「宗門各位に告ぐ(宗門白書)」 より抜粋
〜『真宗』昭和31年4月号より〜
宗 務 総 長 宮 谷 法 含
※1 『真宗』とは、真宗大谷派宗務所発行の機関誌
※2 宗務総長とは、国の機関でいうなら総理大臣
一、宗門の実情
いまの宗門は、 ・・・〔略〕・・・
この憂うべき宗門の混迷は、どこに原因するのか。
宗門が仏道を求める真剣さを失い、
如来の教法を自他に明らかにする本務に、
あまりにも怠慢であるからでないか。今日宗門はながい間の仏教的因習によって、
その形態を保っているにすぎない現状である。寺院には青年の参詣は少なく、 ・・・〔略〕・・・
教田の荒廃してゆく様は、まさに一目瞭然であるが、
われらは果たしてこの実情を、
本当に憂慮し、反省しているであろうか。まだ何とかなるという安易をむさぼる
惰性に腰かけているのではないか。大谷派に一万の寺院、百万の門信徒があるといいながら、
しかも真の仏法者を見つけ出すことに
困難を覚える宗門になってきているのである。極言するならば、
われわれ宗門人は、
七百年間、
宗祖聖人の遺徳の上に安逸をむさぼって来たのである。いまや御遠忌を迎えんとしてわれら宗門人は、
全身を挙げて深い懺悔をもたねばならない。単に 御遠忌のにぎにぎしさを夢みることによって、
この現状を糊塗するようなことがあるならば、
宗門は疑いもなく、
歴史から冷ややかに嘲笑を浴びるであろう。宗門は今や厳粛な懺悔に基づく自己批判から再出発すべき
・・・〔以下略〕・・・