ALBUM COLLECTION バックナンバー 2009

January Februaly March April May June July August September October Nobember December


  1. ARCHANGELS IN BLACK/ADAGIO
  2. LULLABIES FOR THE DORMANT MIND/THE AGONIST
  3. BLACK SAILS AT MIDNIGHT/ALESTORM
  4. SHOW YOUR COLORS/AMORAL
  5. MENTALIZE/ANDRE MATOS
  6. THE ROOT OF ALL EVIL/ARCH ENEMY
  7. RIDE THE SKY/AT VANCE
  8. THE BLACK SWAN EPILOGUE/BIBLEBLACK
  9. DEFLORATE/THE BLACK DAHLIA MURDER
  10. TABULA RASA/BLOODBOUND
  11. UNEXPECTED FATE/BULLDOZER
  12. EMPYRE/BURNING POINT
  13. GATHER THE FAITHFUL/CAIN'S OFFERING
  14. VENDETTA/CELESTY
  15. ENDLESS ECHO/CONSTRUCDEAD
  16. AS THE PATH UNFOLDS.../CRIMFALL [IMPORT]
  17. SILENT SYMPHONY/DELIRION
  18. DAY OF MOURNING/DESPISED ICON
  19. FRAME/DGM
  20. THE ISOLATION GAME/DISARMONIA MUNDI
  21. BLACK CROUD & SILVER LININGS[DELUXE EDITION]/DREAM THEATER
  22. FROM AFAR/ENSIFERUM [IMPORT]
  23. DESIGN YOUR UNIVERSE/EPICA
  24. SCORE TO A NEW BEGINNING/FAIRYLAND
  25. BALLADS OF A HANGMAN/GRAVE DIGGER
  26. NO SACRIFICE, NO VICTORY/HAMMERFALL
  27. TO THE NINES/HATESPHERE
  28. THE EVOLUTION OF CHAOS/HEATHEN
  29. THE DEVIL YOU KNOW/HEAVEN & HELL
  30. CARPE DIEM/HEAVENLY
  31. UNARMED - BEST-OF 25TH ANNIVERSARY/HELLOWEEN
  32. THE DEATH OF THE ARTISTS/HIGHLORD
  33. SHADOW OF THE RED BARON/IRON MASK
  34. KILLSWITCH ENGAGE[SPECIAL EDITION]/KILLSWITCH ENGAGE
  35. IN THE BLACK/KITTIE
  36. KARKELO/KORPIKLAANI
  37. HORDES OF CHAOS/KREATOR
  38. SHALLOW LIFE/LACUNA COIL
  39. THE ONSLAUGHT/LAZARUS A.D.
  40. CULT OF THE DEAD/LEGION OF THE DAMNED
  41. DARK HOURS/LIONS SHARE
  42. DOUBLE MOON/LIV MOON
  43. SET IN STONE/LORD
  44. THE ABSENCE/LUNA MORTIS
  45. EXECUTIONER/MANTIC RITUAL [IMPORT]
  46. ENDGAME/MEGADETH
  47. GROUNDED -CHAPTER EIGHT-/METALIUM
  48. PULSE FOR A GRAVEHEART/MIND KEY
  49. TIME TO CHANGE IT/MIND ODYSSEY
  50. FIREANGEL/MYSTIC PROPHECY
  51. 金剛九尾/陰陽座
  52. OUTRAGE/OUTRAGE
  53. ONE PATH/PAINDIVISION
  54. RIOT SQUAD/PARADOX
  55. SUNLESS SKIES/PATHOSRAY
  56. 16.6(BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU'RE DEAD)/PRIMAL FEAR
  57. ...SO IT BEGINS/ANOTHE ROUND/PROFUGUS MORTIS
  58. GIB DICH NIE AUF/RAGE
  59. OF DOOM AND DEATH/SAVAGE CIRCUS
  60. A-LEX/SEPULTURA
  61. DIGITAL GHOSTS/SHADOW GALLERY
  62. RETRIBUTION/SHADOWS FALL
  63. WORLD PAINTED BLOOD/SLAYER
  64. THE DAYS OF GRAYS/SONATA ARCTICA
  65. FEEL THE STEEL/STEEL PANTHER
  66. POLARIS/STRATOVARIUS
  67. CROGACHT/SUIDAKRA [IMPORT]
  68. BACK TO THE NOOSE/SWASHBUCKLE
  69. DAWN/THY MAJESTIE
  70. DOMINATOR/U.D.O.
  71. NECROPOLIS + TO LIVE!!!/VADER
  72. INFINI/VOIVOD
  73. WAKING INTO NIGHTMARES/WARBRINGER
  74. EQUILIBRIO/XYSTUS

January

DGM | LEGION OF THE DAMNED | RAGE | SEPULTURA | THY MAJESTIE | XYSTUS |

FRAME/DGM

フレイム/DGM

MARQUEE MICP-10816 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001LKQN18  イタリア出身のバンドの2008年に発表された7枚目のアルバムです。ヴォーカリストが交替していますが、サウンド面は更にパワーアップしています。

 スペーシーなキーボードからドラマティックに突進していくダイナミックなスピードナンバーの1で幕を開けるアルバムは、アグレッシヴに迫るタイトでテクニカルな2、躍動感あるフレーズで畳み掛けるファンキーな3は新機軸。スリリングなプレイで進む4はソリッドな音像が情感を導くシャープなナンバー、合唱隊が加わったヘヴィなインストゥルメンタルの5を挟んで、ダークでヘヴィな感覚が強まるソリッドに飛翔する6へと。エキゾティックなメロディラインとヘヴィなリフが絡み合うムーディでエモーショナルな7、テクノ風のイントロから情感豊かに飛翔していくアップテンポの哀愁ナンバーの8、物悲しいムードを高めていくソリッドな質感のファストチューンの9、不穏なムードで始まる10はキラキラしながら駆け抜けていくアップテンポのナンバーで、開放感の強いコーラスが印象的。センチメンタルなムードが高まる壮大なパワーバラードの11、ボーナストラックの12はフランス在住インドネシア人アーティスト、アングンのヘヴィなカバーが収録されています。

 緊迫感と躍動感あふれるテクニカルなサウンドは益々キレ味鋭く、緊張と緩和を繰り返しながらダイナミックに展開していき、このスタイルの既に完成形に近いものになっています。ブルージーだったり、フュージョンだったりする多様性を揃えつつ、馬力のあるハイトーンヴォーカルの表現力も前任者を上回るほどの力量を感じさせ、変わらぬキーボードとギターの高密度のプレイで圧倒する音世界は色彩豊かに情感を高めていきます。 現在のHMシーン的にブレイクする見込みは少なそうですが、既にバンド結成時のメンバーが居ないことを忘れさせるほどの確固としたヴィジョンを描き出していく、イタリアン・プログレパワーメタルの真髄を味わえる一枚でした。
同系統アルバム
PATHOSRAY/PATHOSRAY
GOD'S EQUATION/PAGANS MIND
PARADISE LOST/SYMPHONY X

CULT OF THE DEAD/LEGION OF THE DAMNED

カルト・オヴ・ザ・デッド/リージョン・オヴ・ザ・ダムド

SPIRITUAL BEAST POCE-16046 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001KNVIAW  オランダ出身のバンドの2008年に発表された4枚目のアルバムです。

 暴虐で破壊的なデスラッシュを作り続けているバンドですが、このアルバムはブラックメタル的なおどろおどろしさを持ったイントロダクションからイーヴルなサウンドを展開しており、切れ込んでくるソリッドなリフに炸裂するデスヴォイスが被さるミドルテンポ〜ファストに翻る呪詛めいた2から初期スラッシュメタル風の不穏なムードたっぷりな世界観を構築していきます。窮屈なリフで疾走していく3はモービッド・エンジェルを彷彿とさせる畳み掛けるヴォーカルで圧倒するファストナンバー、一気に加速する突進ナンバーの4、ミドルテンポの威圧感たっぷりのイントロから急加速を繰り返していく5は意外なところからクトゥルー神話テーマキタ――(゜∀゜)――!!な破戒的なナンバー。荘厳なイントロから涜神的な世界観を邪悪に展開させていくミドルテンポの6、陰惨なテーマを激しく攻撃的に突撃していく7、威圧感たっぷりのリフで押し込んでくる8は起伏も激しく迫ります。過激に特攻していく9は古代神話的な世界を攻撃的に描き出し、アンチクライストな10は躍動するリフが邪悪に迫る緩急の強いアップテンポのナンバー、黒いムードが蔓延していく12は黙示録的な雰囲気を重量感たっぷりに描き出すヘヴィナンバー。 ボーナストラックの12〜20にはライヴの模様が収録されています。

 全体的な雰囲気が攻撃性と共に邪悪さを増大させ、デスラッシュとブラックメタルを合わせてみたら、何だか益々スラッシュから派生し始めた初期のデスメタルっぽいサウンドになってしまったアルバムですが、バンドイメージとしては多分あるべき姿に近づいている背徳的でいかがわしい代物。世間に忌み嫌われるヘヴィメタルかくあるべし、と言った感の歌詞世界が唸りを上げるサウンドで叩きつけられていく様が、スラッシュメタル〜デスメタルの衝動性とシンクロしていく一枚でした。
同系統アルバム
INCINERATE/DEW-SCENTED
DISMEMBER/DISMEMBER
REPTILE RIDE/AMORAL

GIB DICH NIE AUF/RAGE

ネヴァー・ギヴ・アップ!EP/レイジ

MARQUEE MICP-10815 [EXTRA] >>>>>BUY...?

B001LKQN0Y  前身バンドのアヴェンジャーから数えて結成25周年となったドイツのパワーメタルバンドの記念盤です。

 1はドイツ語で唄われる新曲で、彼ららしいパワフルなリフと勢いのあるクワイアで盛り上がるドラマティックなナンバー、2は“FULL MOON”のドイツ語バージョン、3は1の英語バージョン。4は新曲でスラッシーなリフで突き進む攻撃力の高いパワーメタリックな一曲。 5は最新アルバムからの楽曲のオーケストラバージョン。6はオーケストレーションされた新曲で優しい曲になっています。ボーナストラックには“FULL MOON”のロシア語とスペイン語バージョンが収録されています。

 未聴の人でもレイジが如何なる存在なのか位は分かる代物ですが、まあ完全に熱心なファン向けのアイテムなわけで。おめでたいことには御祝儀が付き物だって言うことで、今後の活動の景気付けになるとバンザイな一枚です。

A-LEX/SEPULTURA

A-LEX/セパルトゥラ

MARQUEE MICP-10820 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001K2KHLY  ブラジル出身のバンドの11枚目のアルバムです。オリジナルメンバーのカヴァレラ弟が脱退して、新しいドラマーを迎えて製作された「時計仕掛けのオレンジ」を題材にしたコンセプトアルバムです。

 ミステリアスで不穏なイントロダクションで幕を開けるアルバムは、アグレッション全開の凶悪な2で激しい爆発力を見せながら進んでいきます。トライバルビートを絡めつつタイトに迫るソリッドな音像の3、のたうつようなダークさとヘヴィネスが絡まりあう4、躍動するヘヴィロックナンバーの5、場面が変わって再びミステリアスで不穏なインストナンバーの6を経て、威嚇的なリフで襲い掛かるアグレッシヴなミドルテンポの7、ヘヴィでグルーヴィに展開していく怪しい8、ミステリアスなメロディとタイトなビートが交錯していく9は浮遊感と緊迫感を合わせ持った長編。唸りを上げるヘヴィリフで迫りつつ破壊力を上げていく10、グルーヴィなリフが圧迫感を伴って突き進む11、再びインターミッションの12を挟んで、威嚇するヴォーカルと緩急の激しいリフが交じり合っていくソリッドな13、トライバルなリズムを刻む14は閉塞感の強いメロディが繰り出される鬱屈したナンバー。ほとんどインストなスラッシーに突っ走る15で開放感を生み出しつつ、いくらモチーフ的にアリとは言え、このバンドでまさか!の「交響曲第九番」のオーケストラと競演のメタルアレンジの16で聴き手に衝撃を与えていきます。三度インターミッションの17から一転、爆走ナンバーの18で余韻も吹き飛ばして原作に忠実にアルバムは幕を閉じます。

 知的で文学的なテーマを暴虐的なサウンドイメージで創り出して行くスタイルが定着しつつあるバンドですが、暴力と秩序が交錯していく物語を自分達の解釈で描き出しており、重層的な世界を構築していきます。マックス・カヴァレラ以降のバンドの方向性の集大成とも言えるアルバムは、これまでに無かったアプローチなども加えて自由な感性を広げており、ヘヴィミュージックとして新たな展開を見せようとする意欲を感じさせます。カヴァレラ兄弟も個々の活動で能力を存分に発揮していることを見れば、今更オリジナルメンバーで再結成なんぞ止めておいたほうが袂を分かったアーティスト同士のためだろうと思わせる完成度の意欲的な一枚でした。
同系統アルバム
CONQUER/SOULFLY
COMMUNION/SEPTICFLESH
RESURRECTION/CHIMAIRA

DAWN/THY MAJESTIE

ドーン/ザイ・マジェスティ

SOUNDHOLIC YZSH-1002 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001JECEN2  イタリア出身のバンドの4枚目のアルバムです。ヴォーカル、ギタリスト、ベーシストの三人が交代という大変な事態に陥りましたが、無事完成に漕ぎ着けています。

 前任ヴォーカルよりはソフトな感触が強いハイトーンヴォーカルを中心にしたアルバムは、三章に分かれたコンセプトものになっており、荘厳なイントロから哀愁メロディを紡ぎだしていくセンチメンタルな1からエモーショナルなソロパートで盛り上げるドラマティックな楽曲をそろえています。ダークな色彩が忍び寄る2は重苦しいパートから速度を上げていく悲壮感の強いナンバー、物悲しいメロディを広げていくインストの3から、哀愁感を加速させていくエモーショナルな4へと。第二章ではピアノのイントロから合唱隊による重厚感あふれるエピックメタル的な展開を見せる5、スピードを上げていく6はスリリング展開を孕んで突っ走るドラマティックなナンバー、さらに連続していく7は劇的さと緊迫感が交錯していくインストナンバー、そして情感を高めていくドラマティックな8へと繋ぎ、荘厳なインストの9へと。躍動感のあるリフで走っていくファストナンバーの10で区切りを付けると、第三章では、シリアスなムードが高まる11で勢いのあるクワイアを聴かせつつ、ケルティックなソロパートで哀愁たっぷりに迫り、レッスン中みたいなピアノの調べが切ないイントロからセンチメンタルに疾走していく12ではデジタルエフェクトなヴォーカルが登場。ボーナストラックにはセカンドアルバムからの楽曲のアコースティックバージョンが収録されています。

 大幅なメンバーチェンジによる影響か、スタイルはそれなりに継承しているものの前作までの大仰な勇壮で壮大な展開は大分薄らいで、普遍化の進んだ哀感たっぷりのメロディ満載のサウンドを展開させています。エピックメタル路線から電子的なエフェクトも少なくないメロディックメタルへの転身は以前のスタイルが気に入っていた人にはかなり落胆させられそうですが、実験的な楽曲の方が印象的とか作品の出来としては安定しておりこのベクトルの変化が納得できるとそれなりに満足できそうな一枚です。
同系統アルバム
SWEET BLOOD THEORY/SECRET SPHERE
DIMENSIONS/FREEDOM CALL
AGONY - GIFT OF LIFE/INSANIA

EQUILIBRIO/XYSTUS

エクイリブリオ/ジスタス

SOUNDHOLIC YZSH-1003 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001JECENC  オランダ出身のバンドの三枚目のアルバムにして、独自の神話的な世界観をメタル・オペラとして表現した作品になっています。ゲストとしてメタル畑としてエピカのシモーネ・シモンズやオーファネイジのジョージ・オーストーク、さらに著名なミュージカル俳優を迎えて製作されています。

 ミステリアスに始まるイントロダクションが壮大に展開していくシンフォニックなサウンドが繰り広げられていくアルバムは、シモーネ・シモンズ演じるレディ・ソフィアの繊細な歌声が響く2へと進んでいき、ドラマティックな展開で世界観を大きく広げていきます。リリカルなイントロから朗々としたメロディを紡いでいく3は急転スリリングな展開を見せていく男性ヴォーカルの力強い歌唱を聴かせる雄大なナンバー、ダークなムードが高まる4はデスヴォイスとの掛け合いも聴かせる緊迫感と叙情感の強まる重量感のあるナンバー、スピード感のある5はメタル色が強まったパワフルなナンバーで男女ヴォーカルの絡み合いにコーラス隊もドラマティックに迫ります。重厚なオーケストラが緊張感を高めていく6はヴォーカルパートが交錯しながら情感を高めていく劇的ナンバー、不穏なムードが醸造される7は男女ヴォーカルによるエモーショナルなバラードで終盤の劇的展開が印象的。牧歌的なイントロから女性ヴォーカルがメインのセンチメンタルなナンバー、叙情的なメロディの9は男性ヴォーカルのエモーショナルなスローナンバー。暗いムードがパワーのある男性ヴォーカルによって打ち払われていく10はデスヴォイスの乱入も加わるダイナミックな展開の雄大なナンバー。物悲しいムードが高まる11は情感豊かなオペラ色の強まる曲から、最後のナンバーは壮大かつ優雅に展開していきクライマックスを迎えます。

 独立記念日コンサートの特別なプロジェクトと言うことで、バンド自体の実力の方は発揮されてはいませんが、作曲能力と高い構成力は遺憾無く表現されているシンフォニックなサウンドが詰め込まれています。完全にオペラと言う代物で、個々のヴォーリストの表現力に圧倒されると共に、壮大で重厚なオーケストラが繰り広げる迫力ある楽曲が鮮やかに眼前に広がります。とても、日本でこれが再現されるとは思えませんが、バンドのアーティスティックな側面が堪能できる渾身の力作です。
同系統アルバム
01011001/ARYEON
THE SCARECROW/TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA
GHOST OPERA/KAMELOT





Februaly

HAMMERFALL | KREATOR | MIND ODYSSEY | PAINDIVISION |

NO SACRIFICE, NO VICTORY/HAMMERFALL

ノー・サクリファイス,ノー・ヴィクトリー/ハンマーフォール

MARQUEE MICP-30005 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001PRSOXC  スウェーデン出身のバンドの7枚目のアルバムです。バンド結成時のベーシストが復帰し、ギタリストには元ザ・プードルスのポンタス・ノルグレンが加わって製作されています。

 パワフルなクワイアと重厚なリフで押していく1で幕を開けるアルバムは、よりオーセンティックな方向へと進んだものとなっています。フックのあるビートで迫る2は勇ましいコーラスとキャッチーなメロディが融合していくアップテンポのロックナンバー、アクセプトみたいなリフを繰り出す3は雄々しいコーラスと共に重厚に迫るミドルテンポのナンバー。おどろおどろしいイントロからキレのあるリフを繰り出す4はいつもの調子のキャッチーなファストナンバー。荘厳なイントロからの5は壮大なバラードナンバー、ソリッドなギターリフが刻まれていく6はタイトなヘヴィナンバー。ドラマティックなイントロから扇情的なメロディを紡いでいくネオクラテイストもあるインストの7、タイトルトラックは分厚いクワイアで圧力を増していく重厚で情感豊かなナンバー。エモーショナルなヴォーカルを中心に進むダイナミックな9、アルバムのハイライトなテンション上げてドライヴしていく展開の激しい10は静と動のコントラストも激しく盛り上がります。ある意味衝撃的な11はザ・ナックの有名曲のカバーが収録されています。

 あの特徴的だった“ハイトーン”の使用が抑えられて中低音域で勝負するようになったことで、より古典的で正統派なサウンドが強化されている事を強く感じさせるアルバムに仕上がっているわけですが、今となってみればソフトと言うかヘナチョコなヴォーカルスタイルが減ってしまうと何だか寂しいことに気付いてしまったり。新ギタリストからのインプットも加わって躍動感の活気にあふれるサウンドになっており、バンドの安定感を窺わせます。キャリア的にはベテランに差しかかろうかと言うバンドの強力なサウンドが楽しめる一枚でした。
同系統アルバム
INCUBUS -CHAPTER SEVEN-/METALIUM
THIS PRESENT WASTELAND/METAL CHURCH
CRASH & BURN/SINNER

HORDES OF CHAOS/KREATOR

ホーデス・オブ・ケイオス/クリーター

KING RECORDS KICP-1345 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001LWK25O  ジャーマンスラッシャーの2008年に発表された12枚目のアルバムです。

 ドラマティックに展開していくイントロから爆走していく突進ナンバーのタイトルトラックから、起伏の激しいスラッシーな楽曲を揃えてきたアルバムは、初期のアグレッションと最近のダイナミズムが高い位置で融合していく凄まじいサウンドを作り出しており、唸りを上げる凶暴なリフで突撃していく破壊力満点の猛烈な2ではフラッシーなギターソロからのアドレナリンが吹き上がる怒涛の展開を聞かせていきます。タイトに繰り出される起伏の激しいギターリフで進む3はメロディとアグレッションが交差するコーラスが激しいコントラストを生み出していく曲、リリカルなイントロからの4は凶悪なヴォーカルがダークな感覚を高めながらトップスピードまでジリジリ加速していく壮絶なナンバー、グルーヴィなリフで圧迫感を高めていく5はミステリアスなメロディを絡めたドルテンポのナンバーで終盤からの加速が印象的。一気に爆走していく6はアジテイトしていくコーラスで煽りつつ伝統的なヘヴィメタル展開をも見せる多様性を持った曲、ミステリアスなイントロから一転突っ走っていく7は緩急をつけて高速インストパートへと突入していくスリリングな展開の楽曲。暗く物悲しいメロディを紡いでいく8はエモーショナルなミドルテンポのパートから加速してアグレッシヴに翻る壮絶なダイナミズムを生み出していく劇的な一曲に仕上がっています。エピックメタル的な勇壮なインストの9から、一気に爆走していく10はフラッシーなギターソロとダイナミックな攻撃性を見せ付けながら炸裂していきます。

 スラッシュ路線に復帰してからのアルバムでは、それまでに模索していたスタイルの蓄積が全て開花した再びのキャリアハイなものになっており、現在のシーンをも内包して今なお進歩し続けるバンドの貪欲な姿勢と地力を鮮明に表していきます。強烈なアグレッションと哀感帯びたメロディ、更にヘヴィメタル然とした構成力の高い曲展開が組み合わさって新世代スラッシャー達を粉砕する壮絶なサウンドが迫りくる様は正にエクストリーム。ベテラン・スラッシャー達の活発な活動が目立つ近年の風潮を象徴する凶悪な代物に仕上がった、次のアルバムの出来が心配になる恐るべき一枚です。
同系統アルバム
D.E.V.O.L.U.T.I.O.N./DESTRUCTION
VERSUS/THE HAUNTED
CONQUER/SOULFLY

TIME TO CHANGE IT/MIND ODYSSEY

タイム・トゥ・チェンジ・イット/マインド・オディッセイ

MARQUEE MICP-10812 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B0012AXSXS  現レイジのヴィクター・スモールスキが在籍していたドイツ出身バンドの10年ぶり復活5thアルバムです。オリジナルヴォーカリストと新ドラマーのトリオ編成で製作されています。

 ドライヴ感の強いビートからパワフルなリフを繰り出していくダイナミックな1で復活の狼煙を上げるアルバムは、グルーヴ感の強まるヘヴィナンバーの2でルーズな空気を演出してエモーショナルな側面も見せていきます。クランチーなギターリフで畳み掛ける3は躍動感あふれるフィーリングのアッパーな曲、ダークな色彩の4は実験的な頃のガンマ・レイみたいなグルーヴィなナンバー。ファンキーな感触もあるソリッドなリフが印象的なアップテンポの5、哀愁感と叙情感が交錯していく正統派ヘヴィメタルの命脈を受け継ぐ重厚なドラマティックナンバーの6では鮮やかなインストパートで盛り上げます。ムードを一転してパワフルに突進していくリフとテクニカルなソロパートが炸裂するエキサイティングなナンバーの7、そしてタイトルトラックは壮大な世界が展開されていく劇的な楽曲。とてもプライマル・フィアっぽいパワーメタルナンバーの9、エモーショナルで壮大なパワーバラードの10で落ち着いた雰囲気で締めます。

 ヴィクター・スモールスキの仕事も既にレイジの方が長くなってしまっているので、聴き手の方もさすがに聴き慣れたと言うか影響を感じずにはいられませんが、独自色の強かったサウンドは確かに息づいており、レイジよりもテクニカルでフリーなスタイルの楽曲を揃えています。若干、オーセンティックなパワーメタル色が強まっていますが、創作意欲あふれるアーティストの別の側面を垣間見せる充実の復活アルバムでした。
同系統アルバム
CARVED IN STONE/RAGE
GOD'S EQUATION/PAGANS MIND
FRAME/DGM

ONE PATH/PAINDIVISION

ワン・パス/ペインディヴィジョン

SOUNDHOLIC YZSH-1005 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001MKX72U  元ダンジョンのギタリストが結成したオーストラリア出身のバンドの2008年発表のセカンドアルバムです。レコーディング後にヴォーカルとドラマーが脱退しています。

 のっけから、サムライの心構えを語る日本語ナレーションで聴き手を色々な意味で驚かせるイントロダクションから、ソリッドなギターリフが展開されていく中、ダミ声ヴォーカルが吼えるシリアスなパワーメタルの2が繰り出されていくアルバムは、クランチーなリフで突き進んでいくダイナミックな起伏を持ったミドルテンポの3、ザクザクしたリフでドライヴしていく4は叩きつけるようなヴォーカルが攻撃性を生み出すソリッドなナンバーでエモーショナルなギターソロが印象的。テクニカルなインストパートを孕むダークなヘヴィロックナンバーの5、閉塞感高まるギターリフがのたくるグルーヴィなナンバーの6、タイトルトラックは暗いパートから感情を高めていくミドルテンポのナンバー。8はオジー・オズボーン風味のアップテンポの曲、9は至って普通なアクセプトのカバー、10は郷愁を呼び起こすアウトロ。ボーナストラックの11はライヴ、12はラウドネスのカバーが収録されています。

 日本語ナレーションが様々な期待感を高めてくれるものの、中身の方は90年代風アメリカン・パワーメタル的なサウンドが実直に展開されていく代物で、サムライらしさはほとんど感じられないあたりが肩透かし。モダンヘヴィネス経由のパワーメタリックなサウンドは攻撃性と勢いはありますが、ダンジョンにあったメロディアスな部分は大方置いてきてしまったようで、硬質感とダークな空気が充満しています。通好みと言うか地味なサウンドが繰り出されて、ナレーションでの出オチ感が否めないところですが、真面目にヘヴィメタルをやっている意欲は感じさせる一枚です。
同系統アルバム
PARASITE OF SOCIETY/HEADHUNTER
KILLING SEASON/DEATH ANGEL
THIS PRESENT WASTELAND/METAL CHURCH





March

BLOODBOUND | CELESTY | CONSTRUCDEAD | CRIMFALL | GRAVE DIGGER | MANTIC RITUAL | PROFUGUS MORTIS | SUIDAKRA |

TABULA RASA/BLOODBOUND

タブラ・ラサ/ブラッドバウンド

MARQUEE MICP-10830 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001Q6IGNU  スウェーデン出身のバンドの三枚目のアルバムです。オリジナルヴォーカリストに戻して製作されています。

 荒れた声質のパワーヴォーカルが歌い上げるソリッドでタイトなギターリフと哀愁帯びたメロディが交錯していくドラマティックなパワーメタルナンバーの1で幕を開けるアルバムは、これまでの作風を加速させるものになっています。ヘヴィリフがズシリと迫るダークな雰囲気の2は哀愁メロディのコーラスでエモーショナルに展開します。エッジを効かせたリフで押してくる3はサビがやたらとカッコイイ、シリアスなハードロッキンなナンバー。タイトなビートがキャッチーなコーラスを巻き込んでいく躍動的なナンバーの4、哀感たっぷりのイントロからヘヴィリフを繰り出していく5は繊細なメロディを紡ぎだすエモーショナルなナンバー、唸りを上げるギターリフが攻撃的に迫る6は叙情的に広がるコーラスで飛翔感を演出していきます。叙情的なイントロから不穏な空気を高めていきスリリングな展開を見せるアップテンポの7、イン・フレイムスっぽいムードを持った8は情念込めたミドルテンポの哀愁ヘヴィナンバー。クランチーなリフを叩きつけていく9はエモーショナルなヴォーカルが炸裂する劇的ナンバー、ザクザクたヘヴィリフが迫る10はタイトなビートで叩きつけ、ダークなサビへと導くアップテンポのナンバー、ボーナストラックのインストゥルメンタルナンバーの11はダークでシリアスなムードが高まる一曲になっています。

 アイアン・メイデンなどの正統派バンドの影響下にあった前作までの既視感の強いスタイルは、北欧的な叙情メロディ満載のメロディック・パワーメタルへと変貌を遂げ、シリアスな姿勢を感じさせるサウンドが展開されていきます。方向性はそのままに独自性を前面に押し出した楽曲は、重量感と硬質感を急上昇させていき、力強く説得力のあるものとなっていてバンドの意気込みを見せ付けます。柔らかい空気もあったこれまでとはアルバムのムードがかなり違っていますが、ストロングスタイルになってもメロディ満載でフックのある心機一転な一枚でした。
同系統アルバム
TIME TO CHANGE IT/MIND ODYSSEY
THE 8TH SIN/NOCTURNAL RITES
THE PREMONITION/FIREWIND

VENDETTA/CELESTY

ヴェンデッタ〜復讐の時/セレスティ

MARQUEE MICP-10828 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001Q6IGNK  フィンランド出身のバンドの4枚目のアルバムです。メンバーは前作からは変わっていません。

 コンセプトアルバムとなって壮大な雰囲気のシンフォニックなイントロダクションで幕を開ける今作は、そのムードを引き継いだドラマティックなアップテンポの楽曲でハイトーンヴォーカルとオーケストレーションサウンドを聞かせていきます。緊迫感高まるリフワークで進む3は攻撃性と哀愁メロディを高めたスピードナンバー、オーケストレーションが炸裂するスリリングなイントロから乱舞するギターリフで突き進むシンフォニックな劇的スピードナンバーの4、ナイトウィッシュばりのコーラスワークで盛り上げるセンチメンタルな叙情ナンバーの5、叙情感高まるメロディとソリッドなリフを交差させていく壮大なミドル〜ファストナンバーの6、ミドルテンポのエピックなムードが高まる7はマノウォーライク。壮大なムードが高まる8は叙情メロディで加速していくメランコリックなアップテンポのナンバー、不穏な空気を孕みつつダークなリフで迫る9はタイトなビートを響かせるエモーショナルなナンバー。哀愁メロディを振りまきながら躍動的に進むアップテンポの10、彼らのライフワーク的なナンバーの第三弾の11は女性ヴォーカルやデスヴォイス更に荘厳なクワイアなどもフィーチュアした組曲形式の大作になっています。ボーナストラックの12は高速ソロパートを加えた哀愁帯びたアップテンポのナンバーが収録されています。

 しばらく離れているうちに壮大さやドラマ作りがすっかり手馴れて立派なシンフォニックメタルとなっていたバンドは、北欧仕込みのメロディとスピード感高まる曲展開に爽快感がいや増すサウンドを作り出しており、さしずめドラマ性に振り切ったソナタ・アークティカと言った具合です。B級イメージがかなり払拭されて安定感のある力強い楽曲を揃えてくるあたりにバンドの状態の良さや順調な成長っぷりを窺わせたりする会心の一枚でした。
同系統アルバム
AUTUMNAL/DARK MOOR
SWEET BLOOD THEORY/SECRET SPHERE
MY EARTH DREAM/EDENBRIDGE

ENDLESS ECHO/CONSTRUCDEAD

エンドレス・エコー/コンストラクデッド

SOUNDHOLIC YZSH-1007 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001OI1CVS  スウェーデン出身のバンドの4枚目のアルバムです。リズム隊を変更して製作されています。

 唸りを上げるブラストビートとクランチーなギターリフが嵐を呼ぶ壮絶な展開の1から繰り出されていくサウンドは、哀愁帯びたメロディアスなコーラスが加わる起伏の激しいものになっており、方向性を多少変更しています。タイトなドラミングで始まる2はブルータルな突撃パートと高圧パートで押し切る突進ナンバー、クランチーなリフがジリジリ迫る3はダーケインっぽい展開を見せつつエモーショナルなコーラスとギターソロに突入するテクニカルなナンバー、エッジの効いたリフで進むヘヴィな4は緩急を付けつつダークに迫ります。畳み掛けるリフワークで圧倒していく5でもエモーショナルなコーラスへ収束します。攻撃的に迫る6はデスヴォイスとノーマルヴォイスが交錯していく情動的なミドルテンポのナンバー、不穏な空気を高めつつ突進していく7でもエモーショナルな展開で盛り上げ、脇目も振らない突撃ナンバーの8ではスペーシーなコーラスが印象に残ります。コーラスで圧力を開放するヘヴィナンバーの9、凶暴さが情動へと転換されていく起伏の激しい10、ミドルテンポで重量感のあるリフを繰り出していく衝動性の強い11、アグレッシヴな暴走ナンバーの12、エモーショナルなムードが高まる扇情的なヘヴィナンバーの13でアルバムは幕を閉じます。

 突撃ブルータル路線一本槍だった前作からのサウンドはノーマルヴォイスの導入など、最近のエクストリームメタル寄りの方向性も見せつつバラエティに富んだものになっています。ギターソロにのみ見られたメロディアスなムードはコーラスにも強く及んでいますが、それでも攻撃的な姿勢が衰えることは無く、相変わらずの先鋭的な楽曲を揃えています。未だ凶暴性の高いサウンドではありますが、全体的には聴きやすくなってきた印象を与えており、関係の深いソイルワークやダーケインの影響を窺わせます。メンバーチェンジが相次いで、この先の方向性が不透明な感はありますが、一定の品質を維持出来た一枚でした。
同系統アルバム
DEMONIC ART/DARKANE
THE UNSPOKEN KING/CRYPTOPSY
SWORN TO A GREAT DIVIDE/SOILWORK

AS THE PATH UNFOLDS.../CRIMFALL

アズ・ザ・パス・アンフォールズ…/クリムフォール

NAPALM RECORDS NPR-206 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001O12TEY  フィンランド出身のバンドのデビューアルバムです。同郷のTWILIGHT OPHERAのデスヴォイス担当の男性ヴォーカルと元タセーレの女性ソプラノヴォーカルの二人を擁する三人組という構成になっており、ストリングスやコーラスなど残りのメンバーはゲスト扱いというスタジオ仕様。

 不穏な空気を高めていく重厚なオーケストラのイントロから始まるアルバムは、壮大で勇壮なフィーリングを持ったミドルテンポの2で、滑らかな女性ヴォーカルと炸裂するデスヴォイスが絡み合いながらフォーキーなメロディと雄々しいコーラスが重なってドラマティックに展開していきます。女性ヴォーカルに導かれる民謡調のメロディを躍動的に展開させていく3はデスヴォイスが徐々に勇壮なムードを加速させていき、女性ヴォーカルがシンフォニックに盛り上げる手の込んだナンバー、重厚なイントロから繊細な女性ヴォーカルとデスヴォイスが緊迫した空気を生み出していく壮大な劇的ナンバーの4、ミステリアスなインストゥルメンタルを経て、トライバルなリズムを刻むエキゾティックなイントロからの6はデスヴォイスが主導するアグレッシヴなパートと女性ヴォーカルの繊細なパートが交錯するコントラストの強い曲。緊張感高まるイントロから神秘的な女性ヴォーカルとデスヴォイスが絡むエモーショナルな7、不穏なイントロからの8は壮大さと攻撃性が重なり合う雄大なシンフォニックナンバー、優しいメロディを紡ぎだすバラードの9、フォーキーなメロディが積み重ねられていく10は牧歌的なムードをデスヴォイスが切り裂くコントラストの激しいナンバー、メランコリックなアウトロの11でアルバムは幕を閉じます。

 スケール感の大きいサウンドを縦横無尽に展開させていくアルバムは、スタジオ限定っぽい雰囲気があるとは言え、デビュー作とは思えない高い完成度で迫るもので、フォーキッシュなメロディとシンフォニックな土台が合わさりあった濃密な世界観を提示していきます。ある意味サウンドトラック的な手法を貫いているためライヴの再現度とかには不安が残りますが、尋常でないアーティスティックな感性を叩きつける渾身の一枚でした。
同系統アルバム
VICTORY SONGS/ENSIFERUM
DARK PASSION PLAY/NIGHTWISH
AFTER FOREVER/AFTER FOREVER

BALLADS OF A HANGMAN/GRAVE DIGGER

バラード・オヴ・ア・ハングマン/グレイヴ・ディガー

MARQUEE MICP-10831 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001KKRD7C  ジャーマンパワーメタラーの2008年に発表された14枚目のアルバムです。元ランニング・ワイルドのギタリスト、ティロ・ハーマンを加えて初のツインギター体制で製作されています。

 哀愁帯びた郷愁感漂うイントロダクションで始まるアルバムは、畳み掛けるギターリフが迫り勇壮なコーラスで盛り上げる高圧力のパワーメタルナンバーの2でダミ声ヴォーカルが炸裂するいつもと変わらぬ独自世界を築いていきます。タイトなリフが暗いムードを生み出していくアップテンポの3、クランチーなリフを叩きつけていくアグレッシヴでソリッドな仕上がりの4、ドライヴ感強まるリフが躍動する5はミステリアスな空気も孕みつつ進むアップテンポのナンバー。ドラマティックなイントロで始まる6はベネディクトの女性ヴォーカルがゲスト参加したエモーショナルなデュエット曲。怒涛の突進力を見せる馬力全開のスピードナンバーの7でムードを一変させると、ハードロッキンな8でドライヴ感を高めていきます。乾いたギターの響きに導かれる9は不穏なムードが高まるミドルテンポのメタリックなナンバーで情感豊かなギターソロが加わって盛り上げます。タイトなリフで重厚に迫る正統派メタルナンバーの10、叙情感高まるメロディを孕む開放的な空気も感じさせるエモーショナルな11。 ボーナストラックには、あまりにもハマり過ぎなモーターヘッドのカバーの12、ドライヴするアッパーで朗々とした13、重厚な14が収録されています。

 コンセプトアルバムではありませんが、全体を流れるテーマとしては曲調は揃えられており、パワーメタル然としたスタイルを維持しつつも勇壮さと哀愁を合わせ持つサウンドを作り出しています。アルバムの時点ではツインギターで製作されていたので、サウンド面ではそれほど違いはありませんが、新たなメンバーのインプットが加わったことで、極端なマンネリズムに陥ることもなく安心して聴かせるものになっています。新体制で来年結成30周年を迎えるバンドの充実度を感じさせる一枚でした。
同系統アルバム
BLADE OF TRIUMPH/IRON FIRE
PARASITE OF SOCIETY/HEADHUNTER
SEASONS OF TRAGEDY/BENEDICTUM

EXECUTIONER/MANTIC RITUAL

エクシキューショナー/マンティク・リチュアル

NUCLEAR BLAST 2137-2 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001F4T92A  2006年に結成された、アメリカ出身のバンドのデビューアルバムです。

 若い頃のジェイムズ・ヘットフィールドとデイヴ・ムステインを足して割ったようなハイテンションのヴォーカルが叫ぶ、激しく80年代なスラッシュメタルサウンドを展開していくアルバムは、エクソダスとメタリカを混ぜたような突撃ナンバーの1から攻撃的に疾走していき、初期テスタメントあたりを思い出させるクランチーなリフとフラッシーなギターソロが炸裂する威嚇的な2、躍動感のあるギターリフで弾む3は吐き捨てヴォーカルが叫ぶちょっと展開するアップテンポのナンバー。初期メガデスっぽいムードが残るフックのあるリフで展開する高速ギターソロも印象的に迫るアクティヴな4、不穏なイントロからダークに迫るイーヴルな5はスレイヤー風な苛烈さを持ったナンバー。イントロから徐々に加速していく6は威圧感たっぷりのリフで押し込んでいくキレのある展開を見せる長尺の曲、高速パートだけの“RATTLEHEAD”みたいな7、ギャロップしてローリングするメタリカっぽい8、スラッシュの名を冠する怒涛の突進ナンバーの9、起伏激しく威圧的に迫るファスト〜ミドルテンポの10から続く11はメロディアスなフレーズを重ねつつ進む“SEEK & DESTROY”みたいなミドルテンポのナンバー。

 ベテランスラッシャー達のデビュー時代を思い出させるフィーリングが散りばめられた懐かしささえ感じるサウンドは、最近のスラッシュメタル復権の流れを強く感じさせるものになっており強いリスペクトが窺えます。凝った展開とか考えられたフレーズとかはあまり気にしない、アクセルを緩めることが殆ど無い直球一本の潔さを見せる若さと勢いにあふれたベイエリアスタイルは、ギターリフの積み重ねで押し切ってみせる思い切りの良さが爽快感に繋がり、瞬発力のあるギターソロでテンションを加速させていきます。一気呵成の破壊力を見せる物怖じしない新人のまさにデビューアルバムと言う、スラッシュメタル黎明期に発表されていても人気が出ていそうな強烈な一枚でした。
同系統アルバム
CULT OF THE DEAD/LEGION OF THE DAMNED
DEATH MAGNETIC[STRONG EDITION]/METALLICA
D.E.V.O.L.U.T.I.O.N./DESTRUCTION

...SO IT BEGINS/ANOTHE ROUND/PROFUGUS MORTIS

…ソー・イット・ビギンズ/アナザー・ラウンド/プロファガス・モーティス

STAYGOLD ARTSG-027 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001RVA8XA  カナダ出身のバンドのデビューアルバム+ミニアルバムのカップリングアルバムです。女性ドラマーが居るという事と、カナダ出身でフォークメタルなスタイルで話題になっていましたが、ミニアルバム発表直後にバンド名をBLACKGUARDに変更してしまったので、この名義ではこれが最初で最後。

 まずデビューアルバムは、ヴァイオリンの物悲しい響きとデスヴォイスがフォーキーなメロディに乗せて叙情的に突っ走る1から、アグレッションとセンチメンタリズムが融合していくサウンドは、リリックなイントロから哀愁帯びたメロディを展開させていくシリアスな疾走ナンバーの2へ。けたたましく突進するパートとスローパートのコントラストが激しい威圧的な3、叙情メロディで突っ走る4はコケティッシュなフレーズを組み込んでファンタジックな空気を演出します。メランコリックなメロディがブラストビートと交錯するロマンティックなファストナンバーの5、スローテンポの6は激情のヴォーカルと郷愁を誘うメロディがエモーショナルに高まっていく曲で中盤の加速感が印象的。躍動的なメロディが二転三転していくダイナミックな劇的ナンバーの7、激しくメロディとビートがぶつかり合っていくファストナンバーの8、物悲しいインストゥルメンタルの9でアルバムは幕を閉じます。
 ミニアルバムは、壮大で豪華なイントロで度肝を抜きつつシンフォニックに突っ走ってみせる、ヴァイオリニストが抜けた穴をオーケストレーションで埋めたら溢れ出したみたいな華麗なサウンドが展開されていきます。勇壮なホーンがテンションを上げるアップテンポの2はエピックな感触が強まる小気味良いナンバー。キラキラしながら起伏激しく突っ走る3、シンフォニックなキーボードと一体となって疾駆するダイナミックな4、さらに空気を受け継ぎながら加速していく5、スリリングに疾走していく6はハイテンションを保ちながら一気に駆け抜けていきます。

 ファーストアルバムとミニアルバムの間ですら音楽性が変化しつつあると言うのに、バンド名まで変わってしまって、この先どうなるのかサッパリな感じですが、多彩なメロディワークと勢いのあるサウンドは保たれているもののダークな空気がゴージャスなムードに転換されていく様を見て取れます。ヴァイオリンの叙情感と言うファーストアルバムでの特徴が打ち捨てられた格好になったのは何ですが曲自体のクオリティは高いので、心機一転して作品を作り続けていってもらいたいと思わせる代物でした。
同系統アルバム
CAPTAIN MORGAN'S REVENGE/ALESTORM
SAGAS/EQUILIBRIUM
KORVEN KUNINGAS/KORPIKLAANI

CROGACHT/SUIDAKRA

クロガット/スイダクラ

WACKEN RECORDS SPV-306662 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001O12TDK  ドイツ出身のバンドの9枚目のアルバムです。トリオ編成にゲストを加えて製作するスタイルは堅持しています。

 郷愁誘う物悲しいイントロから始まるアルバムは、ダイナミックに畳み掛ける勇壮で哀愁帯びたメロディが展開されていく転調がドラマティックなアップテンポの2で一気に盛り上げていくと、続く3は叙情感を前面に押し出していくミドルテンポのエモーショナルなナンバーでフォーキーなパートとのコントラストが鮮やかです。ケルティックなメロディのイントロからの4はダイナミックにフレーズを重ねていくミドルテンポのナンバーで哀感高まるコーラスが印象的、女性ヴォーカルが唄う5は哀愁たっぷりのメロディが紡がれていくセンチメンタルなナンバー、一転してアグレッシヴに突き進むダイナミックなメロディックナンバーの6、物悲しいインストナンバーの7を経て、哀愁と勇壮さが際立つイントロからメロディックなリフを繰り出していくダイナミックな8でテンションを高めると、静かなイントロからの勇ましくフォーキーなミドルテンポの9で幕を閉じます。

 ここにきてスタイル的に既に完成してしまった感のあるヴァイキングメタルが展開されていきますが、安定感のあるサウンドはすっかりベテランバンドの風格を感じさせます。徹頭徹尾哀愁帯びた楽曲が繰り出されていく様は、意外性とか新鮮さは薄れているものの完成度の高さがその辺りを打ち消していく一枚でした。
同系統アルバム
VICTORY SONGS/ENSIFERUM
AS THE PATH UNFOLDS.../CRIMFALL
TWILIGHT OF THE THUNDER GOD/AMON AMARTH





April

ADAGIO | BURNING POINT | FAIRYLAND | HEAVEN & HELL | LIONS SHARE | PATHOSRAY |

ARCHANGELS IN BLACK/ADAGIO

アークエンジェルズ・イン・ブラック/アダージョ

KING RECORD KICP-1358 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001Q6IIIS  フランス出身のバンドの4枚目のアルバムです。ヴォーカリストに元エッセンス・オヴ・ソロウのクリス・パリンを迎えて製作されています。

 クランチーなギターリフを響かせながらアグレッシヴに押し寄せる破壊力のあるスピードナンバーの1から始まるアルバムは、馬力のあるハスキーなヴォーカルが威圧感たっぷりのサウンドとともにドラマティックに加速していきます。タイトでラウドなビートを不穏なコーラスで彩りながら進むテクニカルなソロパートも印象に残るヘヴィかつエモーショナルなナンバーの2、グルーヴィなリフで重量感たっぷりに迫るダークな3、クラシカルなピアノのイントロから威圧感するヘヴィリフを繰り出す4はデスヴォイスの凶暴な叫びも加え、スリリングなソロパートを経てダイナミックに展開していきます。不穏な空気のイントロからデスヴォイスも加わってドラマティックに展開していきシンフォニックに畳み掛けていく5、威圧するようなヘヴィリフが迫りくるデスヴォイスとの掛け合いも涜神的なヘヴィナンバーの6、不安感を煽る静かなイントロから破壊力のあるギターリフが叩きつけられる7はテクニカルに迫る高密度のナンバーでブラックメタル風パートも加えて盛り上げます。シンフォニックな怒涛の展開を見せる8は圧倒的な邪悪さが際立つアグレッシヴなナンバー、なぜか日本語タイトルの9は哀愁ただようメロディが炸裂するネオクラスピードナンバー。ボーナストラックの10と11は4と8のデモバージョンが収録されています。

 暗黒を超えて既に邪悪の域に達しそうな攻撃性を露にしていくサウンドは、ネオクラシカルなスタイルとブラックメタル的なドラマティックな展開が緊張感を生み出していく、これまでにない世界観を提示しており、美旋律と凶悪さが同居するものです。意欲的に暗黒世界に突入していく様はネオクラシカルなスタイルの束縛を打破しようとする意気込みに満ちており、攻撃的な楽曲と気概がシンクロする壮絶な一枚です。
同系統アルバム
PARADISE LOST/SYMPHONY X
FRAME/DGM
FAREWELL/DIVINEFIRE

EMPYRE/BURNING POINT

エンパイア/バーニング・ポイント

SOUNDHOLIC YZSH-1004 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001QVX5PE  フィンランド出身のバンドの4枚目のアルバムです。キーボーディストをドラムにコンバート、さらに新たにキーボーディストとベーシストを加入させて製作されています。

 すっかりメタルバージョンな映画「ゴッドファーザー」のテーマで幕を開けるアルバムは、パワフルなリフとメロディアスなダミ声ヴォーカルで押し切ってみる堂々としたアップテンポの2で勢いを付けてみると、重量感のあるリフで迫る3では哀愁帯びたエモーショナルなヴォーカルが劇的に歌い上げます。クランチーなリフでドカドカ突っ走る怒涛のパワーメタルナンバーの4、湿ったメロディを重厚なリフで支えるミドルテンポのシリアスでドラマティックな5、哀愁のメロディが紡がれるパワーバラードの6、アコースティックの叙情的なイントロからセンチメンタルなメロディを重ねていくミドルテンポの7、泣きメロでダイナミックに進んでいくコーラスも厚いアップテンポの8、ヘヴィリフで情念深く迫るスローナンバーの9、ミドルテンポで重厚に迫る10、哀愁帯びたキャッチーなコーラスが印象的なミドルテンポの11、 ボーナストラックの12、13はデビューアルバムのリメイク、14は哀愁迫るヘヴィナンバーが収録されています。

 やっぱり正統派ヘヴィメタル道を貫き通しているバンドですが、先達バンドの影響もかなり薄まって普通に安定感のあるサウンドを聞かせています。後半に進むにつれて勢いが半減していくのが難ですが、ベテランアメリカンパワーメタル勢に通じる強固な信念を感じさせる作風はやっぱり応援してみたくなります。順調に成熟に向かっているバンドですが、ブレイクにはもう一頑張り必要な気がする一枚でした。
同系統アルバム
COMPASSION DENIED/FREQUENCY
HEADING NORTHE/STORMWARRIOR
NO SACRIFICE, NO VICTORY/HAMMERFALL

SCORE TO A NEW BEGINNING/FAIRYLAND

スコア・トゥ・ア・ニュー・ビギニング/フェアリーランド

MARQUEE MICP-10826 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001UDPBW8  フランス出身のシンフォニックパワーメタルの3枚目のアルバムです。メンバー脱退でバンド創始者のプロジェクトの形になり、多数のゲストを迎えて製作されています。

 荘厳な雰囲気のシンフォニックなイントロダクションで開幕するアルバムは、ハイトーンヴォーカルと分厚いコーラスが合わさった畳み掛けるスピード感のある劇的なシンフォニックナンバーの2へと突入し、ファンタジックな世界観を構築していきます。スリリングなメロディをタイトなビートで包み込むダイナミックに展開していくアップテンポの3でも重厚なコーラスワークが楽曲の説得力を増していきます。不穏なムードのイントロからタイトなリフで進む4は女性ヴォーカルも加わってダイナミックに展開するミドルテンポのナンバー、センチメンタルなメロディが奏でられる重層的なコーラスも印象的なシンフォニックバラードの5、スリリングなオーケストレーションのイントロから勇壮に迫るドラマティックなスピードナンバーの6、畳み掛けるシンフォニックなフレーズで押し切る起伏の激しいスピードナンバーの7、リリカルなイントロからシンフォニックに展開する重厚なインストナンバーの8を経て、華やかなムードで展開する9は爽やかなメロディで進む希望に満ちたアップテンポのナンバー、そして女性ヴォーカルとのデュエットの優しいアウトロへと。ボーナストラックの11は5の別バージョンが収録されています。

 一人になってしまったことで作品に対するヴィジョンが明確になって、より緻密な世界観を確立することに繋がっているアルバムは、適材適所なゲストの配置も相まって劇的なサウンドを展開させていきます。メンバーを固定しないこのスタイルは登場人物の多い群像劇的なストーリーを描き出すのに最適だったかも。何はともあれ、この状態はどこかで行き詰るかと思われますが、作品に対する熱意が燃え尽きるその瞬間まで創作し続けてもらいたいと思わせる一枚でした。
同系統アルバム
VENDETTA/CELESTY
AUTUMNAL/DARK MOOR
DAWN/THY MAJESTIE

THE DEVIL YOU KNOW/HEAVEN & HELL

ザ・デヴィル・ユー・ノウ/ヘヴン・アンド・ヘル

VICTOR VICP-70106 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001TGU798  あの伝説のラインナップでの新作が遂に完成!なロニー・ジェイムス・ディオ・フィーチャリング・ブラック・サバス改めヘヴン・アンド・ヘルとしての新作です。

 イーヴィルなギターリフが地を這うヘヴィナンバーの1から、未だ健在のディオの歌声が炸裂するアルバムは、ヘヴィネス路線に舵を切った「ディヒューマナイザー」あたりのムードを孕みつつ劇的な世界を作り出していきます。グルーヴィなリフと朗々とした歌声が交錯していくダウナーで粘りのある2、情感あふれる歌唱で哀愁メロディを歌い上げていく3はヘヴィパートへと雪崩れ込んで重厚な世界を描き出していきます。破壊力のあるヘヴィリフを叩き込む4は様式美展開も発動する邪悪なナンバー。粘っこいリフが絡みつく5は微妙にキャッチーなコーラスが空気を変える一曲。ミステリアスなメロディとヘヴィリフが交差する6、アップテンポにロックしていくドライヴ感高まる7、不穏な空気が高まる8は圧迫感を強めつつ邪悪なリフが炸裂していくヘヴィナンバー、ロックするアップテンポのキャッチーなナンバーの9、のたうつグルーヴィなリフが迫りくる10は粘り腰のヴォーカルとシンクロしていくヘヴィナンバー。

 このメンバーによるケミストリーが復活した邪悪で重量感たっぷりのサウンドが展開されていくアルバムは、17年というブランクを感じさせない代物でまさにドゥームメタルと言う貫禄に満ちたもの。周囲の期待や願望なぞ歯牙にもかけない、やりたい事をやってのける現在進行形のバンドとしての姿を切り取った円熟の一枚でした。
同系統アルバム
FADE TO BLACK/EVIL MASQUERADE
EMOTIONAL COMA/LIONS SHARE
NOSTRADAMUS/JUDAS PRIEST

DARK HOURS/LIONS SHARE

ダーク・アワーズ/ライオンズ・シェア

KING RECORD KICP-1366 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001TK8WKA  スウェーデン出身のバンドの6枚目のアルバムです。

 アグレッシヴでメタリックなギターリフが繰り出されるスピードナンバーの1から、伝統的なヘヴィメタルをブラッシュアップしたサウンドを展開させていくアルバムは、ロニー・ジェイムス・ディオを彷彿とさせるパワフルなヴォーカルが圧倒的な歌唱力で引っ張るダイナミックな楽曲をそろえています。ミドルテンポでヘヴィネスを生み出していく2はダークな感触と起伏の激しい展開が印象的、畳み掛けるギターリフが激しく動き回るアップテンポの3はディオばりのダイナミズムを作り出し、続く4ではムードを一変させるブラック・サバス的なグルーヴ感を持ったヘヴィナンバーを聴かせていきます。ミステリアスなムードが高まる5は圧迫感と重量感が押し寄せるソリッドなヘヴィナンバー。重苦しい空気を切り裂いていくクランチーに突っ走る6は開放的なコーラスがカタルシスを生み出すダイナミックな一曲。リリカルなフレーズをエモーショナルに繋ぎつつダイナミックなパートへ雪崩れ込む情感豊かな展開を見せる7、ヘヴィリフと哀愁帯びたコーラスが交錯していく起伏の激しい劇的な8、ドライヴするメタリックなリフで突き進む攻撃的な9では切れ味鋭いギターソロが炸裂していきます。ソリッドなギターリフがエモーショナルなコーラスを導く緩急の激しいアップテンポの10、冷気漂う暗いムードが立ち込める11は情念高まるヘヴィナンバー。ボーナストラックの12はスペーシーなイントロからのレインボー風味の重厚なナンバーが収録されています。

 ダークな質感ながらも躍動感が高まったことによってダイナミズムを生み出していくサウンドはヘヴィメタル然とした伝統を維持しつつも、フラッシーなソロパートも手伝ってよりエキサイティングに更に攻撃性も高めつつソリッドでシャープな楽曲を生み出していきます。ダークなムードに支配されていた前作から方向性はそれほど変わっていませんが、何か吹っ切れたような攻める姿勢が前面に押し出された作風はバンドの新たな指針を示すかのような仕上がりです。相変わらず固定メンバーが三人きりですが、クオリティは掛け値なしの安定感抜群の一枚です。
同系統アルバム
TABULA RASA/BLOODBOUND
THE PREMONITION/FIREWIND
DELUSIONS OF GRANDEUR/CIRCLE II CIRCLE

SUNLESS SKIES/PATHOSRAY

サンレス・スカイズ/パトスレイ

SOUNDHOLIC YZSH-1009 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001QVX5PO  フランス出身のバンドの2枚目のアルバムです。

 ヘヴィリフで押し込んでくるパワーメタリックな1からエキサイティングでダイナミックなサウンドを繰り出していくアルバムは、起伏の激しい展開に安定感のあるテクニカルなプレイを聴かせていきます。ダークな雰囲気の2はミステリアスな空気を醸造するヘヴィナンバー、センチメンタルなメロディとソリッドなリフが交錯するエモーショナルな3、テクニカルなイントロから静と動のコントラストも激しいアップテンポの4、哀愁たっぷりのバラードナンバーの5、ダークなメロディを積み重ねる6はシリアスなムードを高めつつダイナミックな展開を見せる劇的ナンバー、女性ヴォーカルも加わった7は情感高まる掛け合いが染みるエモーショナルなナンバー、静かなインストナンバーの8からダイナミックにリフを繰り出していく躍動感の強い大作の9で予測できない展開を見せていきます。ボーナストラックの10は8のモチーフに詩をつけたエモーショナルなスローナンバーが収録されています。

 前作からのプログレメタルの基本路線は維持しつつ順調に進歩してきたアルバムですが、力ワザのテクニカルなプレイは減り、シンプルに楽曲の魅力を引き出す方向へと向かっています。女性コーラスを導入するなど、ダイナミズムと躍動感を高めたサウンドはバラエティが増えており、全体的に地味だったりインパクトは減ったものの情感豊かな世界観を提示していくクオリティの高い作品に仕上げた一枚です。
同系統アルバム
GOD'S EQUATION/PAGANS MIND
FRAME/DGM
ARCHANGELS IN BLACK/ADAGIO





May

THE AGONIST | LACUNA COIL | LUNA MORTIS | MYSTIC PROPHECY | PRIMAL FEAR | STRATOVARIUS |

LULLABIES FOR THE DORMANT MIND/THE AGONIST

ララバイズ・フォー・ザ・ドーマント・マインド/ジ・アゴニスト

SPIRITUAL BEAST POCE-16054 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001VA1034  カナダ出身の女性ヴォーカルを擁するバンドのセカンドアルバムです。

 畳み掛ける激しいビートに、デスヴォイスとクリーントーンの両刀使いの女性ヴォーカルが縦横無尽に駆け巡る緩急激しいテクニカルな壮絶ナンバーの1で圧倒していくアルバムは、デスヴォイスをメインに転調など起伏激しく突撃するアグレッシヴな2、湿ったクリーンヴォーカルとデスヴォイスが交錯しつつダイナミックなメロディで突っ走るアップテンポのドラマティックな3、北欧メロディックデスメタル的な感触のアグレッシヴさとクラシックベースの清冽な叙情感が混在する4、クリーンヴォーカルが主導するメランコリックな5は凶暴性と哀愁が渾然としたエモーショナルなナンバー。アグレッシヴに突進する6はリズムチェンジも激しいパートとクラシカルなコーラスが交差する扇情的なナンバー、ソリッドなギターリフで小気味良く畳み掛けていくスリリングな7、白鳥の湖をアカペラでカバーする8から、一転アグレッシヴに突進していく緊迫感高まる劇的な9へと。圧迫感の強いドラムと威嚇するヴォーカルが一体となって攻め込む10は繊細なコーラスも加わってコントラストの強いサウンドを作り出します。アグレッシヴなパートとクリーンなパートがテクニカルに結合されていく複雑な展開の11はヴァイオリンも加わってカタルシスに向かって収束していきます。ボーナストラックの12は本家も衝撃のダーク・トランキュリティーのカバーが収録されています。

 クラシックやデスメタル、メロディやアグレッション、テクニカルなプレイなどの多彩な要素がそれぞれにアピールされていくエクストリームなサウンドは、獣性と聖性を合わせ持つ女性ヴォーカルの表現力もあって独自の世界観を構築していきます。何が飛び出すか分からないカオスな感覚と整合性の高いプレイが合わさった幻想的な暗黒サウンドが展開されていく異形の一枚でした。
同系統アルバム
THE_ASCENSION/OTEP
FOREVER CHAOS/SHADOW
HOLOGRAPHIC UNIVERSE/SCAR SYMMETRY

SHALLOW LIFE/LACUNA COIL

シャロウ・ライフ/ラクーナ・コイル

MARQUEE MICP-30010 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001UGGVBU  イタリア出身のバンドの5枚目のアルバムです。アメリカの著名なプロデューサーを迎えて製作されています。

 一曲目から男女ヴォーカルが絡み合う哀愁たっぷりのアメリカン・メインストリームなメタルサウンドを創り出して行くアルバムは、ダークながらもキャッチーな味わいのミドルテンポの2、センチメンタルなムードが高まるドラマティックな3、ヘヴィなリフでシリアスに迫る4、ダークでメランコリックでポップな5、ヘヴィなムードが押し寄せるダークな6、メランコリックな7、躍動感を強めた8は叙情性高まるソロパートが盛り上がります。柔らかなバラードナンバーの9、エスニックなムードが高まった10はヘヴィリフで迫るダイナミックなナンバー、ポップなセンチメンタリズムが高まる11、タイトルトラックの12はメランコリックなバラード、ボーナストラックの13は起伏の大きいダイナミックな曲、14は乾いた感覚の残るミドルテンポのナンバーが収録されています。

 完全にアメリカ市場向けのサウンドに転換されたアルバムは、すでにどこの国のものとも知れない代物ですが、さすがにプロデューサーの力量が発揮されたか一般人にも受け入れやすい仕上がり。とは言え、ポップスと言うにはエッジが残りすぎているし、メタルと言うには緩すぎる、毒にも薬にもならなそうな消費音楽に成り下がっている感も。ここまでくるとヘヴィメタルが既に足枷にしかなっていない印象すら受けるメインストリームで勝負するヘヴィロックな一枚でした。
同系統アルバム
UNBREAKABLE/FIREFLIGHT
THE END OF LIFE/UNSUN
THE ABSENCE/LUNA MORTIS

THE ABSENCE/LUNA MORTIS

アブセンス/ルナ・モーティス

MARQUEE MICP-10840 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001OD6HNQ  アメリカ産の女性ヴォーカルを擁するバンドの改名してのファーストアルバムです。

 デスヴォイスから哀愁帯びた量感に満ちたクリーントーンまで唄いこなすヴォーカリストの激しいコントラストを軸にしたサウンドは、パワーメタリックでソリッドなギターリフを叩きつけていく1からメランコリックなメロディとアグレッシヴな展開が緩急も大きく突っ走っていくハイブリッドな楽曲を並べていきます。ダークなリフを重ねつつ激情的に叙情メロディを紡いでいくミドルテンポの2、扇情的なメロディを重ねながらヘヴィに突き進む3は哀愁帯びたギターソロが炸裂していくアップテンポのナンバー。センチメンタルなメロディを唄い紡ぐドラマティックなバラードの4、北欧メロデス由来の叙情リフで起伏激しく突っ走る5、更に叙情性が加速する6はクリーンヴォーカルが主導する哀愁メロディックナンバー。ダイナミックなリフワークで迫る7はデスヴォイスのコーラスがテンションを高めるテクニカルなナンバー、湿ったメロディを積み重ねていくエモーショナルなミドルテンポの8、鋭角に迫る9は哀愁のギターソロも炸裂する起伏の激しいメタリックなナンバー、ミステリアスなイントロで始まる10はプログレッシヴな展開も孕んだ感情の起伏と加減速の激しい曲。ボーナストラックには、かなりネオクラしてしまったメロディックスピードメタルな11とやっぱり突っ走ってしまう12が収録されています。

 メタルコアとパワーメタルを融合させてゴシックメタルで包み込んだような新世代サウンドを創り出して行くアルバムは、女性ヴォーカルの表現力を最大限に活かしつつ、フラッシーなギターソロも絡めた強力なエクストリームメタルとなっており、そのダークな世界観も相まって劇的展開を見せていきます。様々な要素を貪欲に取り込んでみたものの完全には消化されていないところも見受けられますが、意欲的で挑戦的な気概あふれる一枚でした。
同系統アルバム
LULLABIES FOR THE DORMANT MIND/THE AGONIST
FOREVER CHAOS/SHADOW
THE_ASCENSION/OTEP

FIREANGEL/MYSTIC PROPHECY

ファイアエンジェル/ミスティック・プロフェシー

SPIRITUAL BEAST POCE-16055 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001VA103E  ギリシャ・ドイツ混成バンドの6枚目のアルバムです。同郷のディセンディングにも在籍する新ギタリスト、コンスタンティンを筆頭に前作からメンバーを大幅に替えて製作されています。

 ダークなヘヴィリフで幕を開けるアルバムは、ハスキーなパワーヴォーカルが湿ったメロディを歌い上げていくミドルテンポの1から硬質感と哀愁を兼ね備えたサウンドを展開させていきます。アクティヴなギターリフで押していく2はキャッチーなコーラスとギターソロを伴ったアップテンポのナンバー、ヘヴィリフが炸裂する3は起伏の激しいヴォーカルメロディが印象的な緊迫感のあるナンバー、スリリングでスラッシーなリフで突撃するダイナミックなスピードナンバーの4、唸りを上げるギターリフが強襲する5はアグレッシヴなムードを高めた突進ナンバー。湿ったメロディを硬質リフで紡いでいくドラマティックな6、高圧のコーラスで不穏なムードを高める攻撃的なヘヴィナンバーの7、クランチーなリフで突っ走る緊張感高まる漢臭いパワーメタリックな8、哀愁帯びたメロディが積み重ねられるエモーショナルな9、ブルージーなイントロからの10は情念高まるダイナミックなヘヴィナンバー。叙情的なメロディがヘヴィに展開していくダークな12。ボーナストラックの12はマノウォー、13はアイアン・メイデンのカバーが収録されています。

 クランチーなリフに漢臭いヴォーカルと言うパワーメタリックなスタイルは再度のメンバーチェンジでも変わりなく、改めてバンドの中心人物である二人の強い信念を感じさせています。サウンド面ではヴォーカルメロディの特異性が浮かび上がりつつあるものの前作からはそう変わりなく、デスメタル畑の新ギタリストのもたらした先鋭的な感触が時折現れるくらいです。バンドの状態は不安定極まりないですが、楽曲は順調に進歩し続けているメタリックな一枚でした。
同系統アルバム
COMPASSION DENIED/FREQUENCY
THE PREMONITION/FIREWIND
DARK HOURS/LIONS SHARE

16.6(BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU'RE DEAD)/PRIMAL FEAR

16.6(ビフォー・ザ・デヴィル・ノウズ・ユー・アー・デッド)/プライマル・フィア

KING RECORD KICP-1371 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001XXJJ5U  ジャーマンパワーメタラーの8枚目のアルバムです。前作でゲスト参加していたマグナス・カールソンを正式メンバーに迎えて製作されています。

 不穏なイントロダクションの1で幕を開けるアルバムは、畳み掛けるパワフルなギターリフで押しこんでいくソリッドな2で勢いを付けていき、ツインリードギターの絡み合いもドラマティックに進んでいきます。マノウォー的なマッチョなイメージで進む勇ましいヘヴィナンバーの3、ミステリアスでエキゾティックなムードを醸し出すミドルテンポのエモーショナルな4、大仰なイントロからダイナミックなリフワークで盛り上げていく哀愁帯びたメロディが炸裂するドラマティックな5、情感豊かなギタープレイからダークな雰囲気を保ちながら進むミドルテンポの6、クランチーなギターリフでスリリングに迫る緩急の激しいファストナンバーの7、ミドルテンポのパワーメタリックな8、メランコリックな劇的バラードの9、アップテンポでメロディアスに進む10、グルーヴィなリフと躍動感の強いメロディの11、攻撃的なリフで突き進むパワーメタルナンバーの12、メンバー4人が交互に歌い上げるバラードナンバーの13、ボーナストラックには9の別バージョンが収録されています。

 新加入したマグナス・カールソンの影響か、バンドの方向性がシフトしたのかは定かではありませんが、再びシナー寄りのメロディックな方向に舵を切ったアルバムは、バラエティに富む楽曲を揃えた比較的ソフトな感触のサウンドになっています。色々新機軸も盛り込んで、新たな展開を見せようとする意欲を感じさせますが、パワーメタル路線を期待すると若干ガッカリするかも。安定したクオリティとベテランの余裕を感じさせる一枚でした。
同系統アルバム
CRASH & BURN/SINNER
THE PREMONITION/FIREWIND
NO SACRIFICE, NO VICTORY/HAMMERFALL

POLARIS/STRATOVARIUS

ポラリス/ストラトヴァリウス

VICTOR VICP-64708 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001XBP5XC  フィンランド出身のバンドの12枚目のアルバムです。一旦空中分解状態になったバンドですが、バンド創設者のティモ・トルキ抜きの編成で出直すことになり、新たなギタリストを加えて製作されています。

 パワフルなリフをダイナミックに回して始まるアルバムは、開放感にあふれたコーラスで希望に満ちたサウンドを展開するドラマティックな1で新生ストラトヴァリウスを宣言していきます。物悲しいイントロから湿ったメロディを広げていくアップテンポの2、ドラマティックなイントロからソリッドなギターリフとテクニカルなキーボードが絡み合うシリアスで重厚なナンバーの3、日本用ボーナストラックの4はセンチメンタルなメロディがドラマティックに展開するミドルテンポのナンバー、リリカルなイントロから一転高速プレイでスリリングに突っ走るファストナンバーの5、哀愁帯びたメロディを歌い上げる物悲しいスローナンバーの6、クランチーなリフが炸裂しコーラスが飛翔するスピードナンバーの7、湿ったメロディがアップテンポで展開されていくキャッチーな8、センチメンタルなバラードナンバーの9を経て、 エキゾティックなメロディを絡めたエモーショナルなスローナンバーの10、さらに叙情的なメロディを拡大していく11、リリカルなメロディを歌い上げていく優しいナンバーの12でアルバムは幕を閉じます。

 ティモ・トルキ抜きでも何となくストラトヴァリウスになっている辺りは、既に他のメンバーにもバンドのヴィジョンが浸透していたことを明らかにしており、今のところ特に個性的とは言えないものの新しいギタリストも自分の役割をこなして、聴き手のイメージをそれほど裏切らないサウンドが展開されていきます。独特のティモ・トルキ節が無く、メンバー間の妙な緊張感も無くなったため、何だかあっさりというか、穏やかな感じになっていますが、考えてみるとバンドが壊れる寸前のサウンドに近いと言えば近いかも。実質的には新バンドのような存在になってしまったため、いろいろな所の練り込みが足りない感じですが、今後の活動はそれなりに期待してみたい一枚でした。
同系統アルバム
COLLISION COURSE -PARADOX II-/ROYAL HUNT
PHOENIX/DREAMTALE
UNIA/SONATA ARCTICA





June

BIBLEBLACK | DREAM THEATER | HATESPHERE | KILLSWITCH ENGAGE | LAZARUS A.D. | VOIVOD |

THE BLACK SWAN EPILOGUE/BIBLEBLACK

ザ・ブラック・スワン・エピローグ/バイブルブラック

SPIRITUAL BEAST POCE-16056 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002647THK  キング・ダイアモンドマーシフル・フェイトなどで活動しているスウェーデン出身のマイク・ウィードとキャンドルマスのレイフ・エドリングが結成したバンドのファーストアルバムです。

 不穏な空気が漲るイントロで幕を開けるアルバムは、荘厳で邪悪な雰囲気を生み出していくダイナミックなリフワークを見せる2からデスヴォイスとギターがドラマティックに展開していく1から北欧の冷気漂う黒いサウンドを作り出していきます。テクニカルなイントロからヘヴィに展開していく3は威嚇的な空気を充満させるソリッドなナンバー、不安感高まるイントロからの4は劇的な演出を図る重量感たっぷりの邪悪なナンバー。ヘヴィなイントロからクランチーなリフを繰り出していく5は緩急も激しい複雑な展開を見せるダイナミックなスピードナンバー、テクニカルなリフと荘厳なキーボードで進む不安感を高めるインストナンバーの6、センチメンタルなイントロからアナイアレイターばりのクランチーなリフで突進しミステリアスなギターソロも聴かせる7、物悲しい雰囲気を高めていく8はエモーショナルな劇的ナンバー、ボーナストラックの9はビートルズ!のカバーが収録されています。

 キング・ダイアモンドやキャンドルマスの空気感を背景に持ちながら現在進行形の邪悪なサウンドを創り出して行くアルバムは、オーセンティックなヘヴィメタルの展開を覗かせつつエクストリームな攻撃性を発露していく伝統と革新の混合を目指すもので、音楽性の幅広さを見せ付けます。何が飛び出すか分からないアーティスティックな側面と一気に突き進む衝動性をコントロールしていく辺りは、これまで経験を積んでいる二人の実力を感じさせます。他のバンドとの掛け持ちで忙しそうですが、安定した活動を続けてもらいたい一枚でした。
同系統アルバム
GODSPEED ON THE DEVIL'S THUNDER/CRADLE OF FILTH
COMMUNION/SEPTICFLESH
A-LEX/SEPULTURA

BLACK CROUD & SILVER LININGS[DELUXE EDITION]/
DREAM THEATER

ブラック・クラウズ・アンド・シルヴァー・ライニングズ(限定盤)/ドリーム・シアター

ROADRUNNER RRCY-29185/7 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001WAHVM2  アメリカン・プログレメタルの10枚目のアルバムです。デラックス・エディションということで三枚組みになってます。

 いつも通り仕掛けが盛り沢山の楽曲を揃えているアルバムは、感情の振幅も大きい長編の1から微妙なポートノイのヴォーカルとかも加えて二転三転するプログレメタルを展開させており、気だるいムードから緊迫感を高めていく2、繊細な情感が紡がれていく3、ソリッドに迫るアルコール依存症克服のための組曲の最終章の4ではこれまでのモチーフなども加えて緊張感のあふれるサウンドを作り出していきます。爽やかなメロディが広がっていく壮大な5、センチメンタルなイントロからの6は色鮮やかなフレーズを積み重ねていくインストパートが圧巻のスリリングな大曲。
 二枚目はカバー集になっており、レインボーからプログレまで多彩な楽曲が揃えられており、ハマった曲から微妙な仕上がりまで出来は色々。三枚目は一枚目のヴォーカルオフが収録されています。

 すっかり安定度を増したサウンドは、既にそんなにエキサイトしない新味に乏しいものになっているのは最近の傾向のまま。さすがに盛り上がるスリリングなパートは少なからずあるものの、そこに至るまでがかなり苦行に近くなっているのは、セルフプロデュースの所以でしょうか。長尺の曲とテクニックで押し切られそうになりますが、もうちょっと冷静に聴いたほうが良い気がする一枚でした。
同系統アルバム
SUNLESS SKIES/PATHOSRAY
TRACED IN AIR/CYNIC
GOD'S EQUATION/PAGANS MIND

TO THE NINES/HATESPHERE

トゥ・ザ・ナインズヘイトスフィア

SOUNDHOLIC YZSH-1012 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001R3YIZM  デンマーク出身のバンドの6枚目のアルバムです。バンドの中心人物であるギタリスト以外全員メンバー交替というドラスティックな状況で製作されています。

 デスヴォイスが炸裂する突進デスラッシュナンバーで幕を開けるアルバムは、妖しいメロディを孕んだ起伏の激しい突撃ナンバーの2、畳み掛けるクランチーなリフで襲い掛かる威嚇的なヘヴィナンバー3、ソリッドなリフで展開していく4はミステリアスなムードを高めていくダイナミックな曲。突進力と起伏の大きい展開の疾走ナンバーの5、ドラマティックなインストナンバーの6から、グルーヴィなリフを響かせて加減速していくヘヴィナンバーの7、タフなギターリフで押し込んでくる8は威嚇するヴォーカルとエモーショナルなインストを絡めた緩急の激しい一曲。ドライヴするリフがダークに進んでいく9はキレのあるフレージングが印象にのこります。スラッシーに突っ走るパートとスローダウンしたパートのコントラストも激しい10、ボーナストラックはライヴバージョンが二曲と、デモ音源が一曲収録されています。

 凶暴性と叙情性を交差させていくダイナミックなサウンドは、盛大なメンバーチェンジでも変わることなく、メロデス、スラッシュ、正統派などの要素を絡めたデスラッシュなアルバムを作り出しています。多彩なリフワークとアグレッシヴな姿勢が合わさった原点回帰的な一面も見せながら、自分達のサウンドを追及している一枚でした。
同系統アルバム
WE ARE THE NIGHTMARE/ARSIS
VERSUS/THE HAUNTED
ENDLESS ECHO/CONSTRUCDEAD

KILLSWITCH ENGAGE[SPECIAL EDITION]/KILLSWITCH ENGAGE

キルスウィッチ・エンゲイジ(スペシャル・エディション)/キルスウィッチ・エンゲイジ

ROADRUNNER RRCY-29182/3 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B001WAHVL8  US産メタルコアバンドの5枚目のアルバムで、二度目のセルフタイトルです。外部プロデューサーを初めて迎えて製作されています。

 メジャー感の強まったサウンドプロダクションでラウドなビートを響かせていく1からアグレッションとエモーションが交錯しデスヴォイスが叫ぶ教科書通りのメタルコアナンバーを聴かせていくアルバムは、シャープなリフでアップテンポで押していく2、ミドルテンポでダイナミックなリフを刻んでいく激情的な3は高速パートへの切り返しも鮮やかに進みます。北欧メロデスの影響が強く表れたドラマティックな4、情念深いメロディを歌い上げるエモーショナルな5、いつものダイナミックな6、7、攻撃性を露にして食いついてくるミドルテンポの8、小気味良いリフでシャープに進むアップテンポの9は圧縮と開放のコントラストが激しく迫ります。エモーショナルなメロディがダークに迫る情念深まる10、クランチーなリフが唸りを上げるテンション上がるソリッドなナンバーの11、ボーナストラックの12はアグレッシヴで起伏の激しいナンバー、12、13、14はライヴ音源が収録されていますが、14は何とディオの名曲のカバー。

 既にメタルコアなスタイルが陳腐化しつつある現在で、その代表格であるバンドが発表するアルバムに注目が集まったわけですが、特に新機軸とかは無く安定した楽曲を揃えてきています。多少攻撃性が和らいで情感的な要素が高まっており、起伏の大きい展開とセンチメンタルなメロディが炸裂していく辺りはオーセンティックなメタルに近い感触も与え普遍性の強いものになっています。ボーナストラックのディオのカバーあたりを見ると今後ますます正統派メタルに近づいていくような様子が窺えなくもないですが、とりあえずこの路線は先駆者のマンネリズムで押し切るか、路線拡大で一転勝負するかの瀬戸際にある気がする一枚でした。
同系統アルバム
SHOGUN/TRIVIUM
THE MARCH/UNEARTH
A SENSE OF PURPOSE/IN FLAMES

THE ONSLAUGHT/LAZARUS A.D.

ジ・オンスロート/ラザラス・エー・ディー

METAL BLADE RECORDS MBCY-1107 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B0025W1G4K  米国産新世代スラッシャーのファーストアルバムです。デスメタル界隈での流れ鳥、ジェイムス・マーフィーがミックスしたりしています。

 クランチーなギターリフが嵐のように炸裂していく緩急の強い1から、モダンなフィーリングを取り込んだスラッシュメタルを展開していくアルバムは、四天王の後に続いたバンド群の影響を感じさせる整合性の高まったサウンドになっており、デスヴォイスすれすれの吐き捨てヴォーカルが威嚇しつつメロディアスなギターソロが躍動していきます。不穏な空気を醸造していくヘヴィなイントロから一転して疾走に移る2は厳ついコーラスもアグレッシヴに唸りを上げるナンバー、雪崩打つイントロから畳み掛けるビートで圧倒していく起伏の激しい3、クランチーなリフで押し込んでいく4はグルーヴィなヘヴィネスを作り出すミドルテンポのナンバー。唸りを上げるギターリフとドラミングが炸裂していくアグレッシヴな疾走ナンバーの5は長尺のフラッシーなインストパートが劇的に展開します。ギャロップするイントロからの6は威圧感の強いタイトなビートで押し込むソリッドなナンバー、小気味良いビートを効かせながらテクニカルなリフを展開させていく緩急の激しい7、畳み掛けるリフが激しく躍動していく8は圧迫感と疾走感が交錯していくスピードナンバー。ダークなイントロからドライヴするギターリフが乱舞する威圧的な9は鮮やかなギターソロで空気を切り裂いていきます。タイトなリフが唸りを上げる10は起伏の激しい展開も鮮やかな一曲。

 切れ味鋭いクランチーなリフの応酬に、フラッシーなギターソロ、さらに緩急の効いた展開が加わった新世代スラッシュメタルを生み出していくアルバムは、80〜90年代のサウンドを吸収して現代へ適応させていく、スラッシュメタルが遂に一巡して帰ってきたと言う感慨を抱かせます。伝統的なスラッシュの命脈を受け継ぎながら現代シーンに打って出る気概に満ちた新人らしからぬ高い完成度を誇る一枚でした。
同系統アルバム
D.E.V.O.L.U.T.I.O.N./DESTRUCTION
THE FORMATION OF DAMNATION/TESTAMENT
EXECUTIONER/MANTIC RITUAL

INFINI/VOIVOD

インフィニ/ヴォイヴォド

VICTOR VICP-64672 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B0027GZBYA  カナディアンバンドの12枚目のアルバムです。前作同様、故ピギーが残したギターパートを元に製作されています。

 グルーヴィでヘヴィなリフを響かせながら進むダルなムードのヘヴィロックチューンの1から、ダミ声ヴォーカルが唸るドライでサイケデリックなサウンドが展開していくアルバムは、ダークな音像と奇妙な世界観が同居する彼ら独自のものになっています。ドライヴ感と躍動感を高めたヘヴィロックの2、70年代サイケロック的な浮遊感とラウドなリフが交錯する3、スペーシーなイントロからダイナミックにリフを展開させていく4は不安な空気を演出していくロックナンバー。ミステリアスなイントロからの5は気だるいムードのダークな一曲。ヘヴィに迫る6はテンション上げ気味のヴォーカルと底を這うリフによってスペーシーなギターソロを導いていきます。タイトなリフで攻めていく7は粘質のヴォーカルメロディがギターと一体になって盛り上がっていくダイナミックなナンバー、ダークにドライヴしていく8は浮遊感のあるコーラスからテンションを高めていく曲、ヘヴィナンバーの9はルーズな感覚が高まるスペーシーな曲、ダークながらもキャッチーにロックしていく躍動的な10、ダイナミックなイントロからのグルーヴィなリフがのたうつミステリアスな展開を見せる11、ミステリアスなイントロからの閉塞的なムードが漂うダークな12、こんなに長い曲なのに激しくモーターヘッドな13。

 サイケデリックロックと言うかドゥームロックと言うか、彼らのルーツに近い楽曲が揃えられたアルバムは、70年代サイファイな感覚も合わせ持ったロックサウンドで固められており、アルバム「VOIVOD」あたりからの作品同様に独特の空気感を作り出しています。明るいんだか暗いんだか分かりにくい奇妙なサウンドの真骨頂を味わえる、既に稀有な存在となったラストアルバムでした。
同系統アルバム
BLOOD MOUNTAIN/MASTODON
HELL/VENOM
THE DEVIL YOU KNOW/HEAVEN & HELL





July

AMORAL | CAIN'S OFFERING | DELIRION | MIND KEY | WARBRINGER |

SHOW YOUR COLORS/AMORAL

ショウ・ユア・カラーズ/アリ・コイヴネン・ウィズ・アモラル

MARQUEE MICP-10852 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002AD9TYI  フィンランド出身のバンドの4枚目のアルバムです。現地のタレント発掘番組からデビューした正統派ソロシンガーをヴォーカリストに迎えて製作されています。

 ソフトでマイルドなノーマルヴォーカルを加入したことによって、必然的に音楽性も正統派よりになった楽曲は、物悲しいイントロの1から湿ったメロディが炸裂していくダイナミックなミドルテンポの2で、新ヴォーカルの柔らかな表現力と別方面のテクニカルなプレイを発揮させていきます。多少それまでの路線を感じさせるヴォーカルも荒々しくクランチーなリフで突っ走るスピードナンバーの3、叙情的なメロディとキャッチーなコーラスで迫る4はエッジの効いたリフとのコントラストが強いミドルテンポのナンバー、ブルージーなムードも加えたグルーヴィーな5、ドライヴ感高まるハードロッキンな6、ソリッドなギターリフで押していくアップテンポの7、キレのあるリフで進むキャッチーなコーラスを持った正統派ナンバーの8、ルーズなメロディとタイトな演奏が交錯していく9、優しいメロディが紡がれるバラードの10、重厚なムードのイントロからのエモーショナルな11、ボーナストラックの12は湿ったハードロッキンなナンバーが収録されています。

 これまでのブルータルなデスメタルと言う雰囲気は微塵も残っておらず、まるで別バンドな正統派ヘヴィメタルが展開されていくわけですが、テクニカルなプレイはその余韻を残しており、急造とは言いながらもそれなりの完成度を持ったアルバムになっています。元々この路線に舵を取りつつあったところへの、ヴォーカルの加入と言うことで下準備がある程度できていたようですが、このメンバーでの初めての曲作りはさすがに双方の魅力を活かし切ったというところまでは達してはいません。とりあえず、両者を知っている人の期待値には遠く及ばない感じです。どちらかと言えば、デスヴォーカルも残したツイン体制にした方が良かった気もしますが、それにしても思い切りの良い路線変更っぷりは、同郷のT.O.C.あたりを彷彿とさせる一枚です。
同系統アルバム
BLACK SOCIETY/ARTHEMIS
TABULA RASA/BLOODBOUND
TIME TO CHANGE IT/MIND ODYSSEY

GATHER THE FAITHFUL/CAIN'S OFFERING

ギャザー・ザ・フェイスフル/ケインズ・オファリング

MARQUEE MICP-10851 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002AD9TY8  元ソナタ・アークティカのギタリスト、ヤニ・リマタイネンが同郷フィンランドのアーティストを集めたバンドのファーストアルバムです。ヴォーカリストにはストラトヴァリウスのティモ・コティペルト、ベーシストにノーサーのユッカ・コスキネン、キーボードには元ソナタ・アークティカのミッコ・ハルキン、ドラマーにポール・ディアノのところで一緒にプレイしていたヤニ・フルラを迎えて製作されています。

 疾走感の強い1で幕を開けるアルバムは、お馴染みのハイトーンヴォーカルがソナタ・アークティカを彷彿とさせるセンチメンタルなメロディを歌い上げていくドラマティックなスピードナンバーを聴かせていきます。ミドルテンポの2は叙情感残るメロディを紡いでいくエモーショナルなナンバー、物悲しいイントロからの3はアグレッシヴなパートを加えつつダイナミックに展開していくアップテンポの手の込んだナンバー、繊細で壮大なインストナンバーの4を経て、優しいイントロの5は希望を持ったバラードナンバー。一転してギターとキーボードが突っ走る6は爽快感と開放感を感じさせるスリリングな疾走ナンバー。タイトなリフに情感豊かなメロディを乗せたキャッチーなコーラスも印象的なアップテンポの7、優雅な展開も見せるポップなメロディで進む開放感の強い優しいナンバーの8、ダイナミックなイントロからタイトに迫るキャッチーなスピードナンバーの9は緊張感高まるギターソロが圧巻。ボーナストラックの10はキャッチーなメロディが小気味良いビートに乗って飛翔するテンション上がるアッパーな曲。最後の曲はピアノの優しい調べが心に染みるバラードナンバー。

 このメンバーでメロディック・スピードメタル以外が出てくるほうが衝撃的だというわけで、聴き手の期待を裏切らない、叙情メロディが炸裂するサウンドが展開されていきます。メンバーの実力的にも不安な要素は皆無ですが、そんな中でも他のメンバーのインプットも少しずつ加えられて、アグレッシヴだったりテクニカルだったりするパートが見られるあたりは、新しいバンドとしての意欲を感じさせます。バンド内のゴタゴタの無い開放感と自由な感覚が爽やかな空気と共に訪れる、新生バンドのスタートを宣言する一枚です。
同系統アルバム
POLARIS/STRATOVARIUS
VENDETTA/CELESTY
AUTUMNAL/DARK MOOR

SILENT SYMPHONY/DELIRION

サイレント・シンフォニー/デリリオン

SPIRITUAL BEAST POCE-16059 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B0029PY2AI  スペイン出身のバンドのデビューアルバムです。

 叙情的でシンフォニックなイントロで幕を開けるアルバムは、微妙に巻き舌でヴィブラートが効いたハイトーンヴォーカルが湿ったメロディを歌い上げるドラマティックな2から展開の激しいインストゥルメンタルを含めたドラマ性の高い楽曲を揃えていきます。パワフルなリフで進んでいくダイナミックな哀愁メタルの3、叙情的なメロディで飛翔するスピードナンバーの4、ドラマティックなイントロからセンチメンタルなメロディが紡がれていく起伏の激しいシンフォニックナンバーの5では長尺のインストパートで圧倒していきます。6は物悲しいメロディのバラードナンバー、壮大なインターリュードの7からの8は起伏も激しく進んでいく重厚なドラマティックナンバー。バンド名を冠した9は余韻を残したまま疾走して劇的に開放されていく渾身のダイナミックファストナンバー。激しいビートで始まる10、11も哀愁メロディで進みサビで加速するアップテンポのナンバー。

 デビューアルバムとしてはかなりの完成度の作品になっている一枚で、キーボードの旋律が柔らかい口当たりを作り出し、スペイン仕込みの求心力のある哀愁メロディも炸裂するドラマティックなシンフォニックメタルが展開されていきます。借り物フレーズが少なくないとか、似たような曲調が多いとか色々課題もありますが、だんだん数が減ってきているこのスタイルに参入してくる意欲と可能性は評価できる、今後の成長に期待してみたい作品でした。
同系統アルバム
VENDETTA/CELESTY
SCORE TO A NEW BEGINNING/FAIRYLAND
AUTUMNAL/DARK MOOR

PULSE FOR A GRAVEHEART/MIND KEY

パルス・フォー・ア・グレイヴハート/マインド・キー

KING RECORD KICP-1385 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002AGULBA  イタリア出身のバンドのセカンドアルバムです。

 ハスキーなハイトーンヴォーカルが力強く歌い上げるアルバムは、スリリングなパートと繊細なパートが交錯するドラマティックな1から、プログレメタルを強力に展開させていきます。エモーショナルなヴォーカルが開放されていくダイナミックでタイトな2、ダークながらも叙情感の強いメロディが紡がれていくパートとアクティヴなパートとのコントラストの強い多彩な展開を見せる3、パワフルなメロディで迫る4は情感を徐々に高めていくミドルテンポのナンバー。キャッチーなメロディで明朗に進むテクニカルで躍動感の強まる5では壮大なインストパートも印象に残ります。ロマンティックなインストナンバーの6からダイナミックなリフを展開させていく7は緊張感が高まるテクニカルなヘヴィナンバー。煽情性の高いメロディで始まる8は開放感を感じさせるメロディと展開で飛翔する明るいナンバーながらも緊迫するインストパートが曲を締めます。フュージョン的な9は徐々盛り上がっていく多彩な展開のナンバー。エモーショナルなバラードの10、ボーナストラックの11はテクニカルなフレーズで畳み掛けるドラマティックナンバーが収録されています。

 ヴォーカルメロディを中心にしたドラマティックなサウンドを作り出していくアルバムは、キーボードとギターの絡み合うテクニカルで手の込んだ展開で屋台骨を支えつつ情感豊かな表現を導き出していきます。安定感のある演奏に山場を押さえた曲作りが相まって、いつもながらのイタリアン・プログレの血脈を感じさせていくあたりはこの国の層の厚さを窺わせます。このスタイルの中で一歩抜け出すにはもうちょっとインパクトが必要な気もしますが、高い完成度の手堅い一枚でした。
同系統アルバム
SUNLESS SKIES/PATHOSRAY
COMPASSION DENIED/FREQUENCY
COLLISION COURSE -PARADOX II-/ROYAL HUNT

WAKING INTO NIGHTMARES/WARBRINGER

ウェイキング・イントゥ・ナイトメアズ/ウォーブリンガー

KING RECORD KICP-1392 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B0024RI74I  アメリカン新世代スラッシャーの2枚目のアルバムです。プロデューサーにはエクソダスのゲイリー・ホルト、ファーストアルバムからはリズム隊を一新して製作されています。

 切れ味鋭いビートが炸裂していく起伏の激しい爆裂スラッシュナンバーで幕を開けるアルバムは、凶暴性の高い吐き捨てヴォーカルも威嚇する問答無用のスタイルを貫いていきます。畳み掛ける激しいリズムで襲い掛かる2は不穏な空気満載のアップテンポの曲、圧迫感の強いリフが押し寄せる3は緩急の激しさと疾走感が爽快なスピードナンバー。ドライヴするリフが唸りを上げる躍動感の強まる爆発力のある4、クランチーに叩きつけていく演奏が起伏激しく迫る5、ミドルテンポの6は重量感のあるリフとテクニカルなビートが不安感を煽るミステリアスなナンバー。静かなイントロで始まる7はダークで静謐な雰囲気が充満するインストゥルメンタルナンバー。激しいイントロから邪悪に迫る8はデスヴォイスも加えてスレイヤーっぽい突進パートもある緩急の強い展開を見せていきます。不穏なリフが積まれていくイントロからの9はムードを一転させる突進パートへ雪崩れ込みます。不穏なギターリフを詰め込んでいくイントロから爆走状態に展開する破壊力満点の10、ボーナストラックはEP収録の11の新録とどっかのデモっぽい12が収録されています。

 全体的なムードはプロデューサーが属するエクソダス的なものですが、そこにスレイヤー、更にデスラッシュやテクニカルデスと言った要素をまぶしていく新世代スラッシュに仕上がっているサウンドは、フラッシーなギターソロの求心力も強い完成度の高いものです。展開の妙が生み出す加速感や疾走感が強烈で、すっかり研究され尽くしているスラッシュメタルの真髄を露にしていく様はやっぱり新人離れしており、過去の憧憬と未来への希望が交錯していきます。スラッシュメタルの新たなムーブメントに名乗りを上げる会心の一枚でした。
同系統アルバム
THE ONSLAUGHT/LAZARUS A.D.
EXECUTIONER/MANTIC RITUAL
HORDES OF CHAOS/KREATOR





August

ANDRE MATOS | STEEL PANTHER | KORPIKLAANI | VADER |

MENTALIZE/ANDRE MATOS

メンタライズ/アンドレ・マトス

MARQUEE MICP-30016 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002DRAOZE  今ではすっかりソロアーティストとしての活動が大きくなってしまった、元アングラのヴォーカリストのセカンド・ソロアルバムです。

 ミステリアスでトライバルなイントロで幕を開けるアルバムは、ハイトーンヴォーカルに導かれるシリアスでダイナミックな1から劇的な世界観を提示していき、開放感のあるメロディとシャープなリフが導くキャッチーな2、トライバルなビートも絡めたへヴィな3は起伏の大きい展開で開放感を演出します。アングラを髣髴とさせるスピードナンバーの4は緊張と弛緩のバランスを掻い潜りキャッチーなコーラスが炸裂するドラマティックな曲。壮大なムードのバラードナンバーの5、ソリッドなリフを響かせて進む6はハードな感触のダイナミックなナンバーでスケール感の大きい多彩な展開を見せます。タイトなギターリフからドラマティックに飛翔していく演劇的でシンフォニックな7、女性コーラスのイントロからの8はストラトヴァリウスキャメロットかと言うネオクラシカルでスリリングな劇的展開のナンバー。明るいメロディで進むキャリー・オンみたいなアップテンポの9はスピードアップしていくインストパートが盛り上がります。クラシカルなイントロからメロディックメタルへ展開していく10ではエモーショナルなソロパートが印象的です。ピアノの調べに優しいメロディを乗せた11、爽快なメロディで疾走していくファストナンバーの12で空気を一転させると、ボーナストラックのシリアスなムードを高めた緊張感の強いスピードナンバーの13で更に加速していきます。もう一曲のボーナストラックはクイーンのカバーが収録されています。

 プロデューサーのサシャ・ピートの色が多少前に出ているもののクラシカルなフィーリングを持ったメロディックメタルという基本路線は変わらず、ファンの期待通りの作品を作り上げているアルバムは、アングラ時代の空気とソロ活動に移ってからの成長が伺われるものになっており、スタイルを完全に確立している自信に満ちています。様々な要素を吸収して安定感を増したスタイルは現在の充実度を物語っており、リスナーの希望とアーティストの志向が大方合致した幸運な一枚でした。
同系統アルバム
TIME TO CHANGE IT/MIND ODYSSEY
THE SCARECROW/TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA
TINNITUS SANCTUS/EDGUY

KARKELO/KORPIKLAANI

コルピの酒盛り/コルピクラーニ

KING RECORD KICP-1396 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B0027GZBYU  フィンランド出身の飲んだくれメタラーの6枚目のアルバムです。

 少しずつ酔いが冷めてきたサウンドに変わりつつあるバンドですが、今度のアルバムも安定感のある楽曲を揃えており、威勢のよい掛け声もテンションの上がるアッパーな1からすっかり宴会気分。アコーディオンの物悲しい調べも炸裂しながらコミカルなテイストも醸し出して進むミドルテンポの2、フォーキーに突っ走っていくイントロから朗々と進んでいく3はサビでのスピードアップでテンションを高めていきます。物悲しい旋律が心に染みる哀愁ナンバーの4、一転ハッピーなムードで朝まで宴会モードに突入する5、6は唸るヴォーカルとへヴィな曲調が苦悩を歌い上げていくダークなナンバー。哀愁メロディとソリッドなリフが交錯していくタイトな7は朗々としたサビでシリアスなムードを高めていきます。冷夏だった2009年を気にしない、ビールをガンガン消費するアッパーなスピードナンバーの8、沈鬱で物悲しい空気に満ちる9は閉塞感の漂うへヴィナンバーで終盤で感情を炸裂させていきます。ボーナストラックの10は叙情的なメロディから畳み掛けるハイテンションの展開で盛り上げる色彩豊かなナンバー。後半にかけてスピードアップしていく11、哀感たっぷりイントロから小気味良いリフを重ねていく12は勇壮さが哀愁と交わっていくミドルテンポの曲、お経みたいなヴォーカルが乗った軽快な民族的メロディのアウトロでアルバムは幕を閉じます。

 すっかり、このスタイルのフォーキーメタルの重鎮っぽくなってしまったアルバムは、初期のような破天荒な感触こそ薄まっていますが、的確にツボを抑えたサウンドを作り出しており、手堅さと安定感あふれるものに仕上がっています。ダミ声ヴォーカルも酒焼けの味わいが深くなって、シンプルな自然生活の奥にある人生の深みが伝わる、ような。内容をあんまり斟酌しない日本語曲名はどうなんだろうって感じですが、多彩な感情の起伏を十二分に表現していく、すっかり円熟の一枚でした。
同系統アルバム
CROGACHT/SUIDAKRA
CAPTAIN MORGAN'S REVENGE/ALESTORMY
SAGAS/EQUILIBRIUM

FEEL THE STEEL/STEEL PANTHER

鋼鉄の女豹(初回生産限定盤)/スティール・パンサー

UNIVERSAL REPUBLIC UICU-9067 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002CJRUU0  1980年代に隆盛を極めたいわゆるヘアメタルを現代に復活させるアメリカ出身バンドのファーストアルバムです。バンドの前身となるトリビュートバンドの結成は1994年。

 ハスキーなハイトーンヴォーカルに適度にメタリックなリフが絡むキャッチーなメタルサウンドが展開されるアルバムは、ハードロッキンな1から当時のムードを思い起こさせ、アジアンテイストを盛り込んだ湿ったメロディのキャッチーな2、カントリー風の大らかな感覚で迫るバラードの3、ドライヴ感あふれるハードロッキンなスピードナンバーの4、爽やかな空気が流れるポップナンバーの5、とってもグルーピーなミドルテンポのロックナンバーの6、トーキングモジュレーターを使ったら絶対ボン・ジョヴィみたいに聞こえるよな!な叙情感のあるロックナンバーの7はコーラスまでボン・ジョヴィ。ミステリアスなムードのアップテンポのナンバーの8、再びカントリー風味のバラードの9、レイドバックしたロックナンバーの10、アコースティックで良い雰囲気なのに唄ってることがロクでもない11、ボーナストラックの12はタイトなリフで進む熱気のあるロックナンバーが収録されています。

 メンバーの衣装からキャッチーなコーラスやサウンド、下ネタ満載の歌詞に至るまで徹底的にLAメタルを模倣していく様は完全にエンターテインメント。一見ギミックを楽しむと言う様相が強まっていますが、楽曲の方は本格的にクオリティの高いハードロックをやってのけるところはバンドの本気っぷりをアピールしています。下ネタ満載で現地でも引かれそうなエンターテインメント色の強さが今でも通用するかは不明ですが、あえてこのスタイルで打って出た意気込みを感じさせる一枚でした。
同系統アルバム
BLACK SOCIETY/ARTHEMIS
TINNITUS SANCTUS/EDGUY
DEADACHE/LORDI

NECROPOLIS + TO LIVE!!!/VADER

ネクロポリス+トゥ・ライヴ!!!/ヴェイダー

MARQUEE MIZP-60016 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002F1JMJC  ポーランド出身のバンドの8枚目のアルバムです。中心人物のピーター以外全員脱退という事態に見舞われましたが、新たなラインナップでアルバムを製作しています。

 クランチーなリフを叩きつけていくへヴィナンバーの1で幕を開けるアルバムは、いつも通りの迫力あるデスヴォイスが炸裂する邪悪なサウンドを展開していきます。ブラストビートでアグレッシヴに迫る2、鋭角なビートが切れ込んでくる起伏の激しいダークな3、文字通りブラストビートで威圧的に迫る切り返しの鋭いスピードナンバーの4、不安感を煽るインタールードの5から不穏な空気を高めるダイナミックな6で鋭いギターソロを聴かせていきます。 這い寄るギターリフと妖しいギターソロで重量感たっぷりに迫るミドルテンポの7、雷鳴ひびくナレーションのイントロダクションの8からアグレッションを破裂させていく起伏の激しい突進ナンバーの9へ。叫ぶギターから突進するへヴィナンバーの10、迫力のあるギターリフで押し込んでくるロックテイストも感じるラウドナンバーの11、 ボーナストラックの12と13はかなりの有名曲のカバーが収録されています。

 メンバーが大幅に入れ替わってしまいましたが、その影響は最小限に抑えられているようで、これまでと変わらないサウンドが展開されています。その質は保たれているものの、コンパクトにまとめられた楽曲は、キャッチーさとメロディも増えて聴きやすくなったと同時に正統派メタル的な展開も増えているので、緊迫感と破壊力を求める向きには若干物足りない感もあるかと思われます。とりあえず、これまで通りの活動を続けてくれて一安心な一枚でした。
同系統アルバム
COMMUNION/SEPTICFLESH
DISMEMBER/DISMEMBER
TO THE NINES/HATESPHERE





September

ALESTORM | ARCH ENEMY | AT VANCE | ENSIFERUM | KITTIE | MEGADETH | METALIUM | 陰陽座 | SHADOWS FALL | SONATA ARCTICA | U.D.O. |

BLACK SAILS AT MIDNIGHT/ALESTORM

真夜中の暗黒海賊船/エイルストーム

HOWLING BULL HWCY-1274 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B0021UDJM8  スコットランド出身のバンドの二枚目のアルバムです。ギタリストの脱退でベーシストがギターにコンバート、更に新ベーシストが加入しています。

 勇ましいファンファーレのようなイントロからダミ声ヴォーカルが叫んでいくダイナミックなアップテンポの1でドラマティックな展開を見せていくアルバムは、フォーキーなメロディとオーケストレーションを加えたサウンドが一体となって中世の世界観を体現していきます。哀愁帯びたメロディに導かれる2は壮大なオーケストレーションが雰囲気を盛り上げるスケール感の大きな劇的ナンバー、ホーンセクションが勇壮なムードを押し上げるミドルテンポの3ではフォーキーなメロディが相まって大らかなサウンドを展開します。コミカルな感触のフォーキーなメロディに導かれる威勢の良いコーラスも躁状態のスピードナンバーの4、物悲しいイントロからの5は哀愁満ちたエモーショナルな曲で泣きのキーボードとギターが印象に残ります。エッジの効いたギターリフで攻め込む6はアグレッシヴな突撃ナンバー、フォーキーなメロディが炸裂していくドラマティックなインストナンバーの7を経て、ヘヴィに迫る8はクワイアも勇ましい重厚なナンバー、ドラマティックなイントロからの9は壮大な展開でダークな雰囲気を盛り上げていきます。ムードを一転して明るいムードで進んでいくクワイアも勇ましいアップテンポの10で希望に満ちながらアルバムの幕を閉じます。

 メンバーチェンジの影響も感じさせないアルバムは、デビューアルバムから全体的な底上げがなされており、前作が海賊同士の小競り合いだったのに対し、今作は派手な艦隊戦と言った様相を呈しており、生楽器の大胆な導入などによってスケール感を大きく増量していきます。伝統的なサウンドの中にも、流行のスタイルも隠し味に取り入れたりと、現在進行形のバンドの姿を見せ付けます。順調に成長していく姿に更なる期待を込めたくなる明朗快活な一枚です。
 でも、ボーナスに付いてるライヴのヴォーカルひどいな…(´Д`;)
同系統アルバム
KARKELO/KORPIKLAANI
AS THE PATH UNFOLDS.../CRIMFALL
VICTORY SONGS/ENSIFERUM

THE ROOT OF ALL EVIL/ARCH ENEMY

ルート・オヴ・オール・イーヴィル/アーク・エネミー

YOSHIMOTO R&C YRCG-90019 [EXTRA] >>>>>BUY...?

B002H16WDE  スウェーデン出身のバンドの初期アルバムからの楽曲のセルフカバーアルバムです。

 既に人気のある楽曲を揃えているアルバムだけに、今更曲がどうこう言っても仕方がありませんが、現在の録音品質で仕上げられた初期の楽曲は流石に洗練された音になっており、アングラ感は皆無。新しいバージョンではアレンジに多少の違いも在ったり無かったりしますが、初期原理主義的には違和感の残るところ。とは言っても現在でリアルタイム聴けるのはこれしかないので、どうしようもないですが。でも、最近のアルバムのもやもや感ってやっぱりヴォーカルのせいなんじゃあ…(´Д`;)って思わなくも無い。
 しかし、ボーナストラックのクイーンズライクのカバーがマイケル・ウィルトンに褒められたって社交辞令だろ、常識的に考えて…。もしくはギターしか聴いてない(´Д`;)

 それはそうと、このアルバムって吉本なんですよ、吉本。
同系統アルバム
ENDLESS ECHO/CONSTRUCDEAD
TO THE NINES/HATESPHERE
FOREVER CHAOS/SHADOW

RIDE THE SKY/AT VANCE

ライド・ザ・スカイ/アット・ヴァンス

MARQUEE MICP-10864 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002J0NXPI  ドイツ出身のバンドの8枚目のアルバムです。前作からフリークエンシーサンダーストーンなどと掛け持ちするスウェーデン人のヴォーカリスト、リック・アルティを迎えてほぼプロジェクトのような形態で製作されています。

 キャッチーなコーラスのアップテンポの哀愁ナンバーで幕を開けるアルバムは、ハスキーなハイトーンヴォーカルのエモーショナルな歌声と滑らかなギターサウンドが展開されていくネオクラワールド。ヘヴィなリフで進む2はエモーショナルなコーラスがダークに迫るミドルテンポのナンバー、泣きのメロディで進む劇的スピードナンバーの3、ミドルテンポでブルージーに迫るフリーのカバーの4、クラシカルなムードが高まるアップテンポのドラマティックな5、ヴィヴァルディの夏な6、ソリッドなギターリフで突き進むパワフルなスピードナンバーの7、センチメンタルなバラードナンバーの8、ネオクラシカルなフレーズが炸裂する疾走ナンバーの9、叙情メロディが押し寄せるエモーショナルな10、タイトなリフを繰り出すミステリアスでドラマティックなナンバーの11、グルーヴィなイントロからの12は圧迫感の強まるムードを維持しつつ進むダークなナンバー。

 良い意味でも悪い意味でもこれまでと変わらぬネオクラシカルサウンドが貫かれているアルバムは、メンバーの変更などまったく影響なく己の道を突き進んでいきます。とりあえず、掛け持ちヴォーカルはこのバンドが一番フィットするような気がするので、このへんで腰を落ち着けて欲しいものですが、バンドの活動的には一番ダメなんだろうなあ…(´Д`;)
同系統アルバム
FADE TO BLACK/EVIL MASQUERADE
AUTUMNAL/DARK MOOR
POLARIS/STRATOVARIUS

FROM AFAR/ENSIFERUM

フロム・アファー/エンシフェルム

SPINEFARM RECORDS FONINT8472 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002L3TTJC  フィンランド出身のバンドの4枚目のアルバムです。キーボーディストが交代しています。

 哀愁帯びた物悲しいアコースティックのイントロダクションの1で開幕するアルバムは、続くタイトルトラックのシンフォニックなアレンジも劇的な疾走ナンバーの2で一転ムードを盛り上げていきます。デスヴォイスとコーラスが絡み合うドラマティックな仕上がりはフィンランド風味なメロディとクラシカルな空気を伴って突き進み、アルバムの方向性を形作ります。フォーキーなメロディが炸裂する3はキャッチーさとメランコリックな空気が融合していくアップテンポのダイナミックなナンバー、シンフォニックなアレンジで重厚に迫る渾身の4は哀愁帯びたミドルテンポの長尺劇的展開ナンバーでアルバムを象徴する曲になっています。叙情メロディでドラマティックに突っ走る疾走ナンバーの5、妙に高揚感の高まるパレード風の6はデスヴォイスとフォーキーなメロディの取り合わせが奇妙。哀愁帯びた7は情感を高めつつ厚いコーラスでドラマティックに進みます。コーラスのアカペラの小品を挟んでの9は、4の続きとなるドラマティックな大作で、サウンドトラック的な要素を孕むスケール感の大きいナンバーになっています。

 シンフォニックな方向に舵を切ったサウンドは、これまでの要素を孕みつつ、より劇的なものへと進んでおり、物語性を伴った展開の激しいものです。求心力の強いメロディと聴き手を引き込むドラマティックな展開はバンドの成長を感じさせますが、物語性が強まった影響で勢いだけで突っ走ると言うわけにもいかず、冗長な部分が発生するのは致し方ないところ。それでも袋小路に陥りやすいヴァイキング/フォークメタルで、バンドの可能性を広げる新たな方向性を示した強力な一枚です。
同系統アルバム
CROGACHT/SUIDAKRA
AS THE PATH UNFOLDS.../CRIMFALL
A TWIST IN THE MYTH/BLIND GUARDIAN

IN THE BLACK/KITTIE

イン・ザ・ブラック/キティ

VICTOR VICP-64765 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002HUQ29E  名前は某ファンシーキャラと同じでも音はやたらと物騒なガールズバンドの5枚目のアルバムです。メンバーチェンジが色々あったり、中心メンバーであるランダー姉妹の父が亡くなるなどトラブルに見舞われながらも完成に漕ぎ着けています。

 哀愁帯びたイントロダクションで幕を開けるアルバムは、パワフルなリフとビート、凶暴なヴォーカルが交錯していくミドルテンポの2で重量感を強めていくと、クリーンヴォーカルも加えてドライヴするファストナンバーの3で一気にテンションを上げていきます。マーチ風の勇ましさを持ったクリーンヴォーカル中心で進むキャッチーさを合わせ持つヘヴィナンバーの4、閉塞感が漂うダークでエモーショナルな5、デスヴォイスで突進するアグレッシヴなパートとクリーンパートのコントラストも激しいパワフルな6、正統派メタル的に疾走していくファストナンバーの7、情感高まるミステリアスな8、9、ギターソロなどにクラシックロックのテイストを感じさせるダークなナンバーの10、デスヴォイスで押し込む11はタイトなリフと起伏の大きい展開のメタリックなナンバーで、伝統的なギターソロが印象的。最後を飾る12は70年代風のフレーズが炸裂していくルーズな空気がデスヴォイスと組み合わさったブラック・サバスみたいなヘヴィナンバー。

 前作でポップ寄りになったらしい方向性を、多彩な表現を使える女性ヴォーカルの利点を最大限に活かしつつ、ダイナミックなサウンドを展開していくアルバムは、ラウドメタルのスタイルから幅を広げてオールドスタイルのロックやデスメタルなどの手法も使った幅広い楽曲を揃えており、アーティストとしての可能性を追求していきます。後半が割と失速気味ですが、自分達のルーツを回顧する音楽的に一歩も二歩も踏み出した意欲的な一枚でした。
同系統アルバム
SEASONS OF TRAGEDY/BENEDICTUM
THE ABSENCE/LUNA MORTIS
THE_ASCENSION/OTEP

ENDGAME/MEGADETH

エンドゲーム/メガデス

ROADRUNNER RRCY-21349 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002F04TPU  スラッシュ四天王の一角、メガデスの12枚目のアルバムです。諸事情でギタリストが交替しています。

 「SO FAR,SO GOOD...SO WHAT!」アルバム収録のオープニングナンバーを彷彿とさせるインストゥルメンタルで幕を開けるアルバムは、続く攻撃的なスラッシュナンバーの2で当時の緊迫感を呼び起こしていきます。物悲しいイントロからの3はソリッドなギターリフで進むミドルテンポの圧迫感の強いナンバーでツインギターの絡み合いが濃密に行われます。“502”みたいなムードのスピードナンバーの4は転調からのフラッシーなギターソロが印象的、トリッキーなリフで進むアップテンポの5はダイナミックな展開で躍動感を生み出し、閉塞感漂うダークでメロディックな6は終盤のスリリングなギターソロでムードを盛り上げます。アジテイトするイントロからのタイトルトラックは凝った展開で緩急の激しいスリリングなナンバー、センチメンタルなイントロからエスニックなメロディ孕むエモーショナルな展開を見せる8、空気を一変させるアグレッシヴな突撃ナンバーの9でテンションを上げると、ダイナミックなリフワークで進む10は独特の歌メロが満載のキャッチーなナンバー。グルーヴィなリフが唸る11は圧迫感を強めつつエモーショナルなコーラスに進むダークなナンバーでやっぱり終盤のソロパートはアグレッシヴ、ボーナストラックはライヴバージョンが収録されています。

 3rdアルバムあたりのバラエティさと緊張感に最近の作風を組み込んでみたような、いわゆる原点回帰なサウンドになっているアルバムは、過去の楽曲を思い出させるフレーズなど迷走していた頃を除いた集大成的な仕上がりを見せます。初期のラフさと最近の整合性がぶつかり合って緊張感を生み出しているあたりは、メガデスの復活を強くアピールするものになっており、新しいギタリストもそつなくプレイをこなしており、再び最盛期を迎えつつあるかのよう。さすがに狂気を孕んだ衝撃度こそありませんが、ムステイン節が随所に炸裂する最近では一番メガデスらしい一枚でした。
同系統アルバム
PARASITE OF SOCIETY/HEADHUNTER
DEATH MAGNETIC/METALLICA
ELECTRIFY/PARADOX

GROUNDED -CHAPTER EIGHT-/METALIUM

グラウンデッド〜チャプター・エイト/メタリウム

SOUNDHOLIC YZSH-1017 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002EC398W  ドイツ出身のメタルウォーリアーのナンバリングしてあって分かりやすい8枚目のアルバムです。

 一曲目からメタルヘッズ以外お断りムード漂うパワフルなその名も“HEAVY METAL”で幕を開けるアルバムは、相変わらずのメタル魂炸裂のサウンドが展開されています。ミドルテンポで感情を叩きつけていくダイナミックな2、タイトなリフのイントロからエモーショナルに展開する起伏の激しいハイトーンヴォーカルも熱いドラマティックな3、グルーヴィでエキゾティックなへヴィナンバーの4、湿ったメロディで進む5はメロウでエモーショナルな感覚が高まるミドルテンポのナンバーで情感込めたギターソロが印象的。アグレッシヴなイントロからダークな雰囲気で突き進むパワーメタリックな6、タイトなギターリフで進む7はミステリアスなムードを持った劇的ナンバー、ボーナストラックの8はメランコリックなパートと情感を叩きつけていくパートの切り返しが鮮やかなミドルテンポのナンバー、哀感漂うバラードナンバーの9、一転して速度を上げていく10はどんよりした空気を切り裂くスピードチューン。最後を飾る11はダークなリフがソリッドに展開して暗い感情を吐き出していくダイナミックな劇的ナンバー。

 初期のような妙なテンションはすっかり影を潜めてしまいましたが、すっかりベテランの域に入りつつあるサウンドは普通に真っ当なへヴィメタルを作り出しており、一般性と普遍性が強まるものになっています。緩急の付け方とか楽曲の構成の円熟度に安定感と堅実さが高まりすぎて、たまに出てくるスクリーム以外どのへんがあの熱かったメタリウムなのかサッパリですが、これが成長の結果かと納得しなければならない気がする、大人な階段のぼる一枚でした。
同系統アルバム
FIREANGEL/MYSTIC PROPHECY
ONE PATH/PAINDIVISION
16.6(BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU'RE DEAD)/PRIMAL FEAR

金剛九尾/陰陽座

KONGOUKYU-BI/ONMYO-ZA

KING RECORD KICS-1484 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002E1HLPA  男女ヴォーカルの妖怪メタルバンドの9枚目のアルバムです。ドラマーが脱退しています。

 男性ヴォーカルが主導するエモーショナルでミステリアスながらもキャッチーなナンバーで幕を開けるアルバムは、メタリックなリフが展開するオーセンティックな劇的ナンバーの2で緊迫感を増していくと、女性ヴォーカルを中心とした哀感高まる劇的ハードロックナンバーの3でムードを高めます。柔らかいメロディで進む4は情感豊かなポップなナンバー、ドライヴするギターリフで突っ走るオーセンティックなスピードナンバーの5、哀愁帯びるメロディが情感を揺さぶるブルージーな6、ミステリアスなイントロからダイナミックに展開していく7は叙情メロディを重ねていく正統派メタルナンバー、リリカルなイントロからの8はセンチメンタルなバラード、組曲の9〜10〜11はアイアン・メイデンみたいなリフで始まり叙情メロディを重ねていく切ないポップチューン、哀愁漂う起伏の激しい展開を見せるダークな劇的メタルナンバー、ソリッドなギターリフで押していくアグレッシヴな突進ナンバーは終盤でキング・クリムゾンが入ったりとドラマティックに加速していきます。最後の12にはアップテンポのロックアンセムが収録されています。

 全体的にはハードロック色が強まっているサウンドで構成されるアルバムは、おどろおどろしさや妖しげな感触は薄まってポップな印象を与える楽曲が増えており、メタリックな楽曲もエッジが丸くなってメインストリーム向けになっているような感覚を覚えます。メロディラインを含む楽曲自体のクオリティは上がっていると思われますが、ヘヴィメタルとしては完全に停滞ムードが広がっていて歌メロ主体の楽曲が揃えられています。メタル的には物足りなさが残りますが、万人向けに聴きやすいサウンドに調整された一枚でした。
同系統アルバム
SHALLOW LIFE/LACUNA COIL
THE END OF LIFE/UNSUN
UNBREAKABLE/FIREFLIGHT

RETRIBUTION/SHADOWS FALL

レトリビューション/シャドウズ・フォール

UNIVERSAL MUSIC UICO-1170 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002H3ETL4  マサチューセッツ出身のバンドの6枚目のアルバムです。

 物悲しいアコースティックのインストナンバーで幕を開けるアルバムは、ムードを受け継いだソリッドなギターリフを繰り出していくミドルテンポの2でクリーントーンとダーティヴォイスのメタルコアな感触を強めていきますが、エモーショナルな転調からのフラッシーなギターソロが鮮やかな印象を与えていきます。タイトなリフで押し込む3はメロディと起伏の激しいダイナミズムが融合していくエモーショナルなナンバーでギターソロも煽情的に盛り上げます。情感的なムードを一転させてクワイアと共に突進するアグレッシヴな4、ミドルテンポの5はオーセンティックなスタイルを踏襲するヘヴィナンバー、叙情メロディでキャッチーに迫るもメタリックな感触を残す6、ヘヴィなパートとエモーショナルなパートのコントラストが叙情感を高めていくミドルテンポの7、どこの産業ロックだと言うメロディが飛び出す哀愁ナンバーの8、不穏な空気が充満する展開の激しい突進ナンバーの9、アコースティックのイントロから疾走感の強いリフを繰り出していく10はミドルテンポからアップテンポへと変化しつつエモーショナルに盛り上げます。ボーナストラックにはオジー・オズボーンなどのカバー曲が三曲収録されています。

 表現力を上げつつあるヴォーカルに更に全曲に組み込まれる情感を込めたギターソロが加わって、すっかり正統派メタル然とした風格さえ身に着けつつあるバンドですが、ルーツとなるメタルコアのエッジもキープしながら前進していく強い姿勢を見せ付けていきます。アイデンティティを維持しながら自分達のルーツに寄った様々なスタイルを吐き出していく様は、ジャンルの垣根を越える勢いに満ちて新世代メタルの最盛期を感じさせます。ヘヴィメタルの伝統と革新の間隙を繋ぐ、新勢力の一翼を担う会心の一枚です。
同系統アルバム
KILLSWITCH ENGAGE/KILLSWITCH ENGAGE
THE MARCH/UNEARTH
SHOGUN/TRIVIUM

THE DAYS OF GRAYS/SONATA ARCTICA

ザ・デイズ・オヴ・グレイズ(初回限定盤)/ソナタ・アークティカ

MARQUEE MICP-90045 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002F1JMIS  フィンランド出身のバンドの6枚目のアルバムです。新たなギタリストを迎えて製作されています。

 アポプリカティカのメンバーが参加した緊張感高まるイントロからチェロとピアノの物悲しい旋律を響かせていくインストナンバーで幕を開けるアルバムは、舞台装置も大掛かりな物語を描き出していきます。女性ヴォーカルも導入してダイナミックな展開を見せる激情的な2の重層的なコーラスワークも手伝っての重厚壮大な仕上がりはこれまでのバンドのイメージを変えるオペラティックな代物。逞しいギターリフと叙情感あふれるメロディが合わさったロマンティックな3、フォーキーな泣きのメロディが広がるドラマティックなアップテンポのナンバーの4、エモーショナルなヴォーカルが響く哀愁のバラードナンバーの5、ダークな感覚が広がる6は手の込んだプログレ風のミドルテンポのナンバー、キャッチーなメロディで軽快に迫るもテクニカルかつへヴィなパートでムードを切り裂く7、煽情性の高いメロディで迫るダイナミックな劇的ナンバーの8、湿ったメロディでパワフルに迫る起伏の大きい9でも女性ヴォーカルがセンチメンタルな感情を露にしていきます。リリカルなパートから劇的に広がっていく10、11はコーラスワークが鮮やかな華麗なナンバー、12は1のヴォーカルありのフルバージョン。ボーナストラックの13は凄く日本向けのスピードナンバー、14はやっぱり日本向けのアップテンポのナンバーが収録されています。

 方向性の違いからギタリストが脱退したのか、脱退したことによって方向性を決定したのかは定かではありませんが、少なくともバンドとしての成熟がメロディックスピードメタルからシンフォニックメタルへの移行を進めたのは間違いないところで、これまでのような線の細さを一切感じさせない力強いサウンドが広がっていきます。クィーンを彷彿とさせるコーラスの積み重ねにオーケストレーションがふんだんに盛り込まれたサウンドが合わさって、奥行きのある世界観を提示していく様はこれまで以上に感覚的にスケールアップしたものになっています。これまでに彼らに求められてきたものとは多少趣が異なるものの、クオリティの高いグレードアップしたものに仕上がった一枚です。
同系統アルバム
PULSE FOR A GRAVEHEART/MIND KEY
SUNLESS SKIES/PATHOSRAY
MY EARTH DREAM/EDENBRIDGE

DOMINATOR/U.D.O.

ドミネイトー/U.D.O.

AFM RECORDS XQAN-1069 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002JXJMP0  ジャーマンメタルの重鎮、ウド・ダークシュナイダー率いる鋼鉄バンドの12枚目のアルバムです。

 静かなイントロからミドルテンポで厚いコーラスを繰り出す重厚なナンバーで開幕するアルバムは、いつもながらの“あの声”が炸裂するヘヴィメタル。タイトルトラックの2はソリッドなギターリフが圧迫感を増していくドライヴ感の強いダイナミックなアップテンポのナンバー、ダークなムードが支配する中、感情を爆発させていく濃密なギターソロも鮮やかなヘヴィナンバーの3、タイトなリフでザクザク迫りコーラスで畳み掛ける劇的スピードナンバーの4、重量感たっぷりの勇壮なコーラスでメタルアンセムな5、ヘヴィリフでレイドバック気味に進む6、エモーショナルなメロディが押し寄せるドラマティックな7、ルーツが垣間見えるシャッフルする8、ボーナストラックの9はハイなロックンロールナンバーでアクセプト〜U.D.O.のアルバムの定番の一曲。タイトなギターリフで押し込んでドライヴしていく緊張感高まるファストナンバーの10、センチメンタルなバラードナンバーの11でエモーショナルに幕を閉じます。

 メンバーチェンジも久しく無くなって、すっかり安定感のあるサウンドを作り出している最近のバンドですが、このアルバムでも変わりないメタルサウンドを構築していきます。今更マンネリがどうこう言うバンドでもないですが、ギタープレイはちょっとおとなしめかも。アクセプトよりもアルバムの枚数が増えてしまって、もうU.D.O.がオリジナルと言う感も強まっていますが、徹頭徹尾不変のサウンドを生み出し続ける姿勢にすっかり頭が下がる一枚です。
同系統アルバム
TABULA RASA/BLOODBOUND
BALLADS OF A HANGMAN/GRAVE DIGGER
GROUNDED -CHAPTER EIGHT-/METALIUM





October

THE BLACK DAHLIA MURDER | EPICA | LORD | PARADOX | SAVAGE CIRCUS | SHADOW GALLERY | SLAYER |

DESIGN YOUR UNIVERSE/EPICA

デザイン・ユア・ユニヴァース/エピカ

MARQUEE MICP-10867 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002MBSYPI  オランダ出身のバンドの4枚目のアルバムです。ギタリストとドラマーが交替して製作されています。

 スケール感の大きいシンフォニックなイントロに導かれるアルバムは、ソリッドなギターリフが不穏なムードを演出していく2でデスヴォイスとソプラノヴォイスのコントラストを生み出しつつ壮大かつスリリングに展開していきます。緊迫感高まるイントロからの3は、エモーショナルな歌声でドラマティックに展開していくナンバーなど、シンフォニックメタルな楽曲が揃っており、ボーナストラックの14には同郷のパンクバンドのカバーが収録されています。

 そんなわけで、全面的にスケールアップした楽曲を揃えてきたアルバムはシンフォニックなパートとメタリックなパート、ソプラノヴォイスとデスヴォイスのコントラストが更に強まって強力なダイナミズムを生み出しており、その世界観への没入度も高めています。順調に成長していくバンドの姿を如実に表した強力な一枚です。
同系統アルバム
MY EARTH DREAM/EDENBRIDGE
SCORE TO A NEW BEGINNING/FAIRYLAND
EQUILIBRIO/XYSTUS

DEFLORATE/THE BLACK DAHLIA MURDER

デフロレイト/ザ・ブラック・ダリア・マーダー

METAL BLADE JAPAN MBCY-1115 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002KJG85K  アメリカ産デスメタルバンドの4枚目のアルバムです。リズム隊が元オール・ザット・リメインズの二人に、ギタリストに元アーシスのライアン・ナイトを迎えて製作されています。

 唸りを上げるギターリフとブラストビートが炸裂する突進ナンバーの1からシャウターなデスヴォイスが荒れ狂う起伏の激しいサウンドを繰り出していくアルバムは、不穏なムードが高まるソリッドで高密度な2、威嚇するような尖った攻撃性を露にするアグレッシヴな3ではエモーショナルなギターソロとのコントラストが光ります。威圧感の高まる4はタイトなムードと妖しいギターソロが絡み合う激情的なナンバー、叙情メロディを纏いつつ突進していくブルータルな5、ブラストビートで振り切っていくアグレッションを全開にした6、威嚇しながらブルータルなギターリフで圧倒していくダイナミックなナンバーの7、唸るギターリフで突き進む8、荒れ狂うビートが炸裂するブルータルな9、妖しいメロディのイントロからスピードを上げていく突進ナンバーの10。

 未だにメタルコアの範疇で語られるのが不思議なくらいにメロデス道を突き進んでいるバンドですが、すっかり安定感も高まったベテランめいた貫禄すら感じさせるサウンドに仕上げてきています。サイケデリックな空気のイラストのジャケットからは予想も出来ないスリリングでヴァイオレントなサウンドが飛び出す、一気呵成に突っ走る一枚でした。
同系統アルバム
WE ARE THE NIGHTMARE/ARSIS
NECROPOLIS + TO LIVE!!!/VADER
CULT OF THE DEAD/LEGION OF THE DAMNED

SET IN STONE/LORD

セット・イン・ストーン/ロード

SOUNDHOLIC YZSH-1018 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002JB3UZK  オーストラリアン・パワーメタラーの3枚目のアルバムです。新たにギタリストが加わり、多数のゲストが参加して制作されています。なお、レコーディング後に中心メンバーだったドラマーが健康上の理由で脱退しています。

 不穏な空気が高まるイントロダクションから、一転して疾走するパワーメタリックな2で湿ったメロディとスピードを兼ね備えた彼ららしいサウンドを展開させていくと、コーラスワークもキャッチーな明るいハードロックナンバーの3へ。滑らかな叙情メロディで突っ走るソリッドでダイナミックな4、厚いコーラスとメタリックなリフが印象に残る正統派ナンバーの5、ダークなリフワークからデスヴォイスも導入してエモーショナルに迫る、ギターソロも鮮やかな劇的ナンバーの6、壮大なバラードパートから激しい展開を見せる7、オーセンティックな感覚が蘇るハードロックナンバーの8、壮大なイントロからの9は激しいギターリフで突進していくデスヴォイスも加わった展開の大きなハイテンションのスピードナンバー。クレイグ・ゴールディやハーレム・スキャーレムのギタリストなどゲスト満載のインストナンバーの10から、しっとりとしたバラードナンバーでアルバムを締めます。 ボーナストラックにはゲストにも参加したハーレム・スキャーレムのカバーが収録されています。

 新たなメンバーの加入でバンドの状況も向上したのか、バラエティに富んだ楽曲を揃えてきたアルバムは、彼らの様々な顔が味わえるものになっています。新ギタリストもロード・ティムとのツインリードがフィットするプレイを聴かせており、バンドの新戦力として能力を発揮しています。作品の出来の割りには、アルバムジャケットは売れる要素が皆無ですが、なかなか評価されてこなかったバンドが一躍脚光を浴びられそうな、色鮮やかな魅力に満ちた一枚です。
同系統アルバム
MENTALIZE/ANDRE MATOS
SHOW YOUR COLORS/AMORAL
TIME TO CHANGE IT/MIND ODYSSEY

RIOT SQUAD/PARADOX

ライオット・スクワッド/パラドックス

MARQUEE MICP-10847 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002NFECR2  ドイツ出身のバンドの5枚目のアルバムです。

 ダークでドラマティックなイントロで幕を開けるアルバムは、クランチーなギターリフが突き刺さるスラッシーでタイトな1から攻撃性を全開にしつつ突撃していきます。タイトなリフで押し込みつつ進む2は扇情的なメロディを伴ったコーラスが印象に残る激しさとメロディのコントラストの強いナンバー、破壊力のあるリフで畳み掛けるタイトな3、ヘヴィなイントロが圧迫感を生み出していく4は一気にスピードアップしていく展開の大きな疾走ナンバー。怒涛のリフで突進していくダイナミックな突撃ナンバーの5、ミステリアスなイントロからの6は圧迫感高まるムードの中、エモーショナルなメロディが開花する情感込めたダークなナンバー。空気を一変させる暴走突撃ナンバーの7は一気にテンションが上がる疾走感に圧倒されます。黒いメロディを積み重ねる8はドライヴするヘヴィリフで突き進む展開の激しいナンバー、SEを絡めたスケール感の大きい9は怪しげなムードを高めつつ緩急も激しく進むダイナミックな劇的ナンバー、 狂ったように暴走する超高速ナンバーの10は圧倒的な破壊力と叙情的なギターソロが混在する色々振り切った一曲。ボーナストラックの11は暗いメロディがダイナミックに展開していく起伏の激しい突進ナンバーが収録されています。

 バンド史上最も攻撃的な仕上がりを見せるサウンドは、ダークなメロディを保ちつつも激しさを前面に押し出したものになっており、バンドのスラッシュメタルとしての側面を強調していきます。キレのあるギターソロに象徴されるヘヴィメタル然としたダイナミックな展開と馬力のあるサウンドが結びついた独自の楽曲を揃えてきたアルバムはこれまでの活動の鬱屈を吐き出すかのような破壊力に満ち溢れており、バンドの中で何かが振り切れてしまったような鬼気迫る代物。活動的には紆余曲折が満載のバンドですが、安定してきたこの時期に一気に盛り上がって欲しい迫真の一枚でした。
同系統アルバム
METAL/ANNIHILATOR
D.E.V.O.L.U.T.I.O.N./DESTRUCTION
ALIENIGMA/AGENT STEEL

OF DOOM AND DEATH/SAVAGE CIRCUS

オヴ・ドゥーム・アンド・デス(初回限定盤)/サヴェージ・サーカス

MARQUEE MIZP-60017 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002MBSYOY  元ブラインド・ガーディアンのトーメン・スタッシュが中心となって結成されたバンドですが、当人は脱退してしまって後任に元レイジなどのマイク・テラーナを迎えて製作している二枚目のアルバムです。

 ミステリアスなイントロから繰り出されるハイパワーな大作ナンバーからブラインド・ガーディアン型のパワーメタルが炸裂していくアルバムは、テーマがキングの「ダークタワー」とかハンドベルとか重厚なコーラスワークとかどんだけ「SOMEWHERE FAR BEYOND」好きなんだよ!って言う劇的な1から激情的に突っ走っていきます。ドラマティックなイントロからジャーマンメタリックな硬質なメロディが繰り出されていく勇壮な2、哀愁メロディのイントロからエモーショナルに展開するミドルテンポの3は後半にかけて緊張感と速度を増していく起伏の激しいナンバー、ダイナミックなイントロから焦燥感の高まるメロディと開放的なコーラスで突き進むパワーメタリックな4、ミステリアスなイントロからドラマティックに飛翔する雄大なコーラスを伴った疾走ナンバーの5、ピアノの叙情的な響きから始まる6はコーラスワークが印象的に残る壮大で優雅なナンバー。不穏な空気が立ち込めるイントロからの7は緩急の激しいパワーメタルナンバー、不穏なムードの中エモーショナルなヴォーカルが叫ぶミドルテンポの8、アウトロの9は物悲しいメロディを紡ぐインストナンバー。ボーナストラックは日本でもカバーされておなじみのアニマルズのカバーが収録されています。

 力んだヴォーカルと執拗でドラマティックなギタープレイにコーラスワークが一々ブラインド・ガーディアンの相似形なサウンドは創始者の一人が居なくてもこれだけのサウンドが再現できるあたりに研究され尽くしてる感が強まったりしますが、高品質なパワーメタルを作り出していきます。歌メロがアイアン・セイヴィアーなところが段々気になってくるくらいにブラインド・ガーディアンなわけですが、聞き込んでいくうちにクイーンや70年代ハードロックバンドをバックグラウンドに持つ本家やカイ・ハンセンあたりとの違いを感じるようになってきて、まだオリジナルの影響下を脱することは無さそうに思われてきます。それはともかく、ピート・シールク色がもうちょっと薄くなればブラインド・ガーディアンと信じ込んで浸りこめるのになあ、と思ったりもする仕事の遅い本家に喝を入れる強力な一枚でした。
同系統アルバム
A TWIST IN THE MYTH/BLIND GUARDIAN
VENDETTA/CELESTY
SCORE TO A NEW BEGINNING/FAIRYLAND

DIGITAL GHOSTS/SHADOW GALLERY

デジタル・ゴースツ/シャドウ・ギャラリー

MARQUEE MICP-10868 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002Q4TKUE  アメリカンテクニカルメタルバンドの6枚目のアルバムです。ヴォーカリストが死去すると言う事態に見舞われながらも完成に漕ぎ着けています。

 新しいヴォーカリストはクイーンズライクのジェフ・テイトっぽい唄いまわしのハイトーンヴォーカルで表現力は前任者に見劣りしないもので、一曲目から多層的な展開のドラマティックな大作を歌い上げていきます。ヘヴィリフでソリッドに迫る2はゲストヴォーカルの粘りのある歌唱で緊迫感を増していき、彼ららしいコーラスとテクニカルなギターで盛り上げます。物悲しい調べで始まる3はエモーショナルなメロディを紡ぎつつヘヴィに展開していく哀愁ナンバー、センチメンタルなイントロからドライヴしていく4はテクニカルなプレイが炸裂していく壮大なナンバー、プライマル・フィアのラルフ・シーパースが参加した5はミステリアスでパワフルな展開を見せる楽曲で、パワーメタルへの憧憬も覗かせます。亡きヴォーカリストに捧げるタイトルトラックの6は希望に満ちた曲調とシンフォニックな展開が印象的な劇的ナンバー。コーラスに導かれていく7は物悲しい前半のパートから密度を高めてテクニカルに展開していくパートを経てドラマティックに帰結していきます。ボーナストラックの8はD.C.クーパーが参加したテクニカルでトリッキーなナンバーが収録されています。

 大きな障害にも関わらず、そのサウンドは変わることなく劇的に仕上がっており、創作意欲が削がれていないことに安心させられます。前作からの流れを引き継いだ楽曲は更に磨き上げられて完成度を高めており、魅力的なサウンドを堪能できます。困難を乗り越えた新生シャドウ・ギャラリーの船出を告げる一枚でした。
同系統アルバム
BLACK CROUD & SILVER LININGS/DREAM THEATER
SUNLESS SKIES/PATHOSRAY
PULSE FOR A GRAVEHEART/MIND KEY

WORLD PAINTED BLOOD/SLAYER

血塗ラレタ世界/スレイヤー

SONY MUSIC SICP-2253 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B00273D3U2  スラッシュメタルの帝王のいつ出るかとやきもきしていたら、いつの間にか出ていた10枚目のアルバムです。

 今更スレイヤーのアルバムに関して何か語るべきところがあるとは思えませんが、不穏なイントロからタイトなビートとリフで圧倒していく切り裂くようなエッジが印象的な1から、速い曲から遅い曲までずーっとスレイヤーです。多少なりともこれまでと違うような感覚と言えば、故ダイムバッグ・ダレルを意識したと言うギターソロに感情が込められているような気がするくらいで、どこからどう聴いてもスレイヤー。

 まあ、しょうがないので731部隊の話でも…いやいやアウシュビッツに続いてファンタジー過ぎるだろ、このネタ(´Д`;)良い子のみんなは真に受けるなよ!
同系統アルバム
WAKING INTO NIGHTMARES/WARBRINGER
TO THE NINES/HATESPHERE
CULT OF THE DEAD/LEGION OF THE DAMNED





Nobember

DESPISED ICON | DISARMONIA MUNDI | OUTRAGE |

DAY OF MOURNING/DESPISED ICON

デイ・オヴ・モーニング/ディスパイズド・アイコン

MARQUEE MICP-10876 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002PKA936  カナダ出身のツインヴォーカルバンドの4枚目のアルバムです。

 不穏なイントロから凶悪なデスヴォイスとヘヴィサウンドが圧迫感を伴って迫るアルバムは、ハードコアなフィーリングがデスメタル的に解釈されたエクストリームな代物で、テクニカルなビートを駆使する邪悪な1から、ブラストビートを絡めた複雑なビートでアグレッシヴに迫る2、マシンガンのようなビートでスローダウンしたパートのコントラストが激しい3、ブラストも効果的に使った緩急激しく突進する4、圧迫感の強まるビートと絡み合う咆哮が不穏な空気を高める5、凶暴に突進していく6、雪崩を打つように崩れこむビートが叩きつけられていく攻撃性を露にした7、不協和音のリフが一体になって襲い掛かる混沌とした8、のたうつようなリフで迫るヘヴィナンバーの9、哀愁帯びたメロディを刻んでいくエモーショナルな10、ボーナストラックの11〜14はライヴ音源が収録されています。

 ほとんどメロディらしきものすらなく、凶悪なヘヴィサウンドが展開されていくアルバムは、テクニカルな側面を露にしつつも、音楽の暴力と言う風なエクストリームなものに仕上がっています。高速から低速までスピードやリズムに変化を付けて聴き手の注意を喚起する状態にもって行くあたりの手法はアルバムを4枚重ねた経験のなせる技でしょうか。最新かどうかは微妙ですが、割と高いレベルにある一枚でした。
同系統アルバム
A-LEX/SEPULTURA
WE ARE THE NIGHTMARE/ARSIS
OBZEN/MESHUGGAH

THE ISOLATION GAME/DISARMONIA MUNDI

ジ・アイソレイション・ゲーム/ディサルモニア・ムンディ

KING RECORD KICP-1432 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002MBT0Q0  イタリア産エクストリームバンドの4枚目のアルバムです。バンドを手伝っていたソイルワークのビョーンはゲスト待遇になってます。

 不穏なムードのイントロから猛烈なビートで一気呵成に畳み込むデスヴォイスとクリーンコーラスのコントラストも鮮やかな1から強烈なサウンドが展開されていくアルバムは、叙情メロディを孕んだダイナミックなリフワークのメロディ満載のスラッシーな2、ソリッドなリフでタイトなビートを刻んでいきエモーショナルに落ち着く3、再び一気に突進していく暴走ナンバーの4、ラウドなドラミングでタイトに迫る5はエモーショナルなパートで感情を爆発させていくダイナミックなナンバー、ヘヴィリフで感情を露にしながら進むエモーショナルなナンバーの6、タイトなギターリフで押し込む7は鋭角に切れ込みながら進む疾走ナンバー、リリカルなムードが高まるインストナンバーの8を経て、ダイナミックなビートを叙情メロディで重ね合わせるアップテンポの9、テクニカルなビートでドライヴしていくアッパーでメロディアスな10、アグレッションを前面に押し出して畳み掛ける11、ブラストビートで爆走状態の劇的な12、センチメンタルなインストナンバーの13で本編を締めると、ボーナストラックの14はザクザクしたリフで圧力を高めていく不穏でメロディアスなナンバーが収録されています。

 哀愁メロディと攻撃的なビートを一体化させて突撃していくサウンドは、更にスピード感を増して緊張感とダイナミズムを生み出していきます。感情の高まりをそのままぶつけていく衝動的なスタイルはメロデスの拡散と共にシーンからは薄まってきましたが、今時の状況からすると巡り巡ってメタルコアっぽく聞こえなくもない感じにって逆か。色んな意味でエクストリームな我が道を貫き通しているうちに、シーンの方が間に合ったみたいな衝動性の高い一枚でした。
同系統アルバム
DEMONIC ART/DARKANE
FOR THE REVOLUTION/KALMAH
xGODx/SERPENT

OUTRAGE/OUTRAGE

アウトレイジ/アウトレイジ

VICTOR VICP-64779 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002PKA9ZE  ヴォーカリストの橋本直樹が復帰して4人編成に戻って製作された10枚目のアルバムです。プロデュースにはフレドリック・ノルドストロームを起用しています。

 LOUD PARK 09でも披露された、雄々しいクワイアを伴った勇壮さと攻撃性を合わせ持ったダイナミックな1で幕を開けるアルバムは、クランチーなギターリフを繰り出しつつキャッチーなコーラスとキレのあるギターソロで盛り上げる突進スラッシュナンバーの2、グルーヴィなリフで迫る3はサイケデリックなムードも残るダークでヘヴィな曲。ソリッドなリフと70年代ロックの空気にエモーショナルなメロディが交錯するダイナミックな4、タイトなギターリフが唸りを上げるパワフルな5ではフラッシーなギターソロが繰り出されていきます。ヘヴィリフが威圧的に迫る6はダイナミックなヴォーカルがリードするエモーショナルなナンバー、ハードコア的な突進パートとドライヴ感の強いパートで緩急を付けるファストナンバーの7、情念が込められたパワーバラードの8、叙情感漂うインストゥルメンタルナンバーの9を経て、アグレッシヴに突進していくスラッシュナンバーの10でテンションの高いまま幕を閉じます。

 三人編成の時期には別の道を模索していたバンドでしたが、ヴォーカリストの復帰で初期のスタイルを取り戻すと同時にそれまで培ってきた要素も盛り込んだ集大成的なサウンドを作り出しています。10年というブランクのあったヴォーカルのパフォーマンスは、不安を微塵も感じさせないものですし、活動を続けていたバックの演奏もリアルタイムでシーンに生きている存在感を見せ付けます。ワールドワイドに活躍できる可能性を秘めた、メンバーの年齢を全く感じさせない凄まじい一枚です。
同系統アルバム
DEATH MAGNETIC/METALLICA
RIOT SQUAD/PARADOX
PARASITE OF SOCIETY/HEADHUNTER





December

BULLDOZER | HEATHEN | HEAVENLY | HELLOWEEN | HIGHLORD | IRON MASK | LIV MOON | SWASHBUCKLE |

UNEXPECTED FATE/BULLDOZER

アンエクスペクテッド・フェイト/ブルドーザー

RUBICON MUSIC RBNCD-1026 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B0029WT37S  イタリア産スラッシュメタルの21年ぶりの5枚目のアルバムです。マイケル・ジャクソンのツアーに参加したジェニファー・バトゥンやビリー・シーン、キコ・ルーレイロなどゲストも多数参加しています。

 不穏なイントロから一気に突進していく爆裂スラッシュナンバーで幕を開けるアルバムは、ダミ声ヴォーカルもアグレッシヴに叩きつけられる威圧感タップリの凶暴なサウンドを生み出していきます。威嚇するような凶暴な突進ナンバーの2は気合が入ってるのか微妙なバックコーラスが妙。初期スレイヤー風の早口ヴォーカルも炸裂する疾走ナンバーの3、ソリッドなギターリフで不安感を煽る4はタイトなビートを刻みつつ圧迫感を増していく邪悪なナンバー、パンキッシュなムードが高まるある意味キャッチーなアップテンポの5、邪悪なムードを高めていく6はロック的なコーラスとスラッシーなリフが交雑していくナンバー、ラビリンスのオラフ・トーセンによるテクニカルなギターに導かれる7は不穏なムードを高めつつ攻撃的に迫るタイトなナンバー、無骨なコーラスと共に突進する爆走ナンバーの8、ミステリアスなインストゥルメンタルの9を挟んで、ダークなイントロからの10はミドルテンポで感情を吐き出していくパートから加速する展開の大きいナンバー。 ボーナストラックはゲストによる各曲のプレイが集められた小品が収録されています。

 ゲストがギターソロでフラッシーに弾きまくっているあたりでちょっと鮮やかな印象を与えますが、基本的には邪悪なムード最高潮のスラッシュメタルと爆走ロックンロールが交錯して展開されていきます。基本的にはスラッシュメタルらしい一気に突っ走るコンパクトな楽曲が大半で、あっという間にアルバムが進んでいく様が心地良いです。休止期間の分だけ擦り切れていないサウンドが鮮やかに蘇る、すっかり伝説のバンドの復活の一枚でした。
同系統アルバム
WAKING INTO NIGHTMARES/WARBRINGER
THE EVOLUTION OF CHAOS/HEATHEN
EXECUTIONER/MANTIC RITUAL

THE EVOLUTION OF CHAOS/HEATHEN

ザ・エヴォリューション・オブ・ケイオス/ヒーゼン

KING RECORD KICP-1395 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002E1HM0O  18年ぶりに発表されたベイエリア・スラッシャーの三枚目のアルバムです。メンバーは色々あって中心メンバーの二人以外は全く変わっています。

 ミステリアスなイントロで幕を開けるアルバムは、ハスキーなヴォーカルとクランチーなリフにフラッシーなギターソロが唸りを上げるダイナミックなスピードナンバーの2でヒーゼンの帰還を高らかに宣言していくと、重厚なイントロからの3は畳み掛けるギターリフと湿ったメロディが押し寄せるエッジの効いたナンバー。ヘヴィリフで進む4は暗いメロディを孕んだエモーショナルなミドルテンポのナンバーで後半のインストの起伏の大きな展開が印象的な大作。叙情的なメロディを引き連れた正統派っぽいアップテンポのナンバーの5、荒れ狂うビートとリフが一体になって襲い掛かる展開の激しいアクティヴな6、物悲しいヘヴィメタルバラードの7は情感が積み重ねられていく丁寧な仕上がり。不穏なメロディを刻むイントロからの8は力感のあるギターリフが心地良い起伏の激しいダイナミックなナンバー、畳み掛けるリフで押し切るスラッシーな9、アイアン・メイデンばりのエモーショナルな劇的展開の大作の10、ダークなムードで進む11はクランチーなリフで突進するスピードナンバー。

 鮮やかなメロディを奏でるギターソロと劇的展開に初期スラッシュメタルの衝動性がうまく噛み合ったサウンドが満載の今までとも違う独特なヘヴィメタルを生み出しているアルバムは、ベテランアーティストの余裕と枚数を重ねていない新鮮さを兼ね備えています。18年もの歳月で培われた音楽的要素と初期のスラッシャー魂が良い感じに化学反応を起こして混沌としたサウンドを展開していくあたりは、当時の印象通りと言った感じでしょうか。リバイバルブームに乗りおくれなかった、未だ擦り切れていないセンスが炸裂する会心の復活アルバムでした。
同系統アルバム
ALIENIGMA/AGENT STEEL
ENDGAME/MEGADETH
EXECUTIONER/MANTIC RITUAL

CARPE DIEM/HEAVENLY

カーペ・ディエム/ヘヴンリー

MARQUEE MICP-10870 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002PKA92C  フランス出身のバンドの5枚目のアルバムです。同郷の元フェアリーランドのドラマーが新たに加わって製作されています。

 ヘヴィでテクニカルなギターリフで始まるアルバムは遂に路線変更か!?と期待と不安が高まりますが、そんなことは無かったぜ!(´Д`;)なハイトーンヴォーカルとキャッチーなメロディとコーラスが押し寄せるドラマティックなサウンドが展開されていきます。キラキラメロディが炸裂していく2は畳み掛ける叙情感の応酬でポップさを生み出すアップテンポのナンバー、クィーンみたいな壮大な曲調とコーラスの3、ミステリアスなイントロからの4はシンフォニックなムードが高まるゴージャスなナンバー。オペラティックなアカペラからの5はリリカルなメロディが情感を高めていくクイーン風ドラマティックナンバー、そして曲名はガンマ・レイにした方が良かったんじゃないかな、のトリビュート・トゥ・劇的スピードメタルナンバーの6へ。ヘヴィなリフからの7はシリアスなムードが高まるダイナミックなナンバー、ベートーヴェンの歓喜の歌をモチーフにしたドラマティックスピードナンバーの8は色々インスパイア気味のテンション高まる一曲。9は元アット・ヴァンスのオリヴァー・ハートマンが参加したシリアスなスピードナンバー。ボーナストラックの10はテクニカルでスリリングなインストナンバーが収録されています。

 前半のクィーンっぷりに遂にジャーマンメタル・フォロワーを辞めるのかと思わせましたが、そんなことは全然(ry むしろ、曲によってはインスパイアっぷりに拍車が掛かった感が。ロックオペラ的な感触が強まっているため、インスパイア元がどんどん広がっているのは手持ちの札増えるとかバラエティが広がるという点で良かったかもしれません。聴けば聴くほど色々なことが気にならなくもないですが、とりあえずバンドとしてはスケールアップして普遍性を手に入れつつある進歩した一枚でした。
同系統アルバム
NO WORLD ORDER/GAMMA RAY
MENTALIZE/ANDRE MATOS
THE DAYS OF GRAYS/SONATA ARCTICA

UNARMED - BEST-OF 25TH ANNIVERSARY/HELLOWEEN

アンアームド/ハロウィン

VICTOR VIZP-86 [EXTRA] >>>>>BUY...?

B002TODDNG  結成25周年を迎えたジャーマンメタルのオリジネイターのリアレンジした楽曲で構成された変則的なベストアルバムです。

 基本的にはアコースティックと言うか、生楽器で演奏するスタイルがベースになっており、更にアレンジはファンキーとかポップとかが主。最初からポップなナンバーの1や2は分かりやすい仕上がりと言うか趣味が前面に出たものになってますし、バラードナンバーは更に情感豊かに。で、注目の守護神伝トリロジーですが、他のバンドが散々やりつくして今更感はあるもののシンフォニックアレンジの大仰な代物で原曲の骨格の強力さを改めて思い知るわけで、どっちかと言えば全部コレでやれ、みたいな,、'` ( ´∀`) ,、'`
 しかし、このリリカルな“EAGLE FLY FREE”は…(´Д`;)

 まあ、ファンの人には今更ですがバンドの魅力を再発見及び再評価という意味では発表した価値がありますし、一般層への受けも更に良くなりそうではありますが、次のアルバムがこんなアコースティック路線だったら「CHAMELEON」以上の衝撃だよ!つーか他のバンドでやれ(・∀・)


 ※ハンブルグの殺人鬼は危険なのでマネしないでください。
同系統アルバム
BLAST FROM THE PAST/GAMMA RAY
LINGUA MORTIS/RAGE
THE ROOT OF ALL EVIL/ARCH ENEMY

THE DEATH OF THE ARTISTS/HIGHLORD

ザ・デス・オブ・ジ・アーティスツ/ハイロード

RUBICON MUSIC RBNCD-1027 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002ZN8PMU  イタリア出身のバンドの6枚目のアルバムです。キーボードが脱退しています。

 哀愁メロディが盛り込まれたシャープでドラマティックな1で幕を開けるアルバムは、伸びのあるヴォーカルが情感も豊かに歌い上げる鮮やかな楽曲を揃えています。ソリッドな感触の2はダイナミックな展開と叙情的なメロディが交差するスリリングなインストも印象的なスピードナンバー、攻撃的な側面を強調したタイトなフィーリングを聴かせていくドライヴ感の強い3、4、飛翔感のあるメロディでアップテンポに迫る5、エモーショナルな80年代ハードロックナンバーの6、ミステリアスなムードの7はシリアスに迫るソリッドなナンバー、テクニカルなプレイで怪しいムードを演出していくタイトルトラックのダークな8、リリカルなイントロからのキャッチーなナンバーの9、ボーナストラックの10はビリー・アイドルのカバー、そして恒例のアニソンカバーは残酷な天使のテーゼですが、特に日本語は無かったぜ…。

 全体的にはクサメロな楽曲も洗練されてきて、テクニカルっぽいプレイも合わさって良質なメロディックメタルになってしまって落ち着いたと言うか、まとまりのあるアルバムに仕上がっています。物凄くテンションが上がったり盛り上がりもしない割に落胆させられる事もないあたりは成長したと思うべきなのでしょうか。とりあえず安心して聴けるのがちょっと残念なような一枚でした。
同系統アルバム
TIME TO CHANGE IT/MIND ODYSSEY
BLACK SOCIETY/ARTHEMIS
NO SACRIFICE, NO VICTORY/HAMMERFALL

SHADOW OF THE RED BARON/IRON MASK

シャドウ・オヴ・ザ・レッド・バロン/アイアン・マスク

MARQUEE MICP-10884 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002TODDC2  ベルギー出身のバンドの三枚目のアルバムです。

 タイトなギターリフを繰り出して始まるアルバムは、ネオクラシカルなフィーリングが炸裂するドラマティックな1からハスキーなパワーヴォーカルによって鮮やかに描き出されていき、哀愁メロディで進んでいく2は元アット・ヴァンスのオリヴァー・ハートマンが参加したアップテンポのナンバーへと。エモーショナルな3は厚いコーラスで導かれるミドルテンポのナンバー、エスニックなムードを孕む4は情念がのたうつヘヴィナンバー、ラーズ・エリック・マットソンが参加した5は湿ったメロディが印象的な情感豊かなミドルテンポのナンバー、エキゾティックなモチーフを組み込んだ6はダイナミックな展開のパワフルなナンバー、煽情性の高いメロディを詰め込んでくる7は哀感たっぷりのエモーショナルなナンバー、ネオクラスピードナンバーの8、リリカルなメロディが染みるバラードの9、キャッチーなアップテンポナンバーの10、ナレーションからの11はエモーショナルなアウトロで幕を閉じます。

 高速の貴公子がリードするネオクラワールドは、伝統的と言うか定番と言うか特に新しいものはありませんが、フラッシーなプレイを随所に聴かせるドラマティックなものになっており、この手のスタイルの愛好家には安心して聴けるものになっています。最近は、ネオクラギタリストも減ってきたみたいなので、血脈を受け継ぐギタリストが出てきて良かったものの、ついでに体型も受け継ぐのはどうなんだろう…(´Д`;)
同系統アルバム
RIDE THE SKY/AT VANCE
FADE TO BLACK/EVIL MASQUERADE
WHEN DREAM AND FATE COLLIDE/FREQUENCY

DOUBLE MOON/LIV MOON

ダブル・ムーン/リヴ・ムーン

VICTOR VICL-63512 [☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002TODDOU  ラウド・パーク09で突如現れた、元宝塚出身の女性ヴォーカリストを擁するバンドのデビューアルバムです。

 音域の広い声を活かした楽曲は、ソプラノヴォイスからヘヴィリフを展開させていくシンフォニックかつモダンなフィーリングの1から、ダイナミックな展開のメタリックな2、リリカルなメロディを積み重ねるドラマティックな3、オペラ座の怪人のカバーの4、インタールードの5を経て、切ないバラードナンバーの6、メランコリックなムードで迫る情感豊かでスケール感の大きいドラマティックな7、 飛翔感伴うメランコリックなメロディで進むキャッチーな8はスタンダードなポップナンバー、インタールードの9に導かれる10はソリッドなギターリフが緊迫感をもたらすメタリックなナンバー、起伏の激しいダイナミックな展開を見せる劇的ナンバーの11、イタリアの歌手、アンドレア・ボチェッリのカバーと言うかサラ・ブライトマンとの共演の方が有名な12、クラシカルなフィーリングのムーディな13、ボーナストラックの14はスキャットの神秘的なナンバーが収録されています。

 さすがにデビューアルバムだけに手探り感が如実に伝わるサウンドが展開されていくわけですが、ヴォーカリストとしての力量は確認できる代物になっており、シンフォニックメタルの標榜はどうかと思わせるバラエティに富む楽曲を揃えています。とりあえず、メタルっぽい楽曲は総じて無難な出来で、ポップな曲やバラードの方が聴き応えがあるあたりは、微妙に売り出し方に問題があると言うか、メタル好きな人あんまりいないでしょ、このバンド…みたいな、つーか友達のマグナス・ローゼンに書いてもらったらどうなんだ(´Д`;)まあ色々問題があるし、どこに向かうのかも不透明ながらも、このご時世にメタルで打って出ようなんつー心意気は評価できる一枚でした。
同系統アルバム
DESIGN YOUR UNIVERSE/EPICA
LADY MACBETH/LANA LANE
MY EARTH DREAM/EDENBRIDGE

BACK TO THE NOOSE/SWASHBUCKLE

帰ってきた海賊戦士/スワッシュバックル

KING RECORD KICP-1449 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?

B002TK1VV6  ニュージャージー出身のカリビアン・スラッシャー・トリオの3枚目のアルバムです。

 物悲しいメロディからの重厚なイントロから始まるアルバムは、唸りを上げるクランチーなギターリフで突進するデスラッシャーな2で哀愁孕むメロディも繰り出す緩急の激しい楽曲を披露していきます。ダイナミックなリフで突き進む重量感のある突進ナンバーの3、突然ボサノバ風のインストを挟んだかと思えば、瞬発力の強いパンキッシュな突撃ナンバーの5でそんな和やかな空気を一閃。ミドルテンポのちょっと一杯入ったグルーヴ感が出た威勢の良い6、再びアコースティックなインストを挟むと、寸劇めいた8の混乱を経て、鋭いギターリフで襲い掛かるフラッシーな高速ギターソロを伴った爆走スラッシュナンバーの9へ。ブラスト風味で突っ込んでくるアグレッシヴな10、やっぱり哀愁のインストを挟んで、一気に爆走に移る12は激しいビートとコーラスでテンションを高めていきます。ドライヴ感を強めて突っ走る13はシンガロングなパートで気持ちが一つになりそうな勇ましいナンバー、やっぱり牧歌的なインストを挟んで、ブラストビートで突撃する邪悪な15、ヤケクソ気味の早口ヴォーカルが緊迫感を煽るアップテンポの16、17、当然のように牧歌的な曲を挟んで、クランチーなリフでドコドコ突っ走るメロディアスなパートとのコントラストの強い19、センチメンタルなインストナンバーを超えると、パンキッシュに突進する21で余韻もクソも吹っ飛ばして終わります。

 割と多様なスタイルのデスラッシュ・サウンドを作り出しているアルバムは、バンドイメージの海賊風味は本編の楽曲自体にはそれほど反映されていませんが、インストナンバーやSEにはたっぷり盛り込まれており、全体的にはパイレーツ風。スラッシーな楽曲とインストの落差がかなり激しいので、アルバム自体の流れを寸断しているところは否めませんが、独自性と個性を生み出す意図としては理解できる感じです。独特のムードを咀嚼できれば良質なスラッシュ・サウンドを楽しめる一枚でした。
同系統アルバム
D.E.V.O.L.U.T.I.O.N./DESTRUCTION
EXECUTIONER/MANTIC RITUAL
BLACK SAILS AT MIDNIGHT/ALESTORM