新着アルバム

4/14

VAULT OF HORRORS/ABORTED

ヴォールト・オブ・ホラーズ/アボーテッド

WARD RECORDS GQCS-91447 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 ベルギー出身のデスメタルバンドの12枚目のアルバムです。

 不穏なムードが高まるイントロから、デスコアバンドのヴォーカル、ベン・デュールが参加する凶暴なリフが襲い掛かるタイトでブルータルな1から、クラシックスタイルのデスメタルが展開されるアルバムは、フレッシュゴッド・アポカリプスのフランチェスコ・パオリが参加する凶悪な突撃ナンバーの2、カナダのデスコアバンドのギタリストが叫ぶアグレッシヴでブルータルな破壊力の高い高密度の3、デスパイズド・アイコンのアレクサンドル・エリヤーンが吼えるブルータルでソリッドなミッドテンポの4、クリプトプシーのマット・マギャキーが参加する暴虐な突撃ナンバーの5、英国のデスコアバンドのヴォーカルが参加する緩急の強い高圧ナンバーの6、ミステリアスなイントロから不穏なサウンドが充満する展開の激しいダイナミックな7、アーチスパイアーのヴォーカルが参加するブルータルな突進ナンバーの8、米国産デスコアバンドのヴォーカルが参加する重量級のアグレッシヴな高圧ナンバーの9、さらに米国産デスコアバンドのヴォーカルが参加するタイトでブルータルな10が収録されています。

 ホラー映画に題材をとったアルバムは、多数のゲストを迎えながらも全体的なムードを統一して手堅いサウンドを作り出していくベテランバンドの妙を見せつけるものとなっています。ちなみに、モチーフとなっているホラー映画は、1「遊星からの物体X」、2「バタリアン」、3「パラダイム」、4「悪魔のいけにえ」、5「ヘルレイザー」、6「ザ・フライ」、7「ドグマ」、8「ハロウィン」、9「死霊のはらわた2」、10「ザ・フォッグ」と有名どころが揃えられています。安定感と破壊力が高まる壮絶なサウンドとマニアックな楽しみが詰め込まれた一枚でした。
同系統アルバム
THE HORROR AND THE METAL/F.K.Ü.
AS GOMORRAH BURNS/CRYPTOPSY
WEAPONS OF SPIRITUAL CARNAGE/IRONMASTER

THE GREAT DIVIDE/BEYOND GOD

ザ・グレート・ディヴァイド/ビヨンド・ゴッド

WORMHOLEDEATH JAPAN BITX-1301 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 オランダ出身の女性ヴォーカルを擁するシンフォニックメタルバンドの2023年に発表された4枚目のアルバムです。

 壮大なムードが高まる導入部からダークなムードを孕むシンフォニックでスリリングな展開を見せる1から、ドラマティックなサウンドを展開するアルバムは、タイトなリフと優雅なヴォーカルが交錯するミッドテンポの2、緊迫感高まるソリッドでエモーショナルなミッドテンポの3、ピアノの響きに導かれる4はメランコリックなメロディが広がるスリリングでダイナミックなナンバー。壮大なイントロからシンフォニックに展開していく緊張感高まるアップテンポの5、エモーショナルなヘヴィパートからドラマティックに展開する6、ダークな空気が漲るイントロからスリリングに突き進むスピードナンバーの7、センチメンタルなイントロからのエモーショナルなバラード風ナンバーの8、緊張感のあるイントロからシンフォニックに突き進むスピードナンバーの9、メランコリックなメロディが広がるイントロから疾走していくダイナミックな10が収録されています。

 ダークで壮大な世界観を作り出していくアルバムは、情感豊かに劇的なサウンドを展開しており、豊かな表現力とパフォーマンスで聴き手の没入感を高めていきます。モダンなフィーリングも加えた安定感のあるサウンドでバンドの充実度を感じさせる一枚でした。
同系統アルバム
THE WONDERS STILL AWAITING/XANDRIA
CELESTIAL VISION/MYSTFALL
XI/ELEGY OF MADNESS

STAND UNITED/FIREWIND

スタンド・ユナイテッド/ファイアウインド

KING RECORDS KICP-4063 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 ギリシャ出身のバンドの10枚目のアルバムです。

 鮮やかなギタープレイで突き進むメロディックでパワフルなアップテンポの1から、ハスキーヴォイスが歌い上げていくアルバムは、タイトなリフが切れ込んでくる躍動感高まるスリリングなアップテンポの2、ドライヴするリフで駆け抜けるアップテンポの3、ルーズなリフでロックするミッドテンポの4、湿ったメロディで突き進むダイナミックなミッドテンポの5、抒情メロディとタイトなリフで迫るアップテンポの6、エモーショナルなメロディとソリッドなリフが交錯するミッドテンポの7、クランチーなリフで進むタイトなミッドテンポの8、ザ・ロマンティクスのカバーの9、メランコリックなメロディが高まるエモーショナルでパワフルなミッドテンポの10が収録されています。

 ガスG.のフラッシーなギタープレイが炸裂するアルバムは、オーセンティックなヘヴィメタルを確かな実力で実直に作り出しています。加入したバンドのサウンドを喰ってしまうハービー・ランガンスのパフォーマンスもバンドの楽曲とフィットしている感を出しており、このバンドが一番あってるんじゃないかなって印象を与えます。奇をてらわずにクオリティを上げていく安定の一枚です。
同系統アルバム
BLOODLINES/PYRAMAZE
GRAVITY/RING OF FIRE
INNERVOID/ELDRITCH

4/7

THE CATALYST/AMARANTHE

ザ・カタリスト/アマランス

UNIVERSAL MUSIC UICN-1110 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 スウェーデン出身の男女混合ヴォーカルのバンドの7枚目のアルバムです。グロウル担当のヴォーカリストが交代しています。

 エレクトロなビートとエモーショナルなトリプルヴォーカルが絡み合うキャッチーでメロウなアップテンポの1から、ドラマティックでコンパクトな楽曲を揃えていくアルバムは、ラウドなビートとフックのあるメロディが交錯するタイトなミッドテンポの2、ミステリアスなイントロからスピード感を高めていくアップテンポのスピードナンバーの3、女性ヴォーカルとグロウルが絡み合うエモーショナルなミッドテンポの4、エレクトロなムードが高まるアグレッシヴでダイナミックなミッドテンポの5、タイトなビートと煽情性の強いヴォーカルが重なりあうエモーショナルなミッドテンポの6、センチメンタルなバラードナンバーの7、エモーショナルなメロディで進むミッドテンポの8、シリアスなムードで進むエモーショナルなミッドテンポの9、ドラマティックなイントロからエモーショナルなメロディが広がるポップ感もあるミッドテンポの10、デジタルビートで畳みかけるスリリングでキャッチーなアップテンポの11、エレクトロなフィーリングとエモーショナルなヴォーカルが交錯するミッドテンポの12、ボーナストラックには、同郷のロクセットのカバーの13、収録曲の別バージョンが3曲、PCゲーム「The Elder Scrolls V: Skyrim」の収録曲のカバーの17が収録されています。

 トリプルヴォーカルのクオリティが高まったことにより、魅力がより引き出されている楽曲は3分台のコンパクトなものを揃えて、聴き手を捕えていきます。メジャー感の高まるサウンドにアグレッシヴなメタル感が合わさった独自性に強いスタイルはより強化され、孤高の存在へとバンドを引き上げていきます。完成度の高い作品を提示し続けるバンドの意欲的な一枚です。
同系統アルバム
XI/ELEGY OF MADNESS
DIAMANTI/TEMPERANCE
CIRCUS OF DOOM/BATTLE BEAST

WARP SPEED WARRIORS/DRAGONFORCE

ワープ・スピード・ウォーリアーズ/ドラゴンフォース

VICTOR VICP-65621 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 英国産スピードメタルバンドの9枚目のアルバムです。女性ベーシストが新たに加入しています。

 ドラマティックなイントロから高速フレーズとハイトーンヴォーカルで突っ走る疾走ナンバーの1から、テンション高いサウンドが展開されるアルバムは、キャッチーなメロディと躍動的なビートが一体となって進むミッドテンポの2、解放感の強いメロディで進む壮大なミッドテンポの3、抒情メロディで突っ走る高速ナンバーの4、ミリタリーケイデンスも盛り込んだクワイアで盛り上げるキャッチーなミッドテンポの5、キラキラインストナンバーの6から高速ビートで突っ走るダイナミックなスピードナンバーの7、80年代風サウンドのポップなミッドテンポの8、抒情メロディが広がるイントロから怒涛のビートで突き進む高速ナンバーの9、10はテイラー・スウィフトの高速カバーが収録されています。

 前作からのスタイルを受け継いでいくアルバムは、毛色の変わった楽曲でもバンドらしさを盛り込んで、個性的な楽曲に仕上げていきます。全体的なムードとしてはバンドの魅力を損なわない自由な楽曲を揃えており、パーソナルな部分とポップカルチャー的な部分が組み合わされた世界観を提示しています。新たに加入したベーシストも実力は確かで楽曲の底を支えており、安定感のあるサウンドを作り出していきます。ポップでエクストリームなサウンドが満載の一枚でした。
同系統アルバム
DINOSAUR WARFARE PT.2 - THE GREAT NINJA WAR/VICTORIUS
RETURN TO THE KINGDOM OF FIFE/GLORYHAMMER
TRAVELER'S TALES/SHADOWSTRIKE

3/18

INVINCIBLE SHIELD/JUDAS PRIEST

インヴィンシブル・シールド/ジューダス・プリースト

SONY MUSIC SICP-6557 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 ブリティッシュ・ヘヴィメタルの開祖による19枚目のアルバムです。

 シンセサイザーによるサウンドで幕を開けるアルバムは、スリリングなリフワークとコーラスで突き進むシリアスなアップテンポの1から、バンドのアイデンティティを明らかにしていくと、ドライヴするリフで突っ走るファストパートとルーズなコーラスのコントラストが強いスピードナンバーの2、タフなギターリフで押し込んでいくパワフルで多彩な展開を見せるエピックなアップテンポの3、タイトなリフとルーズなムードが交錯するミッドテンポの4、湿ったメロディが炸裂するタイトでエモーショナルなミッドテンポの5、哀愁メロディが広がるタフなロックナンバーの6、鋭いギターリフで突っ走るアグレッシヴでダイナミックなファストチューンの7、ダークなムードで進むタイトでグルーヴィなナンバーの8、ドゥーミーでエモーショナルなヘヴィナンバーの9、ノリのよいリフが躍動するキャッチーでダイナミックなアップテンポの10、70年代風味のグルーヴィでメランコリックなロックナンバーの11が収録されています。

 センチネルブレイキン・ザ・ロウを合わせてペインキラーをまぶしたみたいな1から、ジューダス・プリーストかくあるべし、みたいなサウンドが展開されていくアルバムは、原点回帰職人のアンディ・スニープをプロデュースに迎えたことでも予想されるものでしたが、80年代サウンドを中心に70年代、90年代をも網羅する徹底ぶりを見せます。問題作を発表してこそのバンドという気持ちもあったりしますが、正直、バンドがあとどれくらい続くかは、誰にも分らないのも含めて、ラストアルバムになっても後悔しないような仕上がりを目指しているような印象を受けます。ヘヴィメタルとしては停滞している感もありますが、ジューダス・プリーストとしては満点の一枚でした。
同系統アルバム
TOUCHDOWN/U.D.O.
THE SINNER RIDES AGAIN/KK'S PRIEST
THE COSMIC RACE/SCANNER

PROFANE PRAYER/SUICIDAL ANGELS

プロフェイン・プレイヤー/スイサイダル・エンジェルズ

WARD RECORDS GQCS-91441 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 ギリシャ出身のスラッシュメタルバンドの8枚目のアルバムです。

 哀愁帯びたイントロからメロディアスなリフが繰り出されていくタイトでアグレッシヴなアット・ザ・ゲイツを彷彿とさせる1から、ダイナミックなスラッシュメタルを展開していくアルバムは、ソリッドなリフを叩きつけていく展開の激しいブルータルなナンバーの2、スレイヤー分が増量される怒涛の圧巻スラッシュナンバーの3でもダークでヘヴィなエンディングを見せていきます。センチメンタルなアコースティックのイントロからダークなメロディを連ねていき、クリーンヴォーカルも加えて正統派メタル的な展開を見せるエモーショナルなミッドテンポの4、何だか炎が産まれそうな激烈スラッシュナンバーの5、ダークなイントロからタイトなリフを詰め込んでいくダイナミックでスリリングなミッドテンポの6、ダイナミックなリフで突き進むアグレッシヴなアップテンポの7ではフラッシーなギターソロも。スレイヤー成分がさらに増強されるスラッシュナンバーの8、女性ヴォーカルも導入したミステリアスでダークな展開も多彩な大作ナンバーの9で幕を閉じます。

 クリエイター風の曲とスレイヤー風の曲の二極化が加速するアルバムは、すでにベテランの域に達するバンドのスラッシュメタルの多様性を模索する意志を感じさせており、安定感のあるパフォーマンスが様々なスタイルを底支えしていきます。適度にメロディアスで充分にアグレッシヴなベテランの風格を感じさせる一枚でした。
同系統アルバム
ELECTRIFIED BRAIN/MUNICIPAL WASTE
HATE ÜBER ALLES/KREATOR
THE RESILIENCE/HEART ATTACK