ALBUM COLLECTION バックナンバー 2011

January Februaly March April May June July August September October Nobember December


  1. DETERMINATION/ALDIOUS
  2. BACK THROUGH TIME/ALESTORM
  3. SURTUR RISING/AMON AMARTH
  4. BENEATH/AMORAL
  5. SOULLESS CHILD/ANCIENT BARDS
  6. WORSHIP MUSIC/ANTHRAX
  7. KHAOS LEGIONS/ARCH ENEMY
  8. SALAM/ARKAN
  9. RIOTOLOGY/ARTAS [IMPORT]
  10. AFTERMATH/AXENSTAR
  11. DOOMBOUND/BATTLELORE
  12. RITUAL/THE BLACK DAHLIA MURDER
  13. POST MORTEM/BLACK TIDE
  14. UNHOLY CROSS/BLOODBOUND
  15. EPSILON/BLOOD STAIN CHILD
  16. FALL FROM GRACE/BOREALIS
  17. ON THE SPUR OF THE MOMENT/BRAINSTORM [IMPORT]
  18. RELENTLESS RECKLESS FOREVER/CHILDREN OF BODOM
  19. THE BLACKEND HALO/CIRCLE OF SILENCE
  20. TO HELL WITH GOD/DEICIDE
  21. DAY OF RECKONING/DESTRUCTION
  22. EYE OF THE STORM/DIVINEFIRE
  23. SLEEP PARALYSES/DOTMA
  24. WHAT SILENCE HIDES/DREAMSHADE
  25. EPSILON/DREAMTALE
  26. A DRAMATIC TURN OF EVENTS/DREAM THEATER
  27. AGE OF THE JOKER/EDGUY
  28. PHOENIX RISING/GALNERYUS
  29. MAN WITH A MISSION/GOLDEN RESURRECTION
  30. UKON WACKA/KORPIKLAANI
  31. INFECTED/HAMMERFALL
  32. UNSEEN/THE HAUNTED
  33. HUMAN REMAINS/HELL [IMPORT]
  34. BLIND RIDE/HIBRIA
  35. DIGITAL VEIL/THE HUMAN ABSTRACT
  36. DYSTOPIA/ICED EARTH
  37. PRINCESS GHIBLI/IMAGINARY FLYING MACHINES
  38. SOUNDS OF A PLAYGROUND FADING/IN FLAMES
  39. BLACK AS DEATH/IRON MASK
  40. THE LANDING/IRON SAVIOR
  41. BLACK RIVERS FLOW/LAZARUS A.D.
  42. MEREDEAD/LEAVES' EYES [IMPORT]
  43. DESCENT INTO CHAOS/LEGION OF THE DAMNED
  44. GOLDEN MOON/LIV MOON
  45. RICIDIVE/MANIGANCE
  46. QUARTERPAST/MAYAN [IMPORT]
  47. DECLARATION OF WAR/MEAN STREAK
  48. TH1RT3EN/MEGADETH
  49. REVERENCE/MERGING FLARE
  50. ILLUD DIVINUM INSANUS/MORBID ANGEL
  51. LEGACY/THE MORNING AFTER
  52. RAVENLORD/MYSTIC PROPHECY
  53. CIRCLE REGENERATED/NORTHER
  54. 鬼子母神/陰陽座
  55. HEAVENLY ECSTASY/PAGAN'S MIND [IMPORT]
  56. THE PRICE FOR THE HUMAN SINS/PASTORE
  57. SCHEEPERS/RALF SCHEEPERS
  58. FROM CHAOS TO ETERNITY/RHAPSODY OF FIRE
  59. IMMORTAL SOUL/RIOT
  60. DECISIVE/SABER TIGER
  61. UNSEEN EMPIRE/SCAR SYMMETRY
  62. SPRENDID ROSA BIRTH/SCHONBERG
  63. KICKING & SCREAMING/SEBASTIAN BACH
  64. THE GREAT MASS/SEPTICFLESH
  65. KAIROS/SEPULTURA [IMPORT]
  66. DEATH AND LEGACY/SERENITY
  67. HEAD OF THE PACK/SKULL FIST
  68. IN WAR AND PIECES/SODOM
  69. NO SACRIFICE/SONIC ALTAR
  70. HEATHEN WARRIOR/STORMWARRIOR
  71. ELYSIUM/STRATOVARIUS
  72. IN PARADISUM /SYMFONIA
  73. ICONOCLAST/SYMPHONY X
  74. IN WAVES/TRIVIUM
  75. STAND UP AND FIGHT/TURISAS
  76. REV-RAPTOR/U.D.O. [IMPORT]
  77. DARKNESS IN THE LIGHT/UNEARTH
  78. WELCOME TO THE MORBID REICH/VADER
  79. RAZORBACK KILLERS/VICIOUS RUMORS
  80. THE UNFORGIVING/WITHIN TEMPTATION
  81. MYTHOLOGY/VOLCANO

January

HIBRIA | LEGION OF THE DAMNED | MANIGANCE | MEAN STREAK | STRATOVARIUS |

BLIND RIDE/HIBRIA

ブラインド・ライド/ヒブリア

VICTOR VICP-64916 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004D6PYMQ  ブラジル出身のバンドの三枚目のアルバムです。バンドの創設メンバーであるベーシストがプロデューサー業に専念するため、新たなメンバーを迎えて製作されています。

 不穏なイントロからパワフルなギターリフとヴォーカルが繰り出されていく情感豊かなメロディを孕んだダイナミックなナンバーの2で、ヘヴィメタルらしいサウンドを叩きつけていくアルバムは、アグレッシヴなリフで突っ走る哀愁帯びたコーラスが印象的なドライヴ感の強い3、クランチーで攻撃的なリフで疾走していく4は威嚇的なムードが高まるスリリングなナンバー、ヘヴィリフでグルーヴィに迫るダークな5、叩きつけるビートがアグレッシヴに迫るシャープでダイナミックな6、タイトなビートでクランチーに迫る7はエモーショナルなヴォーカルで盛り上げます。物悲しいグルーヴィなヘヴィチューンの8、スラッシーに突っ走る9はパワーメタリックな要素を集めたダイナミズムが高まる一曲。ソリッドなビートと情感豊かなコーラスパートが交錯しながら加速していくミッドテンポの10、唸りを上げるギターリフとベースで突っ走る11は緊迫感高まるスピードナンバー、ボーナストラックの12はドライヴ感の強いメロディとビートでハイテンションで突っ走るナンバーが収録されています。

 新しく加入したベーシストは要所で印象的なプレイを聴かせており、バンドのチームワークには心配は要らない模様。サウンドの方は方向性は継承しているものの全体的には抑制されたストロングスタイルのヘヴィメタルに仕上げており、破天荒な勢いは流石に落ち着いたものになっています。アルバムを重ねて曲作りにも余裕が出てきたのかバラエティも出てきており、それほど意外性は無かったものの、順当な成長を感じさせる安定感のある一枚でした。
同系統アルバム
NIGHTMARE/AVENGED SEVENFOLD
IN THE NIGHT/DREAM EVIL
TABULA RASA/BLOODBOUND

DESCENT INTO CHAOS/LEGION OF THE DAMNED

ディセント・イントゥ・ケイオス/リージョン・オヴ・ザ・ダムド

SPIRITUAL BEAST IUCP-16098 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B0049Y5S00  オランダ出身のデスラッシュバンドの5枚目のアルバムです。

 不穏な雰囲気を醸造するイントロダクションで幕を開けるアルバムは、殺傷力の高いギターリフが襲い掛かる威圧的な2でオカルティックなムードを一気に高めていきます。タイトなギターリフで圧力を上げていく破壊力満点の荒れ狂うビートの起伏の激しい3、クランチーなリフでヘヴィに迫るソリッドな4、ギターリフが唸りを上げる緩急の切れ味も鋭い突進ナンバーの5、怪しげなイントロから一転疾走していくスラッシーな6、ミステリアスなイントロからの7はダークでイーヴルなミッドテンポのナンバー。ヘヴィなイントロから畳み掛けるギターリフの応酬で起伏激しく押し込んでいく圧迫感の強い8、ヘヴィリフがタイトに迫るミッドテンポの9、遮二無二突進するファストチューンの10、ボーナストラックの11〜14はライヴバージョンが収録されています。

 邪悪なサウンドはキレ味を増していますが、スピード感は若干後退気味で、重量感と硬質感がそれを補っている印象。アルバムを重ねて曲作りもこなれたようで、緩急や展開なども洗練されて初期のカオスなところが作りこまれたものになっている辺りが中堅バンドにならんとする状態を窺わせます。初期の凶暴性とか暴虐性が上手くまとめられているものの、何となくキレイに収まりすぎて逆に印象が薄まった一枚でした。
同系統アルバム
DOOMSDAY KING/THE CROWN
DEAD AGAIN/SUICIDAL ANGELS
WAKING INTO NIGHTMARES/WARBRINGER

RECIDIVE/MANIGANCE

レシディーヴ〜再犯〜/マニガンス

MARQUEE MICP-10962 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004F1LWTS  2010年に発表されたフランス産メロディックメタルの4枚目のアルバムです。キーボーディストが交替しています。

 ミステリアスで優美なイントロで幕を開けるアルバムは、タイトなビートと哀愁帯びた叙情メロディが炸裂するパワーメタリックな2から、華麗なギターソロとフレンチな響きのヴォーカルが独特のサウンドを展開していきます。スペーシーなイントロからクランチーなリフを繰り出していく3はソリッドなムードと叙情メロディが交錯するアップテンポのナンバー、ミステリアスなイントロからヘヴィリフで硬質な空気を演出するドラマティックなミッドテンポの4、メランコリックなムードがドラマティックに展開されていくミッドテンポの5、湿ったメロディがエモーショナルに展開するダイナミックな6、哀愁メロディが高まるミッドテンポの7、華麗なギタープレイで突っ走るスリリングなスピードナンバーの8、不穏なムードが漲るダークなナンバーの9、タイトなギターリフと叙情メロディで突き進むパワーメタリックな10、テクニカルなギターとキーボードが力強く展開されていくインストゥルメンタルの11、扇情的なメロディで迫るミッドテンポのドラマティックな12、ヘヴィリフが不気味に迫るダークなイントロからアップテンポに展開する13、スリリングなギターとパワフルなヴォーカルが生み出すダイナミックな展開が心地良い14、センチメンタルなメロディが響く哀愁ナンバーの15、ボーナストラックの16はダイナミックなパワーメタリックナンバーが収録されています。

 前作からのブランクが多少あった分、CDの収録時間いっぱいに楽曲を詰め込んだアルバムは、フランス語の響きが印象的なテクニカルなヘヴィメタルを更にソリッドに強化したものになったおり、華麗さと力強さが拮抗するドラマティックなサウンドが展開されていきます。フラッシーなギターソロを連発し楽曲に生命力を生み出していくギタリストの才能と、情感豊かなヴォーカルの相乗効果が楽曲の説得力を高めていきます。着実に地力を伸ばしてきた安定感のある一枚でした。
同系統アルバム
THE ROAD LESS TRAVELLED/TRIOSPHERE
RETURN TO HEAVEN DENIED PT.II-A MIDNIGHT AUTUMN'S DREAM-/LABYRINTH
NIGHT IS YOUNG/ROYAL JESTER

DECLARATION OF WAR/MEAN STREAK

デクラレイション・オブ・ウォー/ミーン・ストリーク

HAPPINET/BICKEE HMCX-1107 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004E5HEWO  スウェーデン出身のバンドの二枚目のアルバムです。ギター兼任ヴォーカリストがヴォーカルに専念し、新たなギタリストを二人迎えてツインギター体制で製作されています。

 ハスキーなハイトーンヴォーカルがソリッドなギターリフと一体になって迫るメタリックな1から伝統的なヘヴィメタルを追求していくアルバムは、ツインギターをこれでもかとアピールするソロパートと厚いコーラスがテンションを上げるメタル魂に火をつけるもので、ソリッドなギターリフがパワフルなコーラスを導くミッドテンポの2、パワフルなビートで圧迫感を高めていく3はソリッドでヘヴィなミッドテンポのナンバー、オルガンのイントロからの4はダークでヘヴィな情念高まる一曲。定番メタリックリフで進むキャッチーなコーラスと鮮やかなギターソロを繰り出すアップテンポの5、フックのあるギターリフで進む緊張感のあるダイナミックな6、ミステリアスなイントロからの7はブラック・サバス的なムードを持った物語性が強まるヘヴィナンバー、湿ったメロディでダイナミックに迫るミッドテンポの8、ソリッドなギターリフで迫る9は緊迫感高まるメタルアンセム。ラウドなリフでぶんまわすミッドテンポのパワフルナンバーの10、ボーナストラックの11は凄くアクセプトなアップテンポのナンバーが収録されています。12はシリアスでダークな雰囲気を高める展開の激しい劇的ナンバー。

 ツインギター体制で更にヘヴィメタルらしさを追求していくアルバムは、ギターの分以上にパワーアップしており、新しいスタイルの楽曲も加えてサウンドを加速していきます。伝統的なサウンドをすべて網羅していくような勢いを感じさせるバンドとしてのスケールもアップした一枚です。
同系統アルバム
BLOOD OF THE NATIONS/ACCEPT
DOMINATOR/U.D.O.
WAR MACHINE/TANK

ELYSIUM/STRATOVARIUS

エリジウム/ストラトヴァリウス

VICTOR VICP-64916 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004DTLK8A  2010年に発表されたフィンランド産メロディックメタルの13枚目のアルバムです。

 叙情メロディが炸裂するミッドテンポの1からメロディックメタルサウンドを展開していくアルバムは、躍動感が高まるアップテンポの2、壮大なムードを高めつつドラマティックに展開していく煽情性の強いアップテンポの3、叙情的なムードが高まる重厚なコーラスも加わったメランコリックな4、ソリッドなギターリフで突っ走る叙情メロディを引っさげたキャッチーなコーラスも印象的な5、荘厳なイントロからの6は情念漲るダークでヘヴィなナンバー。アコースティックギターに導かれる7は哀愁帯びたメロディが広がるリリカルなナンバー、緊張感高まるスピードナンバーの8、叙情感高まるミッドテンポの9はエモーショナルな前半とスリリングな後半でのコントラストが妙の壮大な大作。ボーナストラックにはキラキラキーボードに導かれるスピードナンバーの10、1のデモバージョン、二曲のライブバージョンの4曲が収められています。

 ライブとは言えティモ・トルキ在籍時の楽曲も収録されており、余計に過去の幻影を払拭するには至らなくなってしまったものの、前作よりもストラトヴァリウス的なサウンドが充分に発揮されるようになったアルバムは、やっぱり我を通すメンバーがいなくなってしまってバンド内での緊張感みたいなものをあまり感じさせないサウンドが展開されていきます。安心して聴ける完成度の高いサウンドなものの、ワクワク感は少ない一枚でした。
同系統アルバム
GATHER THE FAITHFUL/CAIN'S OFFERING
AQUA/ANGRA
LOTUS/DELIRION





Februaly

ARTAS | BLOODBOUND | DESTRUCTION | LAZARUS A.D. | SERENITY | TURISAS | VOLCANO |

RIOTOLOGY/ARTAS [IMPORT]

ライオットロジー/アルタス

NAPALM RECORDS NPR-354 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004BBQ2HY  オーストリア出身のメロデスバンドの二枚目のアルバムです。

 静かなイントロで幕を開けるアルバムは、エキゾティックなフレーズで始まるデスヴォイスが咆哮する緩急の大きいアグレッシヴでソリッドな2で一気に激しさを増していくと、怒涛の突進力と衝動性を見せるアグレッシヴでダイナミックな3、畳み掛けるタイトなリフで押し込んでいくエモーションが乱高下する4、スラッシーなリフが荒れ狂う緩急の激しい突進ナンバーの5、アコースティックナンバーのインターミッションの6を挟んで、不穏なイントロからダークで威嚇的な展開を見せる7はレゲエ風ヴォーカルも見せます。叙情感を孕むギターリフで突き進む情感が炸裂するスリリングなナンバーの8、ダイナミックでエモーショナルな緩急の強いナンバーの9、緊迫感高まるイントロからの10は畳み掛けるリフワークで圧倒する突進ナンバー、起伏の激しいスラッシュナンバーの11、再びインターミッションの12を挟んで、ダークなムードで進むメランコリックでエモーショナルな13、ストリングスも加わったメランコリックで激情的な14、叙情メロディとタイトなリフで進む北欧メロデス風味のミッドテンポの15、センチメンタルなアウトロの16で幕を閉じます。

 北欧仕込みのメロディックデスメタルとメタルコア的なエモーショナルな要素を重ねあわせたサウンドは、全体的にはドラマティックと言える激しい楽曲へと昇華されていきます。有機的に結びつく楽曲と統一された世界観が織り成す、情感に迫る攻撃性と衝動性が高まる硬質な一枚でした。
同系統アルバム
FORBIDDEN ANGER/DIARY ABOUT MY NIGHTMARE
CIRCLE REGENERATED/NORTHER
WHAT SILENCE HIDES/DREAMSHADE

UNHOLY CROSS/BLOODBOUND

アンホーリー・クロス/ブラッドバウンド

MARQUEE MICP-10967 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004GN9B6Q  スウェーデン出身のバンドの4枚目のアルバムです。ヴォーカリストがドーン・オヴ・サイレンスのパトリック・ヨハンソンに交代、ベーシストも変更して製作されています。

 メタリックなリフを重ねていくドラマティックなイントロからハスキーなハイトーンヴォーカルが力強く歌い上げていく哀愁メロディが印象的な壮大なパワーメタリックナンバーの1からメロディックメタルが展開されていくアルバムは、ヘヴィリフが重厚なコーラスを導くソリッドな2、シリアスなムードが高まる3は厚いコーラスワークが情感を揺さぶる劇的なミッドテンポのナンバー、スリリングなリフと叙情メロディで突っ走るドライヴ感の強いアップテンポの4、ダイナミックなギターリフに導かれる5は哀愁メロディが炸裂するメイデン風ミッドテンポのナンバー、叙情メロディがあふれ出す勇壮なアップテンポの6、畳み掛けるギターリフで突き進むパワーメタリックな劇的ナンバーの7、哀愁バラードの8、キレのあるリフで突っ走るパワーメタルナンバーの9、ドラマティックなイントロから始まる高揚感高まる劇的疾走ナンバーの10、ソリッドなリフのパワーメタリックな11で幕を閉じます。

 ヴォーカリストの特性に合わせたサウンドは、前作とは少し趣の違うものの、安定感のあるメロディックメタルを作り出しています。これまでの傾向よりはジャーマンメタル系のメロディックスピードメタルよりの方向性を見せているものの、クオリティは維持されているあたりは経験値の高いアーティストの余裕を窺わせます。アルバム毎に少しずつ変化を見せるバンドの意欲を感じさせる一枚でした。
同系統アルバム
DECLARATION OF WAR/MEAN STREAK
7 SINNERS/HELLOWEEN
LOTUS/DELIRION

DAY OF RECKONING/DESTRUCTION

デイ・オブ・レコニング/デストラクション

KING RECORDS KICP-1532 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004GTV9PQ  ジャーマンスラッシャーの重鎮の11枚目のアルバムです。ドラマーにアンサンなどでプレイしていたヴァヴェルを迎えて製作しています。

 不気味なSEから凶悪な破壊力を見せ付けるスラッシュリフを叩きつけていく殺傷力の高い強烈な爆走ナンバーで幕を開けるアルバムは、更に馬力を上げてヒステリックな吐き捨てヴォーカルが叫ぶ疾駆するソリッドなスラッシュナンバーの2、タイトでラウドなギターリフで圧殺していくアグレッシヴでイーヴルな3、クランチーなリフからテクニカルなリフに加速していくアナイアレイターを彷彿とさせる展開のダイナミックなスピードチューンの4、ダークなリフで威圧していくグルーヴィなミッドテンポの5、不安感が高まるイントロからの6は畳み掛けるギターリフで押し込んでいく突進ナンバー。スラッシュリフで突っ切る7はエキゾティックなギターソロも飛び出す緩急の激しいアグレッシヴな曲、ソリッドなギターリフが激しく迫りつつ加速して荒れ狂う8、ナレーションから唸りを上げるリフで一気に突っ走っていく9は邪悪な感覚が高まる突進ナンバー。クランチーなヘヴィリフでミステリアスに迫る10は圧迫感の高まるミッドテンポのナンバー、アグレッシヴなリフで突進する威圧感の高い11、 ボーナストラックには亡きディオへの追悼を込めたであろうカバー曲と1のデモバージョンが収録されています。

 まさに文字通りのピュア・スラッシュメタルが展開されていくアルバムは、20年以上のキャリアと11枚目というのが信じられないほどの熱さと激しさに満ちたサウンドを詰め込んでおり、2000年代に入ってからの作品の中でも最も凄まじい仕上がりになっており、スラッシュメタルかくあるべし、という徹底されたスタイルには溜飲が下がります。若さにまかせて突っ走る新世代スラッシュバンドを一蹴するような衝撃の一枚です。
同系統アルバム
EXILED TO EARTH/BONDED BY BLOOD
DEAD AGAIN/SUICIDAL ANGELS
WITCHKRIEG/WITCHERY

BLACK RIVERS FLOW/LAZARUS A.D.

ブラック・リヴァーズ・フロウ/ラザラス・エー・ディー

METAL BLADE MBCY-1141 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B003ZZEIGY  アメリカ産バンドのセカンドアルバムです。

 不穏な空気を高めていくイントロからグルーヴィなギターリフを詰め込んでいく1から荒々しいヴォーカルが吐き捨てていくヘヴィロックを繰り出していくアルバムは、クランチーなギターリフで突っ走らないヘヴィチューンの2、ソリッドなリフで突っ走るシリアスなファストチューンの3、メランコリックなイントロからヘヴィ&ダークに進む高密度の4、タイトなリフで突き進むアップテンポの緩急の強いスラッシーな5、畳み掛けるギターリフで加速していくクランチーな6、スタスタ走っていくダイナミックなラウドロックナンバーの7、メロディアスなリフで押し込んでいくハードロッキンな8、クリーントーンのメロウなパートとヘヴィ&ファストパートのコントラストが激しい9、ボーナストラックの10はドゥービー・ブラザーズのカバーが収録されています。

 メタリカを始めとするスラッシュメタルバンドが方向転換で混迷したあたりのムードをやらなくてもいいのに忠実に再現したみたいなサウンドが繰り広げられており、デビューアルバムの爽快感はあまり感じられないものになってます。ここまでやるとほとんど別のバンドみたいって感じですが、アンスラックスメガデスあたりを下敷きにしているのなら、この方向性の変化も分からなくもない…か?クリアなプロダクションに伴うエッジの利いたサウンドとか、時々ハッとするギターソロとか耳を惹くところもありますが、全体的にはもやもやが残る残念な一枚でした。またしてもスラッシュメタルの掛かるはしかか…(;´Д`)
同系統アルバム
RELENTLESS RETRIBUTION/DEATH ANGEL
THE OBSIDIAN CONSPIRACY/NEVERMORE
ONE PATH/PAINDIVISION

DEATH AND LEGACY/SERENITY

デス・アンド・レガシー/セレニティー

MARQUEE MICP-10969 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004EAL204  オーストリア出身のバンドの3枚目のアルバムです。

 荒々しいSEで幕を開けるアルバムは、シンフォニックに展開する壮大でロマンティックな2から、ソフトなハイトーンヴォーカルとメランコリックなメロディでファンタジックな世界を描き出していきます。優雅なイントロからエモーショナルなメロディが女性ヴォーカルを加えてシンフォニックな装いで紡がれていく情感豊かなミッドテンポの3、ダイナミックなイントロからスピードアップしていく緩急の強い劇的ナンバーの4、哀愁メロディで進む5はオーケストレーションとヘヴィリフが絡み合う抑揚を大きい楽曲。荘厳なインタールードを経て、エピックなイントロから激しくオペラティックに展開していくスリリングな7へと。男女デュエットによるセンチメンタルなバラードナンバーの8、オーケストレーションとタイトなリフで進むヘヴィナンバーの9、デュエットによるロマンティックでドラマティックな10、ボーナストラックとなる叙情メロディで突き進むアップテンポのスピードナンバーの11、エキゾティックなムードのインタールードからの13は、ダークな空気をまといつつ突き進むスリリングなメタリックナンバー、再びボーナストラックの叙情性を高めつつ進むメランコリックなバラードの14、ナレーションの15を経て、メランコリックなメロディで突き進むスピードナンバーの16へ。センチメンタルでエモーショナルなナンバーの17でアルバムは静かに幕を閉じます。

 マイルドな歌声と扇情的なメロディにシンフォニックなサウンドと、メロディックメタルの一つの形を極めようとするスタイルは、さすが音楽の国から生まれただけの説得力を持っており、先達バンドの良いところを上手くまとめた手堅い仕上がりになっています。楽曲的には特別に突出したところは無いものの、一定のクオリティで聴かせるものになっており、このスタイルの定番を押さえた感じです。強烈な個性は感じられないですが、ジャケットからの期待を裏切らない一枚でした。
同系統アルバム
THE DAYS OF GRAYS/SONATA ARCTICA
DIGITAL GHOSTS/SHADOW GALLERY
POETRY FOR THE POISONED/KAMELOT

STAND UP AND FIGHT/TURISAS

スタンド・アップ・アンド・ファイト(初回限定盤)/チュリサス

VICTOR VIZP-101 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004EHYHPE  フィンランド出身のバンドの三枚目のアルバムです。

 厚いコーラスとドラマティックな展開の壮大な1で幕を開けるアルバムは、雄大なムードで進む2は物語性を高める起伏の大きいドラマティックなミッドテンポのナンバー、フォーキーなメロディで威勢良く突き進んでいくアッパーな3、オーケストレーションがハイテンションで突き進んでいくスリリングでドラマティックな4、勇壮かつ重厚に進む起伏の大きな劇的ナンバーの5、重厚なイントロからの6はソリッドでタイトなビートを刻むメタリックなパートから壮大に展開していくダイナミックなナンバー、哀愁帯びたメロディで迫る壮大なムードを演出していくエモーショナルで劇的な7、リリカルなメロディがドラマティックな展開でスケールアップしていくオペラティックな大作の8、静かなイントロからの荘厳な叙情ナンバーの9で幕を閉じます。ボーナストラックの10はセルフカバー、そして三曲のカバーが収録されています。

 ヴァイキング/フォークメタル的な質感は、オーケストラの大幅導入でスケール感を増したサウンドトラックを思わせる壮大なメタルへと移行して、劇的音楽を更に追求していくものになっています。スタイルの壁をバンドのビジョンであっさり乗り越えるフットワークの軽さと志の高さを感じさせるサウンドは、ただひたすらに劇的であることに注力しています。文字通りのエピックメタルを作り出していくバンドの成長を見せ付ける一枚でした。
同系統アルバム
NIFELVIND/FINNTROLL
SITRA AHRA/THERION
LEGEND OF THE SHADOWKING/FREEDOM CALL

MYTHOLOGY/VOLCANO

ミソロジー/ボルケーノ

METALLIC CORE MC-002 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004JHKFZA  アニメタルなどでおなじみの屍忌蛇率いる日本産メタルの10年ぶり!三枚目のアルバムです。ベーシストを新たに加え4人編成で製作されています。

 インダストリアルのSEとドラマティックな展開のイントロダクションで幕を開けるアルバムは、畳み掛けるギターリフと叙情メロディを歌い上げるダミ声ヴォーカルが交錯するパワフルな劇的スピードナンバーの1で一気にテンションを上げていきます。クランチーなリフで突進していくスラッシーな2、タフなギターリフで押していくストロングスタイルの3、グルーヴィなリフがジリジリ迫るヘヴィチューンの4、メランコリックなイントロからの5はパワフルでメロディックなリフがミステリアスなムードに満たされるミッドテンポの哀愁ナンバー。ヘヴィリフのイントロが不穏な空気を煽る6は一転してスピードアップしていくスリリングなファストチューン。メタリックなリフで威圧的に迫る7はオーセンティックなムードも感じさせるダイナミックなメタルナンバー、唸りを上げるヘヴィリフが迫る8は圧迫感の強い起伏の激しい展開のアグレッシヴなナンバー、まるでハロウィンランニング・ワイルドかって言う激しくジャーマンメタルな9、ザクザクしたイントロからの緩急の激しいハイテンション劇的ナンバーの10で吹っ切ります。

 10年も経ってしまっているので、前作の印象とかすっかり吹っ飛んでいますが、メロデス路線は影を潜めパワーメタリックなサウンドを追求しているアルバムになっており、ルーツである80年代正統派メタルやスラッシュメタルの影響も強く出た楽曲を揃えています。日本人好みのメロディとパワフルなビート、さらにフラッシーなギターソロが随所に繰り出される様は10年間無為に過ごしてきたのではないと言う意気込みを見せ付けます。「けいおん!」ライブとか仮面ライダー関連とかもやっていただけに現役なのは間違いないものの、メタルファン的には物足りなかった不満を満を持して解消する一枚でした。
同系統アルバム
HERE WAITS THY DOOM/3 INCHES OF BLOOD
WITCHKRIEG/WITCHERY
CRISIS IN UTOPIA/HOLY GRAIL





March

CHILDREN OF BODOM | DIVINEFIRE | DREAMSHADE | KORPIKLAANI | THE HAUNTED | LIV MOON | NORTHER | PASTORE | SYMFONIA | VICIOUS RUMORS |

RELENTLESS RECKLESS FOREVER/CHILDREN OF BODOM

リレントレス・レックレス・フォーエヴァー/チルドレン・オブ・ボドム

UNIVERSAL MUSIC UICO-9051 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004HHAR8M  フィンランド出身のバンドの7枚目のアルバムです。

 アグレッシヴに叩きつけられるギターリフで突き進む1から久しぶりに華麗なインストパートとオーケストラヒットも飛び出すダイナミックな展開の1から、不穏なイントロからテクニカルなリフで突進していく緩急の激しい疾走ナンバーの2、メロウなリフで叙情感たっぷりに迫るミッドテンポの3、ソリッドなリフがヘヴィに迫りつつ加速していくダイナミックな4、緊迫感高まるギターリフで激しく展開していくアップテンポの5、オーケストラヒットを絡めてダイナミックに突っ走る突撃疾走ナンバーの6、ミステリアスなムードとクランチーなリフでタイトに迫る緊張感の高い7、ヘヴィリフが叙情感を孕みつつ進むダークな8では開放感の残るコーラスが印象的。ダイナミックなリフと唸りを上げるギター&キーボードソロで突撃していく爆走チューンの9、ボーナストラックの10はエディ・マーフィが唄った曲のカバーにライブバージョンが2曲収録されています。

 最近はネオクラインストプギャ━━m9(^Д^)━━━ !!!って感じで迷走気味のバンドでしたが、このアルバムでは初期を思い出させる華麗なプレイが炸裂しており、アメリカナイズされつつあったサウンドとの組み合わせは初期の路線でパワーアップした印象を与えていきます。最近の作品の中では割と溜飲の下がる出来栄えで少しは安心できますが、ピーク時と比べるとまだちょっと、って感じの一枚でした。
同系統アルバム
12 GAUGE/KALMAH
FOREVER CHAOS/SHADOW
N/NORTHER

EYE OF THE STORM/DIVINEFIRE

アイ・オブ・ザ・ストーム/ディヴァインファイア

KING RECORDS KICP-1540 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004K5H25M  解散を宣言していたスウェーデン出身のバンドの再始動になる5枚目のアルバムです。ナーニアにも参加したジャーマン・パスカルが加入してツインヴォーカル体制で製作されています。

 いつも通りのパワフルヴォーカルに伸びやかなハイトーンヴォーカルが加わって厚みが増したシンフォニックパワーメタルの1から、シンフォニックな装飾とパワフルなリフで押し込んでいくソリッドなチューンの2、デスヴォイスの叫びで幕を開けるアグレッシヴでソリッドな3ではネオクラギターソロが炸裂、スリリングなシンフォニックアレンジが前面に押し出されたミッドテンポのロマンティックな4、フォーキーなイントロからシンフォニックに展開する5は勇壮なエピックメタルナンバー、ドラマティックなムードで突っ走るダークなスピードナンバーの6、ザクザクしたリフで突き進む7パワーメタリックな劇的チューン。8、9、ボーナストラックの10はリレコーディングバージョン。

 これだからアーティストの言うことは信用できないよな!,、'` ( ´∀`) ,、'`と言う再始動ですが、戻ってみたらツインヴォーカルで何がなんだかわからない…(´Д`;)クリスチャンは歌いたいのか歌いたくないのかどっちなんだ。サウンド自体は今までとそれほど変わりないシンフォニックでデスメタル含みのパワーメタルが展開されていくわけで、そのあたりは安心ですが、実質7曲しか収録されていないのは充電期間がちょっと短かったんじゃないの?みたいな。まあ、復活してくれたことは良かった一枚でした。
同系統アルバム
GLORY TO MY KING/GOLDEN RESURRECTION
EASTON HOPE/ORDEN OGAN
ARCHETYPE/SECRET SPHERE

WHAT SILENCE HIDES/DREAMSHADE

ホワット・サイレンス・ハイズ/ドリームシェイド

UNIVERSAL MUSIC UICO-1206 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004HHAR96  スイス出身のバンドの2010年に発表されたデビューアルバムです。

 メランコリックなイントロダクションからデスヴォイスが叫ぶ獣性と叙情性が交差する緩急の激しいタイトな1で始まるアルバムは、叙情メロディで突っ走る疾走感高まるファストチューンの2、ロマンティックなイントロからメロディが押し寄せる3はダイナミックな展開のアップテンポのナンバー。スピードアップしながらメロディがエモーショナルに押し寄せる4、メロディが情念を高めつつ激しく揺れ動くミッドテンポの5、叙情メロディで突き進む起伏の激しいアップテンポの6、メランコリックなムードが高まるタイトな7、8、ミッドテンポでキラキラメロディが迫る9、哀愁メロディが緩急激しく突き進んでいく10、ソリッドにメロディが展開していくメロコアっぽいコーラスも飛び出すスピードナンバーの11がボーナストラックとして収録されています。

 ポストCOBの看板を背負って登場のメロディックデスメタルサウンドは、チルドレン・オブ・ボドムの有するハイテンションな感覚やバッドボーイズ・ロックンロール的な部分が無い北欧メロデスの本流に近いもので、ダーク・トランキュリティーあたりの方に近いものになっています。叙情感たっぷりのメロディが全編を覆い情感に訴える力はありますが、楽曲自体は差別化があまり上手くいっていないためアルバム全体としては平坦な印象を与えます。先達バンドのエッセンスを上手く消化したデビューアルバムとしてはかなりの水準の一枚でした。
同系統アルバム
WE ARE THE VOID/DARK TRANQUILLITY
A SENSE OF PURPOSE/IN FLAMES
RELENTLESS RECKLESS FOREVER/CHILDREN OF BODOM

UNSEEN/THE HAUNTED

アンシーン/ザ・ホーンテッド

TROOPER ENTERTAINMENT XNTE-00032 [☆☆] >>>>>BUY...?

B004EVW4JQ  スウェーデン出身のバンドの7枚目のアルバムです。

 攻撃性の強いリフと気だるいサビを合わせたグルーヴィなサウンドを作り出す1から、これまでのスタイルとは異なる楽曲を揃えたアルバムは、威嚇的なヴォーカルで進むヘヴィナンバーの2、浮遊感のあるクリーンヴォーカルとデスヴォイスが交錯するミッドテンポの3、躍動感のあるダークでダルなヘヴィナンバーの4、ドライヴ感と不穏な空気が融合するアップテンポの5では思い出したような高速ソロが飛び出します。シニカルなムードで閉塞感を高めるミッドテンポの6、メランコリックなムードが高まるイントロからタイトなビートが繰り出されるソリッドなヘヴィナンバーの7、哀愁帯びたエモーショナルな小品の8、やっと半分か…(´・ω・`)メランコリックでタイトなビートを刻む硬質で衝動的な9、ドライヴするギターリフで進む不穏なアップテンポの10はサビでグランジっぽいムードに。ヘヴィリフで気だるいメロディを導く11、メランコリックなイントロから激しく情動が炸裂するミッドテンポの12、ボーナストラックには、ダークでグルーヴィな13、不穏でソリッドな14、15、16はライブバージョンが収録されています。

 クリーントーンの大幅増量と過激なスローダウンにニューウェーブ的なメロディ満載の、あれスラッシーなサウンドってどこにあるの?みたいなエモーショナルなアルバムは、ここ最近の方向性を過激に推し進めたヘヴィロックな代物になっています。疾走感や突進力などは望むべくも無く、アメリカナイズされたグルーヴィでヘヴィなサウンドが展開されていき、まあそれなりに品質は保たれているものの、ファンが望んでいるものとは大分違ったものが並べられています。このサウンドでやると決まっていたのなら、スラッシャーなギタリストのヤンセンもウィッチリーで弾けたくなるよ!みたいな、とりあえず別バンドでやれよ,、'` ( ´∀`) ,、'`って言う一枚でした。
同系統アルバム
TAKE A LOOK IN THE MIRROR/KORN
MUTINY WITHIN/MUTINY WITHIN
IN THE BLACK/KITTIE

UKON WACKA/KORPIKLAANI

コルピの神様/コルピクラーニ

KING RECORDS KICP-1557 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004K5H1KI  フィンランド出身のバンドの7枚目のアルバムです。

 フォーキーなイントロから繰り出されていく軽快さと哀愁が混ざり合う躍動感の強い1から、独自の世界を作り出していくアルバムは、跳ねるようなリフでダイナミックに迫るアップテンポの2、物悲しいメロディが豪快に押し寄せるパワフルなミッドテンポの3、叙情メロディとダイナミックなリフワークで突き進むアップテンポの4はアウトロがアポカリプティカ風。フォーキーでハッピーでハイテンションなドランクソングの5、ゆったりと流れるメロディに乗せてエモーショナルな歌声を聴かせる緩急を付けた雄大な6、湿ったメロディが押し寄せるミドル〜アップテンポの7、哀愁メロディとソリッドなリフが交錯するミッドテンポの8、フォーキーなメロディが乱舞する高揚感高まるインストナンバーの9、叙情メロディを紡ぐ10は高速パートと叙情パートを切り替えながら突き進むダイナミックなチューン。ボーナストラックの11はヴァイオリンの調べが印象的なモーターヘッドのカバーが収録されています。

 すっかりフォークメタルのベテランとなったバンドは、さすがに初期のような愛すべきバカっぷりは無くなったものの、安定感のあるサウンドを作り出しており、安心のブランドと呼べる仕上がりの一枚でした。
同系統アルバム
NIFELVIND/FINNTROLL
REKREATUR/EQUILIBRIUM
EVERYTHING REMAINS AS IT NEVER WAS/ELUVEITIE

GOLDEN MOON/LIV MOON

ゴールデン・ムーン(初回限定盤)/リヴ・ムーン

VICTOR VIZL-410 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004JZDXOC  女性ヴォーカルを擁する日本のバンドのセカンドアルバムです。

 壮大なイントロで始まるアルバムは、ヘヴィリフとオペラティックなヴォーカルが融合していくドラマティックなシンフォニックチューンの1からクラシカルなムードとメタリックなプレイが交錯するサウンドが展開されていき、スリリングなコーラスワークも印象的に迫るシンフォニックな劇的ナンバーの2、荘厳なイントロから情感豊かなメロディを盛り込んだミッドテンポのメタルナンバーの3、スキャットからの4はダイナミックな展開で迫る緊迫感高まるメタリックなナンバー、マリリン・マンソンとケイト・ブッシュを合わせたみたいなヘヴィロックナンバーの5、コケティッシュなデジタルロックな6、静かなインターリュードの7からドラマティックに展開して情感が開放されていく8へと。フュージョン的なギターにしっとりとした歌声を乗せたソフトなナンバーの9、リリカルでファンタジックな10、シンフォニックなアレンジで迫るオペラティックな劇的ナンバーの11、エモーショナルなドラマティックナンバーの12、13、シンフォニックな展開を見せる14は壮大なムードの劇的ナンバーでアルバムの幕を閉じます。

 前作よりもギターソロや曲展開がヘヴィメタル的な大仰さを持ったものになったアルバムは、シンフォニックメタルを追求するという意思を感じさせていき、方向性の定まった芯の通ったサウンドが繰り広げられていきます。ナイトウィッシュ陰陽座などの女性ヴォーカルを擁するバンドの影響も感じさせるヘヴィメタルのフォーマットを踏襲しつつも、モダンなスタイルや古典的なスタイルも柔軟に取り込んでバラエティに富んだ楽曲を揃えていく方向は同じでも、核のようなものが定まったことで、あまりブレを感じさせない一体感を生み出しています。実験的な前作からより確かなスタイルへと舵を切った説得力のある一枚でした。
同系統アルバム
DARK PASSION PLAY/NIGHTWISH
END OF EDEN/AMBERIAN DAWN
SOLITAIRE/EDENBRIDGE

CIRCLE REGENERATED/NORTHER

サークル・リジェネレイテッド/ノーサー

MARQUEE MICP-10968 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004D1MBI6  フィンランド出身のバンドの6枚目のアルバムです。専任ヴォーカリストに元IMPERANONのアレクシ・シフォネン、セカンドギタリストにネイルダウンのダニエル・フレイベリを加えて製作されています。

 荒々しいギターと叙情メロディが交錯する疾走ナンバーの1から北欧メロディックデスメタルが炸裂していくアルバムは、コーラスパートにクリーントーンを用いるなど新しい要素を加えて進んでいきます。叙情リフとコーラスが炸裂するアップテンポの2、ソリッドなギターリフと躍動するメロディが交錯していく曲展開の大きい3、メランコリックなメロディと共に進む衝動性の強まる劇的なスピードナンバーの4、デジタルなイントロから激しく突き進んでいくダイナミックに叙情ロックする5、タイトなリフで進むメランコリックでアグレッシヴな6、哀愁メロディが抑揚大きく進むミドル〜アップテンポの7、ソリッドなギターリフがシャープに迫るタイトで叙情的なナンバーの8、キャッチーなメロディで突っ走るスリリングでファストな9、メランコリックなメロディがソリッドなリフで展開されていくミッドテンポのダイナミックな10。

 メタルコアの要素を大幅に取り込んだアルバムは、メロディに関しては印象的なギター、キーボードソロが頻出の北欧に並ぶもの無しと言った風な高い融合度を見せ付けており、本家の実力をまざまざと感じさせます。米国産メタルコアに見られるブルータルなパートとメロディアスなパートとの違和感もほとんど感じさせない滑らかで自然なサウンドには、このスタイルの完成形に近づいていると思わせられます。新たな要素を加えつつも自分らしさを失わない完成度の高い一枚でした。

 …でも、サビでスピードダウンするんだよね、メタルコアだから(´・ω・`)
同系統アルバム
BLACK RIVERS FLOW/LAZARUS A.D.
KILLSWITCH ENGAGE/KILLSWITCH ENGAGE
RELENTLESS RECKLESS FOREVER/CHILDREN OF BODOM

THE PRICE FOR THE HUMAN SINS/PASTORE

ザ・プライス・フォー・ザ・ヒューマン・シンズ/パストーレ

HYDRANT MUSIC QIHC-10014 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004IRQBDG  ブラジル出身のバンドのデビューアルバムです。

 力強いハイトーンヴォーカルが炸裂していくアルバムは、正統派ヘヴィメタル展開を見せるミッドテンポの1から、オーセンティックなスタイルで繰り広げられるメタルサウンドが満載で、タフなギターリフで進むストロングスタイルのミッドテンポナンバーの2、エピックなムードも残るソリッドなヘヴィナンバーの3、ドライヴ感の強いヘヴィリフを繰り出していくアップテンポの4、威圧的なリフで迫るソリッドなミッドテンポの5、タイトなリフで進むミッドテンポの6、哀愁帯びたバラードナンバーの7、唸るヘヴィリフで突き進む攻撃性の強いミッドテンポの8、ソリッドなギターリフで密度を高めていくダークなナンバーの9、ギャロップするリフで進む躍動するアップテンポの10、ミステリアスなムードが高まるヘヴィナンバーの11、キャッチーなメロディが組み込まれた開放的なコーラスの12、ボーナストラックの13は凄くメイデンです。

 パワフルなヴォーカルとメタリックな質感が融合した正統派メタルを作り出しているアルバムは、オーセンティックなスタイルを新鮮なムードで仕立て直していく楽曲を揃えています。オーセンティックなスタイルを貫いているだけに、手堅すぎて目新しさがちょっと足りないのと、似たような空気の楽曲自体の出来がパフォーマンスに比べるともう一声と言う感じなのは否めないところ。新人離れした実力を見せるプレイには今後も期待できそうなので、もうちょっとテンションの上がる曲が増えるといいなあ、な一枚でした。
同系統アルバム
CHARRED WALLS OF THE DAMNED/CHARRED WALLS OF THE DAMNED
BLIND RIDE/HIBRIA
16.6(BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU'RE DEAD)/PRIMAL FEAR

IN PARADISUM/SYMFONIA

イン・パラディズム/シンフォニア

MARQUEE MICP-10980 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004JZDXSS  元ストラトヴァリウスのティモ・トルキと元アングラのアンドレ・マトスが手を組んだニューバンドのファーストアルバムです。他には元ハロウィンのウリ・カッシュ、元ソナタ・アークティカのミッコ・ハルキン、元ストラトヴァリウスのヤリ・カイヌライネンとその筋のファンにとってはそこそこスーパーバンドな面々で構成されています。

 スリリングなギターリフとキラキラキーボードにあのハイトーンが乗った北欧メロディックスピードメタルナンバーの1で始まるアルバムは、叙情リフで進むアップテンポの哀愁ナンバーの2、ザクザクしたオーセンティックなリフで突進するソリッドで開放感あふれるアップテンポの3、静かなイントロからエモーショナルに響くバラードナンバーの4、キレのあるギターリフで刻むスピードナンバーの5、フォーク風メロディを絡めたキャッチーなミッドテンポの6、ドラマティックなコーラスからの7は展開の激しい大作ナンバー、ヘヴィリフで迫るエモーショナルな9、キラキラキーボードから哀愁メロディが花開くメランコリックでアップテンポの9、メランコリックなバラードナンバーの10、ボーナストラックの11は叙情メロディが押し寄せる静かなナンバーが収録されています。

 このメンバーでメロディックメタル以外の代物が出てきたほうが驚きだよ!な予想通りのストラトヴァリウス+アングラと言う哀愁メロディックメタルが展開されていきますが、足した分だけ魅力がアップするかと思いきや、それぞれから足りない分が補われただけで特にプラスアルファは無かったぜ…(´Д`;)全体的には無難な出来のストラトヴァリウスって感じですが、バンドが続けば何かが生まれるかもしれない!と期待だけはしたい一枚でした。
同系統アルバム
ELYSIUM/STRATOVARIUS
NIGHT IS YOUNG/ROYAL JESTER
MENTALIZE/ANDRE MATOS

RAZORBACK KILLERS/VICIOUS RUMORS

レイザーバック・キラーズ/ヴィシャス・ルーマーズ

MARQUEE MICP-10979 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004JZDXEW  アメリカンパワーメタルバンドの10枚目のアルバムです。恒例のようにメンバーが盛大に替わっていますが(・ε・)キニシナイ!!

 荒々しいストロングスタイルのハイトーンヴォーカルが叫ぶアルバムは、エリック・ピーターソンが参加する1からソリッドなギターリフで圧倒していくダイナミックなパワーメタリックサウンドを展開していきます。唸りを上げるギターサウンドで突っ走るアグレッシヴなファストチューンの2、グルーヴィでエモーショナルなヘヴィナンバーの3、不穏であやしげなイントロからの4はスピードアップしてアグレッシヴに突き進むダイナミックなナンバー、圧迫感高まるヘヴィナンバーの5でも終盤のファストソロパートで盛り上げます。哀愁メロディで進むソリッドな6、期待感を高めるイントロから一気に突っ走るスラッシーな高速ナンバーの7は初期テスタメントを彷彿とさせる激しさで圧倒します。タイトなギターリフで迫るソリッドでストロングスタイルな8、ギャロップするリフで走っていくドライヴ感の強いアップテンポの9、情感こもるギタープレイで始まる10は感情を叩きつけていくタイトなナンバー。

 新たなギタリストとのコンビネーションも良好でジェフ・ソープのギターが冴えまくるアルバムは、初期の空気を完全に蘇らせた正統派ヘヴィメタルに、さらに荒々しさが増強された激しくも熱いサウンドが描き出されていきます。炸裂するフラッシーなギターと馬力のあるヴォーカルが作り出す完全な復活サウンドに往年のファンも満足する出来栄えに。バンドのメンバーが一向に固定されないのは何とかして欲しいところですが、ジェフ・ソープのメタル魂に心震える一枚でした。
同系統アルバム
CHARRED WALLS OF THE DAMNED/CHARRED WALLS OF THE DAMNED
MEMORIAL ROOTS/BRAINSTORM
SAFE/MANTICORA





April

AMON AMARTH | BOREALIS | DEICIDE | DREAMTALE | THE HUMAN ABSTRACT | IMAGINARY FLYING MACHINES | RALF SCHEEPERS | SCAR SYMMETRY | SODOM | WITHIN TEMPTATION |

SURTUR RISING/AMON AMARTH

焔の巨人スルト襲来/アモン・アマース

HOWLING BULL HWCY-1291 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004RANGEG  スウェーデン出身のヴァイキングメタルバンドの8枚目のアルバムです。

 哀愁帯びたタイトなギターリフで突き進むアップテンポのエピックナンバーの1から勇壮で物悲しいサウンドが展開されていくアルバムは、重厚なギターリフで進む哀愁ヘヴィナンバーの2、唸るギターリフで突き進むヘヴィでソリッドなスピードナンバーの3、密度の高いリフで押していく壮大なミッドテンポの4、タイトなギターリフで進む勇壮なミッドテンポの5、重厚なイントロからの6は大仰なエピックナンバー。メランコリックなメロディを孕んだリフで進んでいくダイナミックなスピードナンバーの7、重厚ながらも躍動感のあるヘヴィナンバーの8、アグレッシヴなビートで突き進む好戦的でソリッドなナンバーの9、哀愁帯びたメロディとオーケストレーションで盛り上げる大作ナンバーの10、ボーナストラックにはキッスのカバーが収録されています。

 前作よりも大仰な感覚は薄まってコンパクトにまとまったサウンドが展開されていくアルバムは、躍動感の強い楽曲が増えておりライヴ受けしそうなラインナップになっています。神話的な世界観はそのままに、様々な要素をより強化していく全体的な底上げを図ったサウンドは普遍性を強めるのにも一役買っており、聴きやすさと劇的さを兼ね備えた楽曲に仕上がっています。すっかりベテランな風格を感じさせる一枚でした。
同系統アルバム
CROGACHT/SUIDAKRA
FROM AFAR/ENSIFERUM
STAND UP AND FIGHT/TURISAS

FALL FROM GRACE/BOREALIS

フォール・フロム・グレイス/ボレアリス

HYDRANT MUSIC QIHC-10015 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004N9TDWK  カナダ出身のテクニカルバンドのセカンドアルバムです。

 デスヴォイスと伸びのあるハスキーヴォーカルで進むメロデス的な要素を含んだスリリングでテクニカルな1で幕を開けるアルバムは、クリーンヴォーカルが歌い上げるダイナミックなリフワークと緻密な展開で進むドラマティックナンバーの2、ソリッドなギターリフとスペーシーなキーボードが絡み合う開放感のあるアップテンポの3、煽情性の強いメロディで進むミッドテンポのエモーショナルな4、ヘヴィリフで進む5はダークなムードを孕みつつ情感豊かに迫ります。ソリッドなリフが緊張感を持って迫る展開の激しいパワーメタリックな6、壮大なムードのメランコリックなパワーバラードの7、重厚なリフワークで迫る8はソリッドなエモーショナルナンバー。ドラマティックなイントロで始まる起伏の激しいスリリングなナンバーの9、ボーナストラックにはセンチメンタルなメロディが迫る10、緊張感高まるリフで進むミッドテンポの11が収録されています。

 最後まで聴くと一曲目はいったい何だったんだっていうくらいに毛色が変わっていたことに気付いたりしますが、全体的には叙情性の強いメロディとテクニカルプレイで聴かせるプログレハード的メタル。若干似たような傾向の曲が多いのが気になりますが、最新の音作りに安定感のあるパフォーマンスとキャッチーな展開が求心力を高めており、多彩な要素を絡めたスタイルは完成度の高いものになっています。いろいろ可能性を秘める一枚でした。
同系統アルバム
SUNLESS SKIES/PATHOSRAY
THE ROAD LESS TRAVELLED/TRIOSPHERE
MUTINY WITHIN/MUTINY WITHIN

TO HELL WITH GOD/DEICIDE

トゥ・ヘル・ウィズ・ゴッド/ディーサイド

MARQUEE MICP-10987 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004HD2ZIG  フロリダ産ベテランデスメタルバンドの10枚目のアルバムです。出たり入ったりのラルフ・サントーラはプレイしています。

 邪悪さ満点の凶悪なギターリフが荒れ狂い、獣性高まるデスヴォイスが咆哮する1から緩急の激しい暴走デスメタルが展開していくアルバムは、ラルフ・サントーラによる華麗なギターソロが強いコントラストを生み出していく壮絶なサウンドが繰り広げられていきます。ブラストビートが炸裂していく凶暴な高圧ナンバーの2、不穏なイントロからクランチーなリフで突っ走る3、不安感を高めるソリッドなリフで迫るヘヴィナンバーの4、破滅的なギターリフがスピードアップしていく邪悪な5では激しいギターソロが荒れ狂います。官能的なギターに導かれる緩急激しいナンバーの6、唸りを上げるギターリフで突進する7、凶悪さを全開にして起伏激しく突っ走る8、ヘヴィリフがジリジリ迫る圧迫感の強い9、エモーショナルなギターのイントロからの10は高速リフで突き進む激烈ナンバーでエモーショナルなパートとアグレッシヴなパートとの相克が凄まじい仕上がり。

 メロディアスなギターソロを導入したと言えども、別格の邪悪さを生み出すデスメタル界隈の重鎮の生み出す凄まじい世界は憤怒と憎悪に満ち満ちています。ヴォーカルだけデスヴォイスと言うスタイルがすっかり定着している中で、初期デスメタルのいかがわしさと不穏当な感覚を思い出させる間違いなくデスメタルな一枚でした。
同系統アルバム
DOOMSDAY KING/THE CROWN
THOSE WHOM THE GODS DETEST/NILE
TO THE NINES/HATESPHERE

EPSILON/DREAMTALE

イプシロン/ドリームテイル

MARQUEE MICP-10986 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004OGYKMK  フィンランド出身のバンドの5枚目のアルバムです。オリジナルドラマーが復帰して製作されています。

 炸裂するドラマティックなイントロで幕を開けるアルバムは、ハイトーンヴォーカルが湿ったメロディを歌い上げていくシンフォニックなスピードナンバーの1からきらびやかな劇的世界を描き出していきます。ハロウィンの影がちらつくキラキラサウンドで突き進むダイナミックでキャッチーな2、叙情感の残るメロディで進む起伏激しい展開のアップテンポの3、キラキラで突っ走るスタスタする高揚感高めるスピードナンバーの4、エピックメタル的なムードを高めつつドラマティックに進むミッドテンポの5、ファンタジックでリリカルなイントロからの6はエモーショナルな劇的バラード。勇壮なムードで突っ走るドラマティックファストチューンの7、壮大なムードが高まる劇的ミッドテンポナンバーの8、シンフォニックなイントロからファンタジックに展開していくダイナミックで勇壮な劇的ナンバーの9、緊迫感高まるイントロからドラマティックに疾走していくスピードナンバーの10。

 直球勝負のメロスピ路線を突っ走っているアルバムは、またハロウィンやストラトヴァリウスガンマ・レイに戻っちゃったよ,、'` ( ´∀`) ,、'`みたいなファンタジックなサウンド満載で、迷走気味だった前作あたりより潔い吹っ切れた楽曲だけが並んでいます。迷いを捨ててこの道を邁進する覚悟なのか、ちょっと初心に帰っただけなのかは分かりませんが、勢いの無くなって来たメロスピ界隈に再び活気を与えそうな一枚でした。
同系統アルバム
SCORE TO A NEW BEGINNING/FAIRYLAND
LEGEND OF THE SHADOWKING/FREEDOM CALL
DEATH AND LEGACY/SERENITY

DIGITAL VEIL/THE HUMAN ABSTRACT

デジタル・ヴェール/ザ・ヒューマン・アブストラクト

VICTOR VICP-64943 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004OGYLCE  ロサンゼルス出身のバンドの三枚目のアルバムです。

 メランコリックでドラマティックなイントロダクションで始まるアルバムは、そのムードを受け継ぎつつ、変拍子を多用するテクニカルなプレイが炸裂し、デスヴォイスとクリーンヴォーカルが交錯する複雑な展開を見せる2へと進んでいきます。ブルータルなデスヴォイスとヘヴィリフで突進していくテクニカルデス風の3、複雑なフレーズを重ねつつデスヴォイスとクリーンヴォーカルが感情を揺さぶっていく4、メランコリックなメロディが迫るエモーショナルな5、威嚇的に迫る6はデスヴォイスを前面に押し出したアグレッシヴでテクニカルなナンバー、テクニカルなプレイが叙情的に迫るセンチメンタルな7、変拍子を駆使するテクニカルでエモーショナルな8、ボーナストラックの9はベートーヴェンの月光をテクニカルにプレイしていくアレンジを見せます。

 哀愁メロディと複雑なプレイが混沌としつつも聴き手に迫りくるサウンドは、絡み合う様々な要素が情感に訴えかけると言う一点に集約して楽曲を構成していきます。圧倒的なプレイと感情のうねりに飲み込まれていく存在感の強い一枚でした。
同系統アルバム
UNSEEN EMPIRE/SCAR SYMMETRY
OBZEN/MESHUGGAH
MUTINY WITHIN/MUTINY WITHIN

PRINCESS GHIBLI/IMAGINARY FLYING MACHINES

プリンセス・ジブリ/イマージナリー・フライング・マシーンズ

OVERLAP RECORD OVLC-6 [EXTRA] >>>>>BUY...?

B004MCNABI  イタリアのディサルモニア・ムンディデストレイジ、リビング・コープスらのバンドに加え、日本からはブラッド・ステイン・チャイルドが参加した、スタジオ・ジブリ作アニメの名曲の数々をカバーするというプロジェクトのアルバムです。とりあえず作品については説明は要らないよね!ジブリだし!

1.となりのトトロ/となりのトトロ
激しいビートとデスヴォイスにフィメールヴォイスも加わって凄くドラマティックに疾走するなんだこれ色々おかしい,、'` ( ´∀`) ,、'`ブレイクしたり突進したりと激しく展開する仕上がり。

2.君を乗せて/天空の城ラピュタ
クランチーなリフで展開していく女性ヴォーカルを中心とした仕上がりで、やたらとバックの演奏が激しい壮大な仕上がり。そして、デスヴォイスのコーラスが(w

3.テルーの唄/ゲド戦記
ブラステ参加のテクノっぽかったりメタルっぽかったりする起伏の激しい展開のスピード感のある原曲とは大分感じが違うキャッチーな仕上がり。でもデスヴォイスのコーラスが(w

4.崖の上のポニョ/崖の上のポニョ
デストレイジが参加するやたらとファンキーなノリのテンションの高いポニョ,、'` ( ´∀`) ,、'`

5.もののけ姫/もののけ姫
リビング・コープスが参加した、やたらとアグレッシヴに突き進む激しい仕上がりのテクニカルなメロデス。米良美一も感涙だな(´∀`)

6.カントリー・ロード/耳をすませば
元の曲ってどんなんだっけ…?っていうキラキラスピードメタルナンバーに仕上がっています。

7.いつも何度でも/千と千尋の神隠し
ブラステが参加した妙に爽やかな仕上がりの一曲。

8.ARRIETTY'S SONG/借りぐらしのアリエッティ
エモーショナルでセンチメンタルなゴシックメタルっぽい仕上がりになった一曲。あれ、これ英語バージョンも無かったっけ…。

9.やさしさに包まれたなら/魔女の宅急便
ただのユーミンカバーじゃねえか!(´Д`;)と言う高速ナンバー。

10.時には昔の話を/紅の豚
加藤登紀子カバーじゃねえか!(´Д`;)と言うスピードメタルチューン。

11.さんぽ/となりのトトロ
普通のヴォーカルパートとブラストビート&デスヴォイスが全く噛み合わない無茶振りな曲。

12.ナウシカ・レクイエム/風の谷のナウシカ
原曲を超えるやたらと壮大な仕上がりのシンフォニックメタル。どうせなら安田成美の曲をカバーすれば良かったのに,、'` ( ´∀`) ,、'`

 メタラーならカラオケで一度はやっちまった事がありそうな、ジブリのメタルアレンジの一枚は、やっぱりイタリアの仕業か!とアニメカバーがやたらと多いイタリア産パワーメタルバンドに限らず、エクストリーム系バンドも同じ傾向だったか…てな具合のアルバムですが、妙に作品への愛を感じさせるアレンジっぷりがイタリア人の熱心なアニメ好きを窺わせます。まあ、ジブリに偏ってますけど、実質アニメタルだよ、これ!(´Д`;)まあ、女性ヴォーカルを使って普通に唄ってしまうところが多いので、全編デスヴォイスの壊し屋的な仕上がりを期待するとどうなんだよこれ、って感じではありますが、日本アニメの影響力って凄いよね!(主にイタリアで)な一枚でした。
同系統アルバム
THE ISOLATION GAME/DISARMONIA MUNDI
MOZAIQ/BLOOD STAIN CHILD
URBAN BEING/DESTRAGE

SCHEEPERS/RALF SCHEEPERS

シーパース/ラルフ・シーパース

KING RECORDS KICP-1564 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004OUK24G  プライマル・フィアのヴォーカリストのソロアルバムです。

 あやしいイントロからソリッドなギターリフが繰り出されていくパワーメタリックな1から馬力のあるハイトーンヴォーカルが炸裂していくアルバムは、アクセプト的な粘りのあるコーラスが熱いミッドテンポのナンバーの2、タイトなリフを刻んでいくシャープなナンバーの3、シンフォニックなイントロから始まるドラマティックなミッドテンポの4、メランコリックなイントロからの5はダークでシンフォニックでメランコリックなナンバー。ラルフが過去在籍していたタイラン・ペイスのサードアルバムからのリメイクナンバーの6、ジューダス・プリーストのカバーの7、ダイナミックな展開のメタリックなナンバーの8、「ブラック・サン」ごろに書かれたヘヴィナンバーの9、壮大なムードのダイナミックな劇的ナンバーの10、またアウトテイクなパワーメタリックナンバーの11、メランコリックなバラードの12、ボーナストラックには7の別アレンジが収録されています。

 ラルフ・シーパースの趣味が前面に出ているとは言え、曲を書いているのはほとんどプライマル・フィアと変わらりません。プライマル・フィアのアウトテイクなどが含まれ、それほど大きく音楽性が違うわけではありませんが、ルーツの影響を隠さない楽曲も少なからず揃えられています。プライマル・フィア、シーパース、シナーと傾向が微妙に異なる三つのバンドで楽曲をやりくりできる、創作意欲の旺盛さを窺わせる一枚でした。でもこのボーナストラックは要らないよな…(´・ω・`)
同系統アルバム
16.6(BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU'RE DEAD)/PRIMAL FEAR
DECLARATION OF WAR/MEAN STREAK
UNHOLY CROSS/BLOODBOUND

UNSEEN EMPIRE/SCAR SYMMETRY

アンシーン・エンパイア/スカー・シンメトリー

MARQUEE MICP-10982 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004Q1DFWO  スウェーデン出身のツインヴォーカルバンドの5枚目のアルバムです。

 ダイナミックで躍動的なイントロから荒々しいデスヴォーカルとクリーンヴォーカルがエモーショナルに絡み合うアップテンポの1から、独特なサウンドが展開されていくアルバムは、ヘヴィリフでミステリアスなムードを高めていく2はテクニカルなプレイとセンチメンタルなメロディを見せ付けるミッドテンポのナンバー、ダークなイントロからタイトなリフが展開されるエクストリームでエモーショナルな3、テクニカルに突っ走る緩急の激しい激烈スピードナンバーの4、メランコリックなメロディを重ねつつ進むミッドテンポの5、ソリッドなリフが緊迫感を高めつつ進むメタリックな6、叙情メロディがタイトなリフで彩られる鮮やかな7、哀愁メロディで進むメランコリックな8、テクニカルでミステリアスなフレーズで突き進む複雑な展開を見せるエクストリームでメランコリックな9。

 予測困難なテクニカルプレイとアグレッシヴなデスヴォーカル、情感豊かなクリーンヴォーカルが渾然一体となった複雑ながらも感情に訴えかけるサウンドが展開されていくアルバムは、クオリティも高くバンドのヴィジョンを忠実に再現するものに見えます。カオスなサウンドがエモーショナルなメロディに癒されていく落差の大きい楽曲が集められた強力な一枚でした。
同系統アルバム
CIRCLE REGENERATED/NORTHER
MUTINY WITHIN/MUTINY WITHIN
YOU CAN'T HURT STEEL/THE MORNING AFTER

IN WAR AND PIECES/SODOM

イン・ウォー・アンド・ピーシズ/ソドム

KING RECORDS KICP-1533 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B003ZW0NA2  ベテラン・ジャーマンスラッシャーの2010年に発表された13枚目のアルバムです。

 威圧感と圧迫感の強い邪悪なヘヴィナンバーの1で幕を開けるアルバムは、激烈な突進スラッシュナンバーの2、緩急とリズムチェンジの激しい密度の高いアグレッシヴでソリッドな3、エッジの効いたリフで突っ走るファストチューンの4、タイトなリフで迫る威圧的で硬質なアップテンポの5、唸りを上げるリフが圧倒的に迫るエモーショナルなヘヴィナンバーの6、グルーヴィに迫る7はソリッドなサウンドで圧倒していくヘヴィナンバー。メランコリックなメロディとヘヴィリフで進むエモーショナルな8、不穏なリフで突き進むクランチーな9、緩急激しく突っ走る怒涛のスラッシュナンバーの10、ミステリアスなムードで進むヘヴィロックナンバーの11、ボーナストラックの12はロックンロールしていくドライヴ感の強いナンバーになっています。

 中期のスレイヤーを彷彿とさせる密度の高いサウンドが詰め込まれていくアルバムは、スラッシャーな要素と多彩なメロディ、そしてロックテイストが混在するアグレッションとエモーションが高まったもので、彼ららしさを現代的な感覚とシンクロさせていきます。表情豊かなギターソロの存在感がかなり高まっており、パンキッシュな感覚は薄まっているものの整合性が増したヘヴィメタル然としたサウンドが展開されています。最近ますます元気なジャーマンスラッシャーの一翼を担う、ベテランバンドの意気込みを強く感じさせる完成度の高い一枚でした。
同系統アルバム
DAY OF RECKONING/DESTRUCTION
DEAD AGAIN/SUICIDAL ANGELS
EXILED TO EARTH/BONDED BY BLOOD

THE UNFORGIVING/WITHIN TEMPTATION

ジ・アンフォーギヴィング 〜スペシャル・エディション/ウィズイン・テンプテーション

ROADRUNNER RRCY-29233/4 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004HETPRY  オランダ出身のバンドの5枚目のアルバムです。オリジナルコミックに基づくコンセプトアルバムになっています。

 メランコリックなメロディがシリアスに展開していくイントロダクションの1で幕を開けるアルバムは、壮大なイントロからのドラマティックでエモーショナルな2から情念高まる女性ヴォーカルの歌声が響くゴシックメタルを作り出していきます。ダークなムードながらもダイナミックに展開するアップテンポの3、4はエモーショナルなミッドテンポのナンバー、センチメンタルなメロディがドラマティックに重ねられていく5、ヘヴィリフとオーケストレーションでダイナミックに迫るミッドテンポの劇的ナンバーの6、ゴシックロックなムード高まるヘヴィナンバーの7、メランコリックで情感高まるロックナンバーの8、リリカルなムードの物悲しい9、スリリングなムードが高まるソリッドな10、ダークな質感と高揚感高まる展開で盛り上がる劇的ナンバーの11、哀切高まるメランコリックナンバーの12、ボーナストラックには、ダイナミックなゴシックナンバーの13、タイトなムードのロックナンバーの14が収録されています。

 ジャケットを見る限り「ブレードランナー」っぽい話かと思ったけど、同梱のDVDを観たら全然違うストーリーだったぜ!,、'` ( ´∀`) ,、'`みたいなオカルティックでノワールなコンセプトアルバムは、キャッチーなメロディやドラマティックさもアップした世界観を構築しており、高品質のゴシックメタルを作り出しています。全編に流れる空気が暗さを湛えたものなので、曲調的には似たようなものが少なくないですが、ビジュアルとシンクロするとイイ感じになる一枚でした。
同系統アルバム
DON'T FEAR THE REVENGE/ALIGHT
KARTIKA/THE ETERNAL
POETRY FOR THE POISONED/KAMELOT





May

ARCH ENEMY | DOTMA | HELL | LEAVES' EYES | PAGAN'S MIND | U.D.O. |

KHAOS LEGIONS/ARCH ENEMY

ケイオス・リージョンズ/アーチ・エネミー

TROOPER ENTERTAINMENT QATE-10001 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004RRVA9M  スウェーデン出身のメロディックデスメタルバンドの8枚目のアルバムです。

 緊迫感高まるイントロダクションの1で幕を開けるアルバムは、スリリングでヘヴィなリフワークとビーストヴォイス、そしてメランコリックなギターソロが炸裂する緩急の激しいアグレッシヴな2でバンドの本領を発揮していきます。唸りを上げるギターリフで突っ走るスピードの変化が大きい疾走ナンバーの3、ミステリアスでダークなヘヴィナンバーの4、叙情メロディで進むポップなムードも残るミッドテンポの5、スピーディーなイントロからの6は威圧感の強いリフと哀愁メロディで進むミッドテンポのナンバー、不穏なムードが漂うヘヴィナンバーの7でも印象的なギターソロを聴かせます。メガデスっぽいムードも漂う、緊迫感高まるイントロからザクザクしたリフを刻む8は緩急の激しいアグレッシヴなナンバー、ダークなインストナンバーの9を経て、スラッシーなリフで突っ走りスピードダウンしてエモーショナルな展開を見せるブルータルなナンバーの10、派手なイントロから畳み掛けるリフで突き進むアップテンポの11、センチメンタルなインストナンバーの12から、激しいギターリフが荒れ狂う13もリズムチェンジを繰り返し突き進んでいきます。哀愁メロディのイントロが印象的な14はソリッドなリフを刻みつつ叙情的&威圧的に迫るアップテンポのナンバー、 ボーナストラックの15はスコーピオンズのカバー、16は「WAGES OF SIN」の曲のアコースティックバージョンが収録されています。

 アグレッシヴな突進パートだと表現力があまり必要じゃないので気になりませんが、いつも通りガッカリ感が漂うヴォーカルは変わないものの、ギターソロの充実度はそれを補うには充分すぎるほどで、エモーショナルなプレイをこれでもかと聴かせています。様々なパートが詰め込まれていて、色々試行錯誤を繰り返している様が窺えますが、ちょっと回りくどい感じに聴こえなくも。以前から気になるところはそのままなので何ですが、独自性の強いスタイルを貫き通す一枚でした。
同系統アルバム
MYTHOLOGY/VOLCANO
THE PANIC BROADCAST/SOILWORK
WHAT SILENCE HIDES/DREAMSHADE

SLEEP PARALYSES/DOTMA

スリープ・パラリシズ/ドトマ

SPIRITUAL BEAST IUCP-16105 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004Q84YJ0  フィンランド出身のバンドのファーストアルバムです。

 シンフォニックでドラマティックなイントロに導かれるアルバムは、女性ソプラノヴォイスの繊細な響きをヘヴィなサウンドが支えるメロディアスでオペラティックな1で幕を開けます。バリトンな男性ヴォーカルも加わってソリッドなギターリフと重厚なコーラスが物語性の強いシンフォニックサウンドを導く劇的ナンバーの2、ファンタジックな叙情メロディで進む起伏の大きいナンバーの3、センチメンタルなイントロからの4はリリカルなムードが高まる優しいナンバー、ミステリアスなムードとソリッドなリフがシンフォニックに彩られていくスリリングな5、クランチーなギターリフが起伏の激しい展開を導くミッドテンポの6、リリカルなイントロからの7は壮大な展開を見せる大作ナンバー、その空気を引き継いだ8は更に叙情感を増した壮大で幻想的なナンバー。 ボーナストラックには4と2のアコースティックバージョンが収録されています。

 美麗な歌声を聴かせる女性ヴォーカルが織り成すシンフォニックでファンタジックな音世界は、初めてのフルレンスアルバムとは思えない高い完成度を見せており、先達バンドにも劣らない楽曲を揃えています。ファンタジックな要素が強いのでメタル的には若干弱いですが、幻想的な世界に没入できる舞台を整えた今後に期待できそうな一枚です。
同系統アルバム
SOLITAIRE/EDENBRIDGE
END OF EDEN/AMBERIAN DAWN
SITRA AHRA/THERION

HUMAN REMAINS/HELL [IMPORT]

ヒューマン・リメインズ/ヘル

NUCLEAR BLAST 2721-2 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 英国出身のバンドのファーストアルバムです。1982年に結成したものの、色々あって消滅していましたが、若い頃からファンだったアンディ・スニープにうながされて復活したと言う経緯があり、発表されたのが奇跡的な作品になっています。

 シンフォニックで緊迫感高まるなイントロから繰り出されていくのは、NWOBHMの息吹を今に伝えるリフワークにエキセントリックなヴォーカルが荒れ狂うオーセンティックなヘヴィメタル。ホラー映画的なSEからダイナミックに展開していくアップテンポでキャッチーな3、エキセントリックな歌唱と怪しげなムードで迫るミッドテンポの4、オカルティックなムードが高まる芝居がかったスローテンポのパートから加速していくナンバーの5、ハイテンションで突っ走るダイナミズム全開のドライヴチューンの6、SEとナレーションからドラマティックに展開していくミッドテンポの壮大な長尺ナンバーの7、ドライヴ感の強いリフで突っ走るアップテンポの8、いかがわしすぎるイントロからの9は怪しげなリフで突き進むダークなミッド〜アップテンポのナンバー、ミステリアスなイントロから妙なテンションでダイナミックに突っ走るパワーメタリックな10、ヘヴィリフでグルーヴィに迫るやっぱり長い11で幕を閉じます。

 NWOBHMの中でもオカルティックな系譜が今でも残っていたことに驚いたものの、冷静に考えれば当時のままのバンドが復活してタイムスリップしてわけで、そのままの楽曲が現在のプロダクションで色鮮やかに蘇ったアルバムは、当時は少なくなかったこの空気を作り出すサウンドを思い出させます。現在はブラックメタルやデスメタルあたりに残っている呪術的でいかがわしい、ヘヴィメタルの基本的な要素のひとつがたっぷり詰め込まれて、正統派ヘヴィメタルのフォーマットの中で展開されていく様は完全にNWOBHM。ヘヴィメタルの初期衝動を後進に見せ付ける先祖がそのまま戻ってきた一枚でした。
同系統アルバム
THE DEVIL YOU KNOW/HEAVEN & HELL
FESTIVAL/JON OLIVA'S PAIN
KINDGOM OF EVIL/ANGELS OF BABYLON

MEREDEAD/LEAVES' EYES [IMPORT]

ミーアデッド/リーヴズ・アイズ

NAPALM RECORDS NPR-375 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 ノルウェー出身のバンドの4枚目のアルバムです。

 勇壮で緊迫感高まるケルティックな調べで幕を開けるアルバムは、女性ヴォーカルの神秘的な歌唱とコーラスが絡み合うドラマティックな1から、ファンタジックな世界が広がるアルバムは、ロマンティックなメロディが高まるミッドテンポの2、民族音楽的なムードとコケティッシュなヴォーカルが壮大に展開する3、アイリッシュなムードで迫るミッドテンポの4、ロマンティックなムードが高まるエモーショナルなスローナンバーの5、オペラティックなコーラスが壮大なムードを高めるドラマティックな6、デスヴォイスも加えエスニックなメロディが壮大に展開していく重厚な7、リリカルなムードで迫る幻想的な8、ダークなリフがメランコリックなムードを導くスローナンバーの9、小品の10を挟んでエキセントリックな歌唱がケルティックなメロディを導くダイナミックな11へと。男女ヴォーカルによるファンタジックな12で幕を閉じます。

 確固たる世界観を持ったサウンドが展開されるアルバムは、幻想的なムードが高まるもので、独特な空気感と壮大さが合わさった楽曲が揃えられています。独自の路線をひた走る完成度の高い一枚でした。
同系統アルバム
SLEEP PARALYSES/DOTMA
DON'T FEAR THE REVENGE/ALIGHT
THE UNFORGIVING/WITHIN TEMPTATION

HEAVENLY ECSTASY/PAGAN'S MIND [IMPORT]

ヘヴンリー・エクスタシー/ペイガンズ・マインド

SPV 309270 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004NQUKKC  ノルウェー出身のバンドの5枚目のアルバムです。

 エキゾティックなメロディを孕んだイントロから始まるアルバムは、力強いハイトーンヴォーカルが歌い上げる静と動のコントラストが激しいダイナミックな2から、テクニカルでメロディアスなサウンドを作り出していきます。タイトなギターリフで迫る3は叙情感を保つ爽やかなメロディで進むアップテンポのナンバー、ヘヴィリフで始まる4は朗々としたメロディへと展開するダーティヴォイスも導入して起伏をつけたミッドテンポのナンバー、哀愁帯びたリフがロックするヴォーカルを導くミッドテンポの5、緊迫感高まるイントロからの6はクランチーなリフから壮大なメロディとヘヴィでアグレッシヴなパートが展開されていく緩急の激しい大作ナンバー、スペーシーなキーボードからヘヴィリフに展開する7は叙情感あふれるタイトなナンバー、透明感のある開放的なメロディのゆったりとしたハードロックナンバーの8、デジタル感高まるフレーズでスリリングに展開する9はアグレッシヴに進むソリッドなナンバー、リリカルなムードを湛えたメロディアスハードな10、ロマンティックな小品の11、ボーナストラックには、ミステリアスでダイナミックな12、スペーシーでドラマティックな13が収録されています。

 クイーンズライクドリーム・シアター的な要素も窺える、いわゆるプログレメタルのスタイルになっているヘヴィなギターとロマンティックなメロディを絡めた清涼感のあるサウンドを作り出していくアルバムは、テクニカルなプレイが情感を高める方向でヴォーカルと一体になってエモーショナルな楽曲を生み出していきます。安定感のあるパフォーマンスが楽曲への没入度を高めていく爽やかな印象の強い完成度の高い一枚でした。
同系統アルバム
PULSE FOR A GRAVEHEART/MIND KEY
SUNLESS SKIES/PATHOSRAY
FALL FROM GRACE/BOREALIS

REV-RAPTOR/U.D.O. {IMPORT]

レヴラプター/U.D.O.

AFM RECORDS AFM 326-2 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004TINSN0  ジャーマンメタラーの13枚目のアルバムです。

 パワフルなギターリフにいつものダミ声が炸裂する重量感たっぷりのミッドテンポの1で幕を開けるアルバムは、ミステリアスなイントロからのソリッドでダークなナンバーの2、ドライヴしつつ突っ走るpワーメタリックな3、メランコリックなムードが高まる哀愁ナンバーの4、唸りを上げるリフで突き進む馬力全開の5、エモーショナルなヘヴィナンバーの6、ドライヴ感高まるソリッドでアップテンポの7、厚いコーラスを引っさげた重厚なヘヴィナンバーの8、ミステリアスなムードで迫るヘヴィナンバーの9、物悲しいヘヴィナンバーの10、パワフルなアップテンポのナンバーの11、タイトなリフで迫るミッドテンポの12、重量感の強い哀愁ナンバーの13。

 復活アクセプトに刺激を受けたか、最近のスタイルを維持しながら全体的にクオリティを上げてきた意欲的なサウンドに仕上げてきたアルバムは、バンドに期待される楽曲をしっかりと揃えた手堅いものになっています。メンバーチェンジも無く特に新たな要素もありませんが、安定感のあるヘヴィメタル然とした一枚でした。
同系統アルバム
BLOOD OF THE NATIONS/ACCEPT
THE BLACKEND HALO/CIRCLE OF SILENCE
IN THE NIGHT/DREAM EVIL





June

ARKAN | AXENSTAR | BATTLELORE | BLOOD STAIN CHILD | CIRCLE OF SILENCE | HAMMERFALL | IN FLAMES | MORBID ANGEL | RHAPSODY OF FIRE | SONIC ALTAR | SYMPHONY X |

SALAM/ARKAN

サラム/アーカン

COLUMBIA COCB-60008 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004WLXTQA  フランス出身のバンドの二枚目のアルバムです。

 エキゾティックなメロディとデスヴォイス、テクニカルなビートと女性ヴォーカルが交錯する変幻自在な1で幕を開けるアルバムは、中近東のムードが高まる2ではダークでヘヴィなサウンドと妖しい女性ヴォーカルが充満するミッドテンポのナンバーを聴かせ、民族楽器を使ったイントロからの3はヘヴィサウンドとデスヴォイスとノーマルヴォイスでムードを加速していくミステリアスなナンバー。エキゾティックなメロディを前面に押し出してエモーショナルに迫るミッドテンポの4からムードを受け継ぐ女性ヴォーカルの情感高まるドラマティックなナンバーの5、さらに6ではデスヴォイスも加わってダイナミックに進む組曲的な展開を見せていきます。アコースティックのインストナンバーの7を経て、ダイナミックなリフワークにデスヴォイスと女性ヴォーカルが絡み合うエキゾティックな8、さらにアコースティックのインストナンバーの9を経て、女性ヴォーカルが主導するセンチメンタルな10から、インストナンバーの11、さらに緊張感を増していく12へと進む有機的な展開を見せます。ブルージーなインストの13でアルバムは幕を閉じます。

 デスヴォイスが無かったらほとんど民族音楽だコレ、みたいな恐ろしく中近東に傾倒したサウンドが展開されるアルバムは、エモーショナルでメランコリックなムードの方が全体的には印象に残る不思議な感覚を与えていきます。組曲的な構成でプログレ的な展開など様々なテクニックを見せるプレイが世界観を強化していく様はサウンドに対するヴィジョンの強固さを伺わせます。デスメタルと思って聴き始める色々と誤解を招きそうな、オリエンタルメタルな一枚でした。
同系統アルバム
LULLABIES FOR THE DORMANT MIND/THE AGONIST
DESIGN YOUR UNIVERSE/EPICA
SITRA AHRA/THERION

AFTERMATH/AXENSTAR

アフターマス/アクセンスター

RUBICON MUSIC RBNCD-1044a [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004ZKITC2  スウェーデン出身のバンドの5枚目のアルバムです。ギタリストとドラマーが交代して4人体制で製作されています。

 ツーバスが連打される中、線の細いハイトーンヴォーカルが哀愁メロディを唄い、ソリッドなギターリフで突っ走る緩急の激しいアップテンポの1から、メロディックスピードメタルが展開されていくアルバムは、アグレッシヴなリフで加速していく哀愁スピードナンバーの2、クランチーなリフでタイトに迫るパワーメタリックな3、叙情感を高めつつドラマティックに進むミッドテンポの4、ドラマティックなイントロからドライヴ感と哀愁を高めて進んでいくアップテンポの5、畳み掛けるソリッドなリフが緊張感を生み出していくダークなスピードナンバーの6、感情が炸裂するエモーショナルなナンバーの7、哀愁メロディが押し寄せる8は緩急の激しいドラマティックなナンバー。激しいリフとビートで突っ走るアグレッシヴなチューンの9、ダークでミステリアスなイントロからの10はドラマティックな展開を見せるスケール感の大きいナンバー。ボーナストラックの11はハロウィンの懐かしいカバーが収録されています。

 メンバーチェンジとかレーベル倒産とか様々な困難を乗り越えて生み出されたアルバムは、完全に時流を無視してのけるメロディックスピードメタルが充満しており、まったく変わらぬ信念が貫き通されています。今までに比べると更にギターサウンドの感触が硬質になっており、全体的なムードも硬派に仕上げられて北欧風味が後退しているのは評価が分かれるところ。環境の困難さに影響されたかどうかはわかりませんが、良くも悪くも無い無難な出来の一枚でした。まあ、“TWILIGHT OF THE GODS”が一番印象に残るのはナイショだ(´∀`)
同系統アルバム
ARCHETYPE/SECRET SPHERE
NIGHT IS YOUNG/ROYAL JESTER
7 SINNERS/HELLOWEEN

DOOMBOUND/BATTLELORE

ドゥームバウンド/バトルロー

RUBICON MUSIC RBNCD-1046 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004BBQ2IS  フィンランド出身のエピックメタルバンドの6枚目のアルバムです。

 哀愁帯びたドラマティックなイントロに導かれるアルバムは、ダミ声ヴォーカルと女性ヴォーカルが叙情メロディを歌い上げるミッドテンポの1からリリカルなムード満点で進んでいきます。勇壮さが高まる2は重厚なエピックメタルナンバー、ムードを受け継ぎつつ加速していく緩急の激しいダイナミックな3、メランコリックなイントロからエモーショナルに進むミッドテンポの4、叙情感たっぷりのメロディを力強く歌い上げていくパワーメタリックなミッドテンポの5、スピード感のあるイントロから叙情性と力感を高めて進む緩急の強い6、リリカルなメロディを女性ヴォーカルが紡ぎ、パワフルなダミ声ヴォーカルが引き継ぐコントラストの強まる7は後半で加速していきます。叙情メロディで勇壮に進んでいくミッドテンポの8、壮大なムードで進むシンフォニックな劇的ナンバーの9、ダークに哀愁メロディを紡ぐヘヴィナンバーの大作の10、荘厳なインストナンバーで幕を閉じます。

 ファンタジックで勇壮なジャケットのイメージよりは、哀愁の方が上回る幻想的なサウンドが展開されていくアルバムは、男女ヴォーカルが交錯するミッドテンポ中心の楽曲で構成されており、楽曲単位の起伏と言うよりはアルバム単位での流れで聴かせる感があります。悠々としたムードが強く、感情の高まりや盛り上がる展開も少ないので、全体としては平坦というか静かな印象を与えるあたりが気になります。バンド名とは異なりバトルってほとんどないよね、みたいな一枚でした。
同系統アルバム
STAND UP AND FIGHT/TURISAS
THE ORIGINS/KERION
SLEEP PARALYSES/DOTMA

EPSILON/BLOOD STAIN CHILD

ε(イプシロン)/ブラッド・ステイン・チャイルド

PONY CANYON PCCA-03432 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004VKYDS0  大阪発、トランスメタルの5枚目のアルバムです。ギリシャ人女性ヴォーカリストと元アースクエイクのドラマーを迎え、プロデューサーにディサルモニア・ムンディのエットレ・リゴッティを起用しています。

 激しいビートで幕を開けるアルバムは、女性クリーンヴォイスと男性デスヴォイスが交錯しつつフューチャリスティックに進む1からメロディとアグレッションが混沌とするサウンドが展開されていきます。トランス風味のサウンドを加えながら叙情メロディックデスメタル的な展開を見せるドラマティックな2、トランス風ビートが炸裂する女性ヴォーカルが主導するエモーショナルでキャッチーなナンバーの3、ヘヴィでエモーショナルなムードが高まる起伏の激しい4、扇情的なメロディがスピード感を高めつつ進む5、エレクトロポップ風のスピードナンバーの6、ミステリアスなイントロからの7は激しさを増して突き進む男女ヴォーカルが交錯するメロデスチューン。叙情メロディが炸裂する起伏の激しいダイナミックなナンバーの8、トランスナンバーの9、エモーショナルなミッドテンポの10、唸りを上げるギターリフで突っ走るメロデスナンバーの11、センチメンタルでリリカルな12、ボーナストラックの13は「アイドレイター」からの楽曲のリミックスバージョンが収録されています。

 イマージナリー・フライング・マシーンズのアルバムで発表されたカバー曲のムードをさらに加速させていくサウンドが展開されていくアルバムは、デジタル感とヘヴィメタルのソリッド感が融合するサイバーな楽曲を揃えており、ゴシック的なメロディが全体を情感豊かなものにしています。音楽性をアルバムを重ねるごとに変化させていく実験的なバンドですが、女性ヴォーカルを迎えて更に大胆にサウンドを先鋭化させている一枚でした。
同系統アルバム
UNSEEN EMPIRE/SCAR SYMMETRY
DIGITAL VEIL/THE HUMAN ABSTRACT
PRINCESS GHIBLI/IMAGINARY FLYING MACHINES

THE BLACKEND HALO/CIRCLE OF SILENCE

ザ・ブラッケンド・ヘロー/サークル・オブ・サイレンス

RUBICON MUSIC RBNCD-1050a [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004ZO4K58  ドイツ出身のバンドの三枚目のアルバムです。

 ダミ声ヴォーカルとソリッドなギターリフが作り出すパワーメタリックなサウンドは、パワフルなギターリフで突っ走るダイナミックなアップテンポのナンバーの1から正統派メタルが展開されていきます。タイトなリフで硬質なメロディを歌い上げていくタイトな2、ツッコミ気味のソリッドなリフで押し込むクランチーでキャッチーなアップテンポの3、哀愁メロディが炸裂するミッドテンポの4、シリアスなムードでソリッドなリフが突き進んでいくパワーメタリックな5、ダークなリフとキャッチーさを湛える哀愁メロディが交錯する躍動感のあるメタリックな6、クランチーなギターリフで押し込んでいくソリッドなミッドテンポの7、ダイナミックなリフワークで進むパワフルなパートとメランコリックなパートのコントラストの強いナンバーの8、パワフルなギターリフでザクザク進むキャッチーさも伴ったアップテンポのヘヴィな9、叙情リフで突っ走るアップテンポの10、メランコリックなイントロからの11はソリッドなリフが積み重ねられていくエッジの効いた展開の大きい哀愁ナンバー。ボーナストラックの12はリリカルなイントロからミステリアスなムードが加減速しつつ進むダークなナンバー、13はうねるリフがテンションを上げつつ進んでいくダイナミックなナンバーが収録されています。

 ダミ声でゴリゴリ感のあるサウンドに叙情感と哀愁を合わせ持ったメロディを乗せる楽曲は、キャッチーな感覚と硬質な感覚が相克しつつ進むギリギリのバランスを取りながら展開していきます。後半になるとコーラスパートやメロディ回しあたりに若干メタルコアの影響を感じさせたりもしますが、基本的には正統派ヘヴィメタルの範疇に収まるガッツのあるサウンドが繰り広げられていきます。派手さの無い腰の据わったヘヴィメタルを実直に作り出していく一枚でした。
同系統アルバム
THE PRICE FOR THE HUMAN SINS/PASTORE
DECLARATION OF WAR/MEAN STREAK
UNHOLY CROSS/BLOODBOUND

INFECTED/HAMMERFALL

インフェクテッド/ハンマーフォール

WARNER MUSIC WPCR-14136 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004YMYLL4  スウェーデン出身のバンドの8枚目のアルバムです。

 パニック映画的なSEで幕を開けるアルバムは、ヘヴィでパワフルなリフとドラムで分厚く迫る圧力の高いパートから一気に加速する展開の大きいナンバーの1で聴き手を圧倒していくと、フックのあるビートが激しいスピードナンバーの2でテンションを高め、ヘヴィリフとタイトなビートがキャッチーなコーラスを導くダイナミックな3、シリアスなムードでドライヴするアップテンポの4、メランコリックな劇的バラードナンバーの5、馬力のあるギターリフで押し込んでいくパワーメタリックでドラマティックなアップテンポの6、ダイナミックなイントロからヘヴィに迫るソリッドな7、劇的なイントロから叙情メロディを紡ぐミッドテンポの8はリズムチェンジしてからのパートで印象を変えていきます。ミステリアスなムードを高めながらエモーショナルに加速するミッドテンポの9、ライヴの歓声から始まるドライヴ感とライヴ感高まるアップテンポの10、キーボードのイントロからドラマティックに展開するスケール感の大きいエピックナンバーの11、ボーナストラックには5枚目のアルバムからの楽曲のリミックス、5の別バージョン、10のインストバージョンの三曲が収録されています。

 すこしずつ新たな要素を加えながら、自分達のサウンドへと昇華させて行く手法はマンネリズムからの脱却とバンドイメージの保持という二つの命題を果たしたものになっており、閉塞感が高まりつつあった最近の作品の中では新鮮さを生み出すことに成功しています。キャッチーさとヘヴィメタルらしさを両立させるすっかりベテランの力量を窺わせる一枚でした。
同系統アルバム
LORD OF THE WASTELAND/STEELWING
CRISIS IN UTOPIA/HOLY GRAIL
DECLARATION OF WAR/MEAN STREAK

SOUNDS OF A PLAYGROUND FADING/IN FLAMES

サウンズ・オブ・ア・プレイグラウンド・フェイディング/イン・フレイムス

YOSHIMOTO R&C YRCG-90061 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004WGYAHC  スウェーデン出身のバンドの10枚目のアルバムです。ギターのイエスパー・ストロムブラードが脱退し、ニコラス・エンゲリンが加入して製作されています。

 ダーティでエモーショナルなハスキーヴォイスが切々と哀愁メロディを歌い上げるダイナミックでリリカルな1から、メランコリックなサウンドを作り出していくアルバムは、ゴシック的な感覚も持ったミッドテンポのエモーショナルな2、センチメンタルなイントロからタイトなリフで繋いでいく3は衝動性が発露するミッドテンポの叙情ナンバー、アグレッシヴなリフで迫るスピード感を増した緩急の激しい突進ナンバーの4、メランコリックに加速するアップテンポの激情ナンバーの5、ニューウェーブ的なムードをヘヴィリフが彩る6、ムーディなギターのイントロからの7はウィスパーヴォイスが哀愁を高めるメランコリックなナンバー、フラットなメロディを哀愁高めつつ進むアップテンポのナンバーの8、叙情性高まるエモーショナルなミッドテンポの9、激情を募らせながら突っ走るアグレッシヴな突進ナンバーの10、静かなムードのメランコリックな11を経て、ドラマティックに情念を高めていくダイナミックな12、リリカルなムードとエモーショナルなムードが交錯するメランコリックな13、ボーナストラックの14は2のインストバージョンが収録されています。

 メロディックデスメタルから普遍性の高いメランコリックなロックへと移り変わっているバンドですが、創始者の一人が脱退してもその方向性は変わらず、情動に訴えかけるメロディとサウンドが展開されていきます。主に攻撃性とか激烈さとか緊迫感溢れる展開とか言った要素は既にそれほど求むべくもないので、血の気の多いリスナーには物足りない可能性が高いものの、彼らの特徴的なダークなサウンドが充満している一枚でした。
同系統アルバム
KILLSWITCH ENGAGE/KILLSWITCH ENGAGE
UNSEEN/THE HAUNTED
THE OBSIDIAN CONSPIRACY/NEVERMORE

ILLUD DIVINUM INSANUS/MORBID ANGEL

狂える神々/モービッド・エンジェル

VICTOR VICP-64958 [☆☆] >>>>>BUY...?

B004THX3J0  フロリダ産デスメタルバンドの8枚目のアルバムです。デイヴィッド・ヴィンセントが復帰し、ギタリストに元ザイクロンのソア・アンダース・ミレンが加入、背骨のトラブルで療養中のドラマーに変わりティム・ヤングがプレイしています。

 不安感を高める仰々しいイントロダクションの1で始まるアルバムは、インダストリアル的なビートにデスヴォイスが乗るこれまでに無かった作風の2で聴き手を驚かせていきます。ブラストビートが炸裂するいつも通りの3、スピードアップした4、雄叫びをあげつつ進むヘヴィロックナンバーの5、スローテンポから加速するヘヴィナンバーの6、タイトなヘヴィナンバーの7、いかがわしい邪悪さがこだまする8、9、マリリンマンソンキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!な10、イーヴルなマーチ風でインダストリアルな11。

 なにこのダンスリミックス…(´Д`;)みたいな楽曲が加わったアルバムは、ディヴィッドの参加するジェニトーチャーズとモービッド・エンジェルをかき混ぜて何だか色々失敗してしまったサウンドが展開されており、どっちつかずの方向性が両方の楽曲に悪影響を与えるという、違うことは別のバンドでやれ、みたいな状況。何で人力でこんなドラム叩いてんの,、'` ( ´∀`) ,、'`デイヴィッドの方向性は分からないでもないものの、あの邪悪さ満点だったトレイ・アザトースがどういう心境でこんなサウンドを許容しようとしたのか、っつーかどんなアニメを観た影響なんだよ…。何はともあれ、誰も得をしないし、もう帝王の称号は返上でいいんじゃないかなの一枚でした。
同系統アルバム
THOSE WHOM THE GODS DETEST/NILE
TO HELL WITH GOD/DEICIDE
THE_ASCENSION/OTEP

FROM CHAOS TO ETERNITY/RHAPSODY OF FIRE

フロム・ケイオス・トゥ・エターニティー/ラプソディー・オブ・ファイア

KING RECORDS KICP-1561 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004XES2EA  イタリア出身のバンドの8枚目のアルバムです。

 いつも通りのドラマティックで緊張感高まるイントロとクリストファー・リーの語りで始まるアルバムは、叙情性の強いメロディと逞しいハイトーンヴォーカルがオペラティックに歌い上げる劇的シンフォニックメタルナンバーの2でヒロイックファンタジー世界に突入していきます。スリリングな展開を見せるエピックでドラマティックな3、オリエンタルなメロディと起伏の激しい展開で盛り上げる4、叙事詩的な荘厳さを持った壮大なナンバーの5、攻撃性高まる緩急激しい6はダーティヴォイスも駆使して緊迫感を作り出していきます。哀愁帯びるメロディで劇的に迫る起伏の大きい7、重厚なコーラスに導かれる8はスリリングなパートとダークなパートが交錯しつつ突き進むファストチューン。再びナレーションに導かれる9は壮大な組曲形式の大作で、もうこの一曲だけでいいんじゃないかな。アイアン・メイデンのカバーの10、ボーナストラックの11にはドラマティックなインストチューンが収録されています。

 サウンドトラック的な曲順と言い、既にビジュアルが出来上がっているサウンドを展開していく正にラプソディー(オブ・ファイア)ワールド。まったくブレないこの姿勢を貫き通した完結篇として充分満足できる一枚でした。
同系統アルバム
STAND UP AND FIGHT/TURISAS
THE ALLIANCE OF THE KINGS -
THE BLACK CRYSTAL SWORD SAGA PT.1/ANCIENT BARDS

SYMPHONY OF WAR/MAGIC KINGDOM

NO SACRIFICE/SONIC ALTAR

ノー・サクリファイス/ソニック・アルター

SPIRITUAL BEAST IUCP-16108 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B004VN7V04  ニュージーランド出身のバンドのデビューアルバムです。

 ミステリアスで深遠なイントロダクションで幕を開けるアルバムは、メイデン風のオーセンティックなリフワークにマイルドなハイトーンヴォーカルが湿ったメロディを唄うエモーショナルで展開の大きい1から正統派メタルを作り出していきます。さらにメイデン色が増したアップテンポのキャッチーな2、重厚なリズムで進むエモーショナルな哀愁ナンバーの3、神秘的なイントロからの4はエスニックなメロディを絡めつつ躍動感も強く進むアップテンポのナンバー。爽やかなメロディをしっとりと聴かせるバラードの5、クランチーなリフがダークに迫る6は緊迫感高まる劇的ヘヴィナンバー、ドライヴ感のあるギターリフでスリリングに突っ走るフックのあるスピードナンバーの7、ヘヴィリフがタイトなビートに導かれるソリッドでメランコリックな8、リリカルなイントロからエモーショナルなメロディを響かせるドラマティックな大作ナンバーの9、哀愁帯びたイントロがセンチメンタルなメロディを導く情念高まるミッドテンポの10、湿ったキャッチーなメロディを引っさげるアップテンポのナンバーの11、メランコリックな叙情エピックナンバーの12、ボーナストラックには、荒々しく突っ走るスリリングなスピードナンバーの13、14は荘厳なイントロからのミッドテンポの哀愁メタルナンバーが収録されています。

 ツインリードギターにハイトーンヴォーカルと言う絵に描いたような正統派メタルが展開されていくアルバムは、先達の影響が様々なところに垣間見える楽曲が揃えられており、懐かしさと若さを兼ね備えたサウンドに仕上げられています。構成力のある長尺の展開を見せる作曲能力は新人らしからぬ並々ならぬものを見せており、正統派メタルへの強い意気込みを感じさせます。ニュージーランドと言うメタル過疎地から登場の期待の一枚でした。
同系統アルバム
LORD OF THE WASTELAND/STEELWING
CRISIS IN UTOPIA/HOLY GRAIL
DECLARATION OF WAR/MEAN STREAK

ICONOCLAST/SYMPHONY X

アイコノクラスト/シンフォニー・エックス

VICTOR VICP-64959/60 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B0052QKEOY  アメリカ産テクニカルメタルの8枚目のアルバムです。マトリックス的世界観を持ったコンセプトアルバムになっています。

 緊迫感高まるテクニカルなイントロで幕を開けるアルバムは、荒々しいヴォーカルがタイトなメロディを歌い上げ、ソリッドなギターリフが多彩な展開を見せていくダイナミックでドラマティックな大作の1から、圧倒的な存在感を放つヘヴィネスとテクニカルなプレイが支配する楽曲が揃えられていきます。タイトなリフを刻むダークでダイナミックなミッドテンポの2、不穏なムード漂う3はヘヴィリフでアグレッシヴに迫るタイトなナンバー、ダイナミックなイントロから畳み掛けるように展開するパワーメタリックな4、攻撃的に迫るスリリングなスピードナンバーの5、ソリッドなリフで展開する起伏の激しいヘヴィナンバーの6、センチメンタルなメロディで迫るドラマティックでエモーショナルな7で一枚目を終えます。
 アグレッシヴでクランチーなギターリフで突進する1から緊張感高まるサウンドが展開されていく二枚目は、ダークでミステリアスなイントロからテクニカルなプレイを見せる2、唸りを上げるギターリフで突進するアグレッシヴなファストチューンの3、ダークなムードが高まるヘヴィな4、シャープなリフで突き進む5はスリリングな展開のドラマティックなナンバー。

 コンセプトに合わせたサウンド作りは、ネオクラシカルなプレイを抑える方向で進んでおり、エッジの効いた冷気伴うマシーナリーなムードも漂うスリリングな展開の楽曲で構成されており、攻撃性が前面に押し出されたアルバムに仕上げています。二枚組でコンセプトアルバムとは言ったものの、曲順などにはそれほど意味合いは無いので、どこから聴いてもそれほど問題は無さそうですが、個々の楽曲の密度がやたらと高いので聴きとおすには体力が必要。4年の制作期間をひしひしと感じさせる、凄まじい情熱と労力を作品に結実させた一枚でした。
同系統アルバム
THE PRICE FOR THE HUMAN SINS/PASTORE
MUTINY WITHIN/MUTINY WITHIN
UNSEEN EMPIRE/SCAR SYMMETRY





July

THE BLACK DAHLIA MURDER | MAYAN | MERGING FLARE | SCHONBERG | SEPULTURA | STORMWARRIOR | UNEARTH |

RITUAL/THE BLACK DAHLIA MURDER

リチュアル/ザ・ブラック・ダリア・マーダー

HOWLING BULL HWCY-1294 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 デトロイト産メロディックデスメタルバンドの5枚目のアルバムです。

 不穏なイントロで幕を開けるアルバムは、唸りを上げるブラストビートと獣性高まるデスヴォイスが一体となって突進するアグレッシヴな1から叙情メロディと邪悪なサウンドを露にしており、さらにテンションを上げて突っ走る緩急の激しい高速ナンバーの2、不安感と圧迫感を高めるビートが迫るダークな3ではフラッシーなギターソロがムードを一変させます。激しさを増して突進していく起伏と展開の激しいドラマティックな4、メロディアスなリフで加速していくファストチューンの5、静かなイントロから哀愁帯びたムードで緩急激しくアグレッシヴに迫る6、狂気を増して突っ走るブルータルな7、不穏な空気を高めるヘヴィでイーヴルな8ではマイケル・アモットばりのギターソロを披露しています。初期北欧メロデス風味の冷気と叙情感をまとったスピードナンバーの9、クランチーなリフでアグレッシヴに突っ走る10、邪悪にヘヴィリフを繰り出していくソリッドな11、叙情性を持ったリフで疾走していく劇的ナンバーの12が収録されています。

 アメリカに渡った北欧メロディックデスメタルがアメリカの暗黒に飲み込まれたようなサウンドが展開されるアルバムは、すっかりこのスタイルが板に付いた完成度の高いものになっています。北欧メロデスとのスタイルの近似性はさておき、空気感がオカルティックでマニアックなムードに包まれているあたりはアメリカンなマニアのこだわりを感じさせます。すっかり色んなところが振り切れた、伝統的ヘヴィメタルの暗黒面を体現する一枚でした。
同系統アルバム
FORBIDDEN ANGER/DIARY ABOUT MY NIGHTMARE
WHAT SILENCE HIDES/DREAMSHADE
KHAOS LEGIONS/ARCH ENEMY

QUARTERPAST/MAYAN [IMPORT]

クォーターパスト/マイアン

NUCLEAR BLAST 2693-2 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

 オランダ出身のエピカのマーク・ヤンセンと元アフター・フォーエヴァーのキーボーディスト、ジャック・デリセン、さらにギタリストのサンダー・ホマンズが手を組んだプロジェクトのファーストアルバムです。

 デスヴォイスの咆哮に導かれる妖しげなムードが高まるシンフォニックメタルが繰り広げられていく1から、多彩な要素を詰め込んだ世界観を提示していくアルバムは、エスニックなムードを孕むミッドテンポ中心の2でもオペラティックな女性ヴォーカルをフィーチュアした暗黒サウンドがプログレッシヴに展開されていきます。荘厳なコーラス隊に導かれる3から、男性パワーヴォーカルをフィーチュアした緊迫感高まる4へと。怒涛の突進力を見せる緩急の激しいシンフォニックなファストチューンの5、優しげなイントロから荘厳な女性ソプラノに導かれる6、パワーメタリックに進行する7はノーマルヴォーカルが主導する正統派劇的ナンバー、壮大なイントロからダイナミックな展開を見せる8、ダークなムードを高めつつプログレッシヴに進む不穏な9、クラシカルなイントロからアグレッシヴに展開していくスピード感の強まる10、ミステリアスなフレーズのインターミッションから、ボーナストラックの12はコーラス隊に導かれるシンフォニックでダイナミックで複雑な展開を見せていきます。

 その手のスタイルでは定評のあるアーティストが集まったサウンドは、プログレッシヴでシンフォニックなオペラ的な手法を用いたもので、劇的演出も高まった大仰なものになっています。元々の所属バンドよりはデスメタル的なアグレッションが強まっていますが、予想と期待の範囲内に収まっており、それほどの驚きはありません。高品質で安定感のある仕上がりですが、このバンドならではと言った要素は少ない一枚でした。
同系統アルバム
ABRAHADABRA/DIMMU BORGIR
DARKLY,DARKLY,VENUS AVERSA/CRADLE OF FILTH
THE NEVER ENDING WAY OF ORWARRIOR/ORPHAND LAND

REVERENCE/MERGING FLARE

レヴェランス/マージング・フレア

MARQUEE MICP-11004 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B0051RHREY  アンベリアン・ドーンのギタリストが中心になったフィンランド出身のバンドのデビューアルバムです。

 アグレッシヴでフラッシーなイントロで一気にテンションを上げていくメロディアスなスピードナンバーの1から、ハスキーなハイトーンヴォーカルが歌い上げるアルバムは、カイ・ハンセンがゲスト参加することで分かるとおりの所謂ジャーマンメタルスタイルのサウンドが満載になっています。スリリングなギターリフで突っ走る硬質なアップテンポの2では漢臭いコーラスで盛り上げ、ミッドテンポの3は叙情的なメロディが情感的に迫るドラマティックな一曲、カイ・ハンセンがギターソロを弾いたミッドテンポの4はクィーン的なパートチェンジを見せます。コーラスワークがドラマティックなのスピードナンバーの5、またカイ・ハンセンが唄ってしまった6はハイテンションなファストチューン、湿り気帯びたメロディで進むミッドテンポ〜アップテンポのエモーショナルな7、スリリングなギターリフで進む不穏なナンバーの8、メランコリックなムードのミッドテンポの劇的ナンバーの9、カイ・ハンセンがギターソロを披露する緊張感高まるアップテンポの10は開放的なコーラスが明朗なムードを生み出します。11はライオットのカバー、ボーナストラックの12はデモ楽曲のアコースティックバージョンが収録されています。

 すごくガンマ・レイです…と言うサウンドが炸裂するアルバムは、ガンマ・レイのトリビュートバンドに参加するメンバーが在籍するだけあって、ガンマ・レイやアイアン・セイヴィアーに入ってても分からんだろ、って楽曲も見受けられるツインリードが満載の明朗なスタイル。クィーン的なコーラスワークや展開を見せる曲があるあたりもガンマ・レイに通じるところです。バンドとしては新人でもアーティストの経歴としてはかなりのキャリアを持った人材が揃っていることで、高いクオリティを維持している楽曲が揃えられています。このスタイルのサウンドへの愛がヒシヒシと伝わってくる熱意のあふれる一枚でした。
同系統アルバム
TO THE METAL !/GAMMA RAY
HEATHEN WARRIOR/STORMWARRIOR
BLIND RIDE/HIBRIA

SPLENDID ROSA BIRTH/SCHONBERG

SPLENDID ROSA BIRTH 〜華麗なるロサ、誕生〜/シェーンベルク

YggrDrasill Records YDRC-00018 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B0052HSCLA  オーストリアの作曲家の名をバンド名にとった国産シンフォニックメタルのデビューアルバムです。

 優雅で緊張感高まるイントロダクションで幕を開けるアルバムは、オペラティックな女性ヴォーカルが歌い上げるスピード感高まる起伏の激しいネオクラシカルなスピードナンバーの2でファンタジックで劇的な世界観を提示していくと、ヘヴィリフで進むダークな色彩が強まるスリリングで物語的な3、哀愁のギターが響くインストの4に導かれる5はメロディラインを受け継いだエモーショナルなナンバー。湿り気帯びた開放的なメロディで進むアップテンポの6、優雅な宮廷音楽風の7を経て、華麗なギターが炸裂するスピードナンバーの8へと。語りで構成される9から、耽美的なムードのメランコリックな10へ。小品のインストナンバーの11、ドラマティックなイントロから華麗に疾走していく12は扇情的なメロディが炸裂する劇的スピードナンバー、アルバムの最後を飾る13はロマンティックで繊細な静かなヴォーカルパートから荘厳なエンディングを迎えるナンバーが収録されています。

 ファルセットとかヴィブラートとかが時々、水樹奈々っぽく聞こえたりしたりする女性ヴォーカルが幻想的な世界観を唄っていくアルバムは、物語性の強い楽曲をネオクラシカルなフレージングとシンフォニックなアレンジで彩ったメロディックメタルに仕上がっています。ほぼ日本語で唄われる楽曲はそのキャッチーさを伴ったメロディの所以で歌謡曲っぽく聞こえる場面もあり、多少好みが分かれそうなところではありますが、全体的にはヘヴィメタルの体裁を保ったスタイルが貫かれています。さすがにプロダクションはお世辞にも良いとは言えませんし、ヴィジュアル系に近いロマンティックに繰り広げられる世界が聴き手を選びそうな雰囲気ではあるものの、日本的なメロディラインと欧州風のムードが組み合わさった独特のスタイルが面白い一枚でした。
同系統アルバム
GOLDEN MOON/LIV MOON
OF WARS IN OSYRHIA/FAIRYLAND
金剛九尾/陰陽座

KAIROS/SEPULTURA [IMPORT]

カイロス/セパルトゥラ

NUCLEAR BLAST 2691-2 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

 ブラジル出身のバンドの12枚目のアルバムです。コンセプトアルバムが続いていましたが、今回は緩いテーマに留まっている模様。

 不穏な空気を演出するギターリフが鳴り響く中、威圧感の強いヘヴィネスが充満していく1から、エクストリームなサウンドが展開されていくアルバムは、怪しげなムードが全開のブルータルなヘヴィナンバーの2、さらにソリッドな感触と突進力が高まるアップテンポの3、インターミッションの4を経て、タイトなビートが響くアグレッシヴなヘヴィナンバーの5へ。ミステリアスなムードのタイトな6、スラッシーなイントロからブルータルに進む緩急の激しい7、インターミッションの8を経て、ブルータルな突進パートとグルーヴィなパートのコントラストが激しい9、怪しいメロディで迫るアップテンポの10、不穏な空気が高まるタイトなナンバーの11、インターミッションの12を経て、爆走突進ナンバーの13、インダストリアルなビートとトライバルなムードを絡めた14、アグレッシヴでアクティヴな15でアルバムの幕を閉じます。

 コンセプトの縛りが無くなった分、自由度が増したコンパクトな楽曲が揃えられたアルバムは、攻撃性と重量感に満ちたサウンドが展開されていきます。中期くらいの状態には戻っていますが、突進力とか加速感が足りない感じなので、勢いで突っ切るという感じにはならない辺りがもどかしいところ。エクストリームサウンドの圧力に押しつぶされる一枚でした。
同系統アルバム
THOSE WHOM THE GODS DETEST/NILE
OMEN/SOULFLY
BLACK RIVERS FLOW/LAZARUS A.D.

HEATHEN WARRIOR/STORMWARRIOR

ヒーゼン・ウォリアー/ストームウォリアー

SPIRITUAL BEAST IUCP-16109 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B0050KDFU2  ドイツ産パワーメタルバンドの4枚目のアルバムです。ドラマーが交替しています。

 哀愁帯びたイントロで始まるアルバムは、超カイ・ハンセン声のヴォーカルが炸裂するツインリードのメロディアスなパワフルナンバーの2から漢臭いサウンドが充満しています。叙情感漂うメロディがパワフルに迫るミッドテンポの3、躍動するギターリフで突っ走るアップテンポでギャロップなメイデン風の4、キレのあるリフで突っ走る勢いのあるスピードチューンの5、タイトなリフで進むアップテンポのキャッチーな6、湿ったメロディが押し寄せるエモーショナルでキャッチーなミッドテンポの7、再びメイデン風の起伏の激しいエピックなナンバーの8、クランチーなリフが炸裂するハイテンションで突っ走るスピードナンバーの9、重厚なムードで迫るエピックナンバーの10、メランコリックなイントロからの11は壮大な展開のナンバー。ボーナストラックにはシリアスなメタルチューンの12、ライヴの13が収録されています。

 すごくガンマ・レイです…みたいなサウンドが炸裂するアルバムは、アイアン・セイヴィアーなどのスタイルも取り込んだ文字通りのジャーマンメタルを作り出しています。サウンド的には一週回って新しくなるところまでは行っていませんが、インストパートの充実度と熱さと暑さは一級品(´∀`)微妙に古さを感じさせるところが、懐メロを聴いている感触を与えたり、思ったほどテンションが上がりきらない楽曲が並ぶあたりは、ジャケットのクオリティと比例している感じです。熱意と努力は買えるものの、もう一声って一枚でした。
同系統アルバム
TO THE METAL !/GAMMA RAY
AFTERMATH/AXENSTAR
BLIND RIDE/HIBRIA

DARKNESS IN THE LIGHT/UNEARTH

ダークネス・イン・ザ・ライト/アンアース

HOWLING BULL HWCY-1296 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 アメリカ産メタルコアバンドの5枚目のアルバムです。ドラマーが脱退しています。レコーディングにはキルスウィッチ・エンゲイジのジャスティン・フォリーを迎えています。

 叙情性高まるイントロから繰り出されるメロディと強靭さを合わせ持ったギターリフが繰り出されていく1から感情とリズムの起伏の激しいタイトで展開の大きいナンバーで始まるアルバムは、哀愁帯びたイントロからスリリングな展開を見せていく2は緩急も激しく感情をぶつけていきます。叙情性を保つリフで突進していく起伏も激しい3では開放感のあるコーラスパートとギターソロが印象的に炸裂し、ブレイクダウン気味のギターリフと疾走パートからヘヴィパートまでいたるコントラストも強力な劇的ナンバーの4、ダークなイントロから一気に突っ走る疾走メロディアスナンバーの5はあまりにもフラッシーなギターソロが強力。キラキラするイントロからの6は疾走とブレイクダウンを繰り返しながら展開する哀愁ナンバー、メランコリックなムードが高まるイントロからの7はその空気を受け継ぐダイナミックでエモーショナルなナンバー、哀愁帯びたイントロから躍動感あふれるリフで突き進む突進力のある8、正統派メタル過ぎるイントロからブレイクダウンと突進を重ねていくダイナミックでドラマティックな9、フックのあるメロディを持ったリフで突っ切るブレイクダウンしてからのエモーショナルな展開が盛り上がる10、ヘヴィなイントロからの11はテクニカルなギターリフが緩急も激しく突っ走る劇的ナンバー。

 文字通りメタルコアを追求して完成に近づけたスタイルを見せ付けるアルバムは、様々な方向性を模索する他のバンドを尻目に、徹頭徹尾純化されたサウンドを叩きつけていきます。メロディも満載で情感あふれるギターソロも炸裂するメタルコアのスタンダードとも言える仕上がりは、このスタイルを元祖を自負するだけのクオリティを提示します。メタルコアブームも終焉を迎えつつある中、実力のあるバンドだけが生き残る状況でも確かに存在感を見せ付ける完成度の高い一枚です。
同系統アルバム
THE PANIC BROADCAST/SOILWORK
KILLSWITCH ENGAGE/KILLSWITCH ENGAGE
CIRCLE REGENERATED/NORTHER





August

ALESTORM | BLACK TIDE | EDGUY | SABER TIGER | TRIVIUM | VADER |

BACK THROUGH TIME/ALESTORM

バック・スルー・タイム/エイルストーム

RUBICON MUSIC RBNCD-1057 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 スコットランド産海賊バンドの三枚目のアルバムです。

 寸劇風イントロからフォーキーなメロディとホーンセクションの勇壮な響きがテンションを上げていくスラッシーなスピードナンバーの1から激しくパイレーツメタルが展開していくアルバムは、フォーキーなメロディで突き進む活きの良いアップテンポの2、哀愁帯びたメロディが躍動的に紡がれていくやけっぱちな勢いが心地良いミッドテンポの3、叙情性の強まるメロディとタフなギターリフで突っ走る、掛け声も勇ましいファストチューンの4、パンキッシュなコーラスを持ったスラッシーなパートとファニーなパートのコントラストも強い緩急の激しい5、哀愁メロディで迫るエモーショナルなスローナンバーの6、アッパーなメロディで酒を飲ませろと騒ぐ7、8は哀愁メロディとソリッドなリフで進むミッドテンポのナンバー、9はどこのナパーム・デスだって言うサファー。朗々としたメロディで進む明朗なミッドテンポの10、勇壮なホーンに導かれる11は展開の激しいドラマティックな大作。ボーナストラックの二曲は酒場でヒャッホーなファニーなナンバーが収録されています。

 いつも通りのハイテンションなパイレーツメタルが展開される、安心な一枚でした。
同系統アルバム
UKON WACKA/KORPIKLAANI
BACK TO THE NOOSE/SWASHBUCKLE
COAT OF ARMS/SABATON

POST MORTEM/BLACK TIDE

ポスト・モーテム/ブラック・タイド

UNIVERSAL MUSIC UICO-1210 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 マイアミ産新世代メタルバンドのセカンドアルバムです。

 タイトなビートとソリッドなギターリフでタフなヴォーカルが力強くダークでエモーショナルなメロディを歌い上げていく緩急の強いストロングスタイルの1で始まるアルバムは、ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインのヴォーカルも参加し、テクニカルなギターソロを組み込みながら進んでいき、2は躍動的なリフで突き進む情感を露にするメランコリックなナンバー、哀愁メロディで進むヘヴィなエモーショナルナンバーの3、ダイナミックなリフで突き進む勢いのあるアップテンポのダークな4、シャッフルするギターとヘヴィリフで躍動するアップテンポのロックナンバーの5、メランコリックなミッドテンポのナンバーの6、トリッキーなリフで突き進むドライヴ感の強いメロウでアッパーな7はギターソロも雰囲気を後押しするナンバー。スピード感あふれるリフで突っ走るアップテンポの起伏の激しい8、アグレッシヴなイントロから勢いつけて突っ走るファストチューンの9、さわやかで優しいメロディの壮大な10、ボーナストラックの11はキャッチーで爽快なロックナンバー、12は1のバンドオンリーのバージョンが収録されています。

 ドライヴ感の強いハードロックサウンドを追及するかと思われたバンドでしたが、ここで聴かれるのはメタルコアの影響を受けたダークでソリッドなサウンドで、パフォーマンスはかなりの成長っぷりを見せ付けますが、楽曲の方向性の変化は色々と物議を呼びそう、っていうかヴォーカルが声変わりしている,、'` ( ´∀`) ,、'` メンバーも成長してしまってラウド・パークでやってきた頃とはまったく違うバンドになっていますが、フラッシーなギターは残っていますしクオリティは上がっている、メタルコアとLAメタルが妙な感じで混ざり合ったヘヴィメタルになっている一枚でした。まあ、次のアルバムではファーストアルバムの面影は影も形も無くなってそうだな…(´・ω・`)
同系統アルバム
NIGHTMARE/AVENGED SEVENFOLD
MUTINY WITHIN/MUTINY WITHIN
RETRIBUTION/SHADOWS FALL

AGE OF THE JOKER/EDGUY

エイジ・オヴ・ザ・ジョーカー(初回限定盤)/エドガイ

MARQUEE MICP-90052 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 ジャーマンメタルの新旗手の9枚目のアルバムです。

 ハモンドオルガンの響きに導かれる大作1から多彩な展開を見せるドラマティックなメタルサウンドを繰り出していくアルバムは、スリリングなギターリフで突っ走りメランコリックなコーラスへと進むドライヴ感の強いロックチューンの2、哀愁メロディで迫るミッドテンポのエモーショナルな3、ブルージーなイントロからの4はラウドなリフで進む壮大なロックナンバーでカントリー風のパートも飛び出します。キーボードとギターが一体になって進むアップテンポのダイナミックな5、叙情メロディで迫るメランコリックでタイトなミッドテンポの6、ダークでヘヴィなリフがメロウなコーラスを導く7、ハモンドが躍動しキャッチーなコーラスが飛翔するスピードチューンの8、センチメンタルなメロディが迫る情感豊かな9、ミステリアスなイントロからダークに展開していくヘヴィな劇的大作ナンバーの10、情感豊かな優しいナンバーの11。
 初回限定盤の二枚目は、湿ったメロディでソリッドに迫るシリアスなミッドテンポの1、70年代的なムードを持ったドライヴするメタルチューンの2、アリーナロック的なキャッチーなナンバーの3はスレイドのカバー、4はロマンティックでエモーショナルなバラード、5,6は一枚目収録曲のシングルカットバージョンが収められています。

 ハモンドオルガンの導入に見られるように、70〜80年代のハードロックスタイルをインスパイアした楽曲を揃えたアルバムは、更にバンドのルーツへと遡るバラエティに富んだものになっています。古典的なアプローチと現代的なサウンドの融合は別プロジェクトとは異なるシンプルでストレートな方向性を示しているもの、多様なスタイルが盛り込まれているため、曲自体は長めのものが多くなっています。やりたいことをタップリ詰め込んだ勢いと余裕を合わせ持った純粋にロックする一枚でした。
同系統アルバム
ELYSIUM/STRATOVARIUS
THE PRICE FOR THE HUMAN SINS/PASTORE
INFECTED/HAMMERFALL

DECISIVE/SABER TIGER

ディシシーヴ/サーベル・タイガー

FUTURE MEDIA ENTERTAINMENT YZSS-30001 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 北海道産のパワーメタルバンドの9枚目のアルバムです。ヴォーカリストの下山武徳とギタリストの田中康治が復帰、元コンチェルト・ムーンのベーシスト、木本高伸、元ハードギアのドラマーの水野泰宏と言うメンバーで製作されています。

 不安感高まるSEのイントロから、畳み掛けるソリッドなギターリフが一気に押し寄せるパワフルでソリッドな2で、ハスキーなハイトーンヴォーカルと華麗なギターソロが炸裂するファストチューンを披露していくと、タイトなリフとビートで迫る硬質で高密度なミッドテンポの3、ドライヴ感の強いリフで押し込む4はシャープなサウンドと熱いヴォーカルが交錯するアップテンポのナンバー、オーセンティックなメタルリフで突き進むソリッドな5、エモーショナルなヴォーカルを聴かせるタイトでヘヴィな6、ダークなリフがジリジリ迫るヘヴィな7、テクニカルなリフを絡めて突っ走るエッジの効いたダイナミックな8、クランチーなリフが圧迫感を高めていくドラマティックな9、メランコリックなバラードナンバーの10、ドライヴするリフで突っ走るシリアスなスピードナンバーの11、ボーナストラックの12は唯一の日本語詩のメロディアスなスピードナンバーが収録されています。

 粘り腰のヴォーカルとフラッシーなギターが帰ってきたサーベル・タイガーのアルバムは、ジャーマンメタル界隈でお馴染みのトミー・ニュートンの音作りを伴って、世界標準のクオリティを作り出しており、ブランクを感じさせないクオリティになっています。また、世界進出と言う野望が沸き起こる強い意気込みを見せるサウンドは、あらゆる面で隙を見せない仕上がりになっており、細部まで神経を使ったことが明らかに。ブレイクしそうで、いろいろあって折れてしまったバンドでしたが、遂に今度こそはその名を世界に知らしめる時が来たか、と期待させる強力な一枚でした。
同系統アルバム
RAZORBACK KILLERS/VICIOUS RUMORS
MYTHOLOGY/VOLCANO
DAYS OF DEFIANCE/FIREWIND

IN WAVES/TRIVIUM

イン・ウェイヴス〜スペシャル・エディション/トリヴィアム

ROADRUNNER RECORDS WPZR-30399/400 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

 アメリカ産の新世代メタルバンドの5枚目のアルバムです。

 不安感を煽るイントロダクションで幕を開けるアルバムは、咆哮と北欧的なセンチメンタリズムを孕んだメロディを歌うクリーンヴォーカルが交錯するダイナミックな叙情ナンバーの2でエモーショナルなムードを高めていきます。北欧メロデス的な突進力を見せるブルータルでエモーショナルなメタルコアナンバーの3、ヘヴィなビートで迫る邪悪でアグレッシヴな緩急の激しいナンバーの4では高速ギターソロでインパクトを与えます。クリーンヴォーカルが主導する唸るギターリフが押し寄せるエモーショナルなミッドテンポの5、クランチーなリフで進むダイナミックでソリッドなナンバーの6、デスヴォイスと叙情リフで突き進むスリリングな突進ナンバーの7、ボーナストラックの8は中近東的なメロディのインストナンバー、ヘヴィでソリッドなリフが迫りくるエモーショナルな劇的ナンバーの9、湿ったギターリフで疾走する起伏の激しい突撃パートからエモーショナルなパートへと移行する10、ザクザクしたリフが叙情的に迫る情念高まるスピードナンバーの11、ボーナストラックの12は起伏の激しいダイナミックなナンバー、ボーナストラックの13はシャープなリフとエモーショナルなメロディが交錯するミッドテンポのナンバー、ヘヴィリフが邪悪に迫る不穏なナンバーの14、メランコリックなバラードナンバーの15、そのムードを引き継ぐインストナンバーの16、ボーナストラックの17は起伏の激しいダイナミックなナンバー、18はセパルトゥラのカバーが収録されています。

 北欧メロデスの影響下にあるメタルコアでも、更に北欧的な要素が強化されているアルバムは、時々ソナタ・アークティカとかディジー・ミズ・リジーあたりを思い出させるメロディ回しを見せており、アメリカンなムードとヨーロピアンなムードが混在するスタイルが際立っています。様々な要素に手を広げている分、焦点が定まっていない感がありますが、このスタイルのバンドの一群の中ではまあ良くできている部類の一枚でした。
同系統アルバム
THE PANIC BROADCAST/SOILWORK
KILLSWITCH ENGAGE/KILLSWITCH ENGAGE
POST MORTEM/BLACK TIDE

WELCOME TO THE MORBID REICH/VADER

ウェルカム・トゥ・ザ・モービッド・ライク/ヴェイダー

MARQUEE MICP-11010 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 ポーランド産デスメタルバンドの9枚目のアルバムです。メンバーは中心人物のピーター以外全員交替して製作されています。

 不穏な空気を醸造するイントロダクションに導かれるアルバムは、邪悪なギターリフと獣性高まるデスヴォイスで突進していくブルータルで高圧な2で一気に凶悪なムードを醸し出します。さらに凶暴に突進していく緩急の激しい突撃ナンバーの3、オールドスタイルのデスメタル的なムードを持った緊迫感高まる展開の激しい4、奇怪なリフとブラストビートで突っ走る暴走ナンバーの5ではフラッシーなインストパートが切れ込んでムードを盛り上げます。ミステリアスで荘厳なイントロからの6は重量感と躍動感が交錯するヘヴィナンバー。フラッシーなギターに導かれる7はブラストビートが華麗なムードを破壊していく凶悪なナンバー、エピックなムードを孕むイントロから破壊的なサウンドが繰り広げられていく8、凶暴にぶっとばしていくブルータルな9、スラッシーに爆走する凶悪ファストチューンの再録ナンバーの10、不穏なインストナンバーの11からソリッドなギターリフで圧倒していくヘヴィチューンの12へ。ボーナストラックの13、14はカバー曲が収録されています。

 メンバーはすっかり流動的になってしまいましたが、ピーターのヴィジョンはより鮮明に打ち出されるようになり、彼ららしさが際立つサウンドが展開されていきます。古典的なデスメタルからスラッシュメタル、パワーメタル然としたサウンドまで聴かれるようになったのは余裕の表れでしょうか。バンド自体の環境はあまり良好とは言えなさそうですが、ダイナミックな展開を孕む彼ららしい壮絶なデスメタルを体現している一枚でした。
同系統アルバム
RITUAL/THE BLACK DAHLIA MURDER
SURTUR RISING/AMON AMARTH
TO HELL WITH GOD/DEICIDE





September

ANTHRAX | DREAM THEATER | SEPTICFLESH | SEBASTIAN BACH |

WORSHIP MUSIC/ANTHRAX

ワーシップ・ミュージック/アンスラックス

VICTOR VICP-64711 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 スラッシュ四天王の一角がジョーイ・ベラドナ復帰で製作した10枚目のアルバムです。

 ミステリアスなイントロから緩急の激しいスラッシュナンバーの2で幕を開けるアルバムは、クランチーなリフでドライヴする躍動感の強いアップテンポの3、彼ららしいビートを刻むタイトでメロディアスな4、メランコリックなイントロからブラックサバス的なダークメタルをやってのける5、ストリングスのイントロからの7は壮大なイメージのヘヴィナンバー。タイトなビートを刻むエッジの効いた8、曲名がすべてを表すドラマティックな正統派大作ナンバーの10、ミステリアスなムードのミッドテンポの70年代風ナンバーの11、グルーヴィなリフが加速していくエモーショナルな12、切れ味鋭いギターが荒れ狂うダイナミックな展開の13、 ボーナストラックの14は11のオーケストラミックスが収録されています。

 ジョン・ブッシュ時代のテイストを残しながらも、自分たちのルーツにも迫るというサウンドを作り出しているアルバムは、ここ最近の作品の中でも溜飲を下げる強力なもので、スラッシーでメロディアス、さらにグルーヴィという多彩な要素てんこ盛り。正統派メタル的な感触を彼ら流に料理した楽曲から壮大なナンバーまで新たな領域に踏み込むバンドの意気込みを見せていきます。ジョン・ブッシュも良いヴォーカリストでしたが、アンスラックスにはジョーイ・ベラドナのヴォーカルの方がやっぱりしっくりくる、と言った印象を抱かせる、パンチ力のあるパワフルな一枚でした。
同系統アルバム
DAY OF RECKONING/DESTRUCTION
RELENTLESS RETRIBUTION/DEATH ANGEL
OMEN/SOULFLY

A DRAMATIC TURN OF EVENTS/DREAM THEATER

ア・ドラマティック・ターン・オヴ・イヴェンツ(スペシャル・エディション/ドリーム・シアター

WARNER MUSIC WPZR-30410/1 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 脱退したマイク・ポートノイに代わり、マイク・マンジーニを迎えて製作された11枚目のアルバムです。

 新たに加入したマイク・マンジーニのパフォーマンスについては、アナイアレイターでのプレイとかドラムの先生をやってる人間に向かって、余計な心配なぞまったくしませんが、ポートノイ脱退による方向性の変化の方が気になるアルバムは、メタル色とヘヴィネスを一手に引き受けていたポートノイの影響が無くなった事により、浮遊感と開放感が強まったエモーショナルな楽曲が集められています。聞き手を圧倒するようなテクニカルなプレイも全体的にはそれほどアピールせずに楽曲の引き立て役に徹しており、プログレロック的なムードが高まっています。今後は時流に乗らずに自分たちのサウンドを追及していく意志を感じさせる一枚でした。
同系統アルバム
THE SERAPHIC CLOCKWORK/VANDEN PLAS
FALL FROM GRACE/BOREALIS
HEAVENLY ECSTASY/PAGAN'S MIND

THE GREAT MASS/SEPTICFLESH

ザ・グレイト・マス/セプティックフレッシュ

NIPPON COLUMBIA COCB-60022 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 気づいたら中黒が無くなっていたギリシャ出身のバンドの8枚目のアルバムです。

 デスヴォーカルと女性ヴォーカル、そしてクワイアによって描き出されていくサウンドトラック的な迫力を持ったシンフォニックな1で壮大な世界を映し出していくアルバムは、耽美で邪悪な暗黒世界を作り出していきます。聴き手を世界観へと没入させるオーケストラの重厚なサウンドと凶悪なエクストリームのメタルサウンドが相克し圧倒的な存在感を生み出していく様は、音楽によって生み出される絵画的、映像的なイメージを見せ付けていきます。緊迫した場面が次々と押し寄せる音の奔流が生み出す暗黒の情景に打ち伏せられる、まさにエクストリームなサウンドが詰め込まれた一枚でした。
同系統アルバム
SITRA AHRA/THERION
ABRAHADABRA/DIMMU BORGIR
STAND UP AND FIGHT/TURISAS

KICKING & SCREAMING/SEBASTIAN BACH

キッキング・アンド・スクリーミング(初回限定盤)(DVD付)/セバスチャン・バック

MARQUEE MIZP-60028 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

 元スキッド・ロウのヴォーカリスト、セバスチャン・バックの2枚目のソロアルバムです。天才と称される若きギタリスト、ニック・スターリング、ドラマーにボニー・ジャーゾンベクを迎えて製作されています。

 へヴィリフがジリジリ迫る1から、いつも通りのパワフルなヴォーカルが炸裂するアルバムは、エモーショナルなプレイからテクニカルなプレイまでこなすギタリストのテクニックも堪能できる仕上がりになっています。湿ったメロディで突き進むドライヴ感の強いアップテンポの2、ダークなメロディが響くへヴィナンバーの3、タイトなリフを刻む4はダークながらアップテンポで進むソリッドなナンバー、ルーズなムードのロックナンバーの5、ラウドでエモーショナルな6、カントリー風味のパワーバラードの7、ソリッドなリフがグルーヴィに迫る8、ミステリアスなムードで迫るへヴィナンバーの9、バラードナンバーの10、タイトなリフでゴリゴリ進むミッドテンポの11、浮遊感のあるへヴィナンバーの12、やさしいムードのバラードナンバーの13、ボーナストラックの14はカントリー。

 なんだか元気で良かったね!,、'` ( ´∀`) ,、'`なセバスチャン・バックの歌声が聴かれるアルバムは、天才ギタリストとのコラボレーションで最高のパフォーマンスを見せていますが、楽曲自体はバズの魅力を十分に引き出しているとは言えない微妙な出来栄え。類まれなるロックスターの雰囲気を残したバズにはもっと破天荒なロックンロールが必要だと思われるんだけど(´・ω・`)ハイパーなロックンロールする仕上がりを期待するとガッカリする、無難な仕上がりの一枚でした。
同系統アルバム
LA RAZA/ARMORED SAINT
AGE OF THE JOKER/EDGUY
POST MORTEM/BLACK TIDE





October

ALDIOUS | AMORAL | BRAINSTORM | GALNERYUS | GOLDEN RESURRECTION | MEGADETH | RIOT | SKULL FIST |

DETERMINATION/ALDIOUS

ディターミネーション/アルディアス

SPINNING BSRS-005 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 ジャパニーズガールズメタルバンドの2枚目のアルバムです。

 ソリッドなギターリフで突っ走る1からメタル度が増した楽曲は浮遊感と哀愁漂うメロディを情感たっぷりに歌い上げるヴォーカルがフラッシーなギターソロを導いていきます。メランコリックなメロディが炸裂する2はダイナミックな展開が哀感を強化するエッジの効いたミッドテンポのナンバー、スリリングなイントロからパワフルなリフを刻むストロングスタイルのスピードナンバーの3、ダークなメロディをクランチーなリフで支えるミッドテンポの4、センチメンタルなパワーバラードの5、ポップなメロディがへヴィなリフと一体になって進むライヴ映えしそうなアップテンポの6、繊細なメロディが紡がれるドラマティックなミッドテンポの7、ソリッドなリフで疾走するダイナミックなスピードナンバーの8、湿ったメロディでエモーショナルに迫るミッドテンポの9、ロマンティックなバラードナンバーの10でアルバムは幕を閉じます。

 前作よりもメタル分が圧倒的に増強されたアルバムは、一聴した瞬間に刻んでるなあ、と言う感想を与える強力なサウンドが展開されていきます。演奏のパフォーマンスは驚くほど向上し、どこに出しても恥ずかしくないへヴィメタル然としたものになり、特徴的なヴォーカルメロディと相まって独自性の強まった楽曲を作り出していきます。ヴィジュアル的には完全にイロモノで好き嫌いが分かれそうですが、繰り出すサウンドのメタル魂は間違いなく本物だと思わされる成長著しい一枚でした。
同系統アルバム
PHOENIX RISING/GALNERYUS
DAYS OF DEFIANCE/FIREWIND
7 SINNERS/HELLOWEEN

BENEATH/AMORAL

ビニース/アモラル

MARQUEE MICP-11012 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

 フィンランド出身のバンドの5枚目のアルバムです。

 壮大なイントロダクションで幕を開けるアルバムは、ソリッドでダークなギターリフを連ねつつ叙情的なメロディをマイルドなヴォーカルが歌い上げる1からデスヴォイスを交えつつ、ダイナミックな展開を見せる楽曲を揃えていくと、ドライヴ感を増して突っ走るアップテンポのスピードナンバーの2、叙情感高まるミッドテンポの3はヴォーカルのパフォーマンスを活かしたエモーショナルなナンバー。気だるいヴォーカルとデスヴォイスで進むダークなスローナンバーの4、キレのあるリフで突き進むエッジの効いたデスヴォイス主体のダイナミックなメロデスチューンの5、シャッフルする手の込んだリフで進む6はドライな空気でロックしていくナンバー、湿ったメロディでドライヴするハードロッキンな7、センチメンタルで静かなナンバーの8、メランコリックなメロディがハードなリフに引っ張られるミッドテンポの9、メロディアスなイントロからの10は哀愁のロックナンバー、ミステリアスなムードが高まるエモーショナルな11、ボーナストラックの12はデスヴォイスとノーマルヴォイスが交錯するメタルコア風ナンバー。

 メロデスの要素も復活して更に楽曲の幅を広げてきたアルバムは、新しいヴォーカリストとの親和性を高めつつスタイルの可能性を探っていきます。テクニカルだったり、エモーショナルだったり、レイドバックしたり、アグレッシヴだったりする多様なスタイルは全体としてはメロディックロック〜メタル的に落ち着いていますが、キャッチーな要素が後退してメタリックな部分を強めているため、ヴォーカルの良さが幾分か相殺され気味。完成度は高まったものの印象的な曲が少なくなった分、地味に感じられる一枚でした。
同系統アルバム
DIGITAL VEIL/THE HUMAN ABSTRACT
NIGHTMARE/AVENGED SEVENFOLD
IN WAVES/TRIVIUM

ON THE SPUR OF THE MOMENT/BRAINSTORM [IMPORT]

オン・ザ・シュプール・オブ・ザ・モーメント/ブレインストーム

AFM RECORDS AFM 360-2 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 ドイツ出身のバンドの2011年に発表された9枚目のアルバムです。

 ミステリアスなイントロに導かれるアルバムは、エモーショナルなメロディをパワフルなヴォーカルが歌い上げるミッドテンポのパワーメタルナンバーの1から、ダイナミックなヘヴィメタルを展開していくと、タイトなリフが緊迫感を高めるヘヴィなアップテンポの2、ソリッドなリフでエモーショナルに迫るラウドロック風の3、哀愁高まるメロディをパワフルに歌い上げるパワーバラード風のドラマティックな4、叙情感たっぷりのメロディと粘りのあるヴォーカルで迫るミッドテンポのソリッドな5、クランチーなリフで進むダークでアグレッシヴなミッドテンポの6、メランコリックなイントロからの7は扇情的なメロディが炸裂するタイトな劇的ナンバー、エッジの効いたリフで突っ走る何だか久しぶりに聞いた気がする突進ナンバーの8、クランチーなリフが刻まれるシャープなアップテンポの9、センチメンタルなイントロからのダークでエモーショナルなナンバーの10でアルバムを閉じます。

 ミッドテンポの楽曲を中心に、硬質なサウンドで情感を高めるメロディを紡いでいくと言うスタイルには変化無く、地味な前作よりは多少躍動感が上がったかな?みたいな。自分たちのスタイルをひたすら追求していく安定感のある一枚でした。
同系統アルバム
DYSTOPIA/ICED EARTH
WE FIGHT/ARTHEMIS
THE END OF OUR FLAMES/PASTORE

PHOENIX RISING/GALNERYUS

フェニックス・ライジング[初回限定盤](DVD付)/ガルネリウス

VAP VPCC-80653 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 小野正利を迎えた新生ガルネリウスの第二弾で7枚目のアルバムです。

 デスヴォイスを絡めたシンフォニックなイントロで幕を開けるアルバムは、ドラマティックに疾走するメロディックスピードメタルの2でテクニカルな高速ギター&キーボードソロとハイトーンヴォーカルを全開にしていくと、キャッチーなメロディで進むアップテンポの3でエモーショナルな感覚を高め、ダイナミックなリフで進む4はシリアスなムードが高まる躍動感の強いフラッシーなナンバー。ストリングスのイントロからテクニカルなフレーズを刻む5はキャッチーなメロディと交錯して求心力を生み出すスピードナンバー、哀愁たっぷりのバラードナンバーの6、センチメンタルなイントロから一気に加速するドラマティックなスピードナンバーの7、泣きのギターが響く8は壮大なムードのバラードナンバー、ロックしていくスピードナンバーの9、重厚なムードを重ねつつ進むダイナミックで劇的な10、哀愁メロディを紡ぐギターが染みるインストナンバーの11で幕を閉じます。

 華麗なギター&キーボードプレイが炸裂していくメロディックスピードメタルは、新体制も安定して充実の楽曲が揃えられており、彼らの魅力が堪能できる仕上がりになっています。前作よりはキーボードの存在感が増しており、速弾き主体のギターソロとの掛け合いも激しさを増しており、インストパートの緊迫感が高まっています。唄メロも小野正利の魅力を活かしつつ彼ららしいものになっていて、バンドの全体的な一体感が更に高められた会心の一枚です。
同系統アルバム
DECISIVE/SABER TIGER
RECIDIVE/MANIGANCE
AFTERMATH/AXENSTAR

MAN WITH A MISSION/GOLDEN RESURRECTION

マン・ウィズ・ア・ミッション/ゴールデン・レザレクション

KING RECORDS KICP-1591 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

 スウェーデン出身のディヴァインファイアのヴォーカリスト、クリスチャン・リレグレンとレインエクシードのギタリスト、トミー・レインエクシードのネオクラシカルバンドの二枚目のアルバムです。

 重厚で壮大なイントロダクションに導かれるアルバムは、スリリングなイントロから優美で華麗な様式美サウンドが展開されるドラマティックな2で華麗な世界の幕を開けると、ネオクラプレイとコーラスワークが炸裂するアップテンポのキャッチーな3、タンゴのリズムで様式美メロディックメタルを作り出す4、スリリングに突き進む劇的ネオクラパワーメタルの5、メランコリックなバラードパートからヘヴィに展開する6、キャッチーさを持ったアップテンポのロックナンバーの7、キラキラするネオクラプレイが満載のインストナンバーの8、アリーナロック的なスケール感を持った9、ネオクラスピードナンバーの10、ボーナストラックの11はカンサスのカバー、12はゲイリー・ムーアのカバー、13はレインエクシードのアルバムにも収録された日本向けの曲が収められています。

 ネオクラシカルなフレージングはそのままに、クィーン風のオペラティックな演出が目立つようになったアルバムは、二人が在籍するバンドとの差別化を図りつつクラシックな北欧メロディックメタルを作り出していきます。ヨーロッパやABBAと言ったバンドに代表されるキャッチーな要素もふんだんに盛り込んだバラエティに富んだ楽曲を揃えて多くの層にアピールする作品になっていますが、本来のファン層とは若干の隔たりがありそうな。特段新しいものが聴かれるというわけではありませんが、高品質のメロディックメタルに仕上がった一枚です。
同系統アルバム
IN PARADISUM/SYMFONIA
EYE OF THE STORM/DIVINEFIRE
ANCESTRAL ROMANCE/DARK MOOR

TH1RT3EN/MEGADETH

サーティーン/メガデス

WARNER WPCR-14211 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 デイヴィッド・エルフソンが出戻ったスラッシュ四天王の一角のタイトル通りの13枚目のアルバムです。

 不穏なイントロから始まるアルバムは、トリッキーなリフと不敵なヴォーカルが怪しいメロディを吐き捨てる緩急の激しいアップテンポの1から独特のムードを醸造していき、躍動するリフが妖しく迫るアップテンポでミステリアスな2、ダークなムードが妖しい熱気を孕んで進むアップテンポの3、期待感を煽るイントロからヴォーカルが吐き捨てていくグルーヴィな怪しいミッドテンポの4、乾いたムードでロックするフラットな5、静かなイントロからの6はクランチーなリフで突進し、焦燥感高まるコーラスへと突入していくスリリングなスラッシュナンバー。ミステリアスな7はグルーヴィなパートからスリリングなソロパートへの移行が鮮やか。不安感を高めるイントロから不穏なヴォーカルが吐き捨てるミドル〜アップテンポの8、9はもやっとするメロディアスなナンバー、キャッチーなリフでドライヴするアップテンポの10、メランコリックなイントロからダーク&ヘヴィな展開を見せる11、グルーヴィでエモーショナルな12、センチメンタルなイントロからの13は情感豊かに進むドラマティックなナンバー。ボーナストラックの14は2のライヴバージョンが収録されています。

 エルフソンが戻った影響はあまり感じられないアルバムは、全体的にはヴォーカルメロディを前面に押し出したサウンドが展開されており、テクニカルなソロプレイも聴かれますが前作よりもメロディアスになったなあ、と言う印象を与えます。独特のメロディが支配する楽曲は、不吉な感覚ともやもやした感覚が強まって、あまりスッキリとしませんし、ヴォーカルが主の割にはあまりパフォーマンスには比重を置いていないため、中途半端な仕上がりになっている印象が残ります。クオリティとしてはメガデスの必要分を満たしていますが、もう一声なんかあるとイヤッホウって感じになったのになあ、って思わされる一枚でした。
同系統アルバム
BLACK RIVERS FLOW/LAZARUS A.D.
THE OBSIDIAN CONSPIRACY/NEVERMORE
DECISIVE/SABER TIGER

IMMORTAL SOUL/RIOT

イモータル・ソウル/ライオット

MARQUEE MICP-11020 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 すでに伝説の「THUNDERSTEEL」アルバムのメンバーが集結して製作された14枚目のアルバムです。

 哀愁帯びたイントロから切れ味鋭いギターリフが切れ込み、ハイトーンヴォーカルが炸裂するかなりの部分が凄く“THUNDERSTEEL”ですんません,、'` ( ´∀`) ,、'`な1から30年以上のキャリアがあるバンドとは思えないアグレッシヴっぷりとツインギターが全力で哀愁メロディを叩きつけていくアルバムは、湿り気帯びたメロディで進むアップテンポのタイトなロックナンバーの2、ミステリアスなムードのミッドテンポのナンバーの3、クランチーなギターリフで突っ走り高速ギターソロが炸裂するドラマティックなスピードナンバーの4、叙情性が高まる5はエモーショナルな歌声が堪能できる哀愁ナンバー、ソリッドなリフで進むエッジの効いたタイトなナンバーの6、穏やかなメロディが広がる小品の7を経てタイトルトラックの8はブルージーなムードも漂うミッドテンポのロックナンバー。哀愁メロディが覆い重なるアップテンポのメロディアスナンバーの9、叙情性の強いリフが押し寄せる躍動感のあるロックナンバーの10、哀愁メロディが骨太のリフに導かれるミッドテンポの11、ドラマティックなイントロから叙情メロディで進むダイナミックな哀愁ナンバーの12、ボーナストラックにはライヴバージョンが一曲収録されています。

 2009年に来日して来年の春にはニューアルバムを出すぜ!って言ってからすっかり時間が経ってしまいましたが、なんだかんだあっても完成して良かったアルバムは、集まったメンバーから期待される「THUNDERSTEEL」アルバムの方向性を軸に、新旧バンドの歴史を包括したようなサウンドが展開されていきます。トニー・ムーアのハイトーンは健在ですし、すっかりネタ切れとは言えマーク・リアリのフレーズもファンの心に訴えかける煽情性の強いものになっていて、ライオット初心者にも分かりやすい訴求力を見せていきます。14枚目のアルバムにもかかわらず一曲目がバンド名ってどんだけ気合が入ってるんだと言う、ベテランバンドの異様な熱気と意欲が伝わる強力な一枚です。
同系統アルバム
PHOENIX RISING/GALNERYUS
BLIND RIDE/HIBRIA
DECLARATION OF WAR/MEAN STREAK

HEAD OF THE PACK/SKULL FIST

ヘッド・オヴ・ザ・パック/スカル・フィスト

SPIRITUAL BEAST IUCP-16118 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 カナダ出身のバンドのファーストアルバムです。バンドの結成は2003年ごろ。

 頭から突っ走るNEOBHMの薫陶を受けたスピードメタルが展開されるアルバムは、ダイナミックに疾走していく1から、線の細いハイトーンヴォーカルが叫ぶオーセンティックなヘヴィメタルが作り出されていきます。ナレーションからドライヴしていくアイアン・メイデン風味のアップテンポの2、ギターリフがガツガツ攻めてくるアップテンポの3、手の込んだギターリフとギターソロで突き進むダイナミックな4、勢いを付けて疾走していくファストチューンの5、シリアスなムードで突っ走るアップテンポのダークな6、メランコリックなメロディで迫るミッドテンポのロックナンバーの7、センチメンタルなイントロからキャッチーな哀愁メロディがアップテンポに展開する8、ドライヴィンに突っ走るファストチューンの9、メタルアンセムなスピードナンバーの10、メイデン風に突き進むアップテンポの11、ボーナストラックの12にはトーキョー・ブレイドのカバーが収録されています。

 どこのデモ音源だ、と言う風なサウンドプロダクションはさておき。バンド名からしてヘヴィメタル以外の要素は皆無と言うそんな80年代サウンドが充満するアルバムは、ヘヴィメタル魂が純化されて作り出される楽曲がそろえられています。ツインリードギターが炸裂し、湿ったメロディが乱舞するヘヴィメタルらしいヘヴィメタルが堪能できる一枚です。
同系統アルバム
DECLARATION OF WAR/MEAN STREAK
CRISIS IN UTOPIA/HOLY GRAIL
LORD OF THE WASTELAND/STEELWING





Nobember

ICED EARTH | THE MORNING AFTER |

DYSTOPIA/ICED EARTH

ディストピア/アイスド・アース

MARQUEE MICP-11026 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 アメリカンパワーメタルバンドの10枚目のアルバムです。ヴォーカルにイントゥ・エタニティーのステュウ・ブロックを迎えて製作されています。

 勇壮なイントロダクションからクランチーなギターリフがダイナミックに展開されていくパワーメタリックな1から始まるアルバムは、ハイトーンから中音域まで表現力を持ったヴォーカルが躍動するサウンドが繰り広げられていきます。エモーショナルな展開を見せるへヴィナンバーの2、ソリッドなリフと威嚇的なヴォーカルが襲い掛かるアグレッシヴなミディアムナンバーの3、情感高まる硬質なドラマティックナンバーの4、タイトなリフで迫る圧迫感の強いミディアムナンバーの5、メイデン的なドラマ性を持ったダイナミックな展開を見せるダークでスリリングな6、ギャロップするビートとリフが繰り出されるアップテンポの緩急の強い7、イーブルでパワフルなスラッシュナンバーの8、メランコリックでヘヴィなバラードナンバーの9、ボーナストラックの10は叙情感の強いメロディとソリッドなリフで迫るシリアスな劇的ナンバー、11はさらにメランコリックに迫るミディアムナンバー、12の大曲は勇壮で壮大なイントロから激しい突進力を見せるダイナミックなナンバー。ボーナストラックの13は2の別ミックス、14はアイアン・メイデンの代表曲のカバーが収録されています。

 ファン待望のマシュー・バーロウと実力者のティム・オーウェンスの後任ということで、そのパフォーマンスが注目される新ヴォーカリストでしたが、二人の特徴を合わせ持ったような違和感の無い歌声を聴かせており、心配は杞憂に終わっています。楽曲的にはテーマと当時のムードに縛られた前二作よりも、自由な題材で独自路線を追求しつつもクオリティを高めたものに仕上がっており、音域が広がったヴォーカルの影響もあってこれまで培ったアイスド・アース節が混在するものになっています。新ヴォーカリストからのインプットはそれほど感じさせませんが、エネルギーは十分に満ちたサウンドが詰め込まれており、完成されたスタイルが安定感と満足感を与える一枚になっています。
同系統アルバム
RAZORBACK KILLERS/VICIOUS RUMORS
DECISIVE/SABER TIGER
BLIND RIDE/HIBRIA

LEGACY/THE MORNING AFTER

レガシー/ザ・モーニング・アフター

VICTOR VICP-64936 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 イギリス出身のバンドの二枚目のアルバムです。ドラマーとベーシストが交替して製作されています。

 ゴージャスなコーラスワークで幕を開けるアルバムは、ブリティッシュロック的な憂いをアリーナロック風のキャッチーさを合わせ持った2からクリーンヴォーカルをメインに進んでいきます。湿ったメロディが切々と迫るキャッチーな哀愁ナンバーの3、開放的なムードで進むアップテンポのポップナンバーの4、ハードなリフで進む5は哀愁メロディが炸裂するミッドテンポのナンバー、ドライヴ感のあるリフで突っ走る6は勢いのあるハードロッキンなナンバー、ソリッドなリフがエモーショナルなヴォーカルを導くダイナミックな展開を見せる劇的な大作ナンバーの7、クリーンヴォーカルとデスヴォイスが織り成す叙情メロディが押し寄せるアップテンポの8、哀愁メロディが炸裂していくメイデン風味がかすかに残るミッドテンポの9、物悲しさが高まるメタルコア的なスタイルを残したミッドテンポの10、情感高まるダイナミックで壮大な11、センチメンタルなムードが高まる優しいナンバーの12、厚いコーラスワークでゴージャスに進む13、ボーナストラックの14はドライヴィンに突っ走るスピードナンバー、15と16は3、4のアコースティックバージョンが収録されています。

 NWOBHM的なサウンドはすっかり影を潜め、クィーンとデフ・レパードをミックスしたようなポップなブリティッシュロックが展開されており、デスヴォイスもあまり使われません。これだけの変化を見せたところをみると、デビューアルバムから色んなことがあったんだろうなあ、と思わされますが楽曲の出来は悪くないどころか、このスタイルとしてはかなりのクオリティを保っており、多彩な才能を伺わせます。抜群のメロディセンスを前面に押し出した心機一転の一枚でした。
同系統アルバム
MAN WITH A MISSION/GOLDEN RESURRECTION
DEATH AND LEGACY/SERENITY
IN PARADISUM/SYMFONIA





December

ANCIENT BARDS | IRON MASK | IRON SAVIOR | MYSTIC PROPHECY | 陰陽座 |

SOULLESS CHILD/ANCIENT BARDS

ソウルレス・チャイルド/エインシェント・バーズ

SPIRITUAL BEAST IUCP-16122 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 イタリア出身の女性ヴォーカルを擁するバンドの二枚目のアルバムです。ドラマーが交替しています。

 ナレーションを導く壮大なイントロダクションで開幕するアルバムは、更にドラマティックなイントロを携えた2の劇的シンフォニックスピードナンバーでテンションを高めていくと、クラシカルなイントロからアグレッシヴなドラムで突っ走るコーラスの厚いスピードナンバーの3へと。エッジの効いたリフで突っ走る勇壮で開放感のあるコーラスへと導くスピードナンバーの4、リリカルなメロディで迫るメランコリックで壮大な大作の5、派手なイントロから起伏も大きく突っ走る劇的スピードナンバーの6、荘厳なコーラス隊に導かれるインターミッションの7を経て、重厚に進む展開の激しい大作のタイトルトラックの8に。同郷のDAWN UNDER ECLIPSEのデスヴォーカルを絡めた9は緊張感高まる展開で進むアップテンポのナンバー。10はリリカルなイントロから壮大に展開していくアルバム中最長の楽曲。ボーナストラックの11はやっぱり「ファイナルファンタジーX」の主題歌が収録されています。

 ナイトウィッシュラプソディーを合わせたようなサウンドの切れ味は更に増して、ドラマティックなシンフォニックメタルを追求していくアルバムは、緊張感高まる楽曲を揃えてファンタジックな世界観への没入を促していきます。演出面ではますます芝居がかった展開が増えて豪華なサウンドになっていますが、プレイ自体はもうちょっと頑張れそうな雰囲気。シンフォニックメタルと言うスタイルの中では先達に次ぐ二番手の位置に達しそうな勢いのある一枚になってます。
同系統アルバム
FROM CHAOS TO ETERNITY/RHAPSODY OF FIRE
ARCHETYPE/SECRET SPHERE
LEGEND OF THE SHADOWKING/FREEDOM CALL

BLACK AS DEATH/IRON MASK

ブラック・アズ・デス〜暗黒の鉄仮面/アイアン・マスク

MARQUEE MICP-11024 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 ベルギー出身のネオクラギタリスト率いるバンドの4枚目のアルバムです。ボーカルにマーク・ボールズ、キーボードにマッツ・オラウソンらを迎えて製作されています。

 ダークでミステリアスなイントロから始まるアルバムは、激しいドラミングと分厚いコーラスでテンションを上げていくミッドテンポの重厚でヘヴィな劇的メタルナンバーの2でパワフルなヴォーカルとテクニカルなギターが絡み合いダイナミズムを高めていきます。メランコリックなムードが高まるパワフルでエモーショナルな3、スリリングなプレイが炸裂するアグレッシヴでドラマティックなスピードメタルナンバーの4、ジンギスカンをテーマにした5は、アジアンテイストなイントロからドラマティックに展開するスケール感の大きい壮大なナンバー、荘厳なコーラスからの6はアイアン・メイデンを彷彿とさせるドラマ性を持ったミッドテンポのナンバー、哀愁メロディで突き進むアップテンポの7、アグレッシヴなビートに乗ってギターとキーボードが唸りを上げていく突進ナンバーの8、センチメンタルなメロディとフラッシーなプレイで迫るエモーショナルな9、哀愁のバラードナンバーの10、様式美なイントロからスラッシーに展開する緩急の激しい11はデスヴォイスも飛び出すアグレッシヴなナンバー、ダイナミックなイントロからドラマティックに進行していく情感豊かな12、ボーナストラックの13はフォーキーなメロディを取り入れたミッドテンポのシンフォニックナンバーが収録されています。

 さらに荒ぶるネオクラシカルプレイに磨きがかかったアルバムは、マーク・ボールズのパフォーマンスを活かした楽曲も加えてバラエティに富んだものになっており、感情の起伏が激しく展開していきます。実力派のプレイヤーが集まって求められる水準を楽々と超えていくさまは、色々なものが収まるべきところに収まった感が強く、安定感に満ちたサウンドが繰り広げられていきます。これまでも注目されてきた、ダッシャン・ペトロッシでしたが、今後さらなる注目を集めそうな一枚でした。
同系統アルバム
MAN WITH A MISSION/GOLDEN RESURRECTION
EYE OF THE STORM/DIVINEFIRE
SYMPHONY OF WAR/MAGIC KINGDOM

THE LANDING/IRON SAVIOR

ザ・ランディング/アイアン・セイヴィアー

MARQUEE MICP-11028 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 ジャーマンパワーメタラーの4年半ぶりの7枚目のアルバムです。ベーシストが初期メンバーに戻っています。

 ドラマティックなイントロダクションで幕を開けるアルバムは、重量感たっぷりのソリッドなミッドテンポの勇壮な2でメタルスピリットを見せ付けていくと、メロディアスに突っ走る3で一気にテンションを上げて突き進みます。クランチーなリフで突き進むタイトでパワーメタリックな4、ヘヴィメタル・アンセムなミッドテンポの5、ソリッドなリフで突き進むエッジの効いたパワーメタルナンバーの6、ダークなムードで進むヘヴィナンバーの7、ドライヴ感強まるハードロッキンな8、スリリングなメロディで突っ走るスピードナンバーの9、エモーショナルなムードが高まるバラードナンバーの10、哀愁メロディから開放的なコーラスへと進むアップテンポの11、ボーナストラックの12はセカンドアルバムの楽曲のリメイク、13はファーストアルバムの楽曲のリメイク、14はミッドテンポのオーソドックスなハードロックナンバーが収録されています。

 リリース間隔が多少開いたものの、サウンドには一切の迷いも変化も無いピュアなヘヴィメタルが展開されていくアルバムは、これまでのスタイルを維持した期待通りの仕上がりになっています。誰もが待ってたかどうかは定かではありませんが、待ち焦がれていた人には待望の一枚になっています。
同系統アルバム
HEATHEN WARRIOR/STORMWARRIOR
REVERENCE/MERGING FLARE
BLIND RIDE/HIBRIA

RAVENLORD/MYSTIC PROPHECY

レイヴンロード/ミスティック・プロフェシー

SPIRITUAL BEAST IUCP-16123 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 ドイツ/ギリシャ出身の多国籍バンドの7枚目のアルバムです。ドラマーが交替しています。

 ヘヴィリフで聴き手を圧倒していくダウンテンポの1からハスキーヴォーカルとソリッドなギターがメタリックでアグレッシヴなムードを高めていくアルバムは、ダーティな歌唱と激しいギターリフの応酬で突っ走るスラッシーな2、エモーショナルなムードと高圧のリフが折り重なって押し寄せるミッドテンポの3、クランチーなリフで切り刻む4は展開の激しいダイナミックなスピードナンバー、湿ったメロディで迫るエモーショナルなミッド〜アップテンポの5、メランコリックなイントロからストロングスタイルのサウンドが展開されるミッドテンポの6、ミステリアスなイントロからダイナミックに展開する7はダークなアップテンポのナンバー、ザクザクしたリフで押し込む威嚇的でアグレッシヴな8、激しいイントロから唸りを上げるリフがドラマティックに展開するスリリングな9、10はオジー・オズボーンの激しいカバー、ボーナストラックの11はミッドテンポのヘヴィでエモーショナルな楽曲が収録されています。

 アグレッションを高めて先鋭的になったサウンドは、正統派の域を超えエクストリームなメタルサウンドへと接近し、更なる高みを目指す意気込みを見せ付けていきます。スピードよりも重量感、キャッチーさよりも情念の高まりに主眼を置いたスタイルは完成度を高めており、メリハリの効いた楽曲はかなり聴き手の体力を要求していきます。日本ではちっとも受けそうに無いヨーロピアン正統派ヘヴィメタルの最新サウンドが堪能できる一枚でした。
同系統アルバム
DYSTOPIA/ICED EARTH
DECISIVE/SABER TIGER
RAZORBACK KILLERS/VICIOUS RUMORS

鬼子母神/陰陽座

KISHIBOJIN/ONMYO-ZA

KING RECORDS KICS-1733 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

 日本が誇る妖怪バンドの10枚目にしてトータルコンセプトアルバムです。

 センチメンタルなメインモチーフからダイナミックに展開するイントロダクションで開幕するアルバムは、メタリックなギターリフが攻撃的に迫るドラマティックな男性ヴォーカルが主導する2でスリリングに進んでいきます。タイトなビートを刻む3は女性ヴォーカルと硬質なギターリフが暗く展開していくグルーヴィなナンバー、悲壮感漂うイントロからの4はアメリカンパワーメタル的なソリッドな仕上がりのアグレッシヴなナンバー、民謡的なフレーズとファンキーなギタープレイが融合する孤高のアッパーなチューンの5、センチメンタルなバラードナンバーの6、哀愁帯びたメロディで迫るメランコリックな7、おどろおどろしいイントロからの8はソリッドなリフが見せるダイナミックな展開のアップテンポのシリアスなナンバー、勇壮さと物悲しさが共存するタイトなミッドテンポの9、メランコリックなムードと情念が高まるミッド〜アップテンポの劇的ナンバーの10、哀愁のエモーショナルナンバーの11、メインモチーフが再び登場の12はこれまでのすべての感情が詰め込まれていくドラマティックなナンバーで、余韻の残るアウトロで幕を閉じます。

 コンセプトアルバムならではのバラエティに富んだ楽曲と、ダークなストーリーに基づいた統一感が交錯するアルバムは、バンドのこれまでの活動の集大成的な側面を持った迫真の仕上がりになっています。アルバム全体での劇的演出と、楽曲単体での曲順の問題と言うコンセプトアルバムがもたらす利点と欠点の両者が共存していますが、全体としては物語世界への没入度を高めるものになっており構成力の高さを伺わせます。満を持して発表した10枚目のアルバムとして、バンドとしてもファンとしても溜飲を下げる完成度の高い一枚でした。
同系統アルバム
OPERATION: MINDCRIME/QUEENSRYCHE
POETRY FOR THE POISONED/KAMELOT
THE UNFORGIVING/WITHIN TEMPTATION