERSAL MUSIC UICE-1005

[☆☆☆☆]

MR.BIGを脱退して順調にソロキャリアを重ねるポール・ギルバードを擁するレーサーXの復活第二弾アルバムは戦隊ヒーロー系のおバカなコスプレにトボけたレンタカー話をフィーチュアした、とことんヘヴィメタルなものになってます。
ジューダス・プリーストを彷彿とさせるハイトーンスクリームが炸裂するはじけたギタープレイを聴かせるスピードナンバーの1からフックのあるメロディでエモーショナルな2、ブルー・オイスター・カルトのカバーを挟んでテクニカルなプレイを聴かせるインストゥルメンタルやタフでヘヴィな7に嫌がらせかと思えるほど徹底的にイングヴェイな8 など、ポール・ギルバード他のスーパープレイが充分に堪能できる何かを吹っ切ってしまったかのような真似をするのは危険なアルバムになってます。

THE STORYTELLER/THE STORYTELLER

ザ・ストーリーテラー

SOUNDHOLIC CO.LTD TKCS-85008

[☆☆☆☆]

スウェーデン出身のバンドのファーストアルバムです。以前はアコースティックな音楽をやってたようですが、ここで聴かれるのはトラディショナルなメロディを盛り込んだメロディックメタルです。ブラインド・ガーディアンの影響を強く感じさせるケルティックな旋律や叙情的なパートにハロウィン風の疾走感を思わせる楽曲がマイルドなヴォーカルによって紡がれていきます。ファンタジーな雰囲気を作り出す繊細な曲の組み立て方がドラマティックな展開を呼んで湿ったメロディのギターソロによってピークに達します。ライオットとハロウィンを足して割ったようなツインリードやクワイアを効果的に使って微妙にツボを突いてくる柔らかめのアルバムになってます。